日本の家具メーカーであるニトリは、事業規模を倍増させるという意欲的な計画を掲げています。同社は、既存のシステムでは今後のワークロードに対応できないうえ、間近に迫った春商戦の繁忙期に向け、よりスケーラブルなソリューションが必要であると考えていました。そこで、IBM Power System E980とIBM DS8886Fを採用し、現在と今後に必要なパフォーマンス、拡張性、信頼性、柔軟性を実現することができました。
ニトリでは、顧客を喜ばせるサービスや製品の実現は、製造とロジスティクスのオペレーションを最大限まで効率化できるかにかかっています。同社が事業の急成長に向けて体制を備える中、主要システムの能力不足が露呈しました。
ニトリはIBM Systems Lab Servicesと協力して、IBM POWER9プロセッサーを搭載したIBM Power Systems E980サーバーを3台導入し、Oracle DatabaseとIBM AIX上で自社開発した専用アプリケーションを稼動させました。
株式会社ニトリは、日本のインテリアデザイン業界を担う大手企業です。同社は、独自の「製造、物流、小売販売」のSPA(製造小売業)モデルを採用し、他社と差別化を図っています。同社は最近、31年連続で増収増益を達成しました。同社の家具、インテリア商品は、台湾、中国、米国の56店舗を含む523件以上の店舗で購入できるほか、オンラインショップ「ニトリネット」で豊富な品揃えの中から購入することができます。
ニトリは、全国の店舗や顧客に効率的かつスピーディーに商品を届け、商品の保管コストを削減するために、自社の物流システムやITシステムを改善し続けてきました。例えば、1980年に業界初の自動多段倉庫を導入したことを皮切りに、在庫管理と商品の安定供給を実現するために独自のシステムを開発しました。現在、同社では海外工場から海外物流センターへの輸送手配、入札や通関手続きを経て日本への国際コンテナ便の発注、コンテナヤードから日本の物流センターへの輸送手配、そして店舗や顧客への商品配送を行っています。商品に関わるすべてのシステムを自社で開発、運用しています。
水面下で、ニトリは海外展開の企画、製造、物流の複雑な業務を取りまとめなければなりません。例えば、あるニトリの店舗では、ベトナムの工場から東京の倉庫に特定の商品を配送できるかどうかを確認する必要があります。複数の子会社やパートナー企業間で、国内外で行われる数十件のプロセスを切れ目なく連動させなければならないためです。店舗スタッフが数分以内に配達日を確定できない場合、販売機会を失う可能性があります。
ニトリは10年以上にわたり、IBM AIXおよびIBM Power Systems上のOracle Database上で動作する自社製アプリケーションを活用し、これらのプロセスを円滑、正確、かつ確実に行えるように体制を整えてきました。しかし、今後の事業成長に向けて準備を進めるにつれ、さらなるパフォーマンスと能力が必要であることが明らかになりました。
株式会社ニトリの荒井俊典氏は、次のようにコメントしています。「ニトリは2022年までに1,000店舗に拡大する計画で、特に中国と米国にさらに進出し、年間100億米ドルの追加収益を見込んでいます。当社が直面している最大の戦略的課題は、現地の市場ニーズに合った海外店舗をいかに展開するかということです。ただ、世界中どこでも共通していることは、ニトリというブランドに対するロイヤルティを生み出す、迅速で信頼できるサービスをお客様に提供する必要があるということです。」
同社の既存のハードウェアは5年前に導入され、業務に十分対応できていたものの、その間に事業が急速に拡大したため、設計上でサーバーの限界に達していました。毎年恒例の春商戦の繁忙期が間近に迫っていたため、ニトリは非常に厳しいスケジュールでアップグレードを行う必要がありました。
同社はIBMと連携し、企画、製造、財務、物流、販売、マーケティング、カスタマーサービスに対応するミッションクリティカルなシステムを稼働させるためにPOWER9プロセッサーを搭載したIBM Power System E980を導入することにしました。POWER9のプロセッサー・コア数を最大192コア、メモリを最大64TBまで拡張できるPower System E980は、これから訪れる春商戦のピークだけでなく、この先何年にもわたる事業の急成長にも十分な対応力を備えています。
新たなPower Systemsサーバーに求められる、ミッションクリティカルなデータへの極めて高いニーズを満たす必要がありました。そこで、既存のIBM DS8000ストレージをより高い処理能力、パフォーマンス、移行機能を備えるオールフラッシュ型のIBM DS8886Fに変更しました。また、同社はストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)の性能を8Gbpsから16Gbpsに向上させました。
IBM Power System E980を導入すると、新たなストレージにデータを移行しても混乱が起きないことがわかっていたため、ニトリにとって非常に融通が利くシステムでした。」と荒井氏は振り返ります。「当社の商品に対する需要が急激に高まっているため、生産能力を至急拡大する必要がありました。IBM Power Systemsを引き続き採用することで、今後考えられる事業の急成長を見据えながら、リスクを大幅に抑えて移行することができました。」
現在、同社はIBM Systems Lab Servicesの継続的なサポートを受けながら、アプリケーションとOracle DatabaseをPower System E980に移行しているところです。
「IBM Power Systemsと他の主要な競合製品を比較したところ、別のプラットフォームでは大幅な調整が必要だったのに対し、Power System E980ではその調整を一切行わず、必要なパフォーマンスを発揮できることがわかりました。」と株式会社ニトリの佐野智幸氏は語ります。「長年Power Systemsを利用していますが、信頼性やセキュリティの問題がまったく発生しないため、当プラットフォームを引き続き活用させていただいています。」
ニトリなどの顧客志向の企業にとって、卓越したサービスはロイヤリティの構築と維持の鍵となります。企画、財務、物流、販売などの最も重要なプロセスに対応するIBM Power Systemsを導入することで、優れたカスタマー・サービスを実現する、堅牢で高性能、かつスケーラブルなプラットフォームを実現しました。
「当社は製造から納品までの複雑な工程を扱っているため、常にデータを正確に把握することが重要です」と荒井氏は説明します。「IBM Power Systemsは常に優れた稼働力を発揮しているため、当社はカスタマー・サービスの品質を維持することができます。」
これまでのテストから、同社は新型のIBM Power System E980が、春の繁忙期に予想される売上高の急増に対応できることを確認しています。「移行はまだ完了していませんが、過去のIBM Power Systemsの導入経験を踏まえると、新しいサーバーが当社のニーズに対応できると確信しています」と、株式会社ニトリの竹岡典弘氏は語ります。「大規模なプラットフォームとして、Power Systemsはニトリにとって常に非常に信頼できるものでした。また、IBM PowerVM仮想化技術によって、メモリと処理リソースの両方を中断することなく、臨機応変に増減させることができます。そのため、当社のニーズに適した水準を維持することができるのです。
同社は、本番と非本番(テスト、開発)のワークロードを同じシステムに統合します。パフォーマンス・テストを検討する場合、本番環境で使用されるものと同じ容量のCPUとメモリ・リソースをテスト環境に動的かつ一時的に割り当てることができます。事業の成長に伴い、生産ワークロードでリソースを増やす必要がある場合、Power Systemsのサーバーをそれぞれ192コアまで拡張することができます。
世界中で店舗を1000件まで拡大させるという今後の計画を踏まえると、同社はIBMとの提携をさらに拡大するメリットがあると考えています。「当社は、今後数年間でさらに拡大するため、事業の拡大と展開を進める中でグローバルに連携できる提携先は少なくなっていくでしょう。」と佐野智之氏は語ります。「ご存知のとおり、IBMは世界有数のリファレンスカスタマーと多数取引しており、当社の高まるニーズに対応できるリソースを備えているという安心感があります。IBMは当社の心強い味方であり、この提携が両社のメリットになることは間違いありません。Power System E980とDS8886F上に新たな環境を構築する中で、共に成功を築いていけることを楽しみにしています。」
株式会社ニトリ(ibm.com外部へのリンク)は、家具、インテリア用品の「製造・物流・小売」を自社で担当する独自のSPAモデルで知られています。商品に携わる業務を一貫して自社でまかなう仕組みを採用し、同社は在庫管理と安定供給を実現する独自のシステムを構築し、顧客に直接いち早く商品を届けることを可能にしています。2018年2月現在、24,816人の従業員を抱え、台湾、中国、米国の56店舗を含む世界523件以上の小売店、およびオンラインショップ「ニトリネット」を通じて幅広い商品を提供しています。
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