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温室効果ガスをブロックチェーン技術で検証された資源に変える
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木々の間から差し込む太陽の光

Newlight社は、温室効果ガスを利用して高性能生体材料を生産するテクノロジーを開発しました。IBMのビジネス・パートナーであるCognition Foundry社との提携により、Newlight社はブロックチェーン・テクノロジーを活用し、そのプロセスの各段階と環境への全体的な影響について独立した追跡と監査を行い、消費者に伝達できるようにしました。

ビジネス上の課題

Newlight社は、炭素回収プロセスを通じて温室効果ガスのレベルを削減することで、気候変動への取り組みを支援することを目指しています。このプロセスによる影響を世界的に規模を拡大できる方法で追跡して独立した検証を行い、伝達するにはどうすればよいでしょうか。

概要と経緯

Newlight社では、IBM LinuxONE™の拡張性に支えられたIBM Blockchainのソリューションを活用して、温室効果ガスから高性能な生体材料「AirCarbon」への変換における各段階で消去できない記録を作成します。

成果 サポート
温室効果ガスを新たな資源に転換することによる温室効果ガスの削減
実現できたこと
大規模な事業拡大により、グリーン・テクノロジーを世界各地の新たな企業顧客に提供
細やかな洞察により
消費者が十分な情報を得た上で選択できるよう、生産過程を検証可能な形で記録
ビジネス上の課題の詳細
気候変動への新たな取り組み

気候変動は、今日人類が直面している最大の課題の1つです。科学者たちは、地球温暖化の直接的な結果として、干ばつ、洪水、暴風雨、食糧と水の供給支障といった悲惨な結果を予測しています。しかし、この問題に立ち向かうために何ができるでしょうか。Newlight Technologies社は、この解決策の一端を担うと考えられる方法を開発しました。

Newlight Technologies社のCEO(最高経営責任者)兼共同創設者であるMark Herrema氏は、次のように説明しています。「2003年、私はロサンゼルス・タイムズの記事で、牛から発生するメタンガスと、大気中に放出される膨大な量の炭素について読みました。当時は、炭素に課税するとか、炭素を地下に埋めるとかの話が出ていました。」

「しかし、自然界に目を向けてみると、温室効果ガス(空気中や水中の炭素)は、生命の根幹をなすもので、樹木やサンゴが成長する際に使われています。そこで私は高校時代の友人と一緒に、自然界が温室効果ガスを利用して炭素の放出を逆転させることができるのなら、なぜ私たちも同じようなことができないのだろうか、そして、温室効果ガスを悪者にするのではなく、それを価値のある製品に変えることができたらどうだろうかと考えたのです。2003年にホームセンターで部品を購入したり、インターネットで検索したり、学ぶべきことがたくさんありましたが、私たちは自分たちのビジョンを現実にできるかどうかを確認することにしました。」

Newlight社はその後10年以上の時間をかけて、温室効果ガスを、プラスチック、繊維、その他の素材の代わりに使用できる価値の高い、自然に発生するエネルギー分子に直接変換するテクノロジーを開発しました。同社のバイオコンバージョン・プロセスは、埋立地、廃炭鉱、農場から発生するメタンガスなど、再生可能なエネルギーと温室効果ガスを使用し、海洋に生息する微生物を用いて、「AirCarbon」という高性能の生分解性溶融エネルギー分子に変換します。

Mark Herrema氏はさらに次のように続けています。「今のところ、私たちの影響力は問題に対して小さいですが、私たちの目標は、直接生産とライセンス生産の両方を使って、できるだけ早く拡大することです。私たちの主な課題の1つは、AirCarbonの新しい生産プラントの設計と建設に時間がかかることでしたが、私たちはそれを大幅に加速させることができると考えられるモジュラー式ソリューションを開発しました。

「私たちが直面したもうひとつの課題は、サプライチェーンの検証です。私たちは、AirCarbon製品を購入する最終消費者に対し、その製品が温室効果ガスとして始まり、再生可能エネルギーを使用して製造され、使用していなければ大気中の一部となっていたであろう炭素を削減したことを証明する方法が必要であることに気づきました。これを実現するために、私たちは検証可能性という重要な要素を追加し、これを大規模に実行できるように支援してくれるテクノロジー・パートナーを探し始めました。」

IBMの支援を受け、私たちは温室効果ガスを有益な資源に変える取り組みを行っています。 Mark Herrema氏 CEO and co-founder Newlight Technologies, Inc.
概要と経緯の詳細
ビジョンを現実に変える

Newlight Technologies社は、同社における大掛かりな拡張計画に対するサポートを求めて、IBMとIBMのビジネス・パートナーであるCognition Foundry社に連絡を取り、IBM LinuxONEを搭載したIBM Blockchainソリューションの導入を決定しました。

Mark Herrema氏は次のようにコメントしています。「IBMのチームに連絡したところ、彼らがCognition Foundry社につないでくれました。私たちは、社会的企業に関する彼らの取り組みも確認させていただきましたが、非常に感銘を受けました。Cognition Foundry社に連絡を取ってすぐに、私たちの旅の次のステップを支援してくれる能力を持ったパートナーを見つけたと確信しました。」

Newlight社はCognition Foundry社と協力して、AirCarbonの製造における全工程で消去できない記録を作成するIBM Blockchainベースのシステムを導入しました。プロセスの各段階では、放棄された炭鉱、埋立地、農場で発生するメタンガスの調達から、再生可能エネルギーの調達、ガスの製品への変換、第三者検証レポートの入力まで、ブロックチェーンのハイパーレッジャーに記録される個別のデータが入力されます。チェーンにあるすべてのリンクが他のすべてのリンクをサポートおよび検証するため、削除したり変更したりすることはできません。

Mark Herrem氏は次のように付け加えています。「IBM Blockchainは、私たちにとって理想的なテクノロジーです。このテクノロジーにより、私たちは消費者に検証可能な証明書を提供することができ、お客様は、いつ、どこで温室効果ガスを回収したのか、いつポリマーに変換し、AirCarbonのペレットに変換したのか、どのようにしてお客様の手元に届いたのか、そして第三者機関によって検証された全体的なカーボン・インパクトはどの程度なのかを正確に知ることができるのです。その結果、消費者は自分たちがどのような影響を与えたいかについて、情報に基づいた選択ができるようになります。」

Cognition Foundry社は、IBM LinuxONEサーバー上でIBM Blockchainソリューションをホストしています。LinuxONEプラットフォームは、Newlight社が拡大する事業を支えるために必要な、大規模な拡張性とセキュリティを提供します。

Cognition Foundry社のCEO(最高経営責任者)Ron Argent氏は次のように説明しています。「私たちは、世界にいち早く影響を与えたいと考えている、最先端なアイデアを持つダイナミックなスタートアップ企業と仕事をしています。LinuxONEは垂直方向の拡張性が卓越しているため、そのニーズに応える理想的なインフラストラクチャです。お客様にとって適切なサイズの環境を最初にプロビジョニングし、より多くのプロセッサー能力が必要になった時点で、スイッチを押すだけでスケールアップできます。

「それは本当に簡単で、拡張できる範囲の制限もありません。従来のサーバー・ファームとは異なり、スケールアップのためにインフラストラクチャを追加する必要がないため、物理的なフットプリントを制限できます。これにより、サーバーの使用率を最適化して無駄を省くことができるため、エネルギー効率が高く環境に優しい方法で業務を行うことができます。」

同氏はさらに次のように続けています。「当社のお客様は、50年にわたるエンタープライズ開発の経験がLinuxONEプラットフォームに反映された、卓越した信頼性と堅牢性からも利益を得ています。セキュリティと可用性のレベルは並外れたものであり、サービス・プロバイダーとして、複数のクライアント・アプリケーションを同じ物理サーバー上でそれぞれの仮想ネットワークを用いてホストでき、より環境に優しく、コスト効率の高いストラテジーに貢献しています。」

LinuxONEがブロックチェーン・ソリューションをサポートすることで、Newlight社は勢いを失うことなく進化し続けることができます。Mark Herrema氏は次のようにコメントしています。「Cognition Foundry社とIBMとの連携は、まさにワンツーパンチでした。IBM LinuxONEがあれば、炭素回収プロセスをどのように世界に送り出すかに集中でき、インフラストラクチャの管理を心配する必要も、ソリューションに新しいユーザーを追加する必要があるたびに速度を落として再評価する必要もありません。規模を拡大する道筋としては実に素晴らしいものです。」

IBM LinuxONE上で稼働するIBM Blockchainの検証可能性に基づいて、私たちは温室効果ガスに対する人々の見方を変える、つまり問題から資源へという目標に近づいています。 Mark Herrema氏 CEO and co-founder Newlight Technologies Inc.
成果の詳細
消費者に世界を変える力を与える

IBMとCognition Foundry社の支援を受けているNewlight社は、温室効果ガスを資源に変えることで気候変動への取り組みを支援するという目標を達成するのに有利な立場にあります。

Mark Herrema氏は次のように語っています。「気候変動をめぐっては、もう戦いには負けたのかもしれないという諦めが生まれることがあります。この戦いに役立つと主張する新しいアイデアを耳にすると、人々は当然懐疑的になり、何がどのように変化をもたらすのかについて定量化で検証可能な情報を求めます。」

「ブロックチェーンは、AirCarbon製品の製造において、検証可能性という重要な要素を私たちに与えてくれます。当社の顧客は、自社の製品がどのような独自の影響を持っているのか、製品がどのような手順を経ているのか、誰が独自にレビューしたのかを自分たちの目で確認することができます。その結果、彼らは自分たちにとって何が重要なのかに基づいて、どの製品を購入するかについて、より多くの情報に基づいた決定を下せるようになります。」

ブロックチェーン・テクノロジーの透明性とLinuxONEの拡張性により、Newlight社は既存の顧客に力を与え、新しい顧客を引きつけることができます。同社は大手メーカーとライセンス契約を結んでおり、最終的には同社のバイオコンバージョン・プロセスを利用して独自のAirCarbon製品を製造できるようになり、ブロックチェーン・テクノロジーでライセンス・プログラムの影響をグローバルに追跡できるようになります。

Mark Herrema氏は次のように続けています。「IBMのインフラストラクチャを利用することで、以前は不可能だったレベルの透明性を顧客やパートナーに提供できるようになり、その結果、より適切な意思決定が可能になり、環境への影響も大きくなることを願っています。」

Newlight Technologies, Inc.

Newlight社(リンクはibm.comの外にあります)は2003年、「自然界にできることなのに、なぜ私たちは温室効果ガスを資源として利用できないのかという質問と共に設立されました。Newlight社は、10年以上にわたる研究開発の結果、海洋に生息する微生物を利用して、温室効果ガスをあらゆる生物に含まれる溶解可能なエネルギー材料に変換するバイオテクノロジー・プロセスを開発しました。この材料は、自然界に存在する生体適合性の高い材料で、静ン位や固形部品の製造に使用でき、炭素や合成プラスチックの環境への流出を抑えるのに役立ちます。現在、Newlight社は、「持続可能な素材への移行を世界で加速させることで生命を守り、向上させる」という同社の使命を果たすために、社内生産とライセンス生産の両方を通じた成長に注力しています。

次のステップ

世界で最も安全な最新のLinuxプラットフォームであるIBM LinuxONEについて詳しくは、 ibm.com/linuxoneをご覧ください。

IBM Blockchainの詳細については、ibm.com/blockchain/for-goodをご覧ください。

Cognition Foundry社(リンクはibm.comの外にあります)は英国を拠点とするサービス・プロバイダーおよびシステム・インテグレーターで、先進的なIBMとオープンソース・テクノロジーを活用したコグニティブ・ソリューションとクラウド・プラットフォームを専門としています。

脚注

 

© Copyright IBM Corporation 2018. 日本アイ・ビー・エム株式会社 〒105-5531 東京都港区虎ノ門二丁目6番1号 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー2018年10月、米国で作成。

IBM、IBM LOGO、ibm.com、およびLinuxOneは、世界の多くの国で法的に登録された、International Business Machines Corporationの商標です。その他の製品名およびサービス名は、IBMまたは他社の商標である可能性があります。IBM 商標の最新リストは、ibm.com/legal/copytrade.shtml の「著作権および商標に関する情報」でウェブから入手できます。

Newlight®、Newlightロゴ、および AirCarbon® は Newlight Technologies, Inc.の商標であり、世界中の多くの管轄区域で登録または使用されています。

IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。

引用または説明されているすべての事例は、一部のクライアントがIBM製品を使用し、達成した結果の例として提示されています。実際の環境でのコストや結果の特性は、クライアントごとの構成や条件によって異なります。ご不明な点などございましたら、IBMにお問い合わせください。

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