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さらなる進化—クラウドベースのエレベーター検査ソリューションによるパフォーマンスの向上
エレベーターのボタンを押している女性

1856年にニューヨークで最初の乗用エレベーターが設置されて以来、エレベーターは広く普及し、都市での移動に欠かせない手段となり、高層階のビルや建物での生活や仕事が可能になりました。今では、米国だけでも90万台を超えるエレベーターが稼働しており、エレベーター1台あたり、年間で平均2万人以上の人がりようしています。

ニュージャージー州では、DCAのエレベーター安全部門がエレベーター、エスカレーター、ムービングウォーク(動く歩道)、およびその他のリフト装置の登録、検査、認定を行っています。パブリック・セーフティーにおける使命は、すべてのエレベーターが安全基準に準拠していることを保証し、設備やメンテナンスの問題が原因で利用者が負傷することを防ぐことです。

DCAがエレベーターの検査業務をサポートするために採用したシステムでは、紙の検査報告書がメインフレーム・コンピューティング・システムに入力され、処理されていました。時代遅れの断片化したITシステムによる、紙ベースの煩雑なプロセスが原因で、期待する時間内にカスタマー・サービスを提供できずにいました。エレベーターのメンテナンスを担当する建物の所有者は、複数のチームと協力して検査を調整し、支払いを確認する必要がありました。

参照または紛争解決のために紙ベースの記録を確認することも、時間のかかるプロセスでした。エレベーターの検査プロセスにかかる時間は、おおよそ21~28日であり、このスケジュールは検査担当者と建物の所有者にとって長すぎるものでした。

システムのアップグレードは、DCAの最優先事項でした。1つの解決策として、DCAの他の検査対象で使用されていた、少し新しい検査ソリューション・スイートにElevator Safetyを組み込む選択肢が考えられました。しかし、そのシステムは「維持費が高く、開発元ベンダーの専有ソリューションであったこともあり、その選択肢は避けたかったのです」とDCAのIT責任者であるJohn Harrison氏は言います。

システム・メンテナンスがさらに複雑になっていた理由は、ニュージャージー州が部門全体でITを管理する構造の変更でした。「DCAはこれまで、ニュージャージー州の情報技術局(NJOIT)の開発リソースに依存していました。両者ともに、DCAで使用するシステムを開発し、ホストしていました」とHarrison氏は言います。「しかしその後、大統領令により、NJOITによる開発が停止されることになり、自前で対応しなければならなくなりました」

DCAは、システムをモダナイズするための選択肢を模索し始めました。DCAは、コア・ビジネス・アプリケーションの機能を最大限に活用し、実用的なインサイトを生み出し、より迅速な意思決定を可能にするイノベーションに投資する準備ができていました。最新のプラットフォームが評価され、 Azure Cloud上のMicrosoft Dynamics 365プラットフォームが採用されました。 Elevator Safetyは、同プラットフォームで最初のソリューション・スイートとなります。

同時に、予想外にタイトなスケジュールでソリューションを開発する機会も生まれました。ニュージャージー州知事は、2012年のハリケーン・サンディによる災害から復旧できていなかった3万人の住宅所有者を支援するために、大胆な住宅ローン免除法案に署名しました。

サイクルタイムの短縮

 

エレベーターの点検サイクル時間を90%短縮

より高速なプロセス

 

請求と支払い処理の高速化により、収益フローが改善

IBMのMicrosoft Dynamics 365チームの専門知識は世界トップクラスです。彼らのコミュニケーションも同じくトップクラスです。 John Harrison氏 Director of IT(ITディレクター) ニュージャージー州地域社会局

新しい法案において、申請の適格性を決定するリード・エージェンシーとして任命されているDCAは、予想される大量のオンライン申請を管理するための新しいデジタル・プロセスを開発する責務を負っていました。新しい法案に署名された日から、DCAがまったくしいシステムを導入するまでに与えられた時間は、わずか6週間でした。

同時に、DCAのITチームは、IBM Services for Microsoftを含む、新しい検査ソリューション・スイートに関して、候補である複数のITベンダーと面談を行っていました。「IBMは、セールス・サイクルを通して、正しい質問をしていました」とHarrison氏は言います。「IBMがしっかりと理解しており、正しいことに集中していることを確認できたので、IBMを選ぶことにしました」

IBMエキスパートによるシステム統合を通じて、Azure Cloud上のMicrosoft Dynamics 365顧客データ・プラットフォームをベースにした、新しいオンラインの適格性判断ツールを開発し、DCAが価値実現までの時間を短縮できるように支援しました。「当日に稼働までこぎつけることができ、大成功でした」とHarrison氏は言います。「事実上、これは概念実証であり、Elevator Safetyソリューションをはじめとする、より大規模な検査ソリューション・スイート・プロジェクトにおいて、IBMを容易に選択できるようになりました」

一流のチームワーク

DCAは、デジタル・トランスフォーメーション・プロジェクトの始動時に、アジャイル型プロジェクト管理(AMPM)の開発プロセスを策定しました。「要件を管理し、進捗状況を監視するツールが必要でした。IBMは、リード・デベロッパーとして、当プロジェクトのために、このソリューションをまとめてくれました」とHarrison氏は言います。「今では、すべてのソリューションでAMPMを採用しており、ビジネス・プロセスのモデリングには、IBM Blueworks Liveを使用しています」

IBM Blueworks Liveは、プロセス・マッピングを通じて、ビジネス・プロセスを構築および改善するための専用のコラボレーション環境を提供するクラウド・ベースのソフトウェアです。DCAは、すべての開発プロジェクトにアジャイル手法を適用することで、プロジェクト完了までの時間を短縮し、継続的なイテレーションを通じて、プラットフォームを定期的にアップデータしています。

DCAは、Microsoft Dynamics 365プラットフォームでプロジェクトを立ち上げた後、もう一つの重要な戦略的決定を行いました。「クラウドをデフォルトの選択肢にしました」とHarrison氏は言います。「可能であれば、すべてをクラウド・ファーストで行います」

DCAとIBMは、Microsoft Dynamics 365プラットフォームを使用して、Elevator Safetyのための新しいアプリケーションを構築しました。一般向けのサービス・ポータルは、建物や不動産の所有者、代理店などが次の目的で使用します。

  • 新しい建物と新しく設置されたエレベーター装置の登録
  • 所有権の譲渡と登録情報の修正
  • アカウントの管理、および請求書と検査報告書の検索と印刷
  • 検査合格証明書の印刷
  • 年間検査費、登録料、違約金の支払い

DCAは、エレベーターの安全性の検査プロセスをクラウドに移行することで、検査担当者が紙ベースのフォームに入力する必要性をなくして、モバイルのタブレット・デバイスを使用して検査および関連タスクを実行できるようにするための、デジタル・インフラストラクチャーを構築しました。

また、Microsoft Dynamics 365プラットフォーム・ソリューションを導入したことで、DCAのマネージャーは、検査担当者1人あたりのタイプ別の検査件数、違反件数、最も多く見られた違反、1日あたりのタイプ別の登録件数、支払いなど、ケースごとの検査プロセスを明確に把握できるようになりました。

ELSAアプリケーションの長所の1つは、コンフィギュアビリティーです。「考え方とプロセスをリンクさせるようにシステム全体を構築しています」とHarrison氏は言います。「プロセス全体で情報がどのように流れるかについて、皆が同じ理解を持っており、社内ユーザーにとって非常に直感的です」

DCAは、ELSAを実装するにあたって、業界および技術に関する深い専門知識を得るために、IBM GBS Client Innovation Centerに相談しました。「Baton Rouge CICの多くのスタッフの力を借りましたが、素晴らしいチームでした」とHarrison氏は言います。「定期的にニュージャージー州の各地を回ってもらいましたが、基本的にはリモートで連携しました」

DCAとIBMは、プロジェクトの実装プロセス全体を通じて定期的に連携して、リリースをパッケージ化し、展開を計画し、開発の進捗状況を確認しました。「コミュニケーションが最も重要です」とHarrison氏は言います。「IBMの対応に関して言えば、IBMは小さなチームとして動いてくれました。セールス・サイクルが終わると同時に距離を置く、大手のコンサルティング会社のような対応ではありませんでした。DCAにとって、相応しいチームだと確信していました」

IBMの対応に関して言えば、IBMは小さなチームとして動いてくれました。セールス・サイクルが終わると同時に距離を置く、大手のコンサルティング会社のような対応ではありませんでした。DCAにとって、相応しいチームだと確信していました。 John Harrison氏 Director of IT(ITディレクター) ニュージャージー州地域社会局
将来を見据えたパフォーマンス

DCAは、Microsoft Dynamics 365プラットフォームでデジタル・ワークフローを自動化することで、パフォーマンスの向上を達成し、エレベーター安全部門を変革しました。21~28日ほどかかっていたエレベーターの検査サイクル時間を2~3日に短縮しました。これは、90%の短縮に相当します。

検査サイクルの高速化により、検査関連費用の請求や支払いプロセスがスピードアップし、収益フローも改善されました。期限を過ぎた請求書に対する可視性が向上したことで、請求書を再送して、18カ月以上前の請求書において、80万米ドルの追加収益を上げることができました。

現在、45名の検査担当者と5名の事務職員が同プラットフォームを使用して、膨大な検査業務を行っています。2019年には、計14,900回のサイクル検査と、2,221回の再検査を実施しました。

「DCAでは、コストの削減よりも、機能の向上を重視しています」とHarrison氏は言います。「これまで、職員は受注のために時間を取られていましたが、他の業務に集中できるようになりました。おかげで、滞納しているアカウントを特定する余裕ができました。たとえば、誰かが請求書の支払いに困り、手抜きをしていると、安全上の問題につながる可能性があります。こういった問題を調査できるようになりました」

共通のプラットフォームとダッシュボードを共有することで、ヘルプデスクとネットワーク・サービスの職員は同じ問題を管理しながら、ツールセットに関するノウハウを蓄積できます。新しいプラットフォームのグラフィカル・チャートとダッシュボードにより、DCAのスーパーバイザーとバック・オフィス職員のデータに対する可視性とコントロールが向上しました。

Harrison氏は次のように言います。「職員が使う機会が増えるにつれて、操作や取り扱いがいかに簡単か、つまり、すべてがコネクトされていることの重要性に気付きました。すべてがしっかりと整理され、皆が同じ認識を持つことができて、とても助かっています。全員が同じダッシュボードを共有することで、コミュニケーションが促進されます」

ELSAポータルを稼働して1 年間、DCAは引き続きMicrosoft Dynamics 365プラットフォームを使用して、検査サービスのための新しいソリューションを構築しています。2020年12月には、Bureau of Housing Inspection向けの新しいポータルが稼働する予定であり、2021年にはBureau of Fire Code Enforcement向けの後続ポータルが稼働する予定です。DCAは、新しいポータルがデジタル・プロセスによるワークフローの最適化と同様のパフォーマンス向上を期待しています。

Harrison氏は、DCAのデジタル・トランスフォーメーションとその実装方法についての問い合わせをよく受けます。「なぜMicrosoftプラットフォームでIBMと連携しているのか分からない、とよく言われます」とHarrison氏は言います。「ITコンサルティングの世界は、皆が思っているものとは違います。IBMのMicrosoft Dynamics 365チームの専門知識は世界トップクラスです。彼らのコミュニケーションもトップレベルです」

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New Jersey Department of Community Affairsについて

New Jersey DCA(ibm.com外部へのリンク)は、ニュージャージー州における生活の質向上を目指して、地方自治体、地域開発組織、企業および個人に行政指導、財政支援、技術支援を提供する州機関です。DCAは、火災と建物の安全性、住宅生産、地域計画および開発、地方自治体の管理および財政など、公共の関心事に対応するプログラムとサービスを提供しています。

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2021年3月、米国で作成。

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