ホーム お客様事例 マイアミ・デイド郡 よりスマートで安全な郡の構築
マイアミ・デイド郡、データを利用して公益事業を強化
ビスケーン湾のブリッケル地区を望むフロリダ州マイアミのダウンタウンのビル群。ブリッケルは米国有数の金融街であり、多くの高層分譲マンションやアパートメント・タワーもある

マイアミ・デイド郡は米国有数の面積をもつ郡で、34の自治体で構成され、260万人超の人口を擁しています。このように地理的に大きく人口の多い郡を能率的かつコスト効率よく管理することは、郡の地方政府にとって課題の連続です。

マイアミ・デイド郡は、同郡を住民にとってより住みやすい場所にするための新たな方法を常に模索しています。そして、郡の日常の運営で生成・収集される膨大なデータのより賢い活用方法を開発すれば、同郡のサービスを向上させる絶好の機会になることに気づきました。

特に、同郡の管轄する公共サービスが多岐にわたることから、さまざまな部署間で効果的に情報を一元化して共有できれば、郡の運営全体、特に治安の面で大幅な改善が実現できるという考えに至りました。

予測モデリング

 

犯罪パターンの予測モデリングを使用し、マイアミ・デイド郡では6%逮捕率が上昇

節約

 

IBM Intelligent Water技術により、同郡は1年で100万米ドルを節約

IBMは、マイアミ・デイドを、住む人、働く人、訪れる人皆にとって、より良くより安全な場所にするために力を貸してくれます。私たちは、法の執行と公共安全において並外れた進歩を遂げることができました。例えばカメラでは、IBM Video Analyticsを使用して不審な事象を認識し、アラートを生成しています。 Carmen Suarez氏 エンタープライズ・アーキテクチャ・サービス部門ディレクター マイアミ・デイド郡

マイアミ・デイド郡のエンタープライズ・アーキテクチャ・サービス部門ディレクター、Carmen Suarez氏は次のように説明します。「この郡には26の部署があり、それぞれが郡の異なる面を管理しています。たとえば、警察、交通、公園・レクリエーションなどです。ある部署が持つデータが別の部署にとって特に価値あるデータとなるであろうことはわかっていましたが、効果的な情報共有の方法がありませんでした」

「組織内でも膨大な量のデータが生まれていましたが、それに加えて、新たなソースからさらに多くのデータを収集できる機会が豊富にありました。例えば、交通カメラや監視カメラなどです。私たちに欠けていたのは、このデータを最大限に活用するためのツールだけでした」

IBMでデータを最大限に活用

マイアミ・デイド郡がまずやるべきことは、よりスマートな郡を構築するというビジョンの実現に貢献できるテクノロジー・パートナーを見つけることでした。

「当郡では、90年代後半からIBM Cognosを使用していました」と、Suarez氏は言います。「ですから、スマート・シティ領域に手を広げようと決めたとき、自然とIBMを選んだのです。IBMのスマート・シティ・フレームワークは、間違いなくフレームワークだと言えるところがいいですね。雑多な製品の寄せ集めとは違います。すべてがセットになって、連携して機能するのです」

マイアミ・デイド郡は、IBM Intelligent Water技術を導入して公園の水漏れを追跡することから始めました。このソリューションは、漏水を検知し次第公園管理者に警告を送ることで、水の無駄を最小限に抑え、コストを削減するというものです。

「この新しい水管理ソリューションを使い始めてから最初の1年で、100万米ドル以上を節約できました」と、Suarez氏はコメントしています。「そして、浮いたお金を、以前は資金配分に苦労していた他のサービスに振り向けることができたのです。ここで成功したおかげで、他の事業分野でも同様のソリューションに取り組もうという自信が得られました。

「興味深いことに、この漏洩検知システムは公園部門で有益だっただけでなく、警察においても、さまざまな犯罪を警告してくれました。例えば、スプリンクラー・システムから貴重な銅製の配管が盗まれる事件が発生しました。また、あるグループはなんと、近くの公園の水を流用して洗車ビジネスを運営していたのです。

「私たちはすでに、よりインテリジェントな法執行機関を構築する計画を立てていました。そしてこのことは、データを真に活用したら何ができるかを鮮やかに映し出す出来事でした」

マイアミ・デイド郡は、IBM Intelligent Operations Centerソリューションを基盤としたリアルタイム犯罪センターの構築を決定しました。このソリューションは、モノのインターネット(IoT)テクノロジーに基づく交通カメラや監視カメラをはじめとした郡全域の多数の部門やシステムから、リアルタイムのデータ・ストリームを収集して分析します。不審な活動が検知されると、犯罪センターのオペレーターに警告が発されるため、オペレーターはどのような行動をとるべきかを迅速に決定できます。情報は直感的にわかる図でダッシュボードに表示されるため、解釈とそれに基づいた行動が容易になります。

「IBM Intelligent Operations Centerを基礎的なデータ・ハブとして使用することで、法の執行と公共の安全において並外れた進歩を遂げることができました」と、Suarez氏は言います。「例えばカメラでは、IBM Video Analyticsを使用して不審な事象を認識し、アラートを生成しています。公園が閉まっているときに誰かが公園の柵を飛び越えたとします。 IBM Video Analyticsは、物体検出を実行してそれが猫ではなく人間であることを確認し、それが不審な動きかどうか、さらに調査するに値するかどうかを判断します。すべての分析とアラート生成は自動的に行われるため、警察はあらゆる録画映像を何時間分も手動で確認する作業を免れ、即座に行動を起こすことができます」

同郡はまた、ShotSpotterと呼ばれるサードパーティの銃撃検知ソリューションをIBM Intelligent Operations Centerソフトウェアと統合しました。ShotSpotterは、犯罪多発地域の街頭カメラに埋め込まれたマイクを通じて銃声を検知し、音の発生源を三角測量し、リアルタイム犯罪センター経由でその情報を伝達します。それによって警察官は現場により早く到着し、住民を危険が及びかねない状況から守るための準備をしっかり整えることができます。

IBM Intelligent Operations Centerは、マイアミ・デイド郡の既存のIBM Cognos Analyticsソリューションとさらなる統合を進めています。「私たちは長年にわたり、Cognosソフトウェアを使用してあらゆる種類のレポートを作成してきました。今ではIntelligent Operations Centerで収集しているデータがそれらのレポートに直接反映されるため、管理者は最新の郡の情報をより詳しく入手できます」Suarez氏はこう言い、さらに続けます。

「Cognos Analyticsの最新バージョンの新機能は素晴らしいです。特に新しい視覚化機能が優れています。データを一目で簡単に理解できるさまざまなグラフ形式に、いともたやすく変換できるのです。

さまざまなビッグデータ分析、コグニティブ分析、予測分析、モノのインターネット分析をIBM Intelligent Operations Center上で統合することで、郡内のあらゆる場所で起きていることをほぼリアルタイムで把握できるようになります。公共の安全において、莫大なメリットをもたらすでしょう。 Carmen Suarez氏 エンタープライズ・アーキテクチャ・サービス部門ディレクター マイアミ・デイド郡
公共の安全と生活の質の向上

現在、マイアミ・デイド郡には、すぐに利用できるデータがかつてないほど豊富にあり、それを活用するツールもあります。例えば、警察ではIBM SPSSソフトウェアを使用して犯罪分析を実施し、予測モデルを作成することができます。これは犯罪のホットスポットの特定に貢献するほか、新規レポートを同じ手口を使う既知の犯罪者にリンクさせることで、捜査の手がかりを生み出します。Suarez氏によると、IBM SPSSで犯罪分析を始めてから、検挙率が6%向上したとのことです。

マイアミ・デイドのリアルタイム犯罪センターにおけるIBM Intelligent Operations Centerソリューションの成功を受けて、同郡は、郡全体、つまり26部署すべての管轄範囲で、レポート作成、分析、データ共有の基盤としてこのプラットフォームを使用する計画に着手しました。

「私たちはすでに公共交通網の改善プログラムを開始しています」と、Suarez氏は述べます。「分析機能を利用して、バスが重なってしまう問題に取り組んでいます。つまり、複数の路線バスが時刻表通りの間隔で到着するのではなく、同時に同じ停留所に到着してしまう問題です。これにはIBM SPSSを使用し、バスの重なりが発生するタイミングを予測できるモデルを生成しています。その予測情報がIBM Intelligent Operations Centerに送られ、オペレーターが予防措置を講じられるよう、予測発生時刻の1時間前に彼らに警告が送られます」

マイアミ・デイド郡では同様に、IBM SPSSソフトウェアを使用して、消防署の資源の最適な配置を決定しています。「消防署には、特定の状況に対応できる特殊な消防車と緊急トラックがあります」と、Suarez氏は言います。「しかし、その数は限られているため、最も必要となる可能性の高い場所に配置することが重要です。IBM SPSSは、各資産が最も価値を発揮する場所を予測するのに役立ちます。その結果に応じて、IBM Intelligent Operations Centerを通じて資源の配分を調整できるのです」

「IBM Intelligent Operations Centerによって郡にもたらされる潜在的な改善点は広範囲に及びます。統合される事業が増えれば増えるほど、情報源となって部門間の意思決定を強化してくれる共有データを豊富に利用できるようになります」

マイアミ・デイド郡は将来を見据えて、IBM Intelligent Operations Centerテクノロジーとcognitive IBM Watsonのコグニティブ・サービスを組み合わせたいと考えています。同郡はすでにAVA(Automated Virtual Assistant)と呼ばれるソリューションを試験的に導入しています。これはIBM Watsonの会話技術を用いて構築されたもので、インターネット・ポータル上のチャットボットでユーザーの質問を見極めて適切な回答を検索することで、コールセンターを強化します。

次のステップは、AVAを郡内のコールセンター・システムに直接統合し、IBM Watson Speech to TextIBM Watson Text to Speechサービスを使って通話者の質問を理解し、話し言葉で返答することです。長期的には、郡内で数の多いスペイン語話者とクレオール語話者への支援として多言語サポートを提供するという望みを抱いています。

「さまざまなビッグデータ分析、コグニティブ分析、予測分析、モノのインターネット分析をIBM Intelligent Operations Center上で統合することで、郡内のあらゆる場所で起きていることをほぼリアルタイムで把握できるようになります。公共の安全において、莫大なメリットをもたらすでしょう」Suarez氏はこう言い、次のように締めくくりました。

「IBM Intelligent Operations Centerは、マイアミ・デイドを、住む人、働く人、訪れる人皆にとって、より良くより安全な場所にするために力を貸してくれます。警察も消防も、より多くの情報を入手でき、対応力をかつてない水準まで向上させています。郡の各事業における能率やコスト効率が上がれば、削減できた額を再投資してサービスをさらに向上させることができます。

マイアミ・デイドのロゴ
マイアミ・デイド郡について

フロリダ州で最も人口の多いマイアミ・デイド郡(ibm.comの外部サイトにリンクします)は、260万人超の人口を擁し、マイアミ市とエバーグレーズ国立公園を含む3,200平方キロメートル超に広がっています。

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脚注

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2021年4月

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