ホーム お客様事例 大手自動車会社 ERPのスムーズな移行を支援
大手自動車会社がIBM Process Miningソリューションでリスクを軽減
自動車製造工場で立ちながらノートPCを使用する2人のエンジニア

デジタル・トランスフォーメーションに取り組みはじめた大手自動車会社は、従来のERPプラットフォームを刷新する必要がありました。同社のグローバル・オペレーションにとって重要なこのシステムは、堅牢ではありましたが、明らかに欠点がありました。サポートが限定された旧世代のソフトウェアだったからです。

同社のIT部門は、この従来のシステムから新しいクラウドベースのERPソリューションへの移行を計画しました。しかし、会社の通信の屋台骨となっている既存の機能を失うことなく実現する必要がありました。本社、ディーラー・ネットワーク、子会社の500名以上のユーザーが、販売、スペアパーツ管理、販売後サポートの機能を実行するためにこのソフトウェアを利用していました。

スムーズな移行を行うために、IT部門は、主要な業務プロセスを新しいシステムに組み込む前に改善しようと努めました。これらのプロセスの1つは点検入力のプロセスで、ディーラーが車の整備を実施する際に従わなければならない診断の確認事項が含まれています。このプロセスにはワークフロー上に課題があり、対処しなければ移行の成功が妨げられる恐れがありました。つまり、何人かのERPシステムユーザーは、一般的ではあるが文書化されていない知見になっているプロセスの手順に従っていました。

より迅速な分析

 

現状プロセス分析を実施 最大70%高速に

精度の向上

 

15%のケースではディーラーがベスト・プラクティスの診断手順を省略していることが判明

IBM Process Miningソリューションで実施された分析のスピードと精度にとても満足しています。 ICT Process Manager(ICTプロセスマネージャー) セールス&アフターセールス 大手自動車会社

「数カ国の従業員に聞き取りを行ったところ、文書化されたワークフローと実際のワークフローが一致してないことがわかりました」と、この自動車会社のセールス&アフターセールス Information and Communications Technology (ICT) Process Manager(情報通信技術(ICT)プロセス・マネージャー)は説明します。「しかし、弊社には複数の国で聞き取りを実施するためのリソースがありませんでした。また、聞き取り対象となった人々が自身が行った手順を正確に伝えているかどうかも確信が持てませんでした」

ユーザーが点検を忘れたり省略したりする可能性が常にあるため、点検の入力プロセスにおいて手順が文書化されていない点が責任問題を引き起こす可能性がありました。移行を確実に成功させるため、同社はプロセスのギャップを迅速に突き止められるコスト効率の高い方法を求めていました。

データ駆動型のプロセス分析

同社は、点検入力のプロセスを分析するために、データ・マイニング・アルゴリズムを適用してプロセス・フローを自動的に検出するIBM® Process Miningソリューションを選択しました。また、現状のプロセスから将来のプロセスのシミュレーションを行うこともできます。プロセス・マイニング・ソリューションは、 IBM Cloud Pak® for Business Automationサービスを含む、すべてのIBM Cloud Paks for Automationサービスの基盤機能として含まれています。

「弊社はすでにIBMと強力なビジネス関係を築いていましたが、技術的な観点から見ると、プロセス・マイニング・ソリューションには他のソリューションにはない機能がありました」とICTプロセスマネージャーは述べています。「IBMソリューションにより、従来のERPシステムからのデータを使ってギャップ分析プロセスを簡単に効果的に効率化して、What-If分析を実行できるようになりました。クラウドからソリューションを迅速に導入することもできました」

同社が点検入力のプロセス・データをソリューションに読み込むとすぐに、すべてのプロセス・バリアントを含む現状のプロセス・モデルがデータから自動的に生成されました。文書化されていない手順がやっと取り込まれてプロセス・モデルとして記録され、情報がサイロ化したり手順が忘れ去られたりしないように変更されたのです。

次に、IT部門はギャップ分析を行い、データから導き出されたプロセス・モデルと顧客がアップロードした参照モデルの視覚的な比較を行いました。参照モデルを実際のプロセスと比較したところ、顧客はスキャンイン/スキャンアウトの作業にあるコンプライアンス上の問題にすぐに気がつきました。スキャンイン作業中、作業担当は車両を診断ツールに接続します。その際に、車両の制御装置に警告インジケータがないかどうかを確認するスキャンアウト作業も実行する必要があります。分析では、15%のケースで作業担当がスキャンアウトを行わなかったという結果が示されました。

さらに、プロセス・マイニング・ソリューションを用いることで、IT部門は、75,000件のケースのうち約3分の1では、海外の一部のディーラーが、作業開始作業前ではなく、作業開始作業後に点検入力のケースを作成しており、その結果、不適合が発生していることを発見しました。

IBMソリューションにより、従来のERPシステムからのデータを使ってギャップ分析プロセスを簡単に、効果的に効率化して、What-If分析を実行できるようになりました。 ICT Process Manager(ICTプロセスマネージャー) セールス&アフターセールス 大手自動車会社
展開リスクの軽減

IBMソリューションを用いて実際の点検入力のプロセスを知ることで、同社は従来の分析方法と比較して、現状分析の時間を70%削減できました。また、不適合な作業に対する意識が高まることで、文書化されたプロセスに従っていない従業員を再教育することができ、品質管理が改善されました。

同社は2カ月以内に自動化分析を完了することができました。次に、データ派生プロセス・モデルを、新しいERPシステムでグローバルに使用する統一された点検入力のプロセスを築くための青写真として使用しました。その結果、同社は大幅にコストを削減しながら、新システムを展開するリスクを軽減できました。

「プロセス・マイニング・ソリューションで実施された分析のスピードと精度にとても満足しています」とICTプロセス・マネージャーは述べています。「データは嘘をつきませんので、現場の担当者が使いやすいわかりやすい点検入力のプロセスを作成できたことがわかりました」

大手自動車会社について 

老舗の自動車会社であるこの企業は、革新的なデザインと技術により高く評価される自動車を設計・製造しています。この企業は世界中の顧客に自動車を届け、業界全体の顧客サービス基準の設定に貢献しています。従業員数は約5,000名です。

このお客様事例でご紹介したクライアントは、当初、2021年8月1日にIBMとして事業を開始したmyInvenioと提携していました。このお客様事例に登場するmyInvenio製品、myInvenio Process Miningは、現在IBM Process Miningとして知られています。

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2022年3月、米国で作成。

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記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。