IBMの顧客であるLandratsamt Augsburgの青少年福祉事務所は、地区全体の子ども、若者、家族の支援と保護を担っています。このグループのケースワーカーは、青少年福祉、インテグレーション支援、保育費に関連する法的および財政的問題を扱います。各ケースの適切な費用負担を決定するために、ケースワーカーは、ケースの作業を開始する前に、オンラインの法的資料、住民から提出された文書、その他の補足文書など、さまざまなデータ・ソースから広範な調査を行います。現在のプロセスでは、各ケースが徹底的に調査されますが、非常に時間がかかり、間違いの元になることがあります。また、このような調査の専門職員も不足しています。

これらの課題を解決するために、Landratsamt Augsburgは IBM^® Client EngineeringおよびIBM Consultingとのコラボレーションを開始しました。一連のワークショップの中で、チームは最も差し迫った問題点を特定し、福祉ケースワーカーが手作業の調査プロセスではなく、ケースに集中できるようにするためのビジョンを策定しました。Landratsamt Augsburgのチームは、効率性を高めたいと考えていましたが、デリケートな性質の業務内容のため、新たな疑問や課題を生み出す可能性のある新テクノロジーの導入には当然ながら慎重になっていました。チームのメンバーの中には、生成AIを解決策として積極的に検討する人もいましたが、懐疑的な人もいました。その可能性をテストするために、チームはIBMとの3日間のハッカソンに参加しました。

3日間のイベントでは、8〜10人のエンジニアが集まり、IBM watsonx Assistantが統合され、IBM watsonx.aiとIBM Watson DiscoveryがサポートするWebアプリケーションをカスタムで構築し、顧客が指定した複数の異種データ・ソースを照会し、各ケースの結果を要約するように設計しました。イベント中に実施したテストでは、ケース・データのコンパイルに必要な時間が最大91％短縮されたことが実証されました。試験運用前は、ケースに情報を追加するさまざまなデータ・ポイントをすべてコンパイルするのに最大1時間かかることがありましたが、試験運用では5分ほどしかかからないことが確認されました。また、新しいソリューションによって生成されたケース・データの要約は、品質と精度が大幅に向上したというチームのコメントもあります。試験運用の後にはこのソリューションに明らかに強い関心が示され、チームは、生成AIを導入することでグループ全体の効率とパフォーマンスを向上できる方法を引き続き模索していきたいと考えています。