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JLL、IBM Garageと共同で没入型データの可視化エンジンを開発
設計図とスマートフォンを手にした橋の上の女性建築家

数百万平方メートルの広さを想像できますか。決して簡単なことではありません。これほどの数や規模となると、実寸を思い浮かべるのは難しくなります。細部は曖昧になり、正確なイメージはつかみどころがありません。当社顧客である、Jones Lang LaSalle IP, Inc.(JLL)社は、まさにこの厄介な問題に直面していました。

約10年前、中東の大手デベロッパーが着手した都市全体を開発する大規模なキャンペーンは、数百万平方メートルの未使用空間の活性化を伴うものでした。ところが外部の経済要因により、このプロジェクトは中断に追い込まれました。それから数年経ち、このデベロッパーは支援を求めて、JLL社に接触しました。

JLL Middle East and North Africa(MENA)社でプロジェクトおよび開発サービス責任者を務めるBen Jackson氏は次のように振り返ります。「お客様は開発の現段階と既存資産のパフォーマンスを正確に把握する時間をタイミングよく練り出すことができずにいました。複数の場所の複数のシステムにデータが保存されていたため、これらデータが1つのレポートにまとまった頃には、既に情報は古くなっていました。

「月次状況レポートの作成に注がれる時間数とエネルギー量がかなりの重荷であることも鮮明になっていました。お客様はまた、データの照合に相当の労力を注いでいたにもかかわらず、開発やポートフォリオの状況を効果的に伝えるのにも苦労していました」

JLL社は、顧客が現在の開発の基盤を構築しやすくなるように、ライダー技術を使って都市全体の精密な地図を作成し、3Dモデル(「デジタルツイン」)を構築しました。このモデルにより物件の物理的状態をデジタルで再現できます。JLL社は同時にこのデジタルツインを、以前はサイロ化していた不動産管理アプリケーションからリアルタイムで流れるデータと組み合わせました。次に、運用技術システムを統合して独自の3Dエコシステムを作成し、ユーザーがすぐ使用できるデータから、実用的で十分に最適化された決断を引き出せるようにしました。

簡素化

 

管理を簡素化して、ユーザーが資産の可視性を改善できるように

 

コスト削減

 

エネルギーの無駄などの非効率な点を減らすことで、全体的なコストを削減

これは業界の仕組みを変えることができる機会だと突然ひらめいたのです。このモデルを使用して、不動産会社がデータを管理、保存する方法を変えることができると... Ben Jackson氏 プロジェクトおよび開発サービス責任者 JLL Middle East and North Africa(MENA)社

JLL社はこの大規模プロジェクトの途中で、はるかに大きなチャンスが目の前にあることに気づきました。

Jackson氏は次のように語ります。「これは業界の仕組みを変えることができる機会だと突然ひらめいたのです。このモデルを使用して、不動産会社がデータを管理、保存する方法やタスクを実行する方法を変えることができると。ポートフォリオの最適化と、効率化を図るためのインサイトが得られるようなツールを構築できると考えました」

業界に革命を起こそうとする場合、強力なパートナーの存在が役立つことはよくあります。

不動産の管理方法を変革

Jackson氏は、「目標とするソリューションの大枠はつかめた、と考え始めました」とし、次のように続けます。「とはいえ、こうしたデータの管理と整理を実際にどうやって始めたらよいか見当がつきませんでした。エンドユーザー全員のニーズに応えるプラットフォームはどのように作成できるのでしょう。アセット・マネージャー、入居者、デベロッパー、投資家候補、金融機関と、エンドユーザーは多様ですから」

構想を現実に変えるための協力相手として、JLL社はIBM NextGen Ecosystemチームに白羽の矢を立てました。JLL社はIBMの技術者と共に、この新しいソリューションの対象オーディエンスと各段階におけるツールの主なメリットについて綿密な計画を立てました。

「IBM Garageチームにも協力してもらいました。IBMのエキスパートとの話し合いをきっかけに、構造や機能、反映方法などデータについて多くのことを考えるようになりました。データをどのように情報からインサイト、そして最終的に行動に変換できるのでしょう」とJackson氏の説明は続きます。そこでJLL社は、アジャイルでユーザーを重視したIBM Garage方法論に従って最小実行可能製品(MVP)を構築し、市場に投入しました。

この新しいソリューション「Prism」は驚くほど精密なデジタルツイン・プラットフォームの役割を果たし、エンドツーエンドの不動産データ集計ツールと可視化エンジンとして、複数の技術ソースからデータを抽出します。また、建物や稼働物件の仮想3Dバージョンを表示します。ユーザーは、カスタマイズ可能なモジュールから選択して、開発モニタリング、コスト管理、リース、エネルギー管理、監査、保守などの主要機能用データ・ストリームを稼働物件でリアルタイムに引き出すことができます。引き出した情報を使って、ユーザーはこれらの実際のメトリクスを予測目標に照らして、パフォーマンスを追跡できます。

使用例を1つ挙げましょう。グローバルなアセット・マネージャーはPrismを使用して、あらゆる場所のリースと賃貸に関するリアルタイムのミクロデータやマクロデータを、階、建物、都市、国など複数の段階で考察して、現在の入居率や関連する投資収益率(ROI)についてより明確なインサイトを得ることができます。このアセット・マネージャーは次に、JLL社のデータ環境にアクセスし、運用資産用にコンテキストを作成して、市場動向を理解し、インサイトを収集して、ポートフォリオのパフォーマンスを最適化できます。さらに、提供されたデータを使って、エネルギー消費量、保守の履行状態、モノのインターネット(IoT)システムからの移動データを相互に参照し、多角的な視点から資産パフォーマンスの最適化に役立つインサイトをすぐ生み出すことができます。

JLL社はPrismのデプロイメントを合理化するために、IBMのテクノロジーをその製品・サービスに直接組み込むために使用されるIBM® Embedded Solution Agreement(ESA)に署名しました。MVPはIBM® Cloudでホストされますが、Prismはプラットフォームに依存しないため、他のクラウド・インスタンスかオンプレミス構成にデプロイできます。

 

IBMのエキスパートとの話し合いから、私たちはデータについて、データがどのように組立られ、どのように機能し、どのように反映されるかについて、さらに深く考えるようになりました。そのデータを情報、インサイト、そして最終的に行動に変えるにはどうすればよいのでしょう。 Ben Jackson氏 プロジェクトおよび開発サービス責任者 JLL Middle East and North Africa(MENA)社
リアルタイムとデータ取得が最速に

MVPソリューションを手にしたJLL社は、Prismがユーザーにもたらす価値に自信を持っています。標準化されたデータをリアルタイムに入手することで、不動産所有者は物件の健全性や状況に関してより有用なインサイトが得られるようになります。この信頼できる唯一の情報源を建物の3Dモデルと組み合わせることで、管理場所の運営プロセスと計画プロセスの簡素化が促進されます。

さらに、この一般的なデータ・フォーマットをPrismが備える認知分析機能と組み合わせることで、建物と不動産ポートフォリオのパフォーマンスをさらに最適化でき、コスト削減と不動産投資の総合リターン向上につながります。

「不動産管理業界や建設業界は、テクノロジーに関して、多くの点で考え方が古く、製造業やエンジニアリングなどの他の業界より遅れています」とジャクソン氏は指摘します。「現在と未来に関してこれほど深い予測をお客様に提示できるようになったことが信じられません」

JLL社は、Next Generation EcosystemとIBM Garageから受けた協力とサポートの水準にも満足しています。

Jackson氏はさらに続けます。「当社がこのプロジェクトを実現するうえで果たしたIBMの役割は非常に重要なものでした。今回のように製品について長い間考えていると、当然ながらその機能方法に関して先入観を持つようになります。IBMからは、客観的に物事を見る手助けを受けました。また、IBMから提示された明晰な意見は、当社が製品を開発し、現在の状況にこぎ着けるうえで実に役立ちました」

適切なパートナーの選択に加え、IBM CloudでPrismをホスティングしたことで、拡張性と柔軟性が向上しました。Jackson氏は次のように言い添えます。「Prismは。1つの建物にも世界中の不動産ポートフォリオにも使用でき、あらゆる規模に対応します。当社はこの分野の先駆者として、急成長する多くのチャンスがあります。適切なテクノロジーを導入することで、このチャンスをシームレスに実現できるでしょう」

Jones Lang LaSalle IP, Inc.社のロゴ
About Jones Lang LaSalle IP, Inc.(JLL)社について

IBMビジネス・パートナーのJLL社(ibm.com外部へのリンク)は国際的な不動産サービス組織で、管理人が担う基本的な業務から数十億ドル規模の不動産ポートフォリオ管理といった複雑な業務まで幅広く手掛けています。イリノイ州シカゴに本社を置き、世界80か国以上にオフィスを構えています。

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脚注

© Copyright IBM Corporation 2021. IBM Corporation、IBM Cloud、New Orchard Road、Armonk、NY 10504

2021年7月、米国で制作。

IBM、IBM LOGO、ibm.com、IBM Cloud、およびIBM GarageはInternational Business Machines Corp.の商標であり、世界中の多くの管轄区域で登録されています。その他の製品名およびサービス名は、IBMまたは他社の商標である可能性があります。IBM商標の最新リストは、ウェブ上の「著作権および商標情報」 https://www.ibm.com/jp-ja/legal/copytradeで入手できます。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。