ホーム お客様事例 IBMエンジニアリング部門、Engineering Workflow Management オートメーションによる製品開発ライフサイクルの合理化
厳格な評価を通じた、最適なワークフロー管理ソリューションの選択
人でいっぱいのソフトウェア開発室

IBM Zのメインフレーム・コンピューター・システムは、世界の銀行上位50行のうち44行をはじめ、多くの航空会社、政府機関、ヘルスケア企業、小売企業で導入されています。パフォーマンス、セキュリティー、信頼性、可用性において最高水準が求められる組織のファースト・チョイスとなっています。

IBMの数千名の従業員がIBM z Systemsの開発に携わっており、このような大企業のエンジニアリング・ワークフローを管理することは容易ではありません。スケジュール通りにリリースするために、IBM Zプラットフォームのチームは、製造、チップ設計、ハードウェア、ファームウェア、OS、テスト、欠陥追跡、その他のプロジェクト・スレッドを常に管理し、膨大なデータを処理する必要があります。

タイトなスケジュールにおいて、開発ライフサイクルの早い段階で問題やエラーに対処する必要があります。また、さまざまな業界や政府が要求する厳しいシステムの規制要件も満たさなければならないため、テスト、検証、妥当性確認プロセスは包括的である必要があります。

IBM Systems DevOps Enterprise Solutions SystemsのアーキテクトであるChris Roberts氏は言います。「輸出に関する多くの政府規制があり、一部の国では開発制限、また他の国では輸出管理ライセンスに影響してきます。「監査に合格し、極めてセキュアであることが求められます。IBMは、オープンソース・コミュニティに積極的に参加していますが、私たちは独自のチップ設計を世間一般に見られることを望んでいません。IBM社内においても、ある開発チームが別の開発チームの業務を把握できないように、業務を隔離する必要があります」

zHWのプラットフォームチームは長年にわたって、開発の進捗状況を追跡するために、いくつかのワークフロー管理ツールを使用していましたが、それぞれに欠点がありました。「IBMが何年も前に買収したソリューションの1つは非常に強力で、私たちが望んでいたすべてを実現してくれましたが、非常に複雑で、直感的ではありませんでした」と、IBM zHW Program Managementのプロジェクト・エグゼクティブ兼マネージャーであるDominic Odescalchiは言います。「使いやすさに課題があったため、私たちは他の選択肢を検討し始めました」

大規模なリアルタイム・データ

 

アーカイブを必要としないリアルアルムの情報の、数年分のデータを保存できるエンタープライズ規模の機能により、ユーザーはテストデータに迅速にアクセスできるようになりました。

ワークフローの可視化

 

IBM Engineering Workflow Managementは、依存関係をグラフ表示して、即座に視覚的インパクトを生み出すことができる唯一のツールです。

EWMの統合ツール・スタックにより、さまざまなチームのリポジトリへの接続を通じて、重要なデータをすぐに活用できるようになります。これにより、タスクの自動化とデータの集約への可能性が大きく開かれます。数え切れないほどの時間を節約し、より価値の高い業務に集中できるようになります。 Dominic Odescalchi Project Executive and Manager IBM zHW Program Management

他のよく知られたクラウドベースのソリューションは、その使いやすさから、当初は強い支持を集めました。しかし、スケーリングのコストと技術サポートが大きな障害となりました。

タイム・クリティカルな多数のIBM zHWプラットフォーム関連プロジェクトが進行中であるため、すべてのワークフロー・スレッドのトレーサビリティーを確保するために、2つの重要な疑問に答える必要がありました。現在展開している複数のソリューションを単一のエンジニアリング・ワークフロー管理ソリューションで置き換えることは可能かどうか。そして、可能であるならば、公平な評価で、最も優れているのはどのソリューションか。

適切なソリューションを選択する自由

IBM Zの開発企業全体で協力して、主要な関係者が評価マトリックス・チャートを作成しました。ワークフロー・ツールを並べて比較し、チームが使用するツールの統合機能を満たしているソリューションと、満たしていないソリューションに分けました。「私たちが求めている結果を提供してくれる、適切なツールを選択するための1年間にわたる取り組みでした」と Odescalchi氏は言います。「必須要件を満たす最適なツールを自由に選択することもできました」

世界中のチームメンバーから意見を聞き、ユーザビリティー、拡張性、垂直・水平統合、セキュリティー、コスト、バックログの優先順位付け、コマンドライン・サポート、テクニカル・サポート、データと依存関係の管理といった、重要な基準を満たす最小実行可能製品(MVP)が定義されました。

MVPの作成には、IBM zポートフォリオチームのさまざまな部門が参加しましたが、プロジェクトはzHWチームから始まり、実装の最初の段階で新しいツールへの移行に熱心に取り組みました。

1年にわたるグローバルな評価プロセスに基づき、IBM Engineering Workflow Management(EWM)ツール・スタックがソリューションとして選択されました。「客観的かつ、基準とデータに基づいて判断した結果、EWMにたどり着きました」とOdescalchi氏は言います。「EWMは、最良のソリューションを提供するために、私たち全員で合意したコンセンサス・ツールでした」

すべての選択基準の中で、最も重要な要素の1つは、拡張性でした。「私たちはエンタープライズ規模のソリューションを必要としていますが、私たちが求めるパフォーマンスを発揮しながら、大量のデータと同時ユーザーをサポートできるツールは多くありません」とOdescalchi氏は言います。

zHWプラットフォームのリーダーシップチームは、主要なEWMシステムユーザー向けのペルソナを開発することで、複雑さの問題に対応しました。「ペルソナに焦点を当てることで、データを入力する人にとっても、データを消費する人にとっても、使いやすさとシンプルさを実現することができました。ペルソナに関係のない何十ものメニュー・オプションや選択項目に圧倒されることはありません」

MVPのもう 1 つの重要な要件は、追跡計画システムと欠陥管理システムが1つの統合環境として動作する必要があるということでした。「これらが2つの個別のシステムになることは望ましくなく、EWMはその特異な環境を提供してくれました」とOdescalchi氏は言います。

テスト中に作成されるファイル・サイズが非常に大きいため、大規模なデータ・ストレージの添付ファイルをサポートするソリューションである必要がありました。「データは、使用中のストレージで、すぐに使用できる必要があります。他のツールの多くは、1年後にアーカイブする必要があり、私たちが必要とする機能が欠けていました。「IBM EWMは、何年分ものリアルタイム情報をアーカイブすることなく保存できます。他のツールでは、それができませんでした」

IBM EWMソフトウェアは、zHWプラットフォーム開発チームのエンジニアリング・データの中心的なハブとして機能し、IBM Engineering Lifecycle Management(ELM)ソリューションと連動します。「チームによっては、ウォーターフォールとはまったく異なるワークフローを持つアジャイル・プロセスを採用しているかもしれませんが、それでも他のチームにプラグインして、利用できるようにする必要があります」とRoberts氏は言います。「ELMのワークフローをカスタマイズすることで、開発データと進捗状況を一元管理しながら、各チームに適応することができます」

最後に、ハードウェアがリリースできる状態にあることを確認するため、チームはIBM Engineering Test Management(ETM)ソリューションでテストを完了します。「繰り返しになりますが、これはハードウェアだからです。最終的に、自分たちが開発した物理的な物が出来上がります。したがって、物事を十分にテストする必要があり、最初からすべてが正しく行われなければなりません」とRoberts氏は言います。

IBM EWMシステムに保存されている情報は、GitHubに保存されている情報よりはるかに安全であると判断しました。誰がアクセス権を持っているか、ソースコードのどの部分に触れたか、何を調べているかという観点から状況を突き止めることができます。 Chris Roberts アーキテクト IBM Systems DevOps Enterprise Solutions Systems
セキュリティーが強固な統合と自動化の機会

IBM EWMソリューションは、IBM zHWプラットフォームの開発チームに、リーダー、監査人、規制当局が求める詳細情報を迅速に報告できる、スケーラブルで追跡可能な、信頼できる一元的な情報源を提供します。

ITインフラストラクチャーの統合された世界では、セキュリティーの確保が最も重要です。IBMの開発チームは、開発ライフサイクルで一般的に使用されるツール全体における、潜在的なリスクを分析しました。「EWMに保存されている情報は、GitHubに保存されている情報よりはるかに安全であると判断しました」とRoberts氏は言います。「誰がアクセス権を持っているか、ソースコードのどの部分に触れたか、何を調べているかという観点から状況を突き止めることができます」

チームはワークフローをカスタマイズして、他のシステムと安全に統合することもできます。「フィールド、レイアウト、タブの作成、ワークフローの調整は、すべてIBMのツールに組み込まれています」とRoberts氏は言います。「標準的なワークフローに縛られることはありません。プロセスに従う必要はなく、選択したプロセスをシステムに組み込むことができます」

プロジェクトが進行するにつれて、レポートによってチームリーダーはバーンダウン・チャートを明確に把握できるようになり、すべての開発、成果物、依存関係が主要なマイルストーンに到達できるように、目標どおりに進んでいるかどうかを確認できます。「チップ開発チームが、ファームウェアチームが使用している機能を提供できなくなる可能性があるとしても、彼らはそれを知ることができます。特定の業務内容に関して、即座に視覚的インパクトを生み出すことができるIBM EWMツールの機能に、誰もが興奮しています。依存関係の管理は極めて重要です」とRoberts氏は言います。

「私が見た限り、依存関係をグラフ表示できるツールは、EWM以外にはありません」とOdescalchi氏は言います。「この機能をデモンストレーションしたところ、チームから大きな反響があり、これが大きな付加価値につながることを認めてくれました」

EWMのデータ処理能力、正確さ、明確さと統合性により、IBMの開発チーム自体のベンチマーク目標を超えることが期待されています。

プログラムチームは現在、ステータスレポート用のプレゼンテーション資料を手作業で準備することに、多くの時間を費やしています。ステータスレポートは、すべてのインプット情報の収集に時間がかかるため、完成する頃には時宜にかなわないものになってしまいます。一方で、EWMソリューションには、リアルタイムでステータスを報告するダッシュボードを生成する機能があります。「ブラウザーで更新ボタンを押すたびに、ダッシュボードが更新されます」とOdescalchi氏は言います。「さまざまなシステムにアクセスし、データを集約して、チャートやグラフを生成できます。自動化がもうひとつの重要なポイントになるでしょう。

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International Business Machines Corporation(IBM)について

IBM は、ニューヨーク州アーモンクに拠点を置く情報技術企業です。1911年に設立された同社は、クラウド・コンピューティングを始め、AIやコマース、データとアナリティクス、IoT(モノのインターネット)、モバイル、サイバーセキュリティ分野のハードウェアやソフトウェア、サービスに加え、ビジネスのレジリエンスやストラテジー、設計ソリューションを提供しています。25万人を超える従業員を擁し、IBMコンサルティング、IBMソフトウェア、IBMインフラストラクチャを通じて、世界中の顧客にサービスを提供しています。

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2021 年 12 月

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