ホーム お客様事例 Frito Lay社 スナックの王者はいかにして新鮮さを保っているのか
Frito-Lay North America社は、従業員が顧客を満足させるためにデジタル技術を活用しています
青地にポテトチップスの柄

Samはいつも、日の出より何時間も前から配達用トラックに乗り込み、近い所から遠い所まであちこちにトラックを走らせ、大手の小売店やコンビニエンスストア、近所の商店に商品を配達したり、スナックを直接販売したりしています。

Samが働いているのは、年商180億米ドルを誇るFrito-Lay North America社です。PepsiCoのスナック部門であり、CheetosやDoritos、ポテトチップスのLay’sなどを看板商品に持つこの企業で、Samは最前線の営業担当者を務めています。同社はあらゆる活動にイノベーションを取り入れることで、ビジネスを継続的に進化させ、消費者の満足度向上へとつなげることに全力を注いでいます。

巨大なサービス網

 

最前線の営業担当者が毎週30万件の小売店にサービスを提供

増加を続ける顧客ベース

 

e-commerceの利用者は3万人に及び、現在も増加中

お腹を空かせた消費者がポテトチップスの袋を一気に開けるずっと前に、込み入ったプロセスは始まっています。プロセスが複雑になる要因の1つは、Frito-Lay社が展開する事業規模の膨大さにあります。同社が年間に使用するジャガイモを積み上げていくと、それは月を往復するほどの距離になります。従業員数は6万9000人で、そのうち2万5000人はサムのような最前線の営業担当者です。営業担当者は週に30万件を超える小売店を担当し、在庫の補充や陳列の調整、新鮮な商品が店頭に並ぶように在庫の入れ替えを行っています。適切な商品を適切なタイミングで適切な場所に届けるのは、大変骨の折れる仕事です。さらに現在は、昔からのお気に入りの商品だけでなく、新しくユニークなフレーバーも販売してくれるよう求める消費者が増えています。

そこで同社は、システム全体のプロダクティビティーを最適化し、あらゆる規模の小売店により良いサービスを提供できるよう、Salesforceでツールの一元化とモダナイズを実現することにしました。その際、ユーザーに確実に浸透させるため、 IBM ConsultingおよびIBMのSalesforce担当に所属する、ユーザー志向の専門家からの協力を得つつ、自社のe-commerce戦略を拡大し、最前線の従業員のワークフローを合理化する新しいソリューションを構築していきました。

このトランスフォーメーションには、始まりも終わりもありません。そこにあるのはプロセスのみです。私たちは常にこの旅を続け、従業員とともに進化していきます。 Kevin Buehler シニアディレクター Frito-Lay North Americaのスナック
ツールのモダナイズがもたらすエクスペリエンスの向上

Lay’sのClassicポテトチップスはシンプルでありながら美味しく、ジャガイモ、油、塩というたった3つの原料で作られています。Frito-Layは、従業員と消費者のための一連のモバイル対応ツールにも、このシンプルさを反映しようとしました。同社は、人間中心の設計アプローチであるIBM Garage™を活用することとし、約1,500時間をかけてユーザー調査を実施し、約40人のモデル・ユーザーを作りました。IBMのデザイナーは、SamのようなFrito-Lay社の最前線の従業員に同行し、マネージャーへの聞き取りを行い、商品担当者の活動も体験しました。そうして従業員が実際にツールをどのように使用しているかを学び、新しいテクノロジーで解決すべき問題点を文書化しました。チームは、すべての問題点をランク付けしてマッピングし、ユーザーとビジネスの価値に基づいて、このトランスフォーメーションのバックログの優先順位付けが行われるようにしました。IBM GarageとIBM iXの専門家チームはそこからさらに一歩進め、それぞれの問題点を解決することによる財務上の効果も算出しました。各問題点のROIがわかったことで、Frito-Lay社は開発の優先順位を決めやすくなりました。

Frito-Lay社とIBMはSalesforceプラットフォーム上に2つのソリューションを共同で構築しました。1つは、高度なe-commerceソリューションである「Snacks to You」です。もう1つは「Sales Hub」で、これにより最前線の従業員の配送ルートを合理化できるだけでなく、ドライバーとマネージャーが便利なモバイル・アプリを使って業務の遂行や現状把握をより効率的に行えるようになりました。

イノベーションでトランスフォーメーションを後押し

「Snacks to You」はSalesforce Commerce Cloud上に構築されているため、商店やフード・トラックなどの小規模な小売店でもオンラインでFrito-Lay社に商品を注文できます。このe-commerceプラットフォームにより、注文や配達のプロセスが簡略化されただけでなく、より幅広い商品を提供できるようになりました。このアプリは、Frito-Lay社独自のスナッキング・インサイトAIエンジンと完全に統合されているため、データに基づいた洞察により、季節に関係する嗜好や地域のトレンド、スーパーボウルなどの一次的なイベントに基づいて注文を提案することができます。またこのプラットフォームは、小売店の在庫が少なくなる時期を予測したり、商品の構成を推奨したりすることもできます。ダッシュボードには、履歴や予測分析、さらには消費者が特定の商品を気に入る可能性を示す「スナック・スコア」まで表示されます。

Salesforce Service Cloudを活用した「Sales Hub」は、バック・オフィスと最前線をつなぎ、従業員にシームレスなモバイル・エクスペリエンスを提供します。またSalesforce Field Service Lightningにより、ルートが適切に提供されるようになり、最前線と出荷部門との間には流動的な通信チャネルも作られるため、問題が発生したときも、ドライバーや商品担当者が迅速に対応し、別のリソースを参照できるようになります。ジオタギング機能も搭載されているため、配達ドライバーによる店舗の出入りも自動的に確認され、走行距離を計算して、より効率的な配送ルートを提案できます。配送の状況やタイミングのトラッキングも可能なため、アプリから従業員向けに遅延のアラートを出すこともできます。これにより、ダウンタイムや待ち時間も削減できます。モバイル・アプリには便利な在庫指示機能や棚割り機能もあるため、商品在庫をリアルタイムで調整できます。さらに、マネージャーもスタッフも、タイムシートにアクセスしたり、休暇申請を行ったり、簡単にスケジュール調整を行ったりすることができます。

Frito-Lay社のデジタル・トランスフォーメーションでIBM Garageがとったアプローチが成功した背景には、イノベーションとトランスフォーメーションというIBM Garageの2つのトラックの相乗効果がありました。これらのトラックにより、従業員の視点であれ顧客の視点であれ、問題点を解決するにあたり、ビジネス全体でソリューションを調査およびテストするフレームワークが作られました。イノベーションとトランスフォーメーションの方向性を合わせ、誰もが共通のビジョンに向かって進んでいけるよう、「ゴールデン・スレッド(黄金の糸)」も複数設定されました。これらはユーザー・エクスペリエンスに関する野心的なビジョンで、プロジェクトのあらゆる部分を貫くものです。イノベーション・チームはこのエクスペリエンスのバックログを入口に、制約に縛られずに、問題を解決するためのアイデアを考え出し、そのニーズにとって最適なテクノロジーを模索していきました。有効な最小実行可能商品(MVP)での検証が終わると、トランスフォーメーション・チームは大規模なアジャイル・プラクティスでユーザーのニーズに最適なソリューションを迅速に構築し、テストし、展開していきました。その結果、無駄のないアーキテクチャーによる優れたユーザー・エクスペリエンスを実現できました。

アジャイル文化がFrito-Lay社の未来を育む

この勢いとイノベーションへの取り組みを維持するため、Frito-Lay社はIBM Garageの方法論を全社に拡大していきました。そうしてIBM Garageは現在も有意義なイノベーションで同社のトランスフォーメーションに貢献しています。Frito-Lay社は現在、バーチャル環境でも完全に機能しており、発生する問題に迅速に対応できる状態にあります。バーチャル環境でも、チームは同じルーチンを実施し、待ち時間を延ばすこともなく、リリーススケジュールも維持しています。

すでに3万人のアクティブ・ユーザーを獲得し、現在もその数を増やし続けている「Snacks to You」は、需要の変化にも柔軟に対応しています。小売業者においては、在庫切れや費用のかかる即時出荷を経験することも減り、店舗を彩る新商品も注文できるようになりました。「Sales Hub」では、Frito-Lay社の従業員が主要な運用指標や在庫指標をリアルタイムに確認できるため、現場のプロダクティビティーもスケジューリングの効率性も向上しています。「Sales Hub」の成功を踏まえ、Frito-Lay社は現在、IBMと協力して電子ハンドヘルド・デバイスの各機能(注文、請求、倉庫管理)もアプリに移管しようとしています。

Frito-Lay社のトランスフォーメーションはまだ始まったばかりです。同社のSnacks to You担当Senior DirectorのKevin Buehler氏は次のように述べています。「そこにあるのはプロセスのみです。私たちは常にこの旅を続け、従業員とともに進化していきます」

IBM Garageは、迅速に行動し、スマートに取り組み、破壊的な変化をさらに破壊できるようなイノベーションのために構築されています。どうぞIBM Garageのエキスパートにご相談ください

Frito-lay社のロゴ
Frito-Lay North America社について

テキサス州プレイノに本社を置くFrito-Lay社(ibm.com外部へのリンク)はPepsiCo Americas Foodsの米国子会社で、スナック菓子の大手製造・販売会社です。代表的なブランドには、Lay’s、Ruffles、Doritos、Tostitos、Fritos、Cheetos、Sunchipsなどがあります。年間売上高は約180億米ドルで、従業員数は約6万9000人です。

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2022年1月、アメリカ合衆国で制作。

IBM、IBM LOGO、ibm.com、IBM Garage、IBM iXはInternational Business Machines Corp.の商標であり、世界中の多くの管轄区域で登録されています。その他の製品名およびサービス名は、IBMまたは他社の商標である可能性があります。IBMの商標の最新リストは、Webサイトwww.ibm.com/jp-ja/legal/copytradeで入手できます。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。