世界的な乳製品大手企業であるFrieslandCampinaは、牛乳ベースの製品を100カ国以上に供給しています。鮮度に敏感な分野で成功するには、常時稼働のシステムとデータが必要です。FrieslandCampinaは、計画外のダウンタイムのリスクを十分に認識しており、運用システムを24時間年中無休で災害から保護するように取り組んでいます。既存のインフラストラクチャーが分散し、きめ細かなセキュリティー管理が行き届いていなかったため、FrieslandCampinaは重要なデータを保護するためのより良い方法を探していました。
FrieslandCampinaのすべての製造部門は、日持ちしない乳製品を加工するというプレッシャーに絶えず直面しています。生産と流通のプロセスを支える重要なシステムに短時間の混乱が生じただけでも、これらの乳製品が腐ってしまう可能性があります。最大限の鮮度を確保するために、各拠点ではMES（Manufacturing Execution Systems：製造実行システム）とSCADA（Supervisory Control And Data Acquisition：監視制御システム）の各ソリューション、および生産オートメーション・システムのローカル制御を維持しています。
エンタープライズ・ソフトウェアとは異なり、これらの製造システムは高度に専門化されており、標準化された方法では接続されません。各拠点を確実に保護するために、さまざまな事業単位がバックアップと復元のソリューションを組み合わせて導入し、それぞれが少しずつ異なる機能を提供していました。運用上は成功していましたが、バックアップ・アーキテクチャーには、複雑さやきめ細かなセキュリティー制御の欠如などの弱点がありました。
FrieslandCampinaのホスティング担当ソリューション・アーキテクトであるMohamed Asmine氏は次のように述べています。「私たちは、世界中の複数の生産拠点における生産の継続性を非常に重視しています。各サイトに非常に多くのバックアップと復元のソリューションがあるため、すべての重要なシステムが完全にバックアップされていることを簡単に確認する方法がありませんでしたし、すべてのデータを迅速に復元できるかどうかさえわかりませんでした。」
FrieslandCampinaは、各生産拠点が生産および製造システムの完全な制御を維持できるようにしながら、データ保護、バックアップ、および復元機能を強化する方法を探していました。これを実現するため、チームは、大小両方の事業単位に適合し、より高度なセキュリティー管理を提供し、複雑さを軽減する新しいデータ戦略を目標としました。それは同時に、サイバーセキュリティーの脅威に対してより高いレジリエンスを提供するものでなければなりません。
統合されたオールフラッシュ・バックアップ・ソリューションを標準化することで、より高いレジリエンスを実現
各拠点でテンプレート・ベースのアプローチを確立
FrieslandCampina社は、IBMのビジネス・パートナーであるAxiansと提携し、世界中の全拠点を対象とした新しいデータ保護およびバックアップ戦略を策定しました。世界各地に拠点を持つAxiansは、このような大規模プロジェクトをサポートするために必要な運用能力と現地での専門知識の両方を備えていました。その目的は、すべてのサイトにデータ・レジリエンスを提供できる合理的なソリューションを使用して、すべてのMES、SCADA、および生産オートメーション・システムを完全に保護することでした。
AxiansとFrieslandCampinaは、各生産拠点の新しい標準化されたストレージ環境の基盤として、 IBM® FlashSystemストレージとIBM® HyperSwapを組み合わせることを選択しました。各サイトの総データ量に応じて、Axiansは適切なサイズのFlashSystemデバイスを2台、別々の場所に配置します。HyperSwapを使用すると、2つのFlashSystemアレイが1つのストレージ機能として表示され、バックグラウンドでデータが両方のシステムに自動的に送信されます。一方のユニットが利用できなくなっても、他方がフルアクセスを提供し続けます。バックアップはIBM Storage Protectによって提供されます。これは、総ストレージ容量を削減するためのデータ圧縮機能を備えており、ファイル、ディレクトリー、およびディスク・イメージのアーカイブおよび取得操作が完全に自動化されます。
きめ細かなアクセス制御を提供する新しいアーキテクチャーは、優れたガバナンスを確保しながら、システムとデータを保護します。さらに、オンプレミス設計により、インターネットや企業センターへの接続に障害が発生した場合でも、バックアップ・プロセスが実行し続けることができます。このイノベーションのおかげで、生産システムは、すぐに処理する必要がある新鮮な牛乳の絶え間ない流入に対応することができます。
「AxiansによるIBMソリューション設計により、当社のデータ保護機能が変わりました」とMohamed Asmine氏は説明します。「テンプレートベースのアプローチにより、AxiansとFrieslandCampinaは、適切な容量とパフォーマンスを提供するために関連のあるIBM FlashSystemモデルを選択し、新しいソリューションをすべての拠点に迅速かつコスト効率よく展開することができます。IBM HyperSwapは、いずれかの拠点で火災、洪水、その他の災害が発生した場合にレジリエンスを提供し、IBM Storage Protectは、複数の MES、SCADA、および生産によって生成されるデータの保護を可能にします。」
本記事の執筆時点で、FrieslandCampinaはこのソリューションを半数のサイトに展開しています。Axiansは、導入、構成、継続的なサポートと管理を含むBackup-as-a-Serviceを提供することで、FrieslandCampinaチームが事業運営と生産効率に集中できるようにしています。
「IBMのソリューションは、特に大規模なサイトでは、ハイパーコンバージド・システムよりもかなりコスト効率が高くなります」とMohamed Asmine氏はコメントしています。「私たちは、各拠点で適切な保護を提供するモジュール式アプローチを採用することができます。さまざまなソフトウェアやシステムからなる複雑な環境を、重要な生産データを完全に保護し、管理が容易な戦略的ソリューションに置き換えています。」
導入が進むにつれて、FrieslandCampinaはIBMソリューションによって実現するさらなるオプションを検討しています。例えば、食品の安全性とガバナンスの要件を満たすために、同社は、すべてのアーカイブされたデータに対して不変の監査記録を保持する、Write-Once Read-Many（WORM）機能を有効にしています。この機能を標準化されたアーキテクチャーに実装することで、FrieslandCampinaはコンプライアンスの姿勢を強化し、規制リスクから保護することができます。また、データを不変的に保存することで、CryptoLockerマルウェアからの保護も強化されます。
同様に、AxiansとFrieslandCampinaは、追加容量を提供するために、クラウド・バックアップの可能性を検討しています。Mohamed Asmine氏は次のように述べています。「管轄区域によっては、データをオンサイトまたは国内に保管することを義務付けているところもあれば、地域的な制限を設けてクラウド・ストレージを認めているところもあります。IBMのデータ・ソリューションは、オンプレミスとクラウドの最適な組み合わせを柔軟に選択できるようにし、ハイブリッド・テクノロジーを使用することで、現地でのレジリエンスを高め、コスト削減に貢献しています。
FrieslandCampinaは、IBMとAxiansの協力を得てデータ保護機能を刷新し続け、複雑さの軽減、パフォーマンスの向上、ビジネス・レジリエンスの強化といったメリットを得ています。
Mohamed Asmine氏は次のように結んでいます。「Axiansと協力してIBMのソリューションを設計・導入したことで、データを管理できるようになりました。このことは、生産システムが完全に保護されているという自信をもって、新たな国での事業拡大を継続できることを意味します。」
FrieslandCampina（ibm.com外部へのリンク）は、何億人もの人々に乳製品と牛乳の栄養素を提供しています。協同組合として、同社とその会員農家は、草地からグラスまで完全な生産チェーンを管理しています。2022年、FrieslandCampinaは115億ユーロの売上高を記録し、21,715人を雇用しました。
IBMビジネス・パートナーであり、Vinci EnergiesブランドでもあるAxiansは、分析、クラウドおよびデータセンター・インフラストラクチャー、ネットワーク、セキュリティー、通信など、幅広いITコンサルティング、アドバイス、ソリューションを提供しています。Axiansは35カ国で事業を展開し、年間売上高は33億ユーロに達し、14,000人の従業員を雇用しています。
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2024年2月
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