ホーム お客様事例 Etihad Airways社 極上の旅行体験を提供
大規模なデジタル化プロジェクトにより、迅速かつ簡便な空港でのチェックインが実現

旅客航空業界は、利益率が低く、価格に敏感な消費者を抱える競争の激しい業界です。格安航空会社はコストとサービス・レベルを極限まで削減できますが、高級航空会社は乗客が繰り返し体験したくなるような思い出に残るトラベル・エクスペリエンスを生み出す必要があります。Etihad Airways社にとっての課題は、同じ路線を運航する他の高級航空会社に差をつけることです。

Etihad Airways社は、Guest 360プログラムやChoose Wellプログラムにより、機内食、機内サービス、送迎など、顧客の好みをパーソナライズし、関連する選択肢に基づいた付帯サービスを通じて、乗客の期待に応え、それを上回り、さらに進化させることを目指しています。テクノロジーの観点からそれを実現するには、すべての顧客サービスと乗客の好みに関する豊富なデータを単一の顧客ビューに統合する必要があります。

「当社のデジタル戦略の重要な構成要素の1つは、お客様の好みや求めているエクスペリエンスを真に理解することです」と、Etihad Airways社のテクノロジーおよびイノベーション担当バイス・プレジデントのMike Papamichael氏は述べています。「それを理解すれば、よりカスタマイズされたスムーズなトラベル・エクスペリエンスをお客様に提供し、カスタマー・ジャーニーを向上させるために適切なタイミングで追加のサービスを提供できるようになります」

プロジェクト完了期間

 

プロジェクト完了期間は15週間

大量

 

毎日1,700枚のWhatsApp搭乗券を生成

大量

 

毎日4,000枚のEメール搭乗券を生成

IBM Consulting、IBM Garage、IBM Cloudでは、IBMの航空業界での経験に裏打ちされた、真にワールドクラスの専門知識と最良実施例の利用が可能になり、そのすべてを当社のデジタル変革に取り入れることができました。 Takhliq Hanif Head of Group Enterprise Architecture, Technology and Innovation Etihad Airways

「世界クラスの航空機に乗る前に、統合された優れたデジタル・エクスペリエンスを体験できなければ、適切な印象を与えることができません」とPapamichael氏は語りました。「当社が行うことはすべてお客様のためであり、すべてにおいてカスタマー・エクスペリエンスを重視しています。私は、デジタル・ジャーニーを当社の素晴らしいフライト・エクスペリエンスと一致させたいと考えていました。私はチームに、クラウド・テクノロジーとマイクロサービスを活用して現在のシステムを変革し、この複雑なソリューションを3か月以内に構築してもらいたかったのです」

Etihad Airways社は既製のチェックイン・アプリケーションを使用していましたが、そのアプリケーションは耐用年数を迎えており、顧客に十分にスムーズで信頼性の高いサービスを提供できなくなっていました。同社は新しいAPI駆動のバックエンド・テクノロジーを使用した並行モバイル・アプリを提供しており、乗客がこのチャネルを好むことが明らかになっていました。Etihad Airways社は、パーソナライズされた付随サービスの計画がWebチャネルでよりうまく機能することを理解していたため、Webチェックイン・システムをモダナイズし、同様またはより優れたチェックイン・エクスペリエンスを提供したいと考えていました。

「チェックインのビジネス・プロセスは非常に複雑になっていたため、当社のアプリケーションでは当社が実現しようとしていたパーソナライゼーションに対応できなくなっていました」と、テクノロジーおよびイノベーション・デジタル・ポートフォリオ・マネージャーのKavita Iyer氏は語ります。「当社は、アブダビに次世代空港を開設するにあたり、デジタル・エクスペリエンスを向上させ、より多くの付随サービスを提供したいと考えました」

IBM Cloudの選択

より多くの選択肢を提供しながらカスタマー・エクスペリエンスを簡素化するために、Etihad Airways社はすべてのデジタル・サービスのための新しいプラットフォームを作成することを計画しました。オープンで拡張性の高いハイブリッドクラウド・プラットフォーム上でマイクロサービス・アーキテクチャを採用することで、再利用可能なコンポーネントを組み立て、新しいアプリケーションの提供を加速させることができます。その最初のアプリケーションが新しいWebチェックイン・ソリューションです。

「当初、当社はすべてを自分たちで再開発し、独自のマイクロサービスとAPIを使って市場に投入する予定でした」と、アーキテクチャ、テクノロジー、イノベーション担当責任者であるTakhliq Hanif氏は述べています。「この予定を変更し、代わりにサービス・オーケストレーションとAPIエコノミー層の一部としてIBM Cloud上のIBM NextGen Common Travel Servicesを使用することにしました。IBM Cloudは、費用対効果が高いクラウドネイティブ・アプリケーションを開発する機会を与えてくれました。提供するDevOpsツールチェーンの点では、IBM Cloudは成熟した環境でした」

また、IBM Cloud®とNextGen Common Travel Services(CTS)ソリューションを使用することで、Webチェックイン・アプリケーションの予想納期が9カ月からわずか15週間に短縮されました。「開発に3年かかっていたとしたら、途中で価値を提供できない限り、経営陣は認めてくれなかったでしょう」とHanif氏は語りました。「IBM Cloudでのアジャイル・プラクティスを採用することで、当社はこれまでにないスピードで前進することができました」

包括的なIBMサービス

Etihad Airways社は、そのデジタル・トランスフォーメーションのジャーニーをスムーズにするため、ニューヨークで開催されたIBM Garage™ワークショップをきっかけとして、ビジネス上の課題に焦点を当て、IBM® Consultingとともに潜在的なテクノロジー・ソリューションへの取り組みを開始しました。旅行業界全体のベスト・プラクティスに関するベンチマーク演習の一環として、IBMのデザイン・ストラテジストとインタラクティブ・エキスパートが、部門横断的なEtihad Airways社のチームが独自のチェックイン・プロセスを再考するのを支援しました。これにより、同社はIBM Enterprise Design Thinking™プロセスを使用して経験主導のカスタマー・ジャーニーを作成できるようになりました。

IBMとEtihad Airways社は、IBMオフィスの共有スペースに共同開発チームを設立しました。Etihad Airways社は、IBM開発者と緊密に連携するためのベスト・プラクティスDevOpsチームを創設し、開発作業を調整するための軽量のDevOpsツールチェーンをIBM Cloud上に構築しました。カスタマー・エクスペリエンスの目標を改善し、必要なプラットフォーム・テクノロジーの組み合わせを決定するため、追加のIBM Garageワークショップを行いました。

Etihad Airways社の新しいプラットフォームの重要なコンポーネントはCTSアセットです。これは、航空業界向けに一連の共通サービス、構成可能なビジネス・ルール、事前構築済みアダプターを提供するものです。Etihad Airways社はIBMに対し、このアセットをIBM Kubernetes上の移植可能なコンテナ化されたプラットフォームにモダナイズし、現地のデータ保護規制を遵守するためにさまざまなクラウド環境に展開できるようにすることを求めました。Etihad Airways社によるこのマルチクラウド戦略の実現を支援するために、IBMはバックエンド・アプリケーションをKubernetesに移行して次世代CTS(CTSng)ソリューションを作成し、それをIBM Cloud Kubernetes Serviceにデプロイすることに成功しました。

「Kubernetesによるコンテナ化は、プラットフォーム上でワークロードを移動できるようにするという当社の戦略に合致していました」とHanif氏は述べています。「既存のバックエンド・サービスを再利用する予定のモバイル・チャネルやキオスク端末の開発にも役立つでしょう」

完全統合

迅速な概念実証によって新しいWebチェックイン・ソリューションがSabre予約サービスと連携できることを示したあと、チームはわずか15週間でIBM Cloud上に新しいソリューションを作成しました。このソリューションの主要コンポーネントには、JavaアプリのランタイムであるLiberty for Java、ログの集約と分析によってDevOpsチームを支援するLog Analysis、アプリ用のオープンソース・データ・ストレージであるCloud databases on IBM Cloud、継続的インテグレーションと継続的デリバリーのためのJenkins、コード・リポジトリーのためのGitlab、リポジトリー・マネージャーであるJFrog Artifactory、アプリのバージョン管理のためのSubversionが含まれます。このソリューションは、IBM Cloud上のIBM API Connect®ソリューションを使用して、新しいWebチェックイン機能を既存のバックエンド・システムと統合しています。

IBM CTSngプラットフォームは、チェックイン・アプリケーションを開発するためにフロントエンド・チャネルで簡単に使用できる、事前構築済みで事前統合済みのAPIを提供しました。「構築済みのAPIを導入した理由のひとつは、チェックインのために12の主要なシステムに接続し、270以上のユニークなプロセスに対応する必要があったからです」とIyer氏は述べています。「また、バックエンドでは18の既存の統合システムに接続する必要がありました。例えば、当社は米国入国審査の事前手続きを提供する数少ない航空会社の1つです。IBMの事前構築済みAPIを使用することで、目標の達成に向けて迅速に前進することができました」

世界クラスの専門知識

Backend for Frontendアプリケーション開発パターンを使用することで、新しいWebチェックイン・ユーザー・エクスペリエンスの開発が促進され、プロセス中の品質を確保することができました。このパターンは、開発チームが機能をより迅速に反復し、並行するWebアプリのエクスペリエンスに影響を与えることなく、モバイル・アプリのバックエンドの制御を維持するのに役立ちます。

「マイクロサービス・パターンの使用は、操作性の観点から役立ちました」とHanif氏は言います。「そのような専門知識がなければ、パブリッククラウド・サービスの導入はリスキーだったかもしれません」

同氏は次のように付け加えました。「IBM Consulting、IBM Garageチーム、IBM Cloudプラットフォームを利用することで、IBMの航空業界での経験に裏打ちされた、真に世界クラスの専門知識とプラットフォーム、ベスト・プラクティスを利用することができます。これらはすべて当社のデジタル・トランスフォーメーションに導入できました」

 

クラウドの価値を証明

Etihad Airways社は、新しい納入とサポートの方法論を採用しながら、IBM Cloudとマイクロサービス・プラットフォームをうまく活用することで、15週間という非常に野心的な納入目標を達成しました。現在、Etihad Airways社は、レジリエンスをサポートするために、アクティブ - ホットスタンバイ・モードで2つのリージョンにまたがる3つのIBM Cloud環境を運用しています。このハイブリッドクラウド・アプローチの力はユーザー受け入れテスト中に発揮され、同社はIBM Cloudセンター間でワークロードを移動し、バックエンド・システムの待ち時間を短縮することで、応答時間を最適化することができました。

「従来、このような移動には数週間かかりました」とHanif氏は言います。「IBM Cloudを使用すると、それを数時間以内に行うことができました。これは非常に強力なことです」

 

迅速かつ簡単なチェックイン

新しいWebチェックイン・ソリューションにより、Etihad Airways社の乗客は、チェックイン・プロセスそのものや、座席の選択、搭乗券の印刷、多数の付随サービスなど、自分の旅行をオンラインで管理できるようになりました。このソリューションは現在、毎日1,700枚のWhatsApp搭乗券と4,000枚のEメール搭乗券を生成しており、すでに複数の異なる言語で展開されています。

「当社はチェックイン・エクスペリエンスをできるだけ簡単にしたいと考えていました。空港で長蛇の列ができることは望ましくありません」とHanif氏は述べています。「次の段階では選択がすべてです。当社がやりたいことの1つは、目的地に合わせたパーソナライゼーションです。IBM Cloud上のAIとコグニティブ・サービスは、その中で重要な役割を果たすことになるでしょう」

「適切なユーザー・エクスペリエンスを設計することは大きな課題でしたが、IBM iXは、私たちがこの業界で何を達成したいのかをすぐに理解してくれました」とIyer氏は語ります。「バックエンド、フロントエンド、レポーティングについて、15週間という期限を達成できたのは、iXを含むIBMの各チームがビジネス上の問題を完全に理解していたからです」

強化されたパーソナライゼーション

Etihad Airways社が従来のチェックイン・ソフトウェアの廃止を完了すると、ITメンテナンス・コストと、チェックイン時のサービス・コストが削減され、さらに大きな経済的メリットが得られます。しかし、最も重要なメリットは、乗客のエクスペリエンスが向上し、顧客のニーズをよりよく理解できることです。特に、チェックインは航空会社と多くの乗客との最初の接触点です。

「地域の違いによって、ジャーニーのかなり後半までお客様のことを完全に理解することはできません」とPapamichael氏は言います。「そして、チェックイン・プロセスは、当社がお客様を知るための非常に重要な段階の1つです」

新しいWebチェックイン・ソリューションにより、Etihad Airways社はビジネス・ルールとプロセス管理をより適切に制御できるようになり、乗客のエクスペリエンスを以前よりも迅速にパーソナライズできるようになりました。新しいDevOpsプラクティスと組み合わせることで、新しい機能やオファーをより迅速に市場に投入できるようになります。

「当社はIBMにデジタル・トランスフォーメーションを加速するという大きな課題を課しましたが、それに取り組む時間をあまり確保することができませんでした」とHanif氏は結論付けます。「当社の成功は、非常に大規模な組織を味方にすることの威力を示しています。IBMは、クラウド・プラットフォーム、業界の専門知識、サービスを結び付けて、すべてを実現してくれました」

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Etihad Airways社のロゴ
Etihad Airways社について

Etihad Airways社(ibm.com外部へのリンク)はアラブ首長国連邦の国営航空会社です。2003年に設立され、アブダビ政府が完全所有するこの航空会社は、120機以上の新しく環境に優しい航空機を使用して、6大陸の110を超える目的地に旅客および貨物サービスを提供しています。Etihad Airways社は、乗客に気を配るというアラブ首長国連邦の価値観に触発され、他の航空会社に対してだけでなく、世界最高のホスピタリティー施設に対してベンチマーク評価を行っています。

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© Copyright IBM Corporation 2022. IBM Corporation、IBM Hybrid Cloud、New Orchard Road、Armonk、NY 10504

2022年3月、米国で作成。

IBM、IBM LOGO、ibm.com、IBM API Connect、IBM Cloud、IBM Garage、Enterprise Design Thinking、およびiXはInternational Business Machines Corp.の商標であり、世界中の多くの管轄区域で登録されています。その他の製品名およびサービス名は、IBMまたは他社の商標である可能性があります。IBMの商標の最新リストは、Webサイトwww.ibm.com/jp-ja/legal/copytradeで入手できます。

JavaおよびすべてのJavaベースの商標およびロゴは、Oracleおよび/またはその関連会社の商標または登録商標です。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開しているすべての国で、すべての製品が利用できるわけではありません。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本書の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。