ホーム お客様事例 ESAN Eczacıbaşı Industrial Raw Materials Company (ESAN) 画期的な配合—セラミック粘土の最適化
処方的分析で開発を加速
粘土加工用材料を搬送するコンベア

タイル、陶器、研削材、配管、衛生陶器などの従来の材料に使用されるか、電子機器、3Dプリント、歯科製品などの新しい用途に使用されるかにかかわらず、セラミックの生産は急速に成長しています。

2025年までに4,000億米ドルの世界産業になると予測されているセラミックスの製造では、原料として粘土が使用されます。これは、正確な生産基準を満たすために採掘・混合しなければならない天然素材の細粒土です。

ESAN社Eczacıbaşı Industrial Raw Materials Company社(ESAN社)は、トルコ最大のセラミック製造用粘土メーカーです。また、同社はセラミック品質の粘土を海外に輸出しています。製造仕様の変更、市場環境の変動、採掘された粘土の物理的組成のばらつき、エネルギーコスト、その他の変動要因のため、ESAN社の計画担当者は、品質とコストの目標を満たす原料を供給するために、粘土を混合する新しい処方を常に開発しなければなりません。

長年にわたり、粘土混合処方の開発には、多くの時間と人的資源が必要でした。「坑道から掘り出される20種類の粘土材料は、それぞれに物理的特性があるため、1つ1つ、15の生産パラメータと比較しなければなりません」と、IBMビジネス・パートナー、Selco Consulting社のData Analytics Head(データ分析責任者)、Alper Şener氏は述べています。「ESAN社の計画担当者は、スプレッドシートを使用して、さまざまな混合割合と処方を開発しました。ただし、計画担当者が4つまたは5つの適切な混合の処方を思いつくまでに1週間かかる場合があります」

結果

データに基づく意思決定


意思決定最適化モデルにより、処方的分析とデータサイエンスを通じて、粘土混合プロセスを数日から数秒に短縮できます。

コスト削減


粘土配合の最適化により、工場内で加工されるセラミックスの原料コストを14% 削減

以前のプロセスでは、4~5件の適切な処方を見つけるのに 1 週間かかっていました。IBM ILOG CPLEXを使って、ESAN社用の最適化モデルを開発しました。このモデルでは、わずか60秒以内に最適な粘土混合処方作成が実行され、さまざまな効率性と生産時間のシナリオに対して、50~150件の代替処方を薦めてもらえます。私たちはこれを本当に誇りに思っています。 Alper Şener Data Analytics Head(データ分析責任者) IBMビジネス・パートナー Selco Consulting社

スケジュールの計画に関連するもう1つの問題は、新しい粘土配合のレシピが準備できるまでに、市場の状況が変わってしまっていたことです。プランナーはスプレッドシートに戻って再計算する必要がありました。レシピが実際の品質とコストの目標を満たしていることを確認するため試験生産の実施を行いレシピをテストした際、さらに遅延が発生しました。

競争上の優位性を求める多くの採掘会社やメーカーと同様に、ESAN社は事業のデジタル・トランスフォーメーションを支援するために、IT部門にデータ分析の機能を持たせるようにしました。データ分析が重要なビジネスの問題を解決できることを示せる大きなインパクトを与えられる機会を探していたときに、ESAN社と Selco社は、ESAN社のBozüyük粘土濃縮プラントに着目しました。

1979年から運用されているBozüyük工場は、実稼働環境でのデータ分析の使用を試行する際にいくつかの利点がありました。「Bozüyükで生産される製品は当社の別の工場で加工される材質よりも複雑なのですが、Bozüyükのほうが加工と物流の面で望ましかったのです」と、ESAN社のIndustrial Engineer and Data Analytics Manager(インダストリアル・エンジニア兼データ分析マネージャー)、Sinan Türkmen氏は述べています。「プラントが決まると、トランスフォーメーションを管理するための適切なソフトウェアを選ぶことになりますが、Selco社はこの分野ですでに先手を打っていました。

概念実証から本番環境まで

ESAN社は、粘土混合応用向けの処方的分析ソフトウェアの評価を始めたとき、8社のベンダーに概念実証の提案を提出するよう呼びかけました。「最初の繰り返しのあと、ベンダーの数は3社に減り、Selco社もその1つでした」とTürkmen氏は述べています。「彼らが、物流、サプライチェーン管理、データサイエンス、数学モデリングの専門家であることは明らかでした」

「ESAN社のプロセスを調査して、早い段階で、数学モデルを定式化する方法に問題があることを突き止めました」とŞener氏は述べています。「ESAN社はすぐに、当社が問題を正しくモデル化し、ボトルネックを解消できることに気づかれたようです。また、当社のIBM ILOG CPLEX Optimization Studioソフトウェアのパフォーマンスの良さも見ていただけたと思います」

ESANのIT部門は、IBM® ILOG® CPLEX® Optimization Studioプラットフォームについて独自の調査を実施しました。「検討したオープンソースソフトウェアを含む他の最適化ソフトウェアと比較して、IBM ILOG CPLEXソリューションは非線形問題もより簡単に解決できるという結論に達しました」とTürkmen氏は言います。

導入に先立ち、Selco社とトルコのIBMオフィスは、ESAN社に有益になると思われたソフトウェア・ライセンス・プランを開発しました。「IBMは、最適化ソフトウェア・ライセンスを最適な価格で提供するために力を尽くしてくれました」とSener氏は述べています。「クライアントは、製品の価格について再考することもなく、製品が提供する仕事の質に集中されていました」

Selco社のIBM ILOG CPLEXソリューションに決めたあとすぐに、ESAN社はSelco社が開発した数学モデルの予備テストを実施しました。「Selco社が最初の粘土混合処方を提供してくれたので、研究室でそれを試しました」とTürkmen氏は述べています。「研究開発部門に言われたのは、この混合処方は他の処方と比べコスト削減ができるということでした。また、製造リードタイムも大幅に短縮されました」

ESAN社へのIBM ILOG CPLEXソリューションの導入に加え、Selco社は、計画担当者が混合シナリオの作成とデータ管理に使用できるユーザー・インターフェイスも開発しました。「アプリケーション、データベース、Webサーバーをセットアップしました。フロントエンドとバックエンドを備えた完全なアーキテクチャです」とŞener氏は述べています。「IBM ILOG CPLEXソフトウェアは、システムを統合し、顧客にシームレスな体験を届けるために必要なAPIを提供しサポートしてくれます。

最適化プロジェクトを開始してから1カ月以内に、ESAN社では混合処方開発がスピードアップし、生成される処方数の点でも大幅な改善が見られ始めました。IBM ILOG CPLEXを使って、ESAN社用の最適化モデルを開発しました。このモデルでは、わずか60秒以内に最適な粘土混合処方作成が実行され、さまざまな効率性と生産時間のシナリオに対して、50~150件の代替処方のおすすめが提案され、これにより工場の生産能力を最大化できます」とŞener氏は述べています。「私たちはこれを本当に誇りに思っています」

概念実証中に、IBM ILOG CPLEXソフトウェアをオープンソース・ソフトウェアを含む7つの他社製品と比較しました。IBMソリューションは、特に非線形問題に関して、最適化問題をはるかに簡単に解決することができました。 Sinan Türkmen氏 Industrial Engineer and Data Analytics Manager(インダストリアルエンジニア兼データ分析マネージャー) ESAN Eczacıbaşı Industrial Raw Materials Company
共有できる成功

粘土混合プロセスサイクルを数日から数秒に短縮したことに加え、Selco社がESAN社Bozüyük工場に導入したIBM ILOG CPLEXソリューションは、次のような大幅な業務改善をもたらしました。

• 予測分析と最適化により、工場で処理する原材料コストが14%削減
• エネルギー使用量の少ないプロセスを最適化することにより、エネルギーコストを10%削減

「この最適化ソフトウェアを使うことで、数値化できないパフォーマンスの向上も見られています」とTürkmen氏は述べています。「たとえば、研究開発チームがかつて不可能だと言った材質が実際には製造できることが、このシステムによって証明されました。古い処方には、これらの物理的・化学的特性が組み込まれていなかったからです。将来的には、これらの新製品から収益を得られる可能性があります」

Bozüyük工場でIBM ILOG CPLEXソフトウェアを試験運用する長期的な目標は、ESAN社がトルコで運営している9つの工場にこのソリューションを展開することです。「これまで粘土濃縮で成功を収めているので、ここより多くの生産能力を持つ他の工場でも、この最適化ツールを使い始める予定です」とTürkmen氏は述べています。

また、ESAN社は、Bozüyük工場で学んだことを親組織のEczacıbaşı Holdingグループと共有する予定です。「ESAN社は今年、予測分析と処方的分析による3つのプロジェクトを開始したいと考えており、データ分析はEczacıbaşı Holding社の役に立てるはずだと考えています」と、Türkmen氏は述べています。「ESAN社は現在、分析を意思決定支援ツールとして捉えており、分析に関する行動を積極的に起こすことを奨励しています」

「分析への投資方法について取引先と話すときに、幅広い製品群を持った強い企業を選んだほうがいいですよとお伝えしています」とŞener氏は述べています。「さまざまな分析コンポーネントをIBM Cloud Pak for DataとWatsonに接続するIBMの戦略は、当社がクライアントに勧める戦略に合っています。IBM ILOG CPLEXはスケーラブルな製品でもあり、必要に応じてさまざまなコンポーネントを使用でき、ソリューションが増えると機能を増やすことができます」

「データ分析マネージャーとして、会社でこの役割を担っているのは私だけでした」とTürkmen氏は述べています。「現在、私たちはこの部門を拡大し、データサイエンティストとともにセンター・オブ・エクセレンスを設立しようとしています。IBMとILOG CPLEXソリューションは、当社のさまざまなプロジェクトのツールとなる予定で、そのことに満足しています」

esan社のロゴ
ESAN Eczacıbaşı Industrial Raw Materials Company社について

1978年に設立され、イスタンブールを拠点とする ESAN社 (ibm.com 外部へのリンク)は、粘土やその他のセラミックス製造用原料を採掘・加工しています。トルコに10箇所の工場を所有し、2,500名超の従業員を抱えるESAN社は、トルコの鉱業界を代表する輸出業者の1つです。ESAN社は、2020年合計純売上高が111億トルコリラに達するトルコ最大の産業グループEczacıbaşı Holding社の子会社です。

Selco Consulting社について

トルコのイスタンブールを拠点とするIBMビジネス・パートナー であるSelco Consulting社(ibm.com外部へのリンク) は、サプライチェーンとロジスティクス・マネジメントの分野で広範な能力を備えたコンサルティング会社です。情報技術と高度な分析を組み合わせることで、Selco社は、サプライチェーン・コンサルティング、事業分析、ソフトウェア・コンサルティング、運搬管理物流、倉庫物流に関する分野横断的な専門知識を提供しています。

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法務

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2021年5月、米国で作成。

IBM、IBMロゴ、ibm.com、CPLEX、IBM Cloud、IBM Watson、およびILOGは、世界中の多くの国で法的に登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。その他の製品名・サービス名はIBMまたは他社の商標である可能性があります。IBM商標の最新リストは、ウェブ上の「著作権および商標情報」https://www.ibm.com/jp-ja/legal/copytradeでご確認いただけます。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。