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Edarat Group社、IBM Cloud Satelliteを使用して、社内にハイブリッド・マルチクラウド・サービスを導入
夕暮れ時のサウジアラビア、リヤド

機密データを安全に保つことは、今日のグローバルなテクノロジー環境において常に課題となっています。どの国にも、データの保管、管理、アクセス方法に関する独自のルールがあります。サウジアラビアでは、政府はその責任を極めて真剣に受け止めています。

そのため、同国の経済・社会成長の戦略計画である2030年ビジョンでは、金融、医療、政府、石油・ガス、教育、保険といった規制対象業界のデータは、国内のデータセンターに保管しなければならないと定められています。

サウジアラビアに本社を置くデータセンターおよび情報通信技術(ICT)企業であるEdarat Group社は、その要件を熟知しています。2004年に設立された同社は、アドバイザリーおよびITコンサルティング、データセンター・エンジニアリング、スマート・シティおよびスマート・ビルディング(IoT:モノのインターネット)、データセンターの移転、ワークロードの移行を専門としています。さらに2014 年には、地元のプライベートクラウド・サービス・プロバイダーとして、新たな事業部門を立ち上げました。

Edarat Group社のプリンシパル・コンサルタント兼クラウド・サービス責任者を務めるJihad Nehme氏は次のように述べています。「私たちは他に先駆けて採用しました。当時、サウジアラビアにはクラウドについての規制はなかったので、企業はお客様をクラウドに移行することに躊躇していました。そのため当初、私たちは災害復旧サービスを提供することがほとんどでした。しかし、ここ数年で規制が強化され、データ主権の統合が見られるようになりました。多くの人がパブリッククラウド・サービスを使用していましたが、それを国内に持ち込む必要がありました。そこでここから、当社は事業を拡大していったのです。」

幸いなことに、Edarat Group社はこの課題に対処するための十分な準備を整えていました。「当社は、サウジアラビアの統治機関であり、クラウド・サービスの規制機関でもある通信情報技術委員会(CITC)に、クラスCのクラウド・サービス・プロバイダーとして登録されています。これは最高クラスのセキュリティであり、当社は、制限付きデータ、機密データ、極秘データを扱う資格のあるすべての官民部門と取引する資格が与えられています」と、Nehme氏は語ります。

3つのデータセンター


Edarat Group社は、サウジアラビアの3つのデータセンターに、IBM Cloud Satelliteソリューションを導入しました

2週間


ソリューションはわずか2週間で実装されました

IBM Cloud Satelliteにより、EdaratCloudは、国際的に対応できる機能を備えた地元の通信サービス・プロバイダー(CSP)になりました。そしてこれこそが、サウジアラビアすべてのプロバイダーの中で大きな差別化要因となっています。 Jihad Nehme氏 プリンシパル・コンサルタント、クラウド・サービス責任者 Edarat Group

2021年、Edarat Group社は、クラウド・サービス・プロバイダーとして次のフェーズに移行する準備を整えました。同社は、プライベートクラウド・サービスをパブリッククラウド機能で強化することで、ハイブリッド・マルチクラウド環境の柔軟性、拡張性、使いやすさの実現を可能にするグローバルなクラウド・サービス・プロバイダーと提携することを模索しました。

「サウジアラビアにおける当社のモデルは、ビジネス向けの仮想プライベートクラウドであり、当社はパブリックラウド・プロバイダーになることを目指していたわけではありません。私たちはアジャイル・モデルでクラウドを構築し、セキュリティや可用性を犠牲にすることなく複数のクラウド・サービスを提供したいと考えていました」と、Nehme氏は語ります。

ハイブリッドクラウドへの扉を開く

Edarat Group社は、模索していたクラウド・サービス機能を提供するためにIBMを選びました。IBM Cloud Satelliteソリューションを使用することで、データをサウジアラビアに保持しながら、ハイブリッドクラウド環境でワークロードを実行できるのです。同社は他の国際的なクラウド・サービス・プロバイダーも検討しましたが、そのほとんどがサウジアラビアでは利用できないか、ハードウェアを利用するものであり、IBM Cloud Satelliteに匹敵する堅牢な機能セットを備えたプロバイダーはありませんでした。

「IBM Cloud Satelliteを導入したことにより、地元のクラウド・サービス・プロバイダーとしてのデータ主権を維持しつつ、パブリッククラウドのエクスペリエンスを提供できるようになりました」と、Nehme氏は語ります。「Red Hat OpenShift on IBM Cloudによるコンテナ基盤や、IBM Cloud Paksの自動化、統合、データ管理機能など、IBM Cloudが提供する一連のサービスを利用することができました」と、彼は続けます。

このIBMソリューションにより、Edarat Group社は、既存のInfrastructure as a Service(IaaS)に加え、Platform as a Service(PaaS)機能も提供できるようになりました。「これにより、当社は競争上の優位性を得ることができたのです。というのも、サウジアラビアの地元のクラウド・プロバイダーで、このような統合ソリューションを備えているところは他に存在しないからです。さらに、マルチクラウド・プラットフォームを使用すると、当社は、さまざまな環境でワークロードを実行するお客様にクラウド・サービスを提供するワンストップショップになるため、お客様はアプリケーションをリファクタリングしたり、変更したりする必要がありません。リフト・アンド・シフトを行うだけでよくなります。これは非常に簡単です。」

Edarat Group社の3つのデータセンター(地理的にはリヤドとジッダの間に分散しており、距離は950 kmに及びます)内にソリューションを実装するのに、わずか2週間しかかかりませんでした。Nehme氏は次のように語ります。「これで私たちは早々と勝利を得たと言えます。当社のサービス・カタログを急速に拡大することができたわけですから。もし社内でこれをやるとしたら、かなりの時間を投資しなければならないでしょう。これほど短期間で同じ品質のサービスを達成することは、ほぼ不可能だと思います。」

IBMにとっても、Edarat Group社は、サウジアラビアにおけるクラウドの非常に良きお客様であり、パートナーでした。「私たちのルーツはシステム統合にあります。そして今では、データセンターからインフラストラクチャー、セキュリティ、アプリケーションに至るまで、すべてのレイヤーを理解しています。私たちは、当社が変革と急成長に向けて着々と準備ができていること、また、OpenShiftプラットフォームにも精通しており、その強みも理解していることを、IBMが理解してくれたのだと確信しています」と、Nehme氏は語ります。

「当社のお客様の多くは現在、仮想マシン(VM)上で従来のアプリケーションを実行しています」と、彼は続けます。「このような環境で多くのアプリケーションを実行するには、アプリケーションごとに数種類のテスト環境が必要となり、VM、ハードウェア、オペレーティング・システム、アプリケーション・ライセンスのコストが発生します。OpenShiftを使用してモダナイズすることにより、お客様は単一のOpenShiftクラスターで、マルチテナント開発環境をすべて実現することができます。お客様は、ハードウェア、ソフトウェア、オペレーティング・システムを節約することができます。使用するオペレーティング・システムの数はわずか1つで、何十にもなることはないからです。」

またお客様は、オートスケーリング機能の恩恵を受けることもできます。従来のセットアップでは、ピーク時の最大負荷に基づいてサーバーのサイズが決定されます。Red Hat OpenShift on IBM Cloudによるコンテナ化では、消費量ベースの価格設定で、ピーク時とロータイムに合わせて参考情報を自動的にスケールアップまたはスケールダウンします。またお客様が、変更内容を安全な方法で迅速に実稼働環境に導入および展開するという点で、優れた機敏性も備えています。

もし社内でこれをやるとしたら、かなりの時間を投資しなければならないでしょう。これほど短期間で同じ品質のサービスを達成することは、ほぼ不可能だと思います。 Jihad Nehme氏 プリンシパル・コンサルタント、クラウド・サービス責任者 Edarat Group
ウィンウィンのパートナーシップ

今後、Edarat Group社は、IBM Cloud Satelliteにより、同社のお客様が独自のデジタル・トランスフォーメーションを遂げ、新しいビジネスのやり方を促進できる道を開くことができるものと期待しています。現在、2社のお客様が概念実証(POC)を成功裏に完了しており、ソリューションの使用を開始する準備を整えています。さらに、他にも多くのチャンスが待ち受けています。

そのようなチャンスの1つが、デジタル・バンキングです。Nehme氏は次のように語ります。「これはサウジアラビアでまさに急成長している分野です。当社は最近、銀行のPOCを実施し、サービスとしてのコンテナがどのように機能するかを実証することができました。これは、OpenShiftを使用したサービスとしてのフルマネージド・プラットフォームです。」Edarat Group社はまた、IBM Cloud PakテクノロジーとIBM AIソリューションの潜在的なメリットを実証することもできました。

同社は、デジタル・バンキング市場への参入を希望する小規模銀行向けの「バンク・イン・ボックス」ソリューションに取り組んでいます。そこで、デジタル銀行が必要とする機能を自社の機能にマッピングし、関連するIBM Cloudサービスをパッケージ化して、タイムリーかつコスト効率の高い方法でサービスとして提供しています。

Nehme氏は次のように語ります。「しかし、それは単なるデジタル・バンキングではありません。IBMは金融部門の中核を担っています。多くの大手銀行は、すでにIBM Cloud Paksやその他のIBMサービスを使用しています。IBM Cloud Satelliteを使用すると、それらのワークロードをオンプレミスのデータセンターからクラウドにオフロードすることができます。」

同社はまた、IaaSサービスを開発し、最終的にPaaS、そして究極的にはSoftware as a Service(SaaS)へと拡大する計画で政府と協力する可能性も見込んでいます。これらの機能は現在、IBM Cloud Satelliteパートナーシップを通じて、サウジアラビアでのみ利用可能となっています。

規制を受けていない一部の中小企業でも、このソリューションの恩恵を受けることができます。サウジアラビアにおいて、クラウドネイティブのマネージド・プラットフォーム・サービスを提供するプロバイダーは他にありません。Edarat Cloudソリューションを使用すると、例えば、オンラインによる食品の注文やライド・シェアのアプリケーションが、IBM Cloudサービスにアクセスし、クラウドネイティブ・アプリケーションをローカルで実行できます。

Edarat Group社とIBMのチームワークは、共同サービスにとどまりません。Edarat Group社は、2022年にサウジアラビア証券取引所に上場される予定です。IBMは、2021年の承認プロセスを通じて、同社が申請要件を満たし、成功事例を構築できるよう支援しました。

このコラボレーションは、両社にとっても、また今後のパートナーシップにとっても、双方にメリットをもたらしました。「それは見事なパートナーシップと言っていいでしょう。IBM Cloud Satelliteにより、EdaratCloudは、国際的に対応できる機能を備えた地元の通信サービス・プロバイダー(CSP)になりました。これこそが私が常に強調していることです。というのも、それがこのパートナーシップによってもたらされたものだからであり、サウジアラビアすべてのプロバイダーの中で大きな差別化要因となっています」と、Nehme氏は締めくくります。

Edarat Group社のロゴ
Edarat Group社について

Edarat Group社は、サウジアラビアのリヤドに本社を構えるデータセンターおよびICT企業です。2004年に設立された同社は、ITコンサルティング、データセンター・エンジニアリング、スマート・シティおよびスマート・ビルディング・テクノロジー(IoT:モノのインターネット)、ワークロードの移行、およびクラウド・サービスを提供しています。主な顧客には、金融機関、通信事業者、政府機関、医療プロバイダー、コロケーション・サービス・プロバイダーが含まれます。サウジアラビアに加え、UAE、フランス、レバノンにも拠点を構えています。

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脚注

© Copyright IBM Corporation 2022. IBM Corporation、IBM Cloud、New Orchard Road、Armonk、NY 10504

2022年6月、米国で作成

IBM、IBMロゴ、ibm.com、IBM Cloud、IBM Cloud Pak、IBM Cloud SatelliteはInternational Business Machines Corp.の商標であり、世界中の多くの管轄区域で登録されています。その他の製品名・サービス名はIBMまたは他社の商標である可能性があります。IBM商標の最新リストは、ウェブ上の「著作権および商標情報」https://www.ibm.com/jp-ja/legal/copytradeで入手できます。

Red HatおよびOpenShiftは、米国およびその他の国におけるRed Hat社またはその関連会社の商標または登録商標です。

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記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。