ホーム お客様事例 労働年金省(DWP) 世界レベルのサービスを実現
DWPでクラウドとITの変革を実現
オフィスでノートパソコンを使って作業する男性

労働年金省(DWP)は、貧困の原因に取り組み、子どもたちの生活機会を向上させ、人々が経済的自立を達成できるよう支援することを使命として、英国全土で2,000万人以上に支援と指導を行っています。

こうした市民の多くにとってDWPのサービスは、経済的困難を克服し、生活を軌道に乗せるために不可欠なものです。そのため、DWPのシステムとプロセスが堅牢であり、各請求者に対して年金と給付金を正確かつ期限通りに支払えることが非常に重要です。

重要な国家インフラを、現在も将来も目的に適った状態に保つために、DWPは政府の政策や社会のニーズに合わせてシステムとプロセスを進化させることができなければなりません。

同省は、柔軟なパブリッククラウドとプライベートクラウドのインフラストラクチャーでアプリケーションを設計、プロビジョニング、管理する新しい方法を採用することで、俊敏性を向上させたいと考えていました。

IT管理に対するこの最新のアプローチにより、DWPは真に世界レベルのデジタル・サービスを開発、提供して、国民をサポートし、英国経済を強化できるようになると考えられたためです。

ユーザー時間の削減

 

月間の重大インシデントを73%削減し、100万ユーザー時間を削減

アプリの移行

 

60以上の重要なアプリケーションを新しいプライベートクラウドに移行

サーバーの移行

 

1,500台以上のサーバーを新しいプライベートクラウドに移行

DWPは、IT サービス管理の改善、独立性の向上、変革の加速に役立つ実践方法を採用した結果、この新しいアプローチがなければ数年かかったかもしれない作業を数カ月で実現できました。
重要なインフラストラクチャーの移動

DWPは、変革を2段階で行う必要があることに気づきました。サードパーティーのプロバイダーが数年間にわたってシステムをサポートしてきましたが、まず、自部門でIT資産を管理する状態に戻す必要がありました。次に、IT管理プロセスを再設計し、組織内のチームが変化を推進できるようにトレーニングする必要がありました。この取り組みは、内部で「世界レベルのサービス」と呼ばれていました。

その第一歩として、DWPチームはIBMコンサルティングに依頼して、新しいハイブリッドクラウド・アーキテクチャーを確立することを決定しました。最も重要なシステムと機密データはセキュリティーの高いプライベート・クラウド環境でホストしながら、必要に応じてパブリッククラウド・サービスも活用して俊敏性とコスト効率を高めるためです。

DWPとIBMのチームは、Crown Hosting Services社が提供する設備を利用して、2つの新しい最先端データセンターを構築しプロビジョニングしました。新しいデータセンターはDWPの既存のデータセンターに接続されており、高い可用性とレジリエンスを確保するためのテストも十分に実施されました。新しいインフラストラクチャーは完全に仮想化され、プライベートクラウドとして構成されているため、主に個別の物理サーバーでアプリケーションを実行していた以前のモデルよりも、はるかに優れた柔軟性を備えています。

チームはインフラストラクチャーを整備した後、テスト済みで実証可能なIBMのデータセンター移行方法を使用して、DWPの重要なアプリケーションを新しいデータセンターに移行し始めました。大規模で複雑なアプリケーションのセットは何度かに分けて移行しながら、小規模で重要度の低いアプリケーションやリスクの低いアプリケーションは、コンベアー方式で1つずつ移行しました。

チームは、厳しい時間制限に対して各システム固有のニーズを考慮し、パフォーマンスと安定性を向上させながらインフラストラクチャーの費用を削減するために、必要に応じてアプリケーションの仮想化、再導入、再修正、交換を行いました。

10カ月にわたって急速なペースで移行計画を実行し、合計60を超えるアプリケーションを1,500台の仮想サーバーに移行しました。4ペタバイトのストレージに支えられた拡張性の高いプライベートクラウド・アーキテクチャーにより、新しいデータセンターはDWPのワークロードを今後何年にもわたってサポートできる容量を備えています。

変化の推進

新しいデータセンターへの移行は、DWPがIT戦略をより詳細に制御するために必要な最新のインフラストラクチャーを手に入れたことを意味します。しかし、そのメリットを最大限に活用するためには、ITサービス管理手法の再構築も必要でした。したがって、DWPとIBMの取り組みの第2段階では、プロセスの分析や、問題の特定、DWPの組織内 ITチームのトレーニング、継続的改善を推進するためのフレームワークの導入に重点が置かれました。

例えば、重要な目標の1つは、失われるユーザー時間(システム停止の影響を受けるスタッフの人数に、停止時間を掛けたもの)を削減することでした。チームは混乱の主な原因を調査し、問題の発生しやすい主要箇所を特定し、新しい管理手法を導入しました。例えば、すべての変更に対する技術評価とリスク評価を実施し、インシデントの深刻度を分類するためのより正確なモデルを作成し、潜在的な問題が実際の混乱を引き起こす前に特定できるよう予防的な監視ツールを使用しました。

DWPチームがこれらの変更を自ら実施するスキルを迅速に習得し、環境を今後自分たちで管理できるようになることが重要でした。したがって、IBMチームは、DWPが変革を計画して実行できるようにすることに重点を置き、方法論とベスト・プラクティス例の提供、作業成果物の定義、バックログの作成を行い、DWPチームが独自に変更を実現できるようにしました。すべてのコミュニケーションで、DWPが作業プログラム全体を推進、管理しており、この取り組みに対する責任と成功の功績は両方ともDWPの関係チームにあるという事実が強調されました。

DWPは、「世界レベルのサービス」を1回限りのプログラムではなく、継続的な改善の取り組みであると考えています。同省はIBMとの連携において、ITサービス管理の改善、独立性の向上、変革の加速に役立つ実践方法を採用した結果、この新しいアプローチがなければ数年かかったかもしれない作業を数カ月で実現できました。

将来に向けて

DWPは現在、将来に向けてすっかり準備の整った ITインフラストラクチャーと一連のIT管理手法の両方を備えています。変革への取り組みの両フェーズが成功裏に完了したことが、直ちにDWPのシステムの安定性に大きな影響を与え、その結果、生産性の大幅な向上が可能となりました。

例えばDWPは、この取り組みの開始以来、IT資産全体で重大なインシデントの数が73%減少したと推定しています。これにより、失われたユーザー時間が2%からわずか0.03%に減少しました。2桁近い改善となり、すでに100万時間以上のユーザー時間が削減されています。

さらに、2019年5月に、DWPは1カ月間本番環境停止ゼロという目標を達成しました。以前のインフラストラクチャーとサポート・プロセスではほとんど考えられなかった前例のない成果です。これはITチームにとって重要なメトリクスであるだけでなく、DWPスタッフと彼らがサポートする国民にとって、サービス品質が実際に向上したことも示しています。

DWPは自らのIT資産を管理することで、変化の推進を妨げていた商業的および技術的な制約からも解放されました。その結果、重要な変更の実施が600%増加し、変更の成功率が 99.5%以上に向上しました。

最も重要なことは、この変革の取り組みにおける市民と利用者中心のアプローチによって、DWPは公的資金をより効果的に活用するだけでなく、より効率的で革新的、かつ利用者に優しいサービスを、最も必要としている人々に提供することに集中できるようになったということです。その結果、この取り組みはMCA Awards 2020(ibm.com外部へのリンク)で評価され、「公共部門におけるパフォーマンス改善」部門で高い評価を得ました。

IBMとの協力とチームワークを通じて、DWPは自らのITの運命を切り開き、重要な国家インフラを将来に向けて健全な基盤に置くことができました。同省は今後、政府の政策を実施し、国民のニーズを満たすためにサービスを自由に変更できるようになりました。

労働年金省のロゴ
労働年金省(DWP)について

労働年金省(ibm.com外部へのリンク)は、福祉、年金、児童扶養政策を担当する英国政府の部門です。約2,000万人の人々に対し、労働年代、障害、病気に関するさまざまな給付金を管理し提供しています。

次のステップ

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2021年3月、米国で作成。

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