これはPietro Coricelli S.p.A.の最高経営責任者であり、3代目の代表であるChiara Coricelli氏の言葉です。今、彼女は会社の顔です。機知に富み粘り強い彼女は、常に自身の長所である好奇心と情熱を毎日の仕事に注ぎ込んでいます。アメリカでの仕事の経験を経てChiaraはイタリアに戻り、兄弟とともに家業を継ぎました。そして事業を国際的に大きく成長させ、世界中の食卓にCoricelliの製品を届けることになります。「1939 年に祖父が設立したイタリアの会社を兄弟と一緒に経営することで、自分のルーツと絆を深め、同時に前を向いて家族の将来に専念する機会を得ることができました。」
Coricelliの新世代は、品質、持続可能性、透明性を確保するために欠かせないサポートとしてテクノロジーに注目し、会社の未来を切り開いていきます。
400万キロの油をブロックチェーンで追跡
世界110カ国に展開
輸出販売の収益シェアは54%
食品のトレーサビリティは、単に製品の原産地を特定するツールというだけではなく、それ以上のものとして理解されるべきです。テクノロジーは無限の可能性を提供し、収集されたデータはサプライチェーン全体のプロセスとシステムの透明性にとって非常に貴重なものです。さらに現在では、食品トレーサビリティはこれまで以上に環境に対して意識的で持続可能な消費を保証し、「メイド・イン・イタリー」製品の品質を保護するというニーズに応える必要があります。
法律によって、食用油の原産地はすでにラベルに明確に記載されているため、CoricelliはIBM FoodTrustと共に、ボトル詰めされるまでの工程における食用油の品質を詳しく調査するプロジェクトを開発することにしました。これは安全性と透明性の観点から、消費者が知っておくべき情報です。同社はIBM Food Trustを通じて追跡された情報にすべての人がアクセスできるようにすることで、テクノロジーの世界にアプローチし、この重要な一歩を踏み出すイタリアで最初の食用油企業になりたいと考えていました。
メーカーや小売業者はますます要求が厳しくなり、注意深くなった消費者に対応しなければなりません。消費者は価格だけでなく、製品の品質や歴史、そして透明性と情報の上に成り立つブランドへの信頼に基づいて商品を購入するのです。「消費者とのこの関係が私たちの最優先事項であり、その維持に向けて、最大限の透明性と品質を確保するための努力を続けています」
同社がIBM Food Trustを選択した主な要件は、アクセシビリティ、セキュリティ、保証、信頼性でした。実際にIBMのブロックチェーンはわずか数ヶ月で生産サイクルに組み込まれ、ベストセラー商品である定番のPietro Coricelliエキストラ・バージン・オリーブオイルに応用され、すべての消費者が認証済みの参照情報にアクセスできるようになりました。私たちは、100%イタリア産の「Signed by Italian Farmers」ブランドで次のステップを踏み出しました。
Coricelliはプーリア州の3つの組織と、イタリア産オリーブオイル200万キロの 3 年間のサプライチェーン契約を結んだ業界リーダーです。このサプライチェーン契約から、持続可能な食用油「Signed by Italian Farmers」が誕生しました。ブロックチェーンによってサプライチェーンが認証した、イタリア製のエクストラ・バージン・オリーブオイルです。食品はまさに「メイド・イン・イタリー」の宝物です。そしてブロックチェーンは、追跡されており、安全で、信頼できるという、競合他社に比べた付加価値を食品に与えます。また、高品質の食品を生産する農家にも直接的な利益をもたらします。もちろん、インフラストラクチャ、デジタルリテラシー、コネクティビティなど、既存の課題すべての正確なアセスメントなしにブロックチェーン・ソリューションを開発すれば、これほど前途有望な革命的事業でもひどい失敗に終わった可能性はあるでしょう。ですがCoricelliの場合は違いました。
ブロックチェーン技術は、サプライチェーンを追跡するための優れたツールです。それでもCoricelliは、これを市場に投入し、大小にかかわらず、多かれ少なかれ明確な組織を持つあらゆる現実に簡単にアクセスできるようにするには、「スマート」な方法が必要だと理解していました。だからこそ、成熟した信頼性の高い製品であるIBM Transparent Supplyのブロックチェーン・テクノロジーを基盤に独自のプラットフォームを構築するというアイディアで、あらゆる企業のERPとの簡単な統合を可能にしたのです。Coricelliは企業管理システムとインターフェースするための「ウェブサービス」と、QRコードを通じてオリーブから食卓までの工程で製品情報を見つけることができる消費者専用の「ウェブアプリ」を作成しました。
「ブロックチェーンは柔軟性があり、起業家が独自の解釈で活用できます。例えばChiara Coricelliの場合は、ブロックチェーンをトレーサビリティの枠を超えて利用し、社内外の研究機関による分析証明書を公開し、オイルの品質を際立たせる価値を強調することで、食の安全性のためのソリューションにもしたいと考えていました」。
Stefano Graziani氏
SAS INFORMATICA SRL、CEO(最高経営責任者)
ブロックチェーン・テクノロジーは、生産プロセス全体の品質、信頼性、透明性を確保するための付加価値です。
ただし1つのピースだけでは十分ではありません。1つのゴールを目指して、複数のアクションが同時に、互いを支え合いながら収束しなければならないからです。
これらのアクションの成功の鍵は、導入の準備を整えるためにすべての部門がトレーニングを受けたことでした。その結果、社内のスキルは大幅に向上し、明確にデジタル化された新しい企業文化が生まれました。
IBMとSAS Informaticaとのこの実りある協力関係から、Coricelliは、献身と努力、そして少しの運があればどんなことでも可能になることを学びました。
食品セクターへのテクノロジーの導入は大きな挑戦です。エネルギーと資金が求められ、また持続可能性への多大な投資が必要です。それでもこの取り組みは、ブランドの認知度と信頼性の両方の点で、また消費者が示した関心と、Coricelliの体験を伝えたいという数多くの要望という点で報われました。彼らは正しい道を歩んでいるということです。
実質的な成果を実現するにはチームワークが必要であると、Coricelliは信じています。実際、同社は持続可能性のビジョンをサプライチェーン全体に伝えています。価値を生み出すためには、すべてのステークホルダーが同じ方向を向く必要があるからです。
「SAS InformaticaのチームやIBMのチームと協力して、このテクノロジーを私たちの世界にどのように統合するかを日々考え、ブロックチェーンで追跡された初めてのエキストラ・バージンオリーブ・オイルを発売し、一般に公表する。それは初めからとても刺激的な体験でした」Chiara Coricelli氏はそう語ります。
「私の祖父はよく言っていました。善良な事業とは、善良な人々によって作られるものです。今日、IBM Food Trust のおかげで、私たちは現代的な方法で未来を見据えてストーリーを伝えることができます。」
ハードウェア、ソフトウェア、ITサービスを専門とする会社であり、イタリアで初めてIBM Blockchainのテクノロジーを採用した企業です。
ウンブリア州の中心部にあるスポレートから、Pietro Coricelliのエクストラ・バージン・オリーブ・オイルがイタリアの食卓に登場したのは1939年のことでした。本物の味への情熱は世代から世代へと受け継がれ、常に家族が協力して会社の経営に関わってきました。現在、Pietro Coricelliはヨーロッパ最大の食用油企業の1つであり、世界110か国以上に商品を輸出し、世界で最も流通量の多いイタリア・ブランドの1つとなっています。
© Copyright IBM Corporation 2023.
米国で制作2023年5月
IBM、IBMロゴおよびibm.comは、世界中の多くの管轄区で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。その他の製品名・サービス名は、IBMまたは他社の商標である可能性があります。その他の製品名・サービス名は、IBMまたは他社の商標である可能性があります。IBM 商標の最新リストは、ibm.com/trademark で入手できます。
本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。
引用または説明されているすべての事例は、一部のクライアントがIBM製品を使用し、達成した結果の例として提示されています。実際の環境でのコストや結果の特性は、クライアントごとの構成や条件によって異なります。お客様のシステムおよびご注文のサービス内容によって各クライアントの結果は異なるため、一般的に予測される結果を提示することはできません。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。