国民を養うにはたくさんの食料が必要です。現代社会では、食料品は一般に街角のマーケットで手に入りますが、トマトやマグロの切り身を農場や漁場から食卓に運ぶ際に生じる、物流上のかなり困難な課題を忘れてしまいがちです。しかし、Centro Agroalimentare Roma（CAR）は日々その課題に取り組んでいます。
イタリア・ラツィオ州の農業と食品産業の主要な物流拠点として機能するCARは、人々に毎日食物を提供する食料品店、レストラン、そして厨房に食品を運び続けています。「私たちは100の卸売業者と協力し、イタリアの中部地方でサービスを提供しています。ですから、どれだけの食品を扱っているか想像がつくでしょう」と、CARの施設関係マネージャーであるDoriana Ciambruschini氏は述べています。「1年間に、魚、果物、野菜など、約100万トンの食品を扱いますが、私たちの目標はできるだけ無駄をなくすことです。」
優れたキャパシティー
1年間で80,000世帯以上の食料の乏しい家庭に食事を提供
大量の食品
毎年、平均100 万トンの食品を処理
しかし、夏になると、この目標は特に困難になる可能性があります。「パイナップルについて考えてみてください」とCiambuschini氏は続けます。「冬の間に大量のパイナップルが出荷された場合、数日、おそらく1週間ほどの販売期間があります。しかし、夏は暑さのため、販売期間に1日しかありません。閉店までに売れなかったパイナップルは廃棄しなければなりませんでした。」
この無駄な食品は、Ciambruschini氏やCARには納得しがたいものでした。特に新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で、飢餓や食糧難に直面している家族が周辺地域に大勢いることことを考えれば、なおのことです。幸いなことに、IBMビジネス・パートナーであるDeep Labも、この課題を以前から検討していました。
「私たちは2016年にこの問題の調査を開始しました」と、Deep Labのマネージング・ディレクターであるCristiano Nervegna氏は振り返ります。「イタリア政府は余剰食品の寄付を奨励する法律を可決しました。この法律から、私たちは企業が食品の使用と回収の文化、つまり無駄を避ける文化を築くのに役立つソリューションを構築することを思いつきました。」
IBMのテクノロジーを活用し、CARと緊密に協力して、Deep LabはBitGoodを構築しました。これは、卸売業者、流通業者、および飢餓撲滅を目標とする外部のチャリティー・ネットワーク間の食料の移動を簡素化する、廃棄物を意識した交換プラットフォームです。そのため、売れ残りや余剰品が確認されると、食品をベースとする非営利団体はこれらの資源を申し込むことができます。
BitGoodは、慈善寄付の可能性だけでなく、卸売業者が余剰商品の他の潜在的な買い手を見つける機会も提供しています。Ciambuschini氏はこう付け加えます。「先ほどのパイナップルの例に戻ると、夏は1日だけ棚に置いておくことができます。しかし、そのパイナップルを加工してマーマレードなど別のものに変えると、賞味期限は1年になります。そのパイナップルにもう一度チャンスを与え、もう何も無駄にしません。」
IBM Embedded Solution Agreement（ESA）によってサポートされるBitGoodは、IBM Cloud®上でホストされ、Kubernetesクラスターで実行されます。「ESAのおかげで、私たちが必要とするIBMテクノロジーにアクセスできるようになり、同時にその提供方法も簡素化されました」と Nervegna 氏は述べています。
また、BitGood はIBM® Blockchain Platformを使用して、配送センターで扱われるすべての食品のトレーサビリティーと文書を管理します。「これは卸売業者が税制上の優遇措置を申請するのに非常に便利です」と Nervegna 氏は説明します。「税務署から何かを取得するときはいつでも、それを証明する必要があります。だからこそ、BitGoodをブロックチェーン上に置いたのです。IBM Blockchain Platformを使用すると、必要な書類をすべて自動的に作成できます。」
BitGoodの導入により、CARはイタリア全土の生活に影響を与えることができました。「わずか1年で、私たちは80,000世帯に食事を提供することができました。これは、BitGoodを通じて300,000人以上が食事を提供されていることになります」とCiambruschini氏は述べています。しかし、食べるものが何もない人々に食事を与えることだけが目標ではありません。大切なのは、健康的な食べ物をきちんと与えることです」
「イタリアには、困窮している人々のために食料を集め、配布することに重点を置いた省庁レベルの組織があります」とNervegna氏は付け加えます。「しかし、乾燥食品、豆類やパスタなどの保存可能な食品が中心です。BitGoodを使えば、同じ人々に手を差し伸べ、彼らの食生活に新鮮な肉や野菜を取り入れることができます。健康を維持し、病気を予防するために重要なビタミンやミネラルをより多く含む、より多様な食生活を送る機会を提供します。そうすれば、最終的にはコミュニティー全体、つまり社会全体の益になります。」
同時に、IBM Blockchainによって提供されるトレーサビリティーは、CARとBitGood交換所に参加するすべての人が、スーパーマーケットで購入したものであれ、慈善団体によって配達されたものであれ、人が消費するためのあらゆる食品の原産地、健康状態、年齢をより簡単に追跡するのに役立ちます。また、問題が発生した場合は、疑わしい製品を簡単に特定して取り除くことができます。「食品の安全性を維持することは、私たちにとってもう1つの大きな関心事です」とCiambruschini氏は続けます。「BitGoodのおかげで、CARと卸売業者の両者にとって、そのプロセスがはるかに簡単になりました。」
消費者へのこれらのメリットに加えて、CARはBitGoodのおかげで多くの社内効率化を実現しました。実際、同社は廃棄食品の処理にかかるコストを30%削減できました。また、同社の顧客も、余剰品を寄付することで税制優遇を受けられるようになり、多くの場合、寄付された品物の販売価格の最大35％を回収できるため、より満足しています。
Nervegna氏は今後に向けて次のように付け加えています。「BitGoodにより、CARは社会と卸売業者に多くの利益をもたらしました。そして、協力してこの経験をさらに拡大し、イタリアの他の都市や、できればヨーロッパ以外の地域にも広げたいと考えています。」
脚注
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2021年10月
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BitGoodはIBMのプロダクトまたはサービスではありません。BitGoodは、場合によっては、製品またはサービスに付属するDeep Labの利用規約に基づいてユーザーに販売またはライセンス供与されます。BitGoodの可用性、あらゆる保証、サービス、サポートは、Deep Labが直接責任を負い、ユーザーに直接提供します。