世界中のフェリー利用客は年間数百万人。乗客を安全かつ効率的に目的地へ運ぶことが、物流上の大きな課題です。
そこで登場したのが、フィンランドに本拠を置く中堅企業のCarusです。Carusのホワイトラベル・ソリューションは、乗客が旅行全体を通じて使用できるアプリによって世界中のフェリー会社をサポートします。
旅行者は乗船前にアプリでチケットや車両スペース、キャビンを予約できます。乗船中は、食事やその他のアメニティの購入に使用できます。また、フェリーの目的地に到着すると、アプリを使ってレンタカーやホテルの予約、航空券・バスのチケットなどが簡単に手配できます。
ただし、世界中で事業を展開するには、特有の諸課題が伴います。Carusがアラスカのフェリー会社と協議を始めたとき、それらの課題が非常に明確になりました。アラスカの会社の目的地のいくつかは、非常に遠隔地にあったため、信頼できるインターネット接続はおろか、電気も常に使えるわけではありませんでした。このような孤立した目的地に向かう乗客に、セキュリティーが充実した信頼性の高いITサポートを提供することは、新しいタイプの問題を意味していました。Carusは、長年サーバーの運営で頼りにしてきたIBMの協力を得て、その問題を解決する用意ができていました。
大規模処理
1つのクライアント・インストールで88,70,402 個のAPI リクエストを7日間で処理可能
より迅速な応答
平均応答時間418ミリ秒
Carusは、新しい顧客をサポートするために、IBMパブリッククラウド上のIBM Cloud Bare Metal Serversを選択しました。Carusのセールスディレクターであるジョン・バーテル氏は、ベアメタルを選択した理由を次のように説明しています。「さまざまな要件があるため、当社にとって事前構成されたクラウド・サーバーを使うのは難しいのです。データベース・サーバーが必要で、これには、さほどプロセッサ能力を必要としませんが、大量のストレージを必要とします。また、大量のRAMを必要としながら、ストレージ不要のアプリケーション・サーバーが必要です。数多くの異なるコンフィギュレーションが必要とされており、標準的なサイズでは往々にして適合しません。IBM Bare Metal Serversは、要件に合わせてサーバーを設計・最適化できるため、当社に最適でした。
Carusのアラスカの顧客のサーバーは、ワシントンDCとカリフォルニア州サンノゼのデータセンターに設置されており、2つの拠点間でデータがミラーリングされます。これにより、ソリューションが常に高可用性を維持できるようになります。バーテル氏は、これが重要な理由を次のように説明します。「これらの地域のほとんどは、別の場所への道路接続がありません。一般的に、フェリーが交通手段と通信手段の両方を担う主な手段なのです。」
彼はさらに次のように続けます。「ソフトウェアがローカルでオフラインでも動作し続け、可能な場合には通信できるようにするために、ソフトウェアにさらにいくつかの機能を組み込む必要がありました。それは船舶から衛星経由で送信されることもあれば、ネットワーク接続がある場合は次の港から送信されることもあります。」
アラスカでの導入が成功したことにより、Carusは他の顧客に対してもIBM Cloud Bare Metal Serversの使用開始を確信しました。課題は通信事業者によって異なる場合がありますが、ベアメタルの利点が、Carusが対処するあらゆる課題に役立ちます。
たとえば、Carusの顧客の中には、わずか30分で2,000人の乗客をフェリーに乗せることも珍しくありません。チケットをチェックして乗客を船内の宿泊施設に効率的に誘導するには、ピーク時に信頼性の高いCarusのシステムが必要です。「このようなときにIBM Bare Metal Serversが本領発揮します」とバーテル氏は言います。「優れたデータ通信と優れたデータ速度が必要であり、乗客全員の時間通りの乗船には、プロセスのさまざまなステップをすべて非常に迅速に行う必要があります。」
規模や場所に関係なく、セキュリティーはCarusの顧客すべてに共通する際立った懸念事項です。他の公共交通機関と同様、フェリー事業者も近年、IT業務と同様にセキュリティーを強化する必要に迫られています。「セキュリティーがますます重要になっています。事業者がランサムウェアの攻撃を受けているのを見たことがあります。突然、この業界全体に広まったんです」とバーテル氏は言います。
IBM Bare Metal Serversを使用することで、Carusとその顧客は、自社の環境が完全に専用であると安心します。バーテル氏は次のように述べています。「ゼロトラスト環境を確実に維持するために、データセンターのセキュリティーの設定に多くの時間とエネルギーを費やしています。」
間違いなくIBMはCarusに顧客が求めるスピードと信頼性を提供しています。実際、バーテル氏の報告によると、ピーク時に顧客の設備では1時間あたり6,855件の予約が実行されたことが証明されています。1つのクライアント・インストールにより8,780,402件のAPI リクエストを7日間で処理し、平均応答時間は418ミリ秒でした。
バーテル氏は、プラットフォームの再現性の理由の1つとして、今後は IBMベアメタルが同社の優先構成になるだろうと述べています。「私たちは、中東やアジア、ヨーロッパ、米国、メキシコなど、世界中での見込み客に取り組んでいます」と彼は言います。「そして、どこに行ってもローカルのIBM Cloudを見つけることができ、それは今後も同じであることを私たちは知っています。私たちは、サンノゼで行ったことをそのまま引き継ぎ、シンガポールやドバイ、メルボルン、バハでも同じことができることを知っています。同じ条件なのです。」
最後に、バーテル氏は、自社組織にとっての大きな利点としてIBMの名前を挙げています。「私たちは小規模会社でありながら、非常に大規模な顧客と取引しているため、IBMのような大手企業が私たちの後ろ盾になっていることが非常に重要です。IBMが提供する大規模なインフラストラクチャーを利用できると聞くと、顧客の関心は急速に高まるのです」と彼は結論づけています。
1998年に設立されたCarusは、旅行・運輸業界に情報システムを提供する世界的なサプライヤーです。そのソリューションは、発券や船内サービスなどを含む旅客船業界のほぼすべての側面をカバーしています。同社はフィンランドに拠点を置き、アラスカからタスマニアまで世界中に事業を展開しています。約150人の従業員を擁し、年間3,300万人以上の乗客にサービスを提供しています。
脚注
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2021年3月、米国で作成。
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