IBM Planning Analyticsのおかげで、スイスの電力会社は常に全社規模で最新KPIの概要を把握しています。
BKW社は125年以上にわたって地域に電力を供給してきました。最近のデータによると、約100万人が水力発電所で生産された同社の電力を利用しています。事業はここ数年で根本的に変化しました。ネットワーク・インフラストラクチャー部門と建築技術が後から加わった結果、BKW社が所有する送電線は現在およそ13,700マイルとなっています。直近で変化が見られた部門はエンジニアリングとサービスで、どちらも大幅に拡大しました。BKWグループはさまざまな規模の企業を100社余り受け入れており、2013年に2,500人程度だった従業員数は2023年には11,500人を超えています。しかし、さまざまな事業をすべて引き継ぐために、BKW社は異なるシステムや報告手順を統合する方法も模索しなければなりませんでした。
BKW社の財務部門にとって、グループの財務成績を監視し月次データを報告する上でサービス事業が特に大きな課題となっていました。SAP S/4HANA 2017を導入することで、確かに財務管理は改善できましたが、当時は短期の報告書を作ることができなかったのです。BKW社が買収した企業の中にはSAPソフトウェアをまったく使用しないところもあったため、異なるシステムの利用によって報告書が断片化されていました。以前に導入されていたMicrosoft Excelベースの方法はエラーが発生しやすく、利用が困難でした。たとえば、ネットワーク部門やエネルギー部門の一部では月次データを作成できませんでした。事業の概要が把握できるのは6ヵ月および12ヵ月間の報告書が作成されたときだけで、エネルギー部門の売上高は、販売翌月の20営業日になって初めて会計で明らかになりました。つまり簡単に言えば、管理者はグループ各企業の事業状況に関する直近の短期的な概要を求めていたのです。各部門の財務成績を評価し、経営幹部や管理者レベルで適切な意思決定を行うには、より最新の情報が必要でした。
必要なのは、利用可能なデータを活用し、CFO(最高財務責任者)と経営陣が強化できるソフトウェア・パッケージのBusiness Analyticsを含む、柔軟かつ効果的な財務管理システムでした。このソリューションは、翌月8日までに内部および外部ソースから提供されるモデルベースの仮定に基づいています。ソフトウェア・ソリューションは、安全で使いやすく、管理者がデータを完全に制御できるものでなければなりませんでした。
入札の準備中、BKW管理者にとって特定の基準が特に重要となりました。要件をひとつ挙げると、分析ソリューションが経営幹部への戦略的かつ運用上の支援を主な焦点としていることです。たとえば、グループ統括部門は新しいデータ・ソースや分類を考慮し、たった数時間でデータ構造に柔軟な変更を加えることができなければなりませんでした。加えて新しい分析パッケージでは、財務、非財務、技術、市場固有の指標など、さまざまなKPIを表現することが求められました。毎月の事業報告書は、遅くとも翌月の10日目までに作成する必要がありました。さらに、組織の変化をシミュレーションしたり、過去の報告書を更新したりできてしかるべきです。ワークフローや、プロセスに関わる全関係者とのコミュニケーションも、報告書の迅速かつ簡単な配布と同じように盛り込まれていなければなりませんでした。
しかし、BKW社のサービスに関する報告にはまだExcelスプレッドシートが使われていたため、最終的には、どこが最適なソリューションを提供できるかということが重要な疑問となりました。IBMはそれに対し、IBM® Cognos TM1の新しい改良版であるIBM Planning Analyticsパッケージで最高の印象を与えたのです。チームを魅了したのは、ソフトウェアの柔軟性と使いやすさでした。管理者はすべてのマスター・データとともに新しい組織を非常に迅速に追加したり、再割り当てしたり、さまざまな組織構造を並行して表示したり、ビューや分析を新しい要件に適応させたりすることができます。グループが経験してきた、部門ごとに異なる急速な成長を考えると、こうした性質は特に有益です。
IBM Planning Analyticsのインストールはスムーズに進み、結果としてすぐに完了しました。グループ統括部門から作られた小規模チームが日常業務と並行してプロジェクトを進め、その過程でIBM専門家から指導を受けました。このように直接の監督があったおかげで、BKW社の管理者たちは、自社データを使って特定の目的に必要なモデルを生成する方法をすぐに習得しました。実際、彼らはわずか数日で独自のレポートを作成できるようになり、数週間後にはモデルやデータを変えることさえできるようになったのです。
ソフトウェアの導入が成功したことで、月次報告書の作成という新システムの採用目的が達成されました。やはりIBM Planning Analyticsを使うことで、予算編成プロセスの高速化など、他に有益な変化もありました。以前は予算承認までに最大26週間かかっていましたが、現在は8週間しかかかりません。中期計画も盛り込まれ、2050年までの未来を見据えた戦略的な数値を算出することができます。そのためBKW社の要望は、当初求めていた全事業部門の短期的な概要から、包括的な将来計画の網羅に引き上げられました。新システムのモジュール構造、柔軟性、使いやすさのおかげで、管理者は事前に特別なITスキルを習得する必要なく、ここに挙げたものを始めとするさまざまな可能性を生かすことができています。
導入の結果、BKW社は報告作成と予算編成を大幅にスピードアップすることができました。そして管理者は、ビジネス上のあらゆる課題を柔軟な発想で解決できる多機能ツールを自由に使えるようになりました。一例として、会社の各支店に対する損益計算書を作成できることが挙げられます。毎年新しい企業が追加され、その財務データやKPIとともに登録する必要があることから、エンジニアリング部門の小規模組織をすべてカバーする独自の効率的な報告システムを構築するために、同社がソフトウェアをどのように利用したかということも興味深いです。IBMのERPソリューションのおかげで、これは特別なインプット画面を使って簡単にできます。分析システムはすべてのデータをまとめ、BKWエンジニアリング部門全体に関する特定のビューを提供します。そうすることで、エンジニアリング部門は比較的少ない労力で事業の現状に関する報告書を作成し、独自データを直接グループに報告できるのです。
IBM Planning AnalyticsはSAP会計システム全体を完全に置き換えることはできませんが、それが本来の目的ではありません。財務管理者が関心を持っているのは、意思決定を容易にするために有効な戦略および運用上のデータを経営者層に提供することです。大規模な整理が必要なことは言うまでもない状態で、保留中の月次報告書があり、複数の財務部門(税務と経理)が関与していても、管理者は翌月の8営業日までに適切な財務データを提供できるようになりました。そのデータも非常に正確です。これは管理者が現代企業で果たせる創造的な役割に新たな光を当てます。BKW社の場合、会計士は信頼できるナビゲーターへと進化を遂げました。そして、新たに生じるあらゆる課題に創造性とスキルを持って取り組み、解決し続けます。
BKWグループ(リンクはibm.com外部)はスイスのベルンに本社を置く国際的な電力およびインフラ企業で、現在11,500人を超える従業員を擁しています。企業、個人、公共部門向けに電力を生産、供給する技術インフラを計画、実装、運用し、再生可能エネルギーのデジタル・ビジネス・モデルを提供します。同グループのポートフォリオは現在、電力/インフラ/環境プロジェクトを扱うエンジニアリング分野のプランニングやコンサルティングから、建物サービスを電力/通信・交通ネットワーク/水供給システムの建設/サービス/保守と統合したパッケージまで多岐にわたります。
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2024年1月にドイツにて作成。
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