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IoTおよびAIテクノロジーが道路保守を変革します

イタリアの美しい春の日、紺碧の空にふわふわの白い雲。高速道路アウトストラーダA1を使ってフィレンツェへドライブするのにぴったりな日です。

マリオは、家族を連れて有名なドゥオーモ大聖堂とポンテ・ヴェッキオ橋に向かっています。自分が子どもの頃そうだったように、子どもたちにとって楽しい経験となることを願って。マリオはエンジニアとしてこの橋に魅了され続けてきました。ほぼ700年にわたり、現在の形でアルノ川に架かっているのですから。

トスカーナのなだらかな丘陵地帯を結ぶ近代的な橋を通過するときも、マリオはその建築にエンジニアとして心打たれていました。フィレンツェまでの快適な移動を実現した道路と橋の建設計画、建設、そして継続的な管理に組み込まれたテクノロジーには目を見張るものがあります。

700,000万個のコンポーネント

 

一元化されたシステムが700,000万個のコンポーネントからのデータを監視および管理します

4,000

 

4,000の橋、陸橋、高架橋の安全性向上と寿命延長を促進します

私たちは、Autostrade per l'Italia社において、技術革新、インフラストラクチャーのデジタル化、環境サステナビリティ―とモビリティ・サービスの強化などの抜本的な変革の実行に取り組んでいます。 ロベルト・トマシ氏 最高経営責任者 Autostrade per l'Italia社
道路を管理するのは誰?

イタリアの高速道路のインフラ管理に革新をもたらそうと尽力しているのが、MOVYON社の最高経営責任者であるロレンツォ・ロッシ氏。Autostrade Tech社から展開したMOVYON社は、インテリジェント交通システム・ソリューションの開発と統合をけん引しており、Autostrade per l'Italia社の研究とイノベーションのセンター・オブ・エクセレンスです。Autostrade per l'Italia社は、MOVYON社のテクノロジー・ソリューションを採用して、約3,000 km の高速道路の管理と維持を促進、マリオのようなドライバーの安全を確保しています。Autostrade per l'Italia社は、イタリア全土で1,900以上の橋と高架橋、約1,800の陸橋、さらに574のトンネルを管理しています。

インフラの保守プロセスは時間の経過とともに進化し、手作業による検査から、手作業とテクノロジーのサポートを織り交ぜた検査へと移行してきました。たとえば、数十年にわたって収集された大量のデータはデジタル化されており、現場でのレビューや検査に重要な要素を提供しています。

Autostrade per l'Italia社は、テクノロジーを採用し、完全なデジタル変革を行うことで、膨大な資産を監視および維持する方法を引き続き改善することを決意しました。同社からロッシ氏とMOVYON社に要請が入ったのは2つの具体的な目標を達成するためでした。

「まず、Autostrade per l'Italia社は、資産をより効果的に管理する方法を革新したいと考えていました」とロッシ氏。「2番目の目標は、ASPIのデジタル変革の促進でした」

ロッシ氏は、業界リーダーと協力して、業界テクノロジーをAutostrade per l'Italia社のためのクラス最高のデジタル資産管理ソリューションに組み込むことを希望していました。「技術を一から開発するのではなく、既存の技術を使って新しい何かを作ることはできますから」とロッシ氏は言います。

橋梁と道路インフラへの新たな焦点

MOVYON社は、100個の目の半分を開いて周囲を常に監視している神話上の生き物にちなんで、Argoと呼ばれる新しいデジタル資産管理プラットフォームの開発に着手しました。これにより、橋、高架橋、陸橋、トンネルの革新的な資産管理のための新しいツールが生まれ、以前は手動だったプロセスや、異種データ管理システムに取って代わる新しい検査および保守プロセスも生まれます。

MOVYON社は、IBM® Consultingに IBM Maximo® Application SuiteソリューションとIBM Maximo for Civil Infrastructureエクステンションの導入を依頼しただけでなく、両社が他の道路事業者に提供できる新しいタイプのインフラ管理ソリューションの構築も依頼しました。

「私たちの仕事を遂行するために必要なテクノロジーを提供してくれる最高のパートナーがIBMだと考えたのです」とロッシ氏。「そして、私たちの役割は、これらのテクノロジーを統合し、IBMとともに、これまで存在しなかったものを作り上げることでした」

IBMコンサルティング・チームはMOVYON社と協力して、Maximoソリューションとモノのインターネット(IoT)テクノロジーに基づく包括的なソリューションを設計しました。これらはすべてAIによって強化され、インフラストラクチャー管理へのよりスマートなアプローチを実現します。Maximo for Civil Infrastructure 拡張機能を使用すると、Autostrade per l'Italia社はインフラストラクチャー資産の監視、管理、保守、障害の予測、修理の優先順位付けを行うことができます。Argoプラットフォームは、IBM Cloud Pak® for IntegrationIBM Cloud Pak for Dataを使用して、Maximoソリューションで使用するIoTインフラストラクチャーデータを統合します。第3社企業であるFincantineri NexTech Spa (ibm.com外部リンク)が、IoTセンサーの設置をサポート、資産の3Dデジタルモデリングを提供しています。

重要な最初のステップとして、IBMチームとMOVYON社チームは、Autostrade per l'Italia社のデータ管理と品質の改善に取り組みました。チームはすべての資産関連情報と会社の文書アーカイブ全体への可視性と迅速なアクセスを提供するために、制御および監視システムを特徴とするデータ・ガバナンス・フレームワークを導入しました。単一のダッシュボードでアクティビティとデータの統合ビューが提供され、技術者が現場でリアルタイムにアクセスできるデジタル・アーカイブへのアクセスが提供されます。

Argoプラットフォームは、Maximo Asset ManagementおよびIBM Cloud Pakソリューションに基づいており、IoTセンサーとリアルタイムで通信します。このソリューションには、Argoソリューションで利用可能なデータから生成された橋と高架橋の簡略化されたビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)テクノロジー・モデルも含まれています。Maximoソフトウェアは、IoTセンサーから収集されたリアルタイムデータに基づいて、Autostrade per l'Italia社が検査のスケジュール設定などのインフラストラクチャー管理活動に必要な詳細情報を提供します。

このプロジェクトでは、現場オペレーター向けの新しいデジタル検査プロセスも定義されました。モバイル・アプリを介したマルチデバイス・アクセスが可能になります。このアプリを使用すると、技術者は橋の簡略化された3Dモデルを表示して、目の前の構造物と比較できるため、各部品を確実に検査できます。新しいワークフロー・プロセスにより検査が合理化され、オペレーターは問題の重大度を評価する際に特定のパラメーターの中から選択できるため、曖昧または主観的な報告が削減されます。

システムの追加機能強化では、監視対象のインフラストラクチャーの3Dモデルと技術者が現場で撮影した画像を組み合わせ、画像にAI分析を適用します。これにより、検査員が現場にいる間に、システムがメンテナンスの必要なセクションを判断し、追加のチェックや物理的検査をリアルタイムで提案できるようになります。

未来のための交通安全ソリューション

2019年のArgoプロジェクトの開始以来、IBMとMOVYON社の目標は、実証済みのIBM Maximoテクノロジーをベースにし、それを拡張して、インフラストラクチャー管理オペレーター向けの新しい資産管理ソリューションを作成することでした。したがって、Autostrade per l'Italia社はクライアントであるだけでなく、Argoプラットフォームとそのソリューションのテスト環境の提供者でもありました。

「ヨーロッパ最大級の高速道路運営会社にこのテクノロジーを設計することができました」とロッシ氏。「つまり、技術を証明し利点を示すために、3,000 kmの高速道路という実験室でテストする機会を獲得したのです。それから市場に展開するのです」

路上テストは成功し、IBMとMOVYON社は、Argoプラットフォームをわずか18カ月で運用開始しました。2020年11月、MOVYON社は、Argoプラットフォームが現在、Autostrade per l'Italia社ネットワークの 4,000の橋、高架橋、陸橋上の700,000個を超える個々のコンポーネントを監視および管理していると発表しました。

今日、検査官は、Autostrade per l'Italia社が管理する高速道路網の各インフラの全履歴を収集するデータベースに接続されたタブレットを装備して検査を実施しています。データは、検査結果と必要な介入に要する推定時間に基づいてリアルタイムで更新することができます。

2021年には、デジタルツイン・モデルが完全に展開され、AI分析がさらに強化されました。Autostrade per l'Italia社は、レーザー技術と高解像度カメラを備えたドローンに搭載された Fincantieri NextTech 3Dスキャン装置を使用して、橋と高架橋のマッピングを行っています。デジタルツイン・テクノロジーが完成すると、Autostrade per l'Italia社は構造およびメンテナンスの傾向を分析し、Maximoソリューションによって管理されるメンテナンス活動を改善するための新しいアルゴリズムを開発できるようになります。

「同じイメージが時間の経過とともに変化しているのがわかります」とロッシ氏。「写真を撮ってから3カ月後に同じ場所でもう一度写真を撮るのです。そして、AIアルゴリズムを実行して、そのスポットがどのように変化しているかを確認できます」

Argoプラットフォームとその関連テクノロジーは、Autostrade per l'Italia社で進行中のデジタル変革の一部を担っています。そしてAutostrade per l'Italia社を、世界ではないにしても、ヨーロッパで最も技術的に先進的なモビリティ・オペレーターに引き上げています。Autostrade per l'Italia社は、マリオ家のようなドライブ旅行をより速く、より快適にするために、他のスマート道路テクノロジーや、新しいインテリジェント・サービスエリアを実装しています。たとえば、ルートで発生している問題について警告したり、サービスエリアの状況を知らせたりして、より効率的に休憩場所を計画できるようにします。

「技術革新、インフラのデジタル化、環境サステナビリティーとモビリティ・サービスの促進などの抜本的な改革を実施するため、私たちは懸命に情熱を持って取り組んでいます」とAutostrade per l'Italia社の最高経営責任者であるロベルト・トマシ氏は言います。

IBMとMOVYON社は協力してAutostrade per l'Italia社の特定のニーズに対応しましたが、Argoプラットフォームは反復可能で導入可能な市場投入ソリューションとして設計されました。他のインフラ事業者や国に合わせてカスタマイズでき、イタリア市場に特有のソリューションではありません。橋、トンネル、高架橋などの物理資産を監視する必要がある有料道路・道路運営者は、強力な Maximo Asset Managementソリューション、IoT、AIテクノロジーを備えたソリューションを使用して、物理資産をより適切に維持することができます。

「MOVYON社の進化と同様に、私たちは持続可能なモビリティのための目に見えないテクノロジーの発明、実装、統合を続けていきます」とロッシ氏は締めくくります。「新しいテクノロジーがあらゆる形態のモビリティをどのように容易にするかを想像しながら、革新を続けていきます」

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Autostrade per l'Italia Spa社について

Autostrade per l'Italia社(ibm.com外部リンク)は、ヨーロッパ最大級の有料道路を運営し、イタリア有料道路システムの50%に相当する約3,000 kmを管理しています。MOVYONE社(旧Autostrade Tech社)(ibm.com外部リンク)は、Autostrade per l'Italia社およびその他のモビリティ事業者向けに、インフラ、交通・安全管理、料金徴収、スマート道路技術など、革新的でスマートかつ持続可能なモビリティ・ソリューションを設計・導入しています。

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2022年3月、米国で作成。

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