Andhra Paper社が米国の親会社を離れて、インドの新しい企業グループに加わる準備を進める中で、ミッションクリティカルなSAP® ERPビジネス・システム用のプラットフォームを早期に見つける必要がありました。IBMと提携したことで、ビジネスの中断を最小限に抑えながら、1万4000 km以上におよぶ移行を完了しました。
IBMと緊密に連携して、計画通りにインドへの移転を完了し、核となるSAPソリューションをIBM Cloud 上のマネージド・サービスに移行しました。
「移転の最終段階は、新型コロナの感染拡大の最初のピークと重なりましたが、IBMはは準備周到でした。結果的に、パンデミックの影響をほとんど受けませんでした」と、Andhra Paper Limited CIOのSreenivas Pamidimukkala氏は言います。「私はIT業界で25年間働いてきましたが、IBMとの提携ほど効果的なパートナーシップを経験したことはほとんどありません。今回のパートナーシップは、心からの喜びでした」
同社はこの移転の成功を受けて、再びIBMと連携し、財務、ガバナンス、リスク、コンプライアンスのための最先端ソリューションを備えた、次世代ERP SAP S/4HANAへの移行を行いました。
「SAP S/4HANAとSAP Fioriのユーザー・エクスペリエンスのおかげで、当社の管理者はより迅速に、より多くの情報に基づいた意思決定ができるようになりました。業務効率を高めて、インドでの成長を促進するのに役立っています」と同氏は付け加えています。
Andhra Paper社は長年にわたり、米国の親会社がホストであるSAPソリューションを使用して、調達から支払い、注文から現金化、計画から製造などの核となるワークフローを含む、ビジネス・プロセスをインド全土で推進してきました。SAPアプリケーションは事業運営に不可欠であるため、米国からインドへの移転に伴うコストとリスクを管理することが重要な目標でした。
「当社の生産ラインは、24時間365日稼働しています」と同氏は言います。「当社は現金で取引を行うビジネスであり、利益率はそれほど高くないため、移行中にSAPシステムがオフラインになる時間を最小限に抑える必要がありました」
同社は、10 TBを超えるSAPデータを1万4000 km以上も移動するという課題の解決だけでなく、既存のSAP ERPシステムに物理的にアクセスせずに、目標を達成する方法を模索していました。
「当社の元親会社には、厳格なシステムおよび組織管理(SOC)ポリシーがありました。自社の管理者以外の人物が当社のSAP ERPデータが保存されているデータセンターにアクセスすることは、禁止されていました」と同氏は思い出します。「したがって、当社の従業員や第三者が現場で作業を行うことなく、データを抽出できるアプローチを考案する必要がありました」
Andhra Paper社は、データを転送し、SAPソリューションをローカルで運用するためのオプションを検討しました。
「IBMは、米国から私たちのデータを抽出するための独創的なソリューションを提案してくれました」と、Pamidimukkala氏は続けます。「IBMのネットワーク接続ストレージ・デバイスを使用して、管理者はSAPデータのコピーを作成しました。IBMはこのデバイスをバージニア州のデータセンターに物理的に輸送し、IBM Cloud上で暗号化された接続により、最終目的地であるインドのチェンナイにデータを移転してくれました」
Andhra Paper社は、SAPソリューションを運用するために、IBM CloudのSAPソリューションに、Enterprise Application Managed Servicesを採用しました。
「当社のインドの事業拠点は、比較的小さな都市にあるため、新しいデータセンターに人員を配置するための現地リソースでは、コストが高く、複雑で、リスクも高くなります」とPamidimukkala氏は言います。「クラウドが最適な選択だと感じました。IBM Cloudに移行することで、システム管理者を採用する必要がなくなり、IT部門に5人分のFTE(フルタイム当量)を増やすことなく、運用コストを削減できました。最も重要なのは、IBMが当社の重要なSAPシステムを24時間365日管理してくれているという安心感です。私たちのチームは、付加価値の高いサービス開発に集中することができています」
データの移行に成功し、SAP ERPソリューションが稼動したことで、Andhra Paper社は、IBMと導入パートナーの支援を受けて、SAP S/4HANAに移行することをすぐに決めました。ほぼリアルタイムにインサイトを得て、データに基づく意思決定を行うためです。
Pamidimukkala氏は続けます。「SAP S/4HANAにより、月末締めプロセスを最大で10%短縮し、財務パフォーマンスに対する深いインサイトが得られるようになりました。また、SAP S/4HANAが財務管理プロセスに大きなメリットをもたらすことにも期待しています。以前は手動でスプレッドシートを使用していた作業を自動化し、投資ポートフォリオ全体を瞬時に可視化したことで、迅速な最適化が可能になり、収益が向上しました。財務、ガバナンス、リスク、コンプライアンスのための新しいSAP S/4HANAソリューションが稼働すると、意思決定を盤石なビジネス管理体制の中で進めていきます」
同社は、統合SAPソリューションの活用を広げていく予定です。Pamidimukkala氏は言います。「注文の約90%は、サードパーティー・ツールをベースとしたWebポータル経由で届きます。このテクノロジーをSAP Commerce Cloudに置き換えることで、単一ベンダー・ソリューションならではの効率を得て、顧客の注文とサポートを効率化し、カスタマー・エクスペリエンス、ひいては顧客満足度を高めることができます」
IBMとIBM Cloudのサービスにより、Andhra Paper社はSAP BASISレベル以下の手作業の必要性を排除し、コア・コンピテンシーに集中して、ビジネスの成長を追求できるようになりました。
「SAP S/4HANAを導入したことで、当社のほとんどすべての業務に関して、迅速にインサイトを得ることができました」とPamidimukkala氏は締めくくりました。「新しい製造拠点の開設や買収を行う時期が来たとき、IBM Cloudがスケーラブルで費用対効果の高いインフラストラクチャー・プラットフォームを提供してくれるおかげで、その機会をすぐにつかむことができることを確信しています」
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2021年6月、米国で制作
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