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英国、工場ですぐに使えるリーディングAIソリューションでインダストリー4.0を推進
ドームガラスの建物

AMRC は、目視検査用のAI駆動型製造システムを導入して、インダストリー4.0の変革を推進します。IBM Power System AC922サーバーで稼働するIBM Maximo Visual Inspectionソフトウェアは、セキュリティー機能に優れており、クラウド対応のIBM FlashSystem®ストレージを備えており、AMRCが革新的なアイデアをスピーディーに形にできるよう支援します。

ビジネス上の課題

Advanced Manufacturing Research Center(AMRC)は、無駄を減らし、より迅速に欠陥品を検出するための、AI駆動型目視検査システムの開発を目指していました。

概要と経緯

同センターは、ショーケース施設であるFactory 2050に、高性能のPower Systems AC922サーバーで実行するIBM Maximo Visual Inspectionソフトウェアを導入しました。FlashSystemソリューションにより、スループット速度とストレージ効率がさらに向上しました。

結果 5 GB/sの画像転送速度を実現

インテリジェント目視検査システムの迅速な開発を支援

モデルのトレーニングとデータ管理を最適化
AIにより最適化されたプラットフォーム上で、直感的なIBM Visual Recognitionツールを活用
わずか5日間で概念実証(POC)ソリューションを提供
スタートアップ企業のビジョンの推進をサポート
ビジネス上の課題の詳細
インテリジェント検査システム

AMRCは、英国のイノベーションを牽引しています。シェフィールドにあるガラス張りの最先端のFactory 2050の施設内で、AI、モノのインターネット(IoT)、ロボット、その他のエマージング・テクノロジーを取り入れたデジタル・ドリブン・ソリューションを開発し、現実世界の製造上の問題を解決することを目指しています。かつては未来的と考えられていたこれらのソリューションは、今日からフルスケールで展開する準備ができており、英国の製造メーカーが第4次産業革命を推進しながら、パフォーマンスを向上させるのに役立っています。

「AMRCの理念は、世界の製造業界において、英国の競争力を維持することです」と話すのは、AMRCのInspection and AI部門でTheme Leadを務めるTom Hodgson氏です。「私たちは大学から出てきたアイデアを採用し、プロトタイプレベルまで開発しています。その後、パートナー企業と協力して、それらのテクノロジーを実稼働環境に移行するための研究プロジェクトを始動します」

Industry 4.0とも呼ばれる技術革新の新時代は、ダイナミックで相互接続されたインテリジェント・システムを導入することで、これまでのデジタル革命のブレークスルーを土台に、産業全体のバリュー・チェーンをさらに破壊し、最適化することが期待されています。この時代には、これまでにない処理能力とストレージ容量が必要とされます。

AMRCは、Industry 4.0への道を切り開く、国内に7か所ある高付加価値製造(HVM)カタパルト・センターの1つです。国内の製造セクターを活性化するために、UK Innovateによって2011年に始動されたHVM Catapultイニシアチブは、研究者とあらゆる規模の企業を結び付けてソリューションを開拓し、グローバル市場を活性化します。

「カタパルト・チームの一員としての私たちの義務は、英国企業に最先端の技術、ツール、テクノロジーをデモンストレーションすることです」とHodgson氏は言います。AMRCは、個々のITベンダーに偏見を持たずに、新しいテクノロジーを徹底的に精査し、開発します。次に、再構成可能なデジタル支援による組み立て、コンポーネント製造、および機械加工技術に特化した国内初の施設であるFactory 2050で、多くの高度なソリューションを紹介します。

AMRCの開発プロジェクトの1つは、特に航空宇宙や防衛などの安全性が重要な産業において、製造された構造コンポーネントの欠陥を検出するための手動でのプロセスの自動化です。従来の工場労働者は、光線やその他の労働集約的な方法で部品を検査してきました。自動化されたインテリジェント目視検査システムにより、欠陥部品の大規模かつ迅速な検出が可能になり、結果として欠陥が減り、無駄が減り、コストを削減できます。

プロジェクトチームは、画像分類と欠陥検出のための正確なモデルを作成するための、機械学習ベースの視覚認識ソフトウェアを必要としていました。研究者らは、標準的な環境で複数の角度から撮影された高密度の部品画像を数千枚キャプチャし、ラベル付けすることでデータセットを構築し、市販されているさまざまな視覚認識製品のテストに使用しました。しかし、この従来の画像処理のアプローチでは、最先端の研究者のニーズを満たすことができませんでした。AMRCでAI Technical Leadを務めるSean Wilson氏は、「照明や、商品が倉庫内のどこに配置されているか、またどの倉庫や工場内に配置されているかなど、あらゆることが従来のコンピューター・ビジョン・アルゴリズムに大きな影響を与える可能性があります」と言います。「失敗の特徴に合わせて解決策を微調整するには、数週間かかる場合があります。しかし、新しいコンポーネントや失敗の種類についてはどうでしょうか。これらの解決策は、うまく一般化できません。

AMRCの標準的なオンプレミス・インフラストラクチャー(Factory 2050への1 Gb/sのネットワーク接続を備えた、別の建物内のCPUベースのサーバーで構成)も、チームの進展を妨げていました。このインフラストラクチャーでは、チームが生成した約20 GBに及ぶ各コンポーネントの大量の画像ファイルを迅速に処理できませんでした。さらに、同センターの企業顧客の多くは、業界の規制により、検査画像を数年間安全にアーカイブする必要があります。同センターの既存の保管場所には、このニーズを満たすだけのモダナイズされたストレージ容量が不足していました。

FlashSystemストレージをAC922サーバーに接続すると、驚くほど高速なスループットで、すぐに画像をダウンロードして処理できます。 Sean Wilson AI Technical Lead Advanced Manufacturing Research Centre(AMRC)
概要と経緯の詳細
AIにより最適化された処理と保存

研究者らは、必要としているソリューションがIBMにあることに気付きました。Wilson氏がIBM Maximo Visual Inspection ソフトウェアのテストにPower Systems AC922サーバーを使用することに決めたとき、AMRCはすぐにPower Systems AC922サーバーをセットアップして、訪問者にデモンストレーションを行いました。

「通常のカメラで500枚ほどの画像をすぐに撮影し、IBM Maximo Visual Inspectionソフトウェアにアップロードして、検査対象のコンポーネントの位置にタグを付けました。また、ソフトウェアにより、およそ20分以内にトレーニング済みのビジョン・モデルを生成できました」とWilson氏は言います。同氏は、このモデルの精度に驚愕しました。「なんと、1つのテスト画像から、すべてのオブジェクトを正確に識別することに成功したのです。これは、カラーキャリブレーションや照明などの心配をしていない画像でした。私は、このソフトウェアとハードウェアの素晴らしさをチームに伝えました」

AMRCでMachine Vision Technical Leadを務めるKieran Edge氏がプロジェクトを監督しています。「私たちは、分類および検出用途にIBM Maximo Visual Inspectionソフトウェアを導入する検討を始めました。そして、すぐにそれが大正解であったことがわかりました」と同氏は言います。

IBM Maximo Visual Inspectionソフトウェアは、コンピューター・ビジョン・モデルを構築・管理するための、オープンソースの直感的なフレームワークとツールを提供します。Factory 2050のオンサイトにあるPower Systems AC922サーバーは、プロジェクトのワークロードに必要な大規模なスループットをサポートする、最適化されたプラットフォームを提供します。世界最大級のスーパーコンピューターのバックボーンであるこのサーバーは、POWER9™ CPUとNVIDIA Tesla V100をNVLink GPUと組み合わせて、x86ベースのサーバーの最大5.6倍の入出力(I/O)パフォーマンスを可能にします。

スループット速度とストレージ効率をさらに高めるために、同チームは、Factory 2050のPower Systems AC922サーバーと併置し、直接接続されるFlashSystemソリューションも導入しました。「FlashSystemストレージにより、生成しているモデルのトレーニングと反復を実行する能力が格段に向上しました」とWilson氏は言います。エンタープライズ・クラスのストレージ・ソリューションは、フラッシュおよび不揮発性メモリー・エクスプレス(NVMe)のパフォーマンスと、IBM® FlashCoreテクノロジーの強固な土台を組み合わせます。

このソリューションは、セキュリティを考慮して設計されており、暗号化に加えて、FIPS 140-2認証を取得済みです。さらに、IBM Spectrum Storage™の機能との統合も容易で、クラウド上で拡張性の高い階層型ストレージ・ソリューションを実現できます。新しいプライベート・クラウドやハイブリッド・クラウド・モデルを使用して、インフラストラクチャーをモダナイズしたいAMRCとその顧客にとって、もう一つのメリットになります。「クラウド・ソリューションは、インテリジェントな自動化の導入に必要なハードウェアへの投資を省くことで、多くのお客様のニーズに合致します。他の企業にとっては、データの量、性質、頻繁なモデルの改善を考えると、ハイブリッド・クラウドのアプローチが最適と言えます」とWilson氏。「AMRCのコンテナ化されたアーキテクチャーにより、その両方をお客様に提供することができます」

成果の詳細
ショールームから工場のフロアまで

作業中の画像を分析するための、最新のアジャイルな、セキュリティが充実したインフラストラクチャーが整備されているため、チームはモデルの迅速なトレーニングと検証の継続を含む、目視検査プロジェクトを前進させることができます。新しいソリューションは、別の建物にあるオンプレミスのインフラストラクチャーの70 MB/sに対して、5 GB/sの転送速度を実現します。「研究は、可能な限り迅速かつ効率的に行う必要があります」とWilson氏は言います。「FlashSystemストレージをAC922サーバーに接続すると、驚くほど高速なスループットで、すぐに画像をダウンロードして処理できています」

研究者らは、膝関節置換術用のロボット画像ソリューションを含む、標準化された目視検査システムを開発する予定です。ただし、このシステムには業界を超えた用途があります。「この研究の主な目的は、企業がそのようなテクノロジーを効果的に導入する方法と、直面する可能性のある困難を実証することです」とEdge氏は言います。最終的に、この新しいシステムは、さまざまな製造メーカーが製品の品質、ならびに製造現場の生産性を高めて、コストを削減しながら無駄を減らすのに役立つ可能性があります。

このプロジェクト以外にも、AMRCのチームはオンサイトのIBMサーバーおよびストレージ・ソリューションを活用して、AIに焦点を当てたイニシアチブで製造メーカーを支援できます。オンプレミスのIBMサーバーおよびストレージ機能を提供できることは、機密データを扱う顧客にとって特に重要です。「IBMのおかげで、最先端のAIサーバーとストレージを工場のラック内の小さなスペースにまとめることができました」とWilson氏。「IBMのオンプレミス機能を利用できるようになったことは、お客様がデータの安全性に自信を持って、AIやビッグデータなどの分野でイノベーションを起こせるということです」

また、同チームは、中小企業の製造ライフサイクル全体にわたるイノベーションを支援する、というミッションをさらに推進することができます。最近、あるスタートアップ企業がAI駆動型ソリューションに関するアイデアをWilson氏のチームと共有しました。研究者らは、IBMのインフラストラクチャー上で稼働するIBM Maximo Visual Inspectionソフトウェアを使用して、わずか5日間で顧客向けのPOCソリューションを完成させました。Wilson氏は、「IBMのソリューションがなければ、データセットにラベル付けをするだけで5日間を要したでしょう」と述べています。

AMRCのチームは、Industry 4.0 イノベーションの最前線で、これまで以上に熱心に取り組んでいます。「Factory 2050は、オープン・ショップです」と同氏。「当社のショールームのフロアに立って、「「このイノベーション」は未来のことではありません。今です。工場やそのプロセスで、実際に使い始めることができるものです」と言えることに興奮しています」

Advanced Manufacturing Research Centreのロゴ
Advanced Manufacturing Research Centre(AMRC)について

2001年設立のAMRC(リンク先は、ibm.comの外部です)は、先進的な機械加工、製造、材料の研究で世界をリードする組織です。世界中から600名を超える研究者やエンジニアが集まり、高付加価値製造技術やテクノロジーの開発を加速しています。AMRCは、AMRCグループの一部であり、大学、教育機関、民間企業が関与するインダストリー・フォーカスの共同研究を推進しています。

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2019年11月、米国で作成

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