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自動化テクノロジーを活用して、画期的な最高裁判所の判決をサポート

1962年1月、フロリダ州立刑務所で5年の刑期が言い渡されてからわずか数カ月後に、Clarence Earl Gideonという名の51歳の囚人は鉛筆と刑務所の文房具を持って座り、米国最高裁判所に手紙を書きました。

その手紙は、その起源が地味なものであるにもかかわらず、最高裁判所で画期的な訴訟を引き起こし、今でも米国の司法界に響き渡っています。GideonとWainwightの判決のおかげで、刑事被告人が無料で公的弁護を受ける権利は、1963年以来、アメリカ国民によって当然のこととされてきました。

しかし最近、米国南東部のある州の裁判所管理局(AOC)は、今日の裁判所がGideonとWainwightの約束を守り続けるには何が必要かを検討しました。

AOCは、IBMビジネス・パートナーであるProlifics社と連携して、IBMの自動化テクノロジーを導入することで、過重な管理プロセスを変革し、公的防衛システムを大幅に効率アップしました。

AOCの物語は、プロセスの自動化が業務をいかに劇的に加速できるか、また今日の司法制度が憲法の中核的な権利であるすべての人の正義を守るうえで、最新テクノロジーがいかに重要な役割を担っているかを示しています。

135,000件の請求

 

増加する事件数には、年間135,000件の公的弁護請求が含まれている

77%

 

自動化により、1件の請求につき、請求の処理が45日以上から10日以下に、77%以上短縮

プロセスの大部分を最適化しました。 Matt Garst Head of North America Sales IBMビジネス・パートナー 、Prolifics社

Prolificis社の北米営業責任者であるMatt Garst氏が最近、効率の向上にどのように貢献できるかを検討するために、南東部の州のAOCと協議したとき、同氏はClarence Gideonのことを考えていませんでした。しかし、AOCがGarst氏と話したいと思った理由の少なくとも一部はGideonにありました。

1962年にGideonが最高裁判所に鉛筆書きの上告を送ったとき、彼はフロリダ州パナマシティのビリヤード場に侵入し、ビール、ワイン、小銭5ドルを盗んだ罪で有罪判決を受けていました。1961年に初めて裁判にかけられたとき、彼は合衆国憲法修正第6条に基づく公正な裁判を受ける権利を理由に、フロリダ州に弁護士の派遣を要請し増田。判事は、フロリダ州としては、死刑判決の事件に対してのみ、無料で代理を提供していると述べました。自らが弁護をすることになり、Gideonは有罪判決を受けました。

 

しかし翌年、ギデオンの上訴を受けて、最高裁判所は9対0で正当な判決が下されなかったと判断しました。ギデオンは新たな裁判に臨みました。今回は、国の資金援助を受けた弁護人が以前の証言を疑い、新たな証人を召喚しました。Gideonは結果的に無罪となリマした。そして、それ以降のすべての刑事事件において、50のすべての州で、法的代理人を雇う余裕のない被告は、裁判所によって「貧困」」に当たるとして、州に有効な代理人を要求できるようになりました。

「処理できる以上のもの」

今日、GideonとWainwrightの訴訟での教訓を実行できるかどうかは、「Indigent Defense System」と呼ばれる州裁判所のプログラムにかかっています。そしてこれが、AOCがGarst氏およびProlifics社のチームと話し合いたかったことです。

AOCは、貧困層の防衛に関連する過重なプロセスを軽減する方法を模索しました。同州は米国で人口が最も急速に増加している上位10州の1つです。同州の裁判所にとって、これは事件の件数が着実に増加し、公的弁護に対する需要がこれまで以上に増大していることを意味します。

貧困者の弁護制度における特定の事件について、効果的で公正な公的代理者を提供するには、1名以上の弁護人と、専門家、捜査官、通訳などのその他の人的リソースが必要になります。そしてこれは、これらの人的リソースに対して報酬を支払うことを意味します ここにAOCが抱えていた大きな課題がありました。

国選弁護人またはその他のリソースが事件の仕事にあった場合、報酬を受け取るためには、AOCに請求書を提出する必要があります。AOCは、請求内容がすべての規制に準拠していることを確認するための内部プロセスを経て、最高裁判所長官室に提出してはじめて、報酬の支払いが承認されます。

AOCは、このサイクルを促進するために、3つの個別の、その大部分が手動のプロセスを採用していました。Garst氏は次のように言います。「あるシステムにログインし、ある作業を行い、ログアウトして、別のシステムにログインし、別の作業を行い、ログアウトし、また別のシステムにログインするというものでした。そして、その基盤となる技術は維持される必要がありました。アップグレードを行うたびに、停止せざるを得ませんでした。管理面からもテクノロジー面からも、マネジメント上の悪夢でした」

年間135,000件の請求があり、その数は増え続けていますが、これらのプロセスと手作業で動き続けるスタッフは、対応に苦労していました。「スタッフは事件の件数が増加しているのを目の当たりにしていました」とGarst氏は振り返ります。「処理しきれないほどの担当を持っていました。多くの人が報酬を受け取っていない、遅れている、または間違った金額を受け取っているという問題に直面していました。」実際、70,000件以上の請求が、主に単純なエラーが原因で保留されており、管理スタッフが提出者に手動で通知するまで解決できませんでした。

この問題は、国選弁護人に不便と混乱をもたらすだけでなく、貧困者の弁護制度全体を危険にさらしています。Garst氏は次のように言います。「すべての州政府機関は、年に2~3回監査を受けています。会計検査院が違反を発見した場合には、閉鎖される可能性もあります。裁判所の事務局が閉鎖されたことを想像してみてください。それがメディアでどう報道されるでしょうか。したがって、一般の人々の認識は深刻な懸念事項であり、これは管理局に至るまで可視化されています」

AOCは、手動のタスクと断片化されたプロセスを統合された自動システムに置き換える必要があることを認識していました。請求処理を迅速化することと、報告目的で完全なトレーサビリティを提供することの両方が必要でした。Prolifics社に加えて、世界最大手のプロフェッショナル・サービス・プロバイダーを含む、いくつかのソリューション・プロバイダーに相談しました。「当社は、千倍の規模の企業と競争していました」とGarst氏は言います。「私たちの強みは、拡張するのに十分な規模を持ちながら、アジリティーを発揮できるほど小規模であることです」AOCにとって、勝利へ導く組み合わせでした。大手入札者の1社は、解決までに3~5年かかると見積もっていました。Garst氏とProlifics社チームは、その半分の時間でソリューションを実稼働環境に導入することを約束しました。そして、契約を勝ち取り、その誓いを果たしました。

典型的ではないエンゲージメント

Prolifics社は、ITソリューションを構築する企業です。したがって、Garst氏とチームは、CIO(最高情報責任者)やCTO(最高技術責任者)の承認を得て、顧客のIT部門と連携することに慣れています。AOCのプロジェクトは当初から異なっており、ITと正義という、一見異なる2つの領域のつながりは極めて明確でした。Prolifics社は、ITオペレーション・マネージャーではなく、弁護士と連携しました。CIOではなく、州の最高裁判所長官の承認を得る必要がありました。「顧客と会うたびに」とGarst氏は説明します。「部屋に入ると、部屋にいる全員が弁護士でした。そこには律法という本がありました。そして、彼らが加えたい変更、やりたいことがあると、本がめくられることになります。システム全体が、法律の文言を中心に設計されています」

典型的ではない契約であるため、協力体制が特に重要でした。Prolifics社チームは、AOCについてより深く理解する必要があり、AOCはITで得られる最新のものを理解する必要がありました。Garst氏は次のように言います。「何が可能かを理解してもらうために、すべてを最も単純なレベルにまで落とし込む必要がありました」AOCがあらゆる段階に関与するデザイン思考のアプローチにより、プロセス全体を通じて、コラボレーションとソリューション構築が導かれました。

最初のステップは、3週間にわたる調査と助言のセッションでした。「ネジを回し始める前に、私たちはボンネットを外して、彼らが直面している重大な課題を詳細に理解し、現状そして将来の目標を理解したいと思いました」とGarst氏は言います。

「ホワイトボードを使ったセッションが多くあります。主要な利害関係者、たとえばAOCの責任者のようなパワーユーザーに、第1段階のあるべき姿を考えるプロセスに直接参加してもらい、アイデアを持ち寄ってもらいました」

当初、AOCは、これら3つの既存システムのハード・コーディングの多くを適用し、Garst氏の言葉を借りれば「いくつかの新しいコンポーネントを上からボルトで取り付ける」ことを望んでいました。一方、Prolifics社チームは、根本的なアプローチが必要であると感じました。

「ユーザーの中には、このプロセスを40年以上続けているユーザーもいます」とGarst氏は言います。既存のプロセスに慣れきっており、『同じようにしたい』と」

Prolifics社は、「どういったことができるようになりたいですか」のような質問で考え方を変えました。より効率的に運用するために役立つ拡張機能や機能は何ですか、理想的なプロセスはどのようなものでしょうか。質問は新しいアイデアを引き出し、Prolifics社はそれを、はるかに優れた効率と完全な透明性を可能にする将来のプロセスに組み込みました。AOCチームの準備も整いました。

法廷では、判決は証拠次第です。AOCにとって、Prolifics社が将来のプロセスの約束を実現できることを証明するときが来ました。

IBM® Cloud Pak for AutomationソリューションとIBMビジネス・パートナーのIntellective社が提供するソフトウェア・コンポーネントを使用して、Prolifics社のチームは、最初の提出からワークフローとレポート、主任判事による承認、そして最終的な支払いに至るまで、貧困者の弁護請求プロセス全体を自動化する単一の統合フレームワークを構築しました。「プロセスの大部分を最適化しました」とGarst氏は言います。「システムは単なるシングル・スレッドではありません。自動化されており、キュー内のプロセスのどこかに何かが保留されていると、プロセスを継続するために自動的に2番、3番に切り替わります」

会計検査官が監査を開始すると、すべての詳細がすぐに入手可能です。「プロセス全体で完全な透明性を確保できています」とGarst氏は言います。「プロセスの各ステップで、誰がそれを所有しているのか、どこにボトルネックがあるのかがわかります」

エラーが前のステップにリレーされるのを待つことがなくなりました。即時通知により、送信者や他のユーザーはエラーがあるかどうかをすぐに把握できるため、追加の介入を必要とせずに、問題を即座に解決できます。

自動化は、弁護士が常に参照していた書籍にソリューションを合わせるのにも役立ちます。IBM Cloud Pak for Automationのルール・エンジン・コンポーネントを使用して、Prolifics社とAOCチームは、合理性と効率を促進する複数のワークフローを構築し、すべての手続き上の決定が州法に準拠していることを保証するルールを導入しました。

そして、新しいシステムはユーザーにどのように見えるのでしょうか。40年のベテランにどれだけフレンドリーでしょうか。そこでIntellective社のUnityソフトウェアの登場です。「非常に直感的で使いやすいフロント・エンドが必要であることは分かっていました」とGarst氏は言います。「私たちは、Intellective社のUnityコンテンツ・ナビゲーション・ソリューションを選択しました。すべてのCloud Pak for Automationコンポーネントと統合され、豊富でカスタマイズ可能なユーザー・インターフェイスを提供できます」

IBMとIntellective社のソリューションは、機密データを州内に保管するための州の要件に準拠するため、州のデータセンターでホストされる内部のプライベートクラウド環境で実行されます。

夢のシステム

このソリューションはまだ進化中ですが、AOCでは、すでに大きな改善が見られています。AOCの観点から最も重要な価値指標はおそらく、請求処理時間の短縮です。Garst氏は次のように言います。「手続きの最初から終わりまで、平均して45~60日ほどかかっていました。弁護士は、支払いが終わるまで何ヶ月も待つこともありました。現在は自動化により、10日以内に短縮されています。これは、法律で定められている時間よりも短いものです」

プロセスのあらゆる段階を可視化することで、管理とレポーティングを変革できます。「以前は、AOCの責任者が最高裁長官と面会する際、彼女とスタッフは、請求の全容を把握するために必要なデータを引き出すために、個々のシステムに数え切れないほどの時間を費やしていました。今は、iPadを開いて『これが件数です』と見せるだけで良くなりました。こちらが承認プロセスの現在の段階です」

このソリューションにより、10年ぶりとなる州国選弁護人の給与引き上げが促進されました。Garst氏によると、以前のシステムを使用していれば、この変更は大きな課題となっていたでしょう。「給与を変更する際には、簡単に変更できる方法が必要です。また、新しい給与が承認された日からのみ給与を変更するため、システム内の請求ごとに遡って変更する必要がないようにする必要があります。そして、ボリュームを見ると、かなりの量です。ですので、大きな挑戦でした」さらに、エンドツーエンドの透明性により、AOCは支払いを電子的に転送するための税務省の文書要件を満たすことができました。初めて、公的防衛リソースが電子資金移動(EFT)経由で支払われる可能性があります。

 

AOCのスタッフは、とても気に入っているようです。「スタッフは、このシステムに満足しています」とGarst氏は言います。「最も満足感の高いフィードバックは、現場からの声です。責任者は州中を回っており、さまざまな弁護士が所属する複数のユーザー・グループを持っています。昨年は、素晴らしいフィードバックしか得られませんでした」

この実績を受けて、AOCの考えは、他に何が可能かということに移行しました。「現在、機能強化を行っています」とGarst氏は言います。「レポート機能の強化、プロセスの強化。責任者のためのダッシュボードを構築しました。私たちは今、彼らが夢見てきたシステムを提供しています」検討されている機能強化には、AIを活用してデータを分析し、インサイトをフィードバックして、プロセスをさらに最適化することなどがあります。「彼らは興奮しています」とGarst氏は言う。「『ああ、これができるんですか?』と言います。あれもできますか?と。彼らは可能性に目を向けて、それを押し広げたいと考えています」

GideonとWainwrightの判決は、私たちの中で最も困窮しており、虐げられている人々であっても、正義の天秤に平等に重みを置くことを確認しました。AOCはその裁定を、日々行われている裁判に持ち込んでいます。しかし、困窮している被告の公正な代理人を確保することは、弁護人への補償を確保することを意味します。公的防衛の人的リソースにさらに多くの金額を支払い、より早く支払われるようにすることで、AOCはより多くの人材を貧困防衛システムに惹きつけ、リソースのプールを拡大しています。これは、困窮している被告がより迅速に公正な弁護を受けることができることを意味します。効率は、裁判所と弁護人にとっての勝利です。この結果は、Gideon対Wainwrightのように、正義の勝利です。

Prolifics社のロゴ
Prolifics社について

ITエンジニアリング・サービスとソリューションのグローバル・プロバイダーであるIBMビジネス・パートナーのProlificsは、顧客と緊密に連携してそのビジョンを理解し、業界とテクノロジーに関する専門知識を駆使して、ビジョンの市場投入を加速しています。

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脚注

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2022年11月、米国で作成

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