ホーム お客様事例 1LINK社 パキスタンにおけるデジタル・バンキングの開かれた未来
1LINKにより、APIプラットフォームとの迅速かつ手頃な価格での統合が可能に
デビットカードをATM機に挿入する男性

1LINK社は、パキスタンのすべての銀行をデジタルで接続する、接着剤の役割を果たしています。ATM引き出しからオンライン公共料金支払い、銀行間での電子送金まで、1LINK社は舞台裏でこれらの取引を実現します。

同社はまた、加盟銀行をVisa、MasterCard、JCB、UnionPayといった世界的な決済ネットワーク、および同社が所有・管理するパキスタンの国内決済スキームであるPayPakにリンクする中心的な役割も果たしています。

2004年に設立された1LINK社は、パキスタンの事実上の交換および決済システムと考えられており、全国の銀行を統合する唯一の組織です。同社は11の大手銀行からなるコンソーシアムが所有しており、その決済ネットワーク(「レール」)を使用する37行のメンバー銀行、700社以上の請求会社、20社以上の銀行以外の事業体を擁しています。

1LINK社は、長年にわたり成長してきました。その理由の1つとして、常に未来を見据えていることが挙げられます。2016年に戦略的ビジョンを策定する際、同社はより大きなターゲット市場に向けてサービスを開放することを目標にしました。「1LINKのレールを使用してトランザクションを実行したいと考えているサードパーティは数多くありました」と1LINK社の最高情報責任者であるAzimullah Khan氏は述べています。「私たちは、これらの銀行、フィンテック、独立サービス組織、請求アグリゲーターやイニシエーターが私たちのサービスを利用できるようにしたいと考えていました」

しかし、1LINK社のシステムに接続するために必要となる多大なコストと時間を考慮すると、課題に直面する潜在的なプレーヤーは複数ありました。当時、同社の中核となる電子送金(EFT)スイッチング技術のセットアップとテストは複雑で、パキスタンではそれを実行するソフトウェアが不足していました。

オンボーディング時間の短縮

 

新しいメンバーのオンボーディングにかかる時間を2~3か月から2~3週間に短縮

取引量が増加

 

取引量は2019年の5億9,000万件から2020年には14億件に増加

私たちは、APIプラットフォーム上でも従来の形式と同じ高レベルのセキュリティを維持したいと考えていました。DataPowerモデルは、トランザクションとAPIへのアクセスが非常に安全に行える環境を提供します。 Syed Suleman Hasan リスク担当責任者 1LINK社

国際企業の協力を得て開発した5か年戦略に、1LINK社はオープンAPIプラットフォームの採用を組み込みました。オープンAPIポータルを採用することで高価なミドルウェアやEFTスイッチングの必要性が排除され、フリーランスの開発者、スタートアップ、フィンテック、銀行、金融機関、ノンバンク金融機関、電子マネー機関、決済システム事業者(PSO)、決済サービスプロバイダー(PSP)、請求者、政府機関など、さまざまなエンティティーがこれまでよりも大幅に迅速かつ簡単に1LINK社のテスト環境に接続し、最終的に1LINK社のレールに移行できるようになります。

しかし、重大な懸念もいくつかありました。このソリューションは、パキスタン国立銀行のセキュリティ規制に準拠してオンプレミスに収容され、大規模かつ急速なトランザクションの流入に対応できるように拡張可能である必要があったのです。

セルフサービス方式のテストと迅速なオンボーディング

いくつかのAPI管理プラットフォームを評価した結果、1LINK社はIBM® DataPower® Gatewayハードウェア上に構築されたIBM API Connect®ソリューションを選択しました。この組み合わせにより、テストおよび統合用に会社のAPIに安全にアクセスするための一元管理されたプラットフォームが得られます。開発者はセルフサービス・ポータル経由でプラットフォームにログインし、1LINK社のAPIをテストできます。また、このプラットフォームはAPIのパフォーマンスと監視機能も提供します。

同社は、2018年後半にIBMのビジネス・パートナーであるSystems Limited社にプロジェクトの管理を委託しました。Khan氏は次のように述べています。「Systems Limited社は、設計と実装全体の監督に初日から携わってくれました。IBMはまた、当社と緊密に協力してプロジェクトの全体的な範囲を文書化し、ソフトウェアとセキュリティの問題について相談にのってくれました」

1LINK社が特に感銘を受けたのは、ソリューションのセキュリティ機能でした。「当社のセキュリティ標準とPCI DSSコンプライアンス・ガイドラインを考慮しながら、APIプラットフォームでも従来の形式と同じ高レベルのセキュリティを維持したいと考えていました」と1LINK社の最高リスク責任者であるSyed Suleman Hasan氏は述べています。DataPowerモデルは、トランザクションとAPIへのアクセスが非常に安全に行える環境を提供します。また、純粋なオープンソース・プラットフォームではないため、問題なくシステムをアップグレードしたりパッチを適用したりできると予想しています」

1LINK社の開発者ポータルは、1LINK社の機能をユースケースに組み込みたいと考えているプレーヤー向けに公開されている、APIのカタログを提供する無料のソリューションです。1LINK社の破壊的創造最高責任者、Syed Ahsan Aslam氏は次のように説明します。「過去2年で、パキスタンのデジタル決済分野、特にフィンテック分野は驚異的な成長を遂げてきました。新規参入者が毎日新しいことに挑戦したいと考えている一方で、銀行や請求業者などの既存のプレーヤーは諸経費を削減し、効率化を図る方法を模索しています。現在、こうしたプレーヤーがそれぞれのペースでテストや実験を行うことができるようになっています。また、準備ができれば我々に連絡して実稼働環境に移行することができます。これは双方にメリットのある状況です」

現在、特に今年は新型コロナウイルスの影響で、デジタル化への動きが絶え間なく進んでいます。それに対する備えができているということは喜ばしいことです。 Syed Ahsan Aslam 破壊的創造最高責任者 1LINK社
実現したビジョン

現在、1LINK社は当初のビジョンを実行に移している段階ですが、そのビジョンは進化を続けています。「現在、特に今年は新型コロナウイルスの影響で、デジタル化への動きが絶え間なく進んでいます」とAslam氏は言います。「それに対する備えができているということは喜ばしいことです。2018年にこの取り組みを始めたことで、トランザクションの増加に上向きの兆しが見え始める頃には、技術的な準備が整っていたのです」

1LINK社の顧客はこのソリューションによって時間とコストを節約できるも利点です。Khan氏は、API Connectプラットフォームでのテストとオンボーディングにかかる時間は2~3週間なのに対して、従来のシステムでは2~3か月かかると見積もっています。

API管理プラットフォームを経由するトランザクションが増加傾向にあるため、同社の全体的な見通しは明るいものとなっています。実際、2019年から2020年にかけての同社の総取引量は5億9,000万件から14億件と2倍以上増加し、同期間の取引額は4兆7,000億パキスタン・ルピーから8兆3,000億パキスタン・ルピーと64%増加しました。

最近では、1LINK社はオープンAPIロード・ショーを実施しており、フィンテック・コミュニティーから多くの関心を集めています。「私たちは、1LINKに接続しようとする新しいエンティティーにおいては非常に健全なパイプラインを持っています」とAslam氏は言います。「そして、これらのエンティティーが実際に市場に参入し、そのユースケースが実装されれば、Open APIプラットフォーム上の取引量はさらに多くなると予想されます」

同社は今後、IBM API Connectソリューションを使用して、その他の業界や政府分野との新たな統合を可能にする予定です。また、自社のインフラストラクチャーを最新化する方法(IBM API Connectで対応が事前構成されている移行)や、マーケティング・システムに人工知能を組み込む可能性についても調査しています。

「私たちはIBMとの長期的な関係を求めています。その目的は、安全で信頼性の高いシステムを構築し、ATMだけでなく、モバイル・アプリ、インターネット・バンキング・ポータル、電子商取引アプリからの大規模なトランザクションを処理できるようにスケールアップできるようにすることです。現在、それを実現するものとしてAPI Connectを検討しています」とKhan氏は言います。「始まりは12のAPIでした。現在、APIはすでに30を超えており、おそらく今後2年間でさらに100のAPIができると予想しています」

1Link社のロゴ
1LINK社について

1LINK社(ibm.com外部へのリンク)は、11の銀行からなるコンソーシアムが所有しているパキスタン初の決済サービス事業者(PSO)および決済サービス・プロバイダー(PSP)であり、ATMスイッチング、請求書支払い、銀行間送金、不正リスク管理、交換紛争解決、世界的な支払いスキーム、国内の支払いスキームなどのサービスなどの価値あるオンライン・バンキングを多数提供する最大のスイッチングおよび決済システムです。1LINK社は、金融業界に利益をもたらすために、常に進化し、新しい製品とサービスを追加しています。

Systems Limited社について

IBMビジネス・パートナーのSystems Limited社(ibm.comへのリンク)は、IT、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)、およびコンタクト・センター・サービスの世界的大手プロバイダーです。1977年に設立された同社は、パキスタンのパンジャブ州ラホール・カントに本社を置き、企業か公共部門かを問わず、両方の組織にコンピューティング戦略とソリューションを提供しています。米国、パキスタン、中東、アフリカのプロジェクトを監督しており、世界中に5,000人以上の従業員を擁しています。

次のステップ

この記事で紹介されているIBMソリューションの詳細については、IBMの担当者またはIBM ビジネス・パートナーにお問い合わせください。

お客様事例はこちら IBMへのお問い合わせ IBMコミュニティー

Gartner、2020年のMagic QuadrantでIBMをリーダーとして再選出

詳細はこちら
RBL Bank Ltd.

大手銀行に対抗するためのAPIエコノミーの構築

PDFファイルを読む
法務

© Copyright IBM Corporation 2021. IBM Corporation、IBM Cloud、New Orchard Road、Armonk、NY 10504

米国で製作、2021年2月

IBM、IBMロゴ、ibm.com、DataPowerおよびIBM® API ConnectはInternational Business Machines Corp.の商標であり、世界中の多くの法域で登録されています。その他の製品名およびサービス名はIBMまたは他社の商標である可能性があります。IBMの登録商標の最新リストは、Webサイトの「著作権および登録商標情報」(ibm.com/legal/copyright-trademark)でご確認いただけます。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。

お客様は、自己の責任で関連法規および規則を順守しなければならないものとします。IBMは法律上の助言を提供することはなく、また、IBMのサービスまたは製品が、いかなる法規もしくは規則をお客様が順守していることの裏付けを、表明ならびに保証するものでもありません。

適切なセキュリティ実践に関する声明:ITシステムのセキュリティには、企業内外からの不適切なアクセスの防止、検出、対応を通じてシステムと情報を保護することが含まれます。不適切なアクセスは、情報の改ざんや、破壊、悪用、誤用、または他者への攻撃への使用を含む、システムの損傷または誤用につながるおそれがあります。ITシステムや製品は完全に安全であると捉えるべきではなく、不適切な使用やアクセスを防止する上で絶対に効果のある、製品や、サービス、セキュリティー対策は1つもありません。IBMのシステム、製品およびサービスは、合法的で包括的なセキュリティー・アプローチの一部として設計されているため、必然的に運用手順が追加されることになります。また、最も効果を発揮するために他のシステム、製品、またはサービスが必要となる場合があります。IBMでは、いずれの当事者による不正行為または違法行為により、いかなるシステム、製品もしくはサービス、またはお客様の企業に対して影響が及ぶことはないことを保証するものではありません。