シスプレックスの特性

シスプレックスは、以下のソフトウェアおよびハードウェアで構成する ことができます。
  • z/OS®

    これらの製品には、システム間カップリング・ファシリティー (XCF) コンポーネントが含まれています。この機構を使用すると、シスプレックス内の 許可プログラムが、同じ MVS™ システムまたは別の MVS システムのプログラムと通信できるようになります。また、 シスプレックス・リソースを逐次化するグローバル・リソースの逐次化コンポーネントも 含まれています。

    z/OS は、カップリング・ファシリティーを サポートしています。これは、異なる MVS システムで実行されている複数の アプリケーション間およびサブシステム間にまたがる共用データに高速でアクセスします。

  • MVS システム間信号パス
    シスプレックス内の各 MVS システム間には、少なくとも 2 つの作動 信号パス (1 つはインバウンド・パス、もう 1 つはアウトバウンド・パス) がなければなりません。 この信号パスは、以下を使用して定義できます。
    • カップリング・ファシリティー・リスト・ストラクチャー
    • CTC モードで作動する ESCON または FICON® チャネル
    • 3088 複数システム・チャネル間連絡装置
  • シスプレックス結合データ・セット

    MVS は、シスプレックス内のすべてのシステムで共用される DASD データ・セットを必要とします (可用性の点から、 代替データ・セットを用意することを お勧めします)。 MVS は、このシスプレックス結合データ・セットに、シスプレックス、システム、XCF グループ、 およびこれらのメンバーに関連する 情報を保管します。 XCF グループとは、複数システム・アプリケーションが XCF に対して定義する 関連メンバーの集合です。 複数システム・アプリケーションは、 ご使用のシステムで定義されたプログラム、MVS コンポーネントまたはサブシステム、あるいはプログラム製品の場合があります。

    多重システム・シスプレックスおよび大部分の単一システム・シスプレックスには、シスプレックス結合データ・セットが常に必要です。 しかし、シスプレックス結合データ・セットを必要としない単一システム・シスプレックスを定義することもできます。

  • 共通時刻の参照

    シスプレックスが、2 つ以上のプロセッサーで稼働する複数の MVS システムで構成されている場合、MVS では、CPC 全体で TOD クロックを同期化するために プロセッサーが同じタイム・ソースに接続されている 必要があります。これは、 共通の 9037 シスプレックス・タイマーを使用して行うか、z890/z990 サーバーからは STP を介して行うことができます。z114/z196 サーバーから、 9037 シスプレックス・タイマー (Sysplex Timer) への接続は サポートされなくなります。 MVS は、シスプレックス・タイマー (Sysplex Timer) を使用して、システム間で TOD クロックを同期化します。

    単一プロセッサー (PR/SM™ または VMのもと) で定義されている 多重システム・シスプレックスの場合、CLOCKxx parmlib メンバーの SIMETRID パラメーターで、 シミュレートしたシスプレックス・タイマー (Sysplex Timer) ID を指定して、 MVS システムのタイミングを同期化しなければなりません。LPAR を使用するシスプレックスが 2 つ以上の 物理 CEC に常駐する場合、シスプレックスでは、ETRMODE YES または STPMODE YES が CLOCKxx parmlib メンバーに定義される必要があります。

ユーザー・シスプレックスの特定部分を管理するために、1 つ以上の 結合データ・セットを追加してインストールすることができます。
  • カップリング・ファシリティー・リソース管理 (CFRM)。 システムがカップリング・ファシリティー・リソースを管理する方法を定義します。
  • シスプレックス障害管理 (SFM)。 システムがシステム障害、信号接続障害、 および PR/SM 再構成処置を管理する方法を定義します。
  • ワークロード管理 (WLM)。 ワークロードのサービス目標を定義します。
  • 自動再始動管理 (ARM)。 自動再始動管理を使用して登録した開始タスクおよびバッチ・ジョブの 再始動を処理する方法を定義します。
  • システム・ロガー (LOGR)。ストラクチャーまたは ログ・ストリーム定義の定義、更新、または削除を行います。
  • z/OS UNIX システム・サービス (z/OS UNIX)。シスプレックスでファイル共用システムを使用する場合に、ファイル情報を保管します。

図 1 は、2 つの z/OS システム、SYSA および SYSB から構成されるシスプレックスを示しています。ここでは、両システムが 1 つのシスプレックス・タイマー (Sysplex Timer) および 1 つのカップリング・ファシリティーに接続されており、シスプレックス結合データ・セットおよび CFRM 結合データ・セットにアクセスできます。 シスプレックスは、各システムが、ARM (自動再始動管理)、LOGR、SFM、WLM、z/OS UNIX などの、1 つ以上の結合データ・セットにアクセスできるように構成されている場合もあります。

(追加構成のダイアグラムについては、シスプレックスへの MVS システムの 追加および シスプレックスの構成を参照してください。)

図 1. カップリング・ファシリティーおよび結合データ・セットのあるシスプレックス