多変量分散分析 (MANOVA)

「多変量分散分析 (MANOVA)」プロシージャーでは、1 つ以上の因子変数または共変量を使用して、複数の従属変数の回帰分析と分散分析を行います。各因子変数により母集団がいくつかのグループに分けられます。この一般線型モデル・プロシージャーを使用することで、従属変数の結合分布のさまざまなグループ平均に対する因子変数の効果について、帰無仮説を検定できます。 因子間の交互作用と個々の因子の効果を調べることができます。さらに、共変量の効果や、共変量と因子の交互作用を含めることもできます。回帰分析の場合、独立 (予測) 変数は共変量として指定されます。

釣り合い型モデルと不釣り合い型モデルの両方を検定することができます。モデル内の各セルに含まれているケース数が等しい場合、その計画は釣り合っています。多変量モデルの場合は、モデルの効果による平方和と誤差平方和が、1 変量の分散分析に見られるスカラー形式ではなく、行列形式になります。この行列は SSCP (平方和と交差積) 行列と呼ばれます。複数の従属変数を指定すると、各従属変数についての 1 変量の分散分析だけでなく、Pillai のトレース、Wilks のラムダ、Hotelling のトレース、Roy の最大根基準を近似 F 統計量と併用して、多変量分散分析を行うことができます。「多変量分散分析 (MANOVA)」では、仮説の検定の他に、パラメーターの推定も行います。

仮説を検定する際は、一般的に使用されている事前 対比を使用できます。さらに、全体的な F 検定で有意確率が判明していれば、その後の検定を使用して、特定の平均値間の差分を評価することができます。推定周辺平均からはモデル内のセルの予測平均値を推定でき、これらの平均値のプロファイル・プロット (交互作用プロット) を使用して一部の関係を簡単に視覚化できます。その後の多重比較検定は従属変数ごとに個別に行われます。

残差、予測値、Cook の距離、てこ比の値は、データ・ファイルに新規変数として保存し、仮定の確認に使用できます。また、残差の平方和と交差積の正方行列である残差 SSCP 行列、残差 SSCP 行列を残差の自由度で割った残差の分散共分散行列、および残差の分散共分散行列を標準化した形式である残差の相関行列も使用できます。

「WLS 重み」を使用すると、重み付き最小二乗法 (WLS) 分析の場合、観測値に異なる重みを与えるために使用する変数を指定し、それにより異なる測定精度を補正できる可能性があります。

プラスチック製造業者は、プラスチック・フィルムの引き裂き抵抗、光沢、および不透明度という 3 つのプロパティーを測定します。2 つの比率の押し出しと、量が異なる 2 つの添加物を試し、押し出し率と添加物の量の各組み合わせについて、3 つのプロパティーを測定します。ここで製造業者がわかったことは、押し出し率と添加物の量を使用して得られる結果が個々には有意だが、2 つの因子の交互作用は有意ではないということです。
方法
異なる仮説を評価する場合は、タイプ I、タイプ II、タイプ III、およびタイプ IV 平方和を使用できます。デフォルトはタイプ III です。
統計量
その後の範囲検定と多重比較: 最小有意差、Bonferroni、Sidak、Scheffé、Ryan-Einot-Gabriel-Welsch の多重 F、Ryan-Einot-Gabriel-Welsch の多重範囲、Student-Newman-Keuls、Tukey の HSD 検定、Tukey の b、Duncan、Hochberg の GT2、Gabriel、Waller Duncan の t 検定、Dunnett (片側と両側)、Tamhane の T2、Dunnett の T3、Games-Howell、および Dunnett の C。記述統計: すべてのセルにおけるすべての従属変数の観測平均値、標準偏差および度数、Levene の等分散性検定、従属変数の共分散行列の等分散性に関する Box の M 検定、および Bartlett の球面性の検定。
プロット
レベルと広がり、残差、およびプロファイル (交互作用)。

データの考慮事項

データ
従属変数は量的である必要があります。因子はカテゴリー型で、数値または文字列値を持つことができます。共変量は、従属変数に関連する量的変数です。
仮定
従属変数の場合、データは多変量正規母集団からのベクトルのランダム・サンプルです。母集団では、すべてのセルの分散共分散行列は同じです。分散分析は正規性からの逸脱に対して頑健ですが、データは対称でなければなりません。仮定の確認には、等分散性の検定 (Box の M を含む) およびレベルと広がりの図を使用できます。残差と残差プロットについて探索的分析を実行することもできます。
関連プロシージャ
分散分析を行う前にデータを調べる場合は、「探索」プロシージャーを使用します。単一の従属変数の場合は、「GLM 1 変量」を使用します。各被験者に対して同じ従属変数を何度か測定した場合は、「GLM 反復測定」を使用します。

多変量分散分析 (MANOVA) 表の取得

この機能を使用するには、Custom Tables and Advanced Statistics が必要です。

  1. メニューから次の項目を選択します。

    「分析」 > 「グループ比較 - パラメトリック」 > 「多変量分散分析 (MANOVA)」

  2. 「従属変数」セクションの下にある「変数を選択」をクリックし、少なくとも 2 つの従属変数を選択します。変数を選択した後、「OK」をクリックします。
  3. 「固定の因子変数 (Fixed factor variable(s))」セクションにある「変数を選択」をクリックして、従属変数の変動に対する潜在的な原因を表すカテゴリー型の独立変数を 1 個以上選択します。
  4. オプションで、「共変量変数 (Covariate variable(s))」をクリックして、従属変数に影響する可能性がある連続型変数を選択できます。

    「共変量変数 (Covariate variable(s))」セクションにある「変数を選択」をクリックして、共変量変数を選択します。変数を選択した後、「OK」をクリックします。

  5. オプションで、「WLS 重み」セクションで「変数を選択」をクリックして、重み付き最小二乗分析用の重み付け変数を 1 つ指定することができます。重み付け変数の値が、ゼロ、負、欠損値のいずれかの場合、ケースは分析から除外されます。モデル内で既に使用されている変数を重み付け変数として使用することはできません。変数を選択した後、「OK」をクリックします。
  6. オプションで、「追加設定」メニューから以下のオプションを選択できます。
    • 「モデル」をクリックして、すべての因子によるモデル (すべての交互作用と主効果) やカスタム モデル (交互作用と主効果のサブセット) を分析したり、特定の項を指定したり (例えば、ネストされている計画) する。
    • 「対比」をクリックして、因子変数間に差異があるかどうかを検定する。
    • 「その後の検定」をクリックして、因子の平均値間の多重比較を生成する「その後の範囲検定」を使用する。
    • 「統計」をクリックして、プロシージャーに含める統計を選択する。
    • 「EM 平均値」をクリックして、セルでの母集団周辺平均の推定値が必要な因子と交互作用を選択する。平均値は共変量に合わせて調整されます (共変量が指定されている場合)。
    • 「作図」をクリックして、出力にグラフを表示できるようにしたり、図表設定を選択したりする。
    • 「オプション」をクリックして、帰無仮説の設定および欠損データの処理を指定する。
    • 「データセットに保存」をクリックして、残差、関連測定値、モデルが予測した値を新しい変数としてデータセットに追加する。
    • 「ブートストラップ」をクリックして、平均値、中央値、比率、オッズ比、相関係数、回帰係数などの、推定に対する標準誤差および信頼区間の頑強な推定を導出する。
  7. 「分析の実行」をクリックします。

この手順により、分散分析 -M コマンド・シンタックスを貼り付けます。