TCP/IPドメインの変更 (CHGTCPDMN)
実行可能場所: すべての環境 (*ALL) スレッド・セーフ: いいえ |
パラメーター 例 エラー・メッセージ |
TCP/IPドメインの変更 (CHGTCPDMN)コマンドは,このシステムのTCP/IPホストおよびドメイン名を指定して,このシステムのドメイン・ネーム・サーバー(DNS)情報を構成するために使用されます。
制約事項:
- このコマンドを実行するには,入出力システム構成(*IOSYSCFG)特殊権限が必要です。
上 |
パラメーター
キーワード | 記述 | 選択項目 | ノーツ |
---|---|---|---|
HOSTNAME | ホスト名 | 文字値, *SAME, *NONE | オプショナル |
DMNNAME | ドメイン名 | 文字値, *SAME, *NONE | オプショナル |
DMNSCHLIST | ドメイン検索リスト | 文字値, *SAME, *DFT | オプショナル |
HOSTSCHPTY | ホスト名検索優先順位 | *REMOTE, *LOCAL, *SAME | オプショナル |
INTNETADR | ドメイン・ネーム・サーバー | 要素リスト | オプショナル |
要素 1: IPアドレス | 文字値, *SAME, *NONE | ||
要素 2: IPアドレス | 文字値, *SAME, *NONE | ||
要素 3: IPアドレス | 文字値, *SAME, *NONE | ||
PORT | ポート | 1-65535, *SAME | オプショナル |
PROTOCOL | プロトコル | *UDP, *TCP, *SAME | オプショナル |
INLDMNSVR | 初期ドメイン・ネーム・サーバー | *FIRST, *ROTATE, *SAME | オプショナル |
DMNSVRRTY | ドメイン・ネーム・サーバー再試行 | 要素リスト | オプショナル |
要素 1: 再試行回数 | 1-99, *SAME | ||
要素 2: 初期時間間隔 | 1-99, *SAME | ||
DNSSEC | DNSSECレコードの要求 | *NO, *YES, *SAME | オプショナル |
上 |
ホスト名 (HOSTNAME)
このシステムのTCP/IPホスト名を指定します。
注: また,このシステムのTCP/IPホスト名は,ローカル・ホスト・テーブルまたはINTNETADRパラメーターに指定されたドメイン・ネーム・サーバー(DNS)にも定義しなければなりません。DNSを指定しない場合には,ローカルTCP/IPホスト・テーブルが使用されます。
- *SAME
- TCP/IPホスト名が前に設定されている場合には,それは変更されません。
- *NONE
- ホスト名はこのシステムに定義されません。
- 文字値
- このシステムのTCP/IPホスト名を指定します。ホスト名は,1から63文字のテキスト・ストリングです。ホスト名には,次の文字を使用できます。
- 英字AからZ
- 数字0から9
- 下線(_)
- マイナス符号(-)
ホスト名の最初と最後の文字は英字または数字でなければなりません。
上 |
ドメイン名 (DMNNAME)
このホストがメンバーとなっているTCP/IPドメインの名前を指定します。
- *SAME
- TCP/IPドメイン名が前に設定されている場合には,それは変更されません。
- *NONE
- TCP/IPドメイン名はこのシステムに定義されません。
- 文字値
- このシステムのTCP/IPドメイン名を指定します。ドメイン名は,ピリオドで区切られた1つまたは複数のラベルから構成されます。各ラベルには最大63文字を使用できます。各ラベルの最初の文字は英字または数字でなければなりません。各ラベルの最後の文字は英字,数字,またはピリオドでなければなりません。ドメイン名には,次の文字を使用できます。
- 英字AからZ
- 数字0から9
- 下線(_)
- マイナス符号(-)
- ピリオド(.)。. ピリオドは,ドメイン名のラベルを区切る場合,あるいはドメイン名の最後の文字としてのみ使用することができます(RFC 1034参照)。ドメイン名に2つの連続したピリオドを含めることはできません。
HOSTNAMEパラメーターと結合されたDMNNAMEパラメーターの長さは255文字より小さくする必要があります。
上 |
ドメイン検索リスト (DMNSCHLIST)
完全修飾ドメイン名(FQDN)が指定されない場合に検索するTCP/IPドメインを指定します。検索リスト内の最初の名前は,すべての検索における省略時のドメイン名です。
- *SAME
- ドメイン検索リストが前に設定されていた場合には,変更されません。それ以外の場合には,*DFTが使用されます。
- *DFT
- 省略時の動作は,ローカル・ドメイン・ツリーを検索することです。ローカル・ドメイン・ツリーは,システムTCP/IPドメイン名(DMNNAME)とドメインに対して複数のパーツがあるそれぞれの親ドメインです。システムTCP/IPドメイン名は,すべての検索における省略時のドメイン名です。
- 文字値
- 検索するドメイン名のリストを指定してください。各ドメイン名は,DMNNAMEパラメーターに指定された基準に従っている必要があります。最高6つのドメイン名をスペースで区切り,アポストロフィで囲んで指定することができます。DMNSCHLISTパラメーターの最大長は256文字です。検索リスト内の最初のドメイン名は,すべての検索における省略時のドメイン名です。ドメイン検索リストが定義された場合には,ローカル・システムTCP/IPドメイン名(DMNNAME)はその検索リストの中で自動的には使用されないことに注意してください。検索リストに定義されたドメインの親ドメインは検索されません。親ドメインを検索したい場合には,それを検索リストの中で明示的に定義する必要があります。
上 |
ホスト名検索優先順位 (HOSTSCHPTY)
TCP/IPホスト名の矛盾を分析解決するためにドメイン・ネーム・サーバー(DNS)を最初に検索するか,あるいはローカルTCP/IPホスト・テーブルを最初に検索するかを指定します。
- *SAME
- 値が前に設定されていれば,変更されません。値が前に設定されていない場合には,*REMOTEが使用されます。
- *REMOTE
- ローカルTCP/IPホスト・テーブルの検索の前にTCP/IPホスト名を分析解決するためにこのシステムでリモートまたはローカルのDNSを検索したい場合には,*REMOTEを指定してください。使用するDNSは,IPアドレス(INTNETADR)パラメーターによって指定されます。
- *LOCAL
- TCP/IPホスト名を分析解決するために,このシステム上にあるTCP/IPホスト・テーブルをこのシステムで最初に検索したい場合には,*LOCALを指定してください。
上 |
IPアドレス (INTNETADR)
このシステムで使用するドメイン・ネーム・サーバー(DNS)を最大3つまで指定します。DNSは,そのIPアドレスを入力して指定してください。DNS IPアドレスの追加数は,なし,1, 2,または3とすることができます。
リストの最初のDNSが応答しない場合には,リストの2番目のDNSサーバーに連絡されます。2番目のDNSが応答しない場合には,3番目のDNSサーバーに連絡されます。
DNS IPV4 IPアドレスは,NNN.NNN.NNN.NNNの形式で指定され,NNNは0から255までの範囲の10進数です。
IPV6 IPアドレスは,X:X:X:X:X:X:X:Xの形式で指定することができます。ここでXは0からX'FFFF'の範囲の16進数です。IPV6アドレス中で「::」を1回使用して,すべてゼロの16個のビットからなる1つ以上のグループを示すことができます。「::」は,アドレスの先行ゼロ,組み込みゼロ,または後続ゼロを圧縮するために使用できます。
IPV4-MAPPED IPV6アドレスを指定することができます。IPV4-MAPPED IPV6アドレスは::FFFF:NNN.NNN.NNN.NNNの形式で指定します。NNNは0から255までの範囲の10進数です。
要素1: IPアドレス
- *SAME
- 値は変更されません。
- *NONE
- ドメイン・ネーム・サーバー・アドレスは指定されません。
- 文字値
- ドメイン・ネーム・サーバーのIPアドレスを指定してください。
要素2: IPアドレス
- *SAME
- 値は変更されません。
- *NONE
- ドメイン・ネーム・サーバー・アドレスは指定されません。
- 文字値
- ドメイン・ネーム・サーバーのIPアドレスを指定してください。
要素3: IPアドレス
- *SAME
- 値は変更されません。
- *NONE
- ドメイン・ネーム・サーバー・アドレスは指定されません。
- 文字値
- ドメイン・ネーム・サーバーのIPアドレスを指定してください。
上 |
ポート (PORT)
このパラメーターは,INTNETADRパラメーターにリストされた1つまたは複数のドメイン・ネーム・サーバー(DNS)と連絡するために使用されるTCP/IPポート番号を指定するのに使用します。53はこの目的で使用する割り当て済みポートです。
注: ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)で使用するための既知のポート53以外のTCP/IPポート番号を使用すると,TCP/IP通信の問題が起こる原因となります。別のTCP/IPアプリケーションで使用するために予約されたポート番号を不用意に使用してしまうことがあります。
- *SAME
- リモート・ポート番号が前に設定されている場合には,それは変更されません。リモート・ポート番号が前に設定されていない場合には,リモート・ポート番号53 が使用されます。
- 1から65535
- INTNETADRパラメーターに指定されたドメイン・ネーム・サーバー(DNS)と連絡するために使用するリモート・ポート番号を指定します。
上 |
プロトコル (PROTOCOL)
INTNETADRパラメーターに指定されたドメイン・ネーム・サーバー(DNS)との通信に使用するTCP/IPプロトコルを指定します。このためには,通常はユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)が使用されます。ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)が伝送制御プロトコル(TCP)を使用するよう特に構成されている場合には,*TCPだけを使用してください。
- *SAME
- プロトコル値が前に設定されている場合には,それは変更されません。プロトコル値が前に設定されていない場合には,プロトコル値*UDPが使用されます。
- *UDP
- INTNETADRパラメーターに指定されたドメイン・ネーム・サーバー(DNS)と通信するためのユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)の使用を指定します。
- *TCP
- INTNETADRパラメーターに指定されたドメイン・ネーム・サーバー(DNS)と通信するための伝送制御プロトコル(TCP)の使用を指定します。
上 |
初期ドメイン・ネーム・サーバー (INLDMNSVR)
初期ドメイン・ネーム・サーバーの選択方式を指定します。このオプションは,最初に構成されたドメイン・ネーム・サーバー(DNS)を常に最初に照会する必要があるか,あるいは複数が構成されている場合に,照会する最初のネーム・サーバーをラウンドロビン方式で循環させる必要があるかを決定します。この循環によって,構成済みのネーム・サーバーで負荷を平衡させる単純な形式が得られます。
- *SAME
- 初期ドメイン・ネーム・サーバーの選択値が前に設定されている場合には,変更されません。初期ドメイン・ネーム・サーバーの選択値が前に設定されていない場合には,*FIRSTの値が使用されます。
- *FIRST
- 最初に構成されたドメイン・ネーム・サーバーが最初に照会されます。常にドメイン・ネーム・サーバー(DNS)を構成された順に照会します。
- *ROTATE
- 構成済みのネーム・サーバーの全体をラウンドロビン方式で循環させ,どれを最初に照会すべきかを決定します。
上 |
ドメイン・ネーム・サーバー再試行 (DMNSVRRTY)
ドメイン・ネーム・サーバー再試行(DMNSVRRTY)パラメーターは再試行回数と初期時間間隔という2つの要素で構成されています。
再試行回数は,最初の試行が正常に実行されない時に,INTNETADRパラメーターに指定された各ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)との通信を確立するために行われる追加の試行回数を指定します。
初期時間間隔は,再試行間の初期間隔を秒数で指定します。追加の再試行ごとに,時間間隔は最大値の120秒まで倍増されていきます。例えば再試行回数が4で,初期時間間隔が2の場合,最初にDNSとの接続が試みられてから2秒後に最初の再試行が実行されます。2回目の再試行は最初の再試行の4秒後,3回目の再試行は2回目の再試行の8秒後,4回目の再試行は3回目の再試行の16秒後にそれぞれ実行されます。
要素1: 再試行回数
- *SAME
- これが省略時の値です。再試行回数の値が前に設定されている場合には,それは変更されません。再試行回数の値が前に設定されていない場合には,2という値が使用されます。
- 1から99
- 通信の再試行回数を指定します。
要素2: 初期時間間隔
- *SAME
- 初期時間間隔値が前に設定されている場合,変更されません。初期時間間隔の値が前に設定されていない場合には,2という値が使用されます。
- 1から99
- 初期時間間隔を秒数で指定してください。
上 |
DNSSECレコードの要求 (DNSSEC)
このシステムがDNSSEC資源レコードを受け入れることができることを示すためにDNSSEC OKビット(DO)をDNS QUERYに設定することを指定します。このシステムは,DNSデータの妥当性を検査するためにDNSSEC資源レコードを使用しません。DNSデータの妥当性検査が必要な場合は,IPアドレス(INTNETADR)パラメーターで構成されたドメイン・ネーム・サーバーによって実行される必要があります。さらに,このシステムとドメイン・ネーム・サーバーとの間の通信チャネルは,TSIGまたはIPSECなどのメソッドを使用して保護される必要があります。追加情報についてはRFC 4033, 4044,および4045を参照してください。
- *SAME
- DNSSEC要求値が前に設定されている場合には,それは変更されません。DNSSEC要求値が前に設定されていない場合には,値*NOが使用されます。
- *NO
- DNSSEC資源レコードを要求しません。
- *YES
- DNSSEC資源レコードを要求します。
上 |
例
例1:ホスト名およびドメイン名の変更
CHGTCPDMN HOSTNAME(RS021) DMNNAME(ENDICOTT.IBM.COM)
このコマンドは,ホスト名およびドメイン名を変更します。
例2:ドメイン検索リストの変更
CHGTCPDMN DMNSCHLIST('ENDICOTT.IBM.COM ROCHESTER.IBM.COM IBM.COM')
このコマンドは,ドメイン検索リストが3つのドメイン名(ENDICOTT.IBM.COM, ROCHESTER.IBM.COM,およびIBM.COM)になるように変更します。
例3:ドメイン・ネーム・サーバーの変更
CHGTCPDMN INTNETADR('9.131.42.251' '5678::1234' *NONE)
このコマンドは,:9.131.42.251と5678::1234という2つのドメイン・ネーム・サーバー・アドレスを指定します。
例4:ドメイン・ネーム・サーバー・ローテーションの変更
CHGTCPDMN INLDMNSVR(*ROTATE)
このコマンドは,初期ドメイン・ネーム・サーバー選択を変更するので,ラウンドロビン方式で構成済みネーム・サーバー間で交替されます。
例5:ドメイン・ネーム・サーバー再試行の変更
CHGTCPDMN DMNSVRRTY(3 10)
このコマンドは,ドメイン・ネーム・サーバーの再試行値を変更します。再試行回数は3回に設定され,再試行間の間隔は10秒に設定されます。
例6: DNSSECの変更
CHGTCPDMN DNSSEC(*YES)
このコマンドは,システムによって送信されるDNS QUERYを変更して,このシステムがDNSSEC資源レコードを受け入れることができることを示すDNSSEC OKビット(DO)が設定されるようにします。
上 |
エラー・メッセージ
*ESCAPE メッセージ
- TCP1609
- TCP/IPドメイン情報が変更されませんでした。
- TCP264D
- ファイルの処理中にエラーが起こった。
- TCP8050
- &1を使用するには*IOSYSCFG権限が必要である。
- TCP9503
- ライブラリー&2のファイル&3が使用できない。
- TCP9999
- プログラム&1でシステムの内部エラーが起こった。
上 |