復元中のオブジェクトのジャーナル処理の据え置き

ジャーナル処理の据え置きのサポートを使用すると、復元後のオブジェクトのジャーナル処理の再確立を、システムが管理するようにできます。

以前は、複数のライブラリーから、または従属ジャーナルのライブラリー以外のライブラリーからのジャーナル処理されたオブジェクトの復元は、管理が困難でした。ジャーナル処理されるオブジェクトがジャーナルのライブラリーの前に復元されると、そのオブジェクトはジャーナル処理されませんでした。ジャーナルが復元された後、ユーザーは、復元されたオブジェクトごとにジャーナル処理を手動で開始する必要がありました。ジャーナル処理の据え置きを使用すると、まだ存在しないライブラリー内のジャーナルに従属関係がある場合に、復元中のオブジェクトのジャーナル処理を据え置くことができます。ジャーナル情報はキャッシュされ、ジャーナルが使用可能になった後に、ジャーナル処理を開始するのに使用されます。そのため、ジャーナル処理を手動で再開する必要がなくなります。

ジャーナルがまだ存在しない場合に、復元中のオブジェクトのジャーナル処理を据え置くには、ライブラリーの復元 (RSTLIB) または オブジェクトの復元 (RSTOBJ) コマンドで、据え置き ID (DFRID) パラメーターを指定します。複数の復元操作に同じ据え置き ID を指定すると、据え置きされたジャーナル処理の情報と従属ジャーナルとが関連付けされます。

ジャーナルが使用可能になると、以前に指定した据え置き ID とともに据え置きオブジェクトの復元 (RSTDFROBJ) コマンドを使用して、据え置きされたジャーナル処理の情報を使用してジャーナル処理を開始できます。

据え置きされたジャーナル処理の操作が完了した後は、据え置き ID の除去 (RMVDFRID) コマンドを使用して、据え置きされたジャーナル処理の情報をキャッシュから除去します。

RSTDFROBJ によってオブジェクトのジャーナル処理が開始された場合、ジャーナル処理の開始が据え置きされたオブジェクトは、ジャーナルが作成される前に作成されたため、これらのオブジェクトに対するジャーナル項目の復元と作成は発生しません。

ユーザーがシステム保管 (*SAVSYS) 特殊権限を保有しており、RSTLIB コマンドを使用して、保管されるライブラリー (SAVLIB) パラメーターに *NONSYS、*ALLUSR、または *IBM 値を指定し、DFRID パラメーターに *DFT を指定する場合、据え置きされたジャーナル処理の情報はシステムによって管理されます。それ以外のすべての場合に、ユーザーが DFRID パラメーターを省略すると、ジャーナル処理開始の要求はユーザーが管理する必要があります。

同じ据え置き ID を使用して、複数の復元操作を同時に実行することもできます。その場合は、RSTDFROBJ または RMVDFRID コマンドを出す前に、その据え置き ID のすべての復元操作が完了するのを待つことを推奨します。まだ復元が実行されているときに RSTDFROBJ コマンドを出すと、処理に余計な作業が発生する可能性があります。また、まだ復元が実行されているときに RMVDFRID コマンドを出すと、据え置きされたジャーナル処理情報が失われる可能性があります。

ジャーナル処理されるオブジェクトを、据え置き ID を指定して RSTLIB または RSTOBJ のいずれかを実行することによって復元し、RSTDFROBJ コマンドを出す前にそのオブジェクトを名前変更するか別のライブラリーに移動した場合、そのオブジェクトのジャーナル処理は開始されません。

*RESTORE 継承規則が定義され、かつ据え置き ID が指定されているジャーナル処理されたライブラリーに、オブジェクトを復元する場合は、据え置き ID が優先されます。オブジェクトが保管時にジャーナル処理された対象のジャーナルが存在しない場合、据え置きレコードが書き込まれ、オブジェクトは *RESTORE 継承規則で指定されたジャーナルに対してジャーナル処理されません。

*RSTOVRJRN 継承規則が定義されているジャーナル処理されたライブラリー内に、オブジェクトを復元する場合、オブジェクトが保管時にジャーナル処理されたか、保管時のジャーナル対象が何であったか、または復元に対して据え置き ID が指定されたかどうかに関わらず、オブジェクトは、ライブラリーが使用するジャーナルに対してジャーナル処理を自動的に開始しようと試みます。

据え置きされた復元の例

このコマンドは、保管されているすべての非システム・ライブラリーを、テープからシステムに復元します。システムは、ジャーナルが復元される前の、復元されるオブジェクトのジャーナル処理の据え置きを管理します。システムは、ジャーナルが最終的に復元されたときに、従属オブジェクトのジャーナル処理を自動的に開始するよう試みます。

RSTLIB SAVLIB(*NONSYS) DEV(TAP01) DFRID(*DFT)

次は、DFRID を使用してライブラリーを復元する場合の例です。ライブラリー JRNLIB には、ライブラリー OBJLIB 内のオブジェクトがジャーナル処理されたジャーナルが含まれています。OBJLIB 内のオブジェクトは、JRNLIB 内のジャーナルが復元されるまで、ジャーナル処理を開始することはできません。据え置き ID が指定されているため、ジャーナル開始の要求は据え置きされます。これらのファイルのジャーナル処理を開始するには、RSTDFROBJ コマンドを使用します。RMVDFRID コマンドは、復元操作中に据え置かれたオブジェクトに関する情報を除去します。

RSTLIB SAVLIB(OBJLIB) DEV(TAPE01) ENDOPT(*LEAVE) DFRID(ABC)

RSTLIB SAVLIB(JRNLIB) DEV(TAPE01) ENDOPT(*LEAVE) DFRID(ABC)

RSTDFROBJ DFRID(ABC)

RMVDFRID DFRID(ABC)