増分バックアップおよびリカバリー
データベース (特にウェアハウス) のサイズがテラバイトやペタバイトの範囲で拡張し続けるにつれて、 データベースのバックアップとリカバリーに必要なハードウェア・リソースも実質的に大きくなっていきます。
フル・バックアップは、バックアップされているデータベースまたは表スペース・セットにあるすべてのページが含まれるデータベースまたは表スペースであるバックアップ・イメージです。 それぞれのデータベースまたは表スペースのフル・バックアップ・イメージには、初期データベース・メタデータ (データベース構成、表スペース定義、データベース履歴など) すべても含まれています。
大規模なデータベースの場合、その複数コピーのストレージ要件も大きくなるので、 このようなデータベースの場合は全データベースや表スペースのバックアップを取るのは必ずしも最善とはいえません。
- ウェアハウス中のデータ変更のパーセンテージが低い場合は、 データベース全体のバックアップを取るべきではない。
- 既存のデータベースに表スペースを付加した後に表スペースのバックアップしか行わないのは危険。 なぜなら、表スペースのバックアップを行っている間に、 バックアップ対象の表スペース以外に変更が加えられなかった保証はないからです。
これらの問題に対処するために、 Db2® は増分バックアップとリカバリーを提供します。
- 前回のバックアップの取得以降に更新されたページが含まれている表スペースの増分バックアップを取得すると、ロング・フィールドまたはラージ・オブジェクトのデータは、すべてバックアップ・イメージにコピーされます。 通常のデータは、変更が加えられた場合のみバックアップされます。 つまり、変更のないラージ・オブジェクト・データが増分バックアップ・イメージですべてバックアップされることを避けるには、変更のないラージ・オブジェクト・データと変更のある通常データを、別々の表スペースに置く必要があります。 このようにすると、変更のないすべてのラージ・オブジェクト・データが含まれている表スペースが、増分バックアップ・イメージにバックアップされません。
- REDISTRIBUTE DATABASE PARTITION GROUP コマンドに ADD DBPARTITIONNUMS パラメーターが指定されている場合、データ再配分によって、すべての新規データベース・パーティションの表スペースが作成される可能性があります。 その場合は、次に増分バックアップを取得する前に、すべてのデータベース・パーティションで新規作成されたすべての表スペースのフルバックアップを取得してください。
- 増分バックアップを使用しても、フルバックアップと比較してパフォーマンスが改善されることは保証されていません。 例えば、直前のバックアップが実施されてから多数のページが更新され、それらのページがデータベースの各表スペースに存在する場合、 増分バックアップのパフォーマンスはフルバックアップのパフォーマンスに近いものとなります。
- 増分。 増分バックアップ・イメージは、最新の正常実行された全バックアップ操作の後に変更された、 すべてのデータベース・データのコピーです。 これは累積バックアップ・イメージともいいます。 増分バックアップを取るたびに、その前の増分バックアップ・イメージの内容が含まれるからです。 増分バックアップ・イメージの先行処理イメージは、 常に同じオブジェクトの最新の正常実行された全バックアップになります。
- 差分。 差分、または増分差分のバックアップ・イメージは、 当該表スペースの正常実行された最終バックアップ (全、増分、 または差分) の後に変更されたすべてのデータベース・データのコピーです。 これは差分または非累積バックアップ・イメージともいいます。 差分バックアップ・イメージの先行処理イメージは、 その差分バックアップ・イメージ中の個々の表スペースのコピーを含む、 正常実行された最新バックアップになります。
増分と差分のバックアップ・イメージの主要な違いは、 継続的に変更が加えられるオブジェクトのバックアップを連続して取る場合の動作にあります。 増分イメージには、その前の増分イメージの内容がすべて含まれ、 前回の全バックアップ作成以降に変更されたデータや新規データも含まれます。 差分バックアップ・イメージには、任意のタイプのイメージが前回作成されてから変更されたページだけが含まれます。
オフライン・モードとオンライン・モードの操作の両方で、 データベースと表スペースの増分バックアップを組み合わせることができます。 データベースと表スペースの増分バックアップを組み合わせた場合、 データベース・バックアップ (または複数の表スペースのバックアップ) の先行処理イメージは必ずしも 1 つのイメージとは限らず、 過去のさまざまな時点で取られたデータベースと表スペースのバックアップの固有の集合になる可能性も生じるので、 バックアップ計画を作成する際には注意してください。
データベースや表スペースを整合性のある状態にリストアする場合は、リストア対象のオブジェクト (データベースまたは表スペース) 全体の整合性のあるイメージを使用してリカバリー・プロセスを始めなければならず、開始後次のリストに記載された順序で個々の該当する増分バックアップ・イメージを適用しなければなりません。
- NO. この構成では、増分バックアップは許可されていません。 データベース・ページの更新を追跡したり記録したりする方法はありません。 これはデフォルト値です。
- はい。 この構成で増分バックアップを行えます。 更新を追跡できるようにすると、変更内容はデータベースに初めて正常に接続した時点で有効になります。 特定の表スペースの増分バックアップをとる前に、その表スペースの全バックアップをすることが必要です。
SMS および DMS 表スペースの場合は、この追跡の細分度は表スペース・レベルになります。 表スペース・レベルのトラッキングで、それぞれの表スペースのフラグは、 その表スペースにバックアップが必要なページがあるかどうかを表します。 表スペースの中にバックアップが必要なページがない場合には、 バックアップ操作はその表スペースをまとめてスキップできます。
データベースに対する更新の追跡は、 データを更新したり挿入したりするトランザクションの実行時パフォーマンスに、 最小限とはいえ影響があります。