BACKUP DATABASE コマンド

BACKUP DATABASE コマンドは、データベースまたは表スペースのバックアップ・コピーを作成します。 データベースおよび関連する保管データのバックアップを作成して、データベース・サービスの停止が発生した場合のデータ損失を防ぐ必要があります。

重要: Triple Data Encryption Standard (3DES) ネイティブ暗号化オプションは非推奨になっており、将来のリリースで除去される可能性があります。 代わりに、Advanced Encryption Standard (AES) ネイティブ暗号化オプションを使用してください。

異なるオペレーティング・システムおよびハードウェア・プラットフォーム間でのデータベース・バックアップ操作については、 異なるオペレーティング・システムおよびハードウェア・プラットフォーム間でのバックアップおよびリストア操作を参照してください。

スコープ

パーティション・データベース環境で、データベース・パーティションを指定しない場合、このコマンドはコマンドが実行されたデータベース・パーティションにのみ作用します。

パーティション・バックアップを実行するオプションが指定されている場合、コマンドはカタログ・データベース・パーティションでのみ呼び出すことができます。 このオプションが、すべてのデータベース・パーティション・サーバーをバックアップすることを指定している場合、db2nodes.cfg ファイルにリストされているすべてのデータベース・パーティション・サーバーに影響します。 そうでない場合は、コマンドで指定されたデータベース・パーティション・サーバーに作用します。

許可

BACKUP DATABASE コマンドを使用するには、以下のいずれかの権限が必要です。
  • SYSADM
  • SYSCTRL
  • SYSMAINT

必要な接続

データベース。 このコマンドは、指定されたデータベースへの排他接続を自動的に確立します。
注: 指定されたデータベースへの接続が存在する場合、その接続は終了し、バックアップ操作専用に新しい接続が確立されます。 バックアップ操作が完了すると、接続は停止します。

コマンド構文

Read syntax diagramSkip visual syntax diagramBACKUP DATABASEDB database-aliasUSERusernameUSINGpasswordONDBPARTITIONNUMDBPARTITIONNUMSPartition numbersALL DBPARTITIONNUMSEXCEPTDBPARTITIONNUMDBPARTITIONNUMSPartition numbersTABLESPACE(,tablespace-name)NO TABLESPACEONLINEINCREMENTALDELTAUSETSMXBSAOpen sessionsSNAPSHOTLIBRARYlibrary-nameSCRIPTscript-nameOptionsLOADlibrary-nameOpen sessionsOptionsTO,dirpipenamedevremote-storageDEDUP_DEVICEWITHnum-buffersBUFFERSBUFFERbuffer-sizePARALLELISMnCOMPRESSCOMPRLIBnameEXCLUDECOMPROPTS stringENCRYPTENCRLIBnameEXCLUDEENCROPTS stringUTIL_IMPACT_PRIORITYpriorityEXCLUDE LOGSINCLUDE LOGSWITHOUT PROMPTING
Partition numbers
Read syntax diagramSkip visual syntax diagram( ,db-partition-number1TOdb-partition-number2 )
Open sessions
Read syntax diagramSkip visual syntax diagramOPENnum-sessionsSESSIONS
Options
Read syntax diagramSkip visual syntax diagramOPTIONS"options-string"@file-name

コマンド・パラメーター

DATABASE | DB database-alias
バックアップを取るデータベースの別名を指定します。
USER username
データベースのバックアップに使用するユーザー名を識別します。
USING password
ユーザー名の認証に使用されるパスワード。 パスワードを省略すると、ユーザーに入力を求めるプロンプトが出ます。
ON
データベース・パーティションのセットに対してデータベースをバックアップします。
DBPARTITIONNUM db-partition-number1
データベース・パーティション・リスト内のデータベース・パーティション番号を指定します。
DBPARTITIONNUMS db-partition-number1 TO db-partition-number2
データベース・パーティション番号の範囲を指定します。db-partition-number1 から db-partition-number2 までの間のすべてのパーティションがデータベース・パーティション・リストに含められます。
ALL DBPARTITIONNUMS
db2nodes.cfg ファイルに指定されているすべてのパーティションでデータベースをバックアップすることを指定します。
EXCEPT
データベース・パーティション・リストに指定されているパーティションを除き、 db2nodes.cfg ファイルに指定されているすべてのパーティションにデータベースをバックアップすることを指定します。
DBPARTITIONNUM db-partition-number1
データベース・パーティション・リスト内のデータベース・パーティション番号を指定します。
DBPARTITIONNUMS db-partition-number1 TO db-partition-number2
データベース・パーティション番号の範囲を指定します。db-partition-number1 から db-partition-number2 までの間のすべてのパーティションがデータベース・パーティション・リストに含められます。
TABLESPACE tablespace-name
バックアップを取る表スペースを指定するときに使用する名前のリスト。
NO TABLESPACE

表スペース・ユーザー・データを組み込まないバックアップを指定します。 このタイプのバックアップ・イメージには、データベース・メタデータが含まれます。 さらに、オンライン・イメージのアクティブ・トランザクション・ログ・ファイルと抽出トランザクション・ログ・ファイルがデフォルトで組み込まれます。 バックアップ・イメージに組み込まれるメタデータの中には、データベースのリカバリー履歴ファイルがあります。 このファイルは、 RESTORE DATABASE コマンドの HISTORY FILE オプションを使用してリストアできます。 アクティブ・トランザクション・ログ・ファイルと抽出トランザクション・ログ・ファイルをオンライン・イメージに含めないようにするには、 BACKUP DATABASE コマンドの EXCLUDE LOGS オプションを使用します。

ONLINE

オンライン・バックアップを指定します。 デフォルトはオフライン・バックアップです。 オンライン・バックアップは、 logarchmeth1 を有効にして構成されたデータベースでのみ使用可能です。 オンライン・バックアップ中に、 Db2® は、SMS 表スペースに存在するすべての表に対して、処理時に IN (Intent None) ロックを取得します。 S (共有ロック) は、オンライン・バックアップ中に SMS 表スペースで LOB データに対して保持されることはなくなりました。

INCREMENTAL
累積 (増分) バックアップ・イメージを指定します。 増分バックアップ・イメージとは、 正常に実行されたフルバックアップ操作のうち最新のものが実行されて以来変更された、 すべてのデータベース・データのコピーです。
DELTA
非累積 (差分) バックアップ・イメージを指定します。 差分バックアップ・イメージとは、 正常に実行された任意のタイプのバックアップ操作のうち最新のものが実行されて以来変更された、 すべてのデータベース・データのコピーです。
USE
TSM
バックアップで Tivoli® Storage Manager (TSM) をターゲット装置として使用することを指定します。
XBSA
XBSA インターフェースを使用するように指定します。 バックアップ・サービス API (XBSA) は、バックアップやアーカイブの目的でデータ・ストレージ管理を必要とするアプリケーションまたは機能のための、オープン・アプリケーション・プログラミング・インターフェースです。
SNAPSHOT
スナップショット・バックアップを取ることを指定します。
SNAPSHOT パラメーターは、以下のパラメーターと一緒に使用することはできません。
  • TABLESPACE
  • INCREMENTAL
  • WITH num-buffers BUFFERS
  • BUFFER
  • PARALLELISM
  • COMPRESS
  • UTIL_IMPACT_PRIORITY
  • SESSIONS

スナップショット・バックアップのデフォルトの動作は、データベースを構成するすべてのパスをオフラインでバックアップするフル・データベース・バックアップです。 このバックアップには、すべてのコンテナー、ローカル・ボリューム・ディレクトリー、データベース・パス (DBPATH)、および 1 次ログとミラー・ログのパスが含まれます ( EXCLUDE LOGS が明示的に指定されていない限り、INCLUDE LOGS がすべてのスナップショット・バックアップのデフォルトです)。

スナップショット・バックアップは、データベースが暗号化されているという条件で ENCRLIB が設定されている場合にサポートされます。 この設定により、スナップショット・バックアップ自体が暗号化されます。 構成された暗号化ライブラリーは、ネイティブ Db2 暗号化ライブラリーの 1 つです。 このライブラリーは、暗号化ライブラリーにすることも、暗号化ライブラリーと圧縮ライブラリーの組み合わせの 1 つにすることもできます。 バックアップ用に非IBM 暗号化ライブラリーを構成した場合は、この設定をすべてのバックアップに使用することを想定しています。 ネイティブ Db2 暗号化を使用してスナップショット・バックアップを作成すると、この設定に違反します。

LIBRARY library-name
ストレージ・ハードウェアと、そのストレージ・ハードウェア用の Db2 ACS API ドライバーがある場合、 LIBRARY パラメーターを使用して Db2 ACS API ドライバーを指定できます。

LIBRARY パラメーターの値は、完全修飾ライブラリー・ファイル名です。

SCRIPT script-name
スナップショット・バックアップ操作を実行できる実行可能スクリプトの名前。 スクリプト名は完全修飾ファイル名でなければなりません。
OPTIONS
"options-string"
バックアップ操作で使用するオプションを指定します。 ストリングは、二重引用符なしで、入力されたとおりに渡されます。
@ file-name
バックアップ操作に使用するオプションが Db2 サーバー上のファイルに含まれていることを指定します。 このストリングは、ベンダー・サポートのライブラリーに渡されます。 ファイル名は完全修飾ファイル名でなければなりません。

vendoropt データベース構成パラメーターを使用して、スナップショット・バックアップ操作のベンダー固有のオプションを指定することはできません。 代わりに、バックアップ・ユーティリティーの OPTIONS パラメーターを使用する必要があります。

OPEN num-sessions SESSIONS
Db2 製品と TSM 製品または他のバックアップ・ベンダー製品との間に作成する入出力セッションの数。 このパラメーターは、テープ、ディスク、 または他のローカル装置にバックアップする場合には効果はありません。 オンライン・バックアップに INCLUDE LOGS パラメーターを指定すると、初期セッションがクローズされた後に、 OPEN セッション数 SESSIONS パラメーターに対して追加のセッションが作成されます。 単一システム・ビュー (SSV) オンライン・バックアップを作成する場合は、バックアップされるノードごとに、初期セッションのクローズ後に OPEN セッション数 SESSIONS パラメーターの追加セッションが作成されます。 TSM オプションでこのパラメーターを使用すると、履歴ファイルに作成される項目の数が、作成されるセッションの数と等しくなります。
TO dir | pipename | dev | remote-storage

バックアップ・イメージが保管されるパス、名前付きパイプ、デバイス、またはリモート・ストレージ・ロケーションのリスト。 名前付きパイプへのバックアップは、UNIX および Linux プラットフォームでのみサポートされます。

各ターゲット・ディレクトリーへの絶対パスを指定する必要があります。 USE TSMTO、および LOAD を省略した場合、デフォルトのターゲット・ディレクトリーは、クライアント・コンピューターの現行作業ディレクトリーになります。 ターゲット・ディレクトリーまたはデバイスは、データベース・サーバー上でローカルにアドレス指定可能である必要があります。 ターゲット・ディレクトリーがネットワーク・ファイル・システム (NFS) 上にある場合、 NFS は、 nolock オプション ( AIX上のllock ) を使用して構成する必要があります。 そうしないと、バックアップがハングする可能性があります。

IBM® や Amazon Simple Storage Service (S3) などのリモート・ストレージにバックアップするには、ストレージ・アクセス別名を使用してリモート・ストレージ・ロケーションを指定します。 リモート・ストレージ・ロケーションを指定するための構文は、DB2REMOTE://<alias>/<container>/<object>です。 詳しくは、 リモート・ストレージ要件を参照してください。

パーティション・データベースでは、ターゲット・ディレクトリーまたはデバイスはすべてのデータベース・パーティションに存在している必要があり、共有パスにすることができます。 ディレクトリー名や装置名は、データベース・パーティション式を使用して指定できます。 データベース・パーティション式について詳しくは、 データベース・パーティション式の使用を参照してください。

このパラメーターは、バックアップ・イメージが複数の宛先ディレクトリーや装置にわたる場合に、それらを指定するために繰り返すことができます。 宛先が複数指定されている場合 (例えば、宛先 1、宛先 2、および宛先 3)、 宛先 1 が最初にオープンされます。 メディア・ヘッダーおよび特殊ファイル (構成ファイル、表スペース表、 および履歴ファイルを含む) は、宛先 1 にあります。 他の残りの宛先は、オープンされており、これらはバックアップ操作のときに並列で使用されます。 Windows オペレーティング・システムでは一般的なテープ・サポートが使用できないため、各タイプのテープ装置には固有のデバイス・ドライバーが必要です。

磁気テープ装置またはディスケットを使用すると、メッセージが生成され、ユーザー入力を求めるプロンプトが出されることがあります。 以下のオプションは、有効な応答オプションです。
c
継続します。 警告メッセージを生成した装置の使用を続けます (例えば、新しいテープがマウントされた場合)。
d
装置の終了。 警告メッセージを生成した装置のみの使用を停止します (例えば、テープまたはディスケットがこれ以上必要ない場合)。
t
終了します。 バックアップ操作を停止します。

バックアップ・イメージを一意に参照できないテープ・システムの場合は、 同じテープに同じデータベースの複数のバックアップ・コピーを作成しないでください。

LOAD library-name
使用するベンダー・バックアップおよびリストア入出力関数を含む共有ライブラリー (Windows オペレーティング・システム上の DLL) の名前。 絶対パスで指定することができます。 絶対パスが指定されていない場合は、デフォルトでユーザー出口プログラムが配置されているパスになります。
DEDUP_DEVICE
データ非重複化をサポートするターゲット・ストレージ・デバイス用にバックアップ・イメージのフォーマットを最適化します。
WITH num-buffers BUFFERS
使用するバッファーの数です。 指定するバッファーの数が足りなくて正常にバックアップを作成できない場合、このパラメーターでは、バックアップを完了するために必要な最小値が自動的に選択されます。 複数の場所にバックアップする場合は、パフォーマンスを改善するため、より大きな数値をバッファー数に指定することもできます。 COMPRESS パラメーターを指定すると、パフォーマンスを向上させるために、 PARALLELISM パラメーターに指定する表スペースごとにバッファーを追加することができます。
BUFFER buffer-size
バックアップ・イメージの作成を支援するために使用されるバッファーのサイズ (4 KB ページ単位)。 Db2 は、明示的に値を入力しない限り、このパラメーターの最適値を自動的に選択します。 このパラメーターの最小値は 8 ページです。

可変長ブロック・サイズのテープを使用している場合には, バッファー・サイズをテープ装置がサポートする範囲内に減らしてください。 この範囲内でないと、バックアップ操作は正常に実行されることもありますが、 作成されたイメージはリカバリー不能になることがあります。

ほとんどのバージョンの Linux®では、SCSI テープ装置へのバックアップ操作に Db2 に組み込まれているデフォルトのバッファー・サイズを使用すると、エラー SQL2025N、理由コード 75 が発生します。 Linux 内部 SCSI バッファーがオーバーフローしないようにするには、次の公式を使用します。
bufferpages <= ST_MAX_BUFFERS * ST_BUFFER_BLOCKS / 4
ここで、 bufferpagesBUFFER パラメーターで使用する値であり、 ST_MAX_BUFFERS および ST_BUFFER_BLOCKS は、 drivers/scsi ディレクトリーの下の Linux カーネルで定義されます。
PARALLELISM n
バックアップ・ユーティリティーによって同時に読み取り可能な表スペースの数を決定します。 Db2 は、明示的に値を入力しない限り、このパラメーターの最適値を自動的に選択します。
UTIL_IMPACT_PRIORITY priority
バックアップを、指定した優先順位によりスロットル・モードで実行することを指定します。 スロットルにより、バックアップ操作のパフォーマンスへの影響を調整することができます。 優先順位 (priority) は 1 から 100 までの範囲の任意の数であり、 1 が優先順位最低、100 が優先順位最高を意味します。 UTIL_IMPACT_PRIORITY キーワードが優先順位なしで指定されている場合、バックアップはデフォルトの優先順位 50で実行されます。 UTIL_IMPACT_PRIORITY が指定されていない場合、バックアップは非スロットル・モードで実行されます。 スロットル・モードでバックアップを実行するには、 util_impact_lim 構成パラメーターを設定して影響ポリシーを定義する必要があります。
COMPRESS|ENCRYPT
バックアップを圧縮または暗号化することを指定します。 両方のパラメーターを同時に指定することはできません。 COMPRESS パラメーターと ENCRYPT パラメーターは同義語であり、 COMPRLIB または ENCRLIB のいずれかが指定されている場合にのみ同じように使用できます。 COMPRLIBなしで COMPRESS を指定すると、デフォルトの圧縮ライブラリー libdb2compr.so が圧縮に使用されます。 ENCRLIBを指定せずに ENCRYPT を指定すると、暗号化にはデフォルトの暗号化ライブラリー libdb2encr.so が使用されます。 別のライブラリーを指定したい場合は、 COMPRESSENCRYPT を同じように使用することができます。 COMPRLIB または ENCRLIB のいずれかを使用して、 libdb2compr_encr.solibdb2zcompr_encr.so、または libdb2nx842_encr.a ライブラリーを指定できます。
注: libdb2zcompr_encr.so ライブラリーは、 Db2 11.5.7 以降のバージョンで使用可能です。
encrlib データベース構成パラメーターが NULL 以外の値に設定されている場合、 COMPRLIB および ENCRLIB コマンド・オプションを指定することはできません。 encrlib データベース構成パラメーターが設定されていない場合は、 encropts データベース構成パラメーターではなく、指定された ENCROPTS コマンド・オプションが使用されます。 encrlib および encropts データベース構成パラメーターが NULL 以外の値に設定されている場合は、コマンドに COMPROPTS および ENCROPTS コマンド・オプションを指定できます。
注: ネイティブで暗号化されたデータベースの場合、データはバックアップ前に暗号化解除されます。 バックアップの暗号化は、 BACKUP DATABASE コマンドのこの ENCRYPT パラメーターを使用して行うことができます。 バックアップの暗号化は、encrlib データベース構成パラメーターを使用して行うこともできます。 バックアップは、データベース・ネイティブ暗号化の構成済み暗号またはアルゴリズムに関係なく、指定された暗号化ライブラリーによって使用されるアルゴリズムを使用して暗号化されます。
COMPRLIB|ENCRLIB name
圧縮プロセスまたは暗号化プロセスの際に使用するライブラリーの名前を示します。 例えば、Windows の場合は db2compr.dll 、 Linux および UNIX オペレーティング・システムの場合は libdb2compr.so です。 この名前は、サーバー上の 1 個のファイルを参照する完全修飾パスでなければなりません。 このパラメーターを指定しない場合、デフォルトの Db2 圧縮ライブラリーが使用されます。 指定されたライブラリーをロードできない場合、バックアップ操作は失敗します。
EXCLUDE
ライブラリーをバックアップ・イメージに格納しないことを指定します。
COMPROPTS|ENCROPTS string
バイナリー・データのうち、ライブラリーの初期設定ルーチンに渡すブロックを記述します。 データベース・マネージャーは、このストリングを直接クライアントからサーバーに渡します。 バイト反転やコード・ページ変換の問題がある場合は圧縮ライブラリーで処理されます。 データ・ブロックの最初の文字が「@」であれば、データの残りの部分はサーバー上のファイルの名前として解釈されます。 その場合、データベース・マネージャーは、ストリングの内容をそのファイルの内容で置き換え、その新しい値を初期設定ルーチンに渡します。 string の最大長は 1024 バイトです。
デフォルトの Db2 ライブラリー libdb2compr_encr.so (圧縮および暗号化) の場合、 libdb2zcompr_encr.so (zlib ベースの圧縮および暗号化)、 libdb2nx842_encr.a (NX842 圧縮および暗号化) または libdb2encr.so (暗号化のみ)。 ENCROPTS string の形式は以下のとおりです。
Cipher=cipher-name:Mode=mode-name:Key Length=key-length:
  Master Key Label=label-name-1...:Master Key Label=label-name-n
  • Cipher はオプションです。 有効値は AES および 3DES です (デフォルトは AES)。
  • Mode はオプションです。 デフォルトは CBC です。
  • key length はオプションです。 AES の場合の有効値は 128、192、および 256 であり (デフォルトは 256)、3DES の場合の有効値は 168 のみです。
  • データベースが暗号化されている場合、マスター鍵ラベルはオプションです。 デフォルトは、データベースのマスター鍵のラベルです。 データベースが暗号化されていない場合、マスター鍵ラベルは必須です。
注: libdb2zcompr_encr.so ライブラリーは、 Db2 11.5.7 以降のバージョンで使用可能です。
他のライブラリーを使用している場合、 ENCROPTS ストリング の形式はそれらのライブラリーによって異なります。
EXCLUDE LOGS
バックアップ・イメージにアクティブ・ログ・ファイルまたは抽出ログ・ファイルを組み込まないことを指定します。 オフライン・バックアップ操作を実行すると、スナップショット・バックアップを除き、このオプションが指定されているかどうかに関係なく、ログは除外されます。 ログは、以下のバックアップ・シナリオにおいて、デフォルトで除外されます。
  • 単一パーティション・データベースのオフライン・バックアップ。
  • 単一システム・ビュー・バックアップを使用しない場合は、マルチ・パーティション・データベースのオンラインまたはオフラインのバックアップ。
スナップショット・バックアップを使用して EXCLUDE LOGS を指定すると、バックアップ中にログ・ファイルへの書き込みが許可されます。 これらのログ・ファイルは、デフォルトでスナップショット・バックアップに含まれますが、リカバリーには使用できません。 このバックアップをリストアした場合、バックアップからログ・ファイルを抽出してはなりません。 バックアップが取られたときにログ・パスがデフォルトに設定されていた場合は、ログ・ファイルをリストア対象から除外することはできません。 ログ・ファイルは、バックアップのリストア後に手動で削除する必要があります。 ログ・パスがデフォルトでない場合は、 RESTORE DATABASE コマンドで LOGTARGET EXCLUDE オプションを使用して、リストア時にログ・ファイルを除外することができます。
INCLUDE LOGS
このイメージをリストアして整合した時点までロールフォワードするために必要なログ・ファイルの範囲をバックアップ・イメージに含める必要があることを指定します。

Db2 11.5.6 以降では、データベースが 「拡張ログ・スペース管理」用に構成されている場合、 Db2 は、イメージに含める抽出ファイルとアクティブ・ログ・ファイルの最適な組み合わせを選択します。 このアクションが成功するかどうかは、バックアップ時の抽出ログ・ファイルの可用性に依存します。

オフライン・バックアップでは、このオプションは無効です。ただし、スナップショット・バックアップの場合は例外です。 INCLUDE LOGS は、すべてのオンライン・バックアップ操作のデフォルト・オプションです。ただし、各データベース・パーティションが独立してバックアップされる複数パーティション・オンライン・バックアップ (非単一システム・ビュー・バックアップ) は除きます。

バックアップに必要なアクティブ・ログ・ファイルがログ・パスに存在しなくなった場合、 Db2 データベース・マネージャーは、設定されたオーバーフロー・ログ・パスからバックアップのためにそれらを取得します。 以前にアーカイブされたため、ファイルがログ・パスから削除された可能性があります。

オーバーフロー・ログ・パスが設定されていない場合、データベース・マネージャーは現行ログ・パスまたはミラー・ログ・パスからバックアップのためにそれらを取得します。 これらのログ・ファイルは、バックアップ完了後にログ・パスから削除されます。

WITHOUT PROMPTING

バックアップは、管理されることなく実行されるため、通常はユーザーの介入を必要とするアクションでエラー・メッセージが戻されるように指定されます。

注:
  1. バックアップ・コマンドが、パーティション・データベース内のどのパーティションをバックアップするかを示す場合、バックアップ操作は暗黙的に WITHOUT PROMPTINGを実行します。
  2. パーティション・データベース環境では、BACKUP DATABASE コマンドで指定されたオプションは、各パーティションに個別に適用されます。 例えば、バックアップ操作が USE TSM OPEN 3 SESSIONSに指定されている場合、 Db2 はパーティションごとに 3 つの TSM セッションを開きます。

  1. 以下の例は、データベース・パーティション 0 から /dev3/backupへのすべての WSDB データベース・パーティションのオフライン・バックアップを実行するコマンドを示しています。 データベース WSDB は、0 から 3 までの番号が付けられた 4 つのデータベース・パーティションすべてに定義されます。 パス /dev3/backup は、すべてのデータベース・パーティションからアクセス可能です。 データベース・パーティション 0 はカタログ・パーティションです。
    db2 BACKUP DATABASE wsdb ON ALL DBPARTITIONNUMS TO /dev3/backup

    バックアップは、すべてのパーティションで同時に実行されます。 4 つのデータベース・パーティション・バックアップ・イメージはすべて、 /dev3/backup ディレクトリーに保管されます。 このディレクトリーには、複数のパーティションからアクセスできる共有ディレクトリーを使用することも、 各パーティションから個別にアクセスできるローカルにマウントされたディレクトリーを使用することも、その両方を組み合わせて使用することもできます。

  2. 名前付きパイプを使用すると、中間バックアップ画像を保存せずに、あるデータベースを別のデータベースに直接バックアップすることができます。
    以下の例では、ソース・データベース (srcdb) をターゲット・データベース (tgtdb) にコピーします。 BACKUP コマンドと RESTORE コマンドは、どちらの順序でも入力できます。
    (1 つのセッション)
    $ db2 backup db srcdb to /<pipename> 
    (別のセッション)
    $ db2 restore db srcdb from /<pipename> into tgtdb
  3. 以下の例は、データベース SAMPLE を、2 つの並行 TSM クライアント・セッションを使用する TSM サーバーにバックアップするコマンドを示しています。 この環境に最適なバッファー・サイズが Db2 によって計算されます。
    db2 backup database sample use tsm open 2 sessions with 4 buffers
  4. 以下の例は、表スペース syscatspace および userspace1 データベース payrollの表スペース・レベルのテープへのバックアップを実行するコマンドを示しています。
    db2 backup database payroll tablespace (syscatspace, userspace1) to
       /dev/rmt0, /dev/rmt1 with 8 buffers without prompting
  5. USE TSM OPTIONS キーワードを使用して、バックアップ操作に使用する TSM 情報を指定できます。 以下の例は、 USE TSM OPTIONS キーワードを使用して完全修飾ファイル名を指定する方法を示しています。
    db2 backup db sample use TSM options @/u/dmcinnis/myoptions.txt
    ファイル myoptions.txt には、以下の情報が含まれています。 -fromnode=bar -fromowner=dmcinnis
  6. 以下の例は、リカバリー可能データベースの週次増分バックアップ・ストラテジーの例を示しています。 週 1 回の全データベース・バックアップ操作、1 日 1 回の非累積 (差分) バックアップ操作、 および週 2 回の累積 (増分) バックアップ操作が含まれています。
       (Sun) db2 backup db sample use tsm
       (Mon) db2 backup db sample online incremental delta use tsm
       (Tue) db2 backup db sample online incremental delta use tsm
       (Wed) db2 backup db sample online incremental use tsm
       (Thu) db2 backup db sample online incremental delta use tsm
       (Fri) db2 backup db sample online incremental delta use tsm
       (Sat) db2 backup db sample online incremental use tsm
  7. 以下の例は、データベース SAMPLE でのバックアップ操作に指定された 3 つの同一のターゲット・ディレクトリーを示しています。 このアクションは、ターゲット・ファイル・システムが複数の物理ディスクで構成されている場合に適しています。
    db2 backup database sample to /dev3/backup, /dev3/backup, /dev3/backup
    データは 3 つのターゲット・ディレクトリーに並行してバックアップされ、3 つのバックアップ・イメージが .001.002、および .003の拡張子付きで生成されます。
  8. 以下の例は、表スペース USERSPACE1 のオンライン・バックアップをパーティション 0 からデータベース・パーティション 1 および 2 で実行し、バックアップ・イメージを TSM サーバーに保管するために使用するコマンドを示しています。 データベース WSDB は、0 から 3 までの番号が付けられた 4 つのデータベース・パーティションすべてに定義されます。 データベース・パーティション 0 はカタログ・パーティションです。
    db2 BACKUP DATABASE wsdb ON DBPARTITIONNUMS (1, 2) TABLESPACE (USERSPACE1)
     ONLINE USE TSM
  9. 以下の例は、各パーティションによって返される sqlcode を示すために生成される出力例を示しています。
    Example 1
    全パーティションが成功 (sqlcode >= 0)
    $ db2 backup db foo on all dbpartitionnums tablespace(T1)
    Part Result
    ---- ------
    0000 DB20000I The BACKUP DATABASE command completed successfully.
    0001 SQL2430W The database backup succeeded, but the following 
              table spaces do not exist on this database partition: "T1".
    
    Backup successful. The timestamp for this backup image is : 
                                                       20040908010203
    
    Example 2
    1 つ以上のパーティションが失敗 (sqlcode < 0)
    $ db2 backup db foo on all dbpartitionnums to /backups
    Part Result
    ---- ------
    0000 SQL2001N  The utility was interrupted. The output data may be incomplete.
    0001 SQL2419N The target disk "/backups" has become full.
    
    SQL2429N The database backup failed. The following database partitions returned errors: "1".
    
  10. 以下のバックアップでは、作成されるイメージ内にログ・ディレクトリーが含まれます。
    db2 backup db sample use snapshot
    db2 backup db sample online use snapshot
    db2 backup db sample use snapshot INCLUDE LOGS
    db2 backup db sample online use snapshot INCLUDE LOGS
  11. 以下のバックアップには、作成されたイメージ内のログ・ディレクトリーは含まれません。
    db2 backup db sample use snapshot EXCLUDE LOGS
    db2 backup db sample online use snapshot EXCLUDE LOGS
  12. 次のコマンドは、デフォルトの暗号化オプションを使用して、バックアップ・イメージを暗号化します。
    BACKUP DATABASE ccards ENCRYPT;
  13. 次のコマンドは、デフォルトの暗号化ライブラリーと明示的に指定された暗号化オプションを使用して、バックアップ・イメージを暗号化します。
    BACKUP DATABASE ccards
      ENCRYPT ENCRLIB 'libdb2encr.so'
      ENCROPTS 'Cipher=3DES';
    
    BACKUP DATABASE ccards
      ENCRYPT ENCRLIB 'libdb2encr.so'
      ENCROPTS 'Master Key Label=mylabel.mydb.myinstance.myserver';
  14. 次のコマンドは、圧縮と暗号化の両方が行われたバックアップ・イメージを作成します。
    BACKUP DATABASE ccards
      ENCRYPT ENCRLIB libdb2compr_encr.so;

使用上の注意

  • バックアップ内のデータは、データベース・サーバーによって保護されるわけではありません。 バックアップに LBAC で保護されたデータが含まれる場合は特に、バックアップを適切に保護しておく必要があります。
  • テープにバックアップする場合、可変ブロック・サイズの使用はサポートされません。 このオプションを使用する必要がある場合は、リカバリーを成功させるために使用される所定の手順が完全にテストされていることを確認してください。 可変ブロック・サイズで作成されたバックアップ・イメージを使用してテストします。
  • バックアップ・ユーティリティーは、タイプ 2 接続で使用することはできません。
  • 可変ブロック・サイズを使用する場合は、使用する磁気テープ装置の最大限度以下のバックアップ・バッファー・サイズを指定する必要があります。 最適なパフォーマンスを得るためには、バッファー・サイズは、使用されている装置の最大ブロック・サイズ制限と等しくなければなりません。
  • ファイラーおよびストレージ・システムで障害が発生した場合に、スナップショット・バックアップを通常のディスク・バックアップで補完します。
  • データベースの定期的なバックアップを行うと、大規模なデータベース・バックアップ・イメージ、多数のデータベース・ログ、およびロード・コピー・イメージが作成される可能性があります。 これらのファイルの累積は大量のディスク・スペースを消費しますが、不要なリカバリー・ファイルを安全に削除することができます。 詳しくは、 リカバリー・オブジェクトの管理を参照してください。
  • OPTIONS パラメーターを使用して、プロキシー・ノードをサポートする TSM 環境でバックアップ操作を有効にすることができます。 詳しくは、「 Tivoli Storage Manager クライアントの構成 」トピックを参照してください。
  • DB2_BCKP_PAGE_VERIFICATION レジストリー変数を使用して、バックアップ操作中に DMS および AS ページの妥当性検査を有効にすることができます。 妥当性検査により、多くのタイプの構造保全性の問題を識別できます。 問題のタイプには、データ、索引、および XML オブジェクトのページ・チェックサム検証の失敗、およびこれらのページのメタ情報の異常が含まれます。 考えられる保全性の問題をすべて特定することはできません。 以下の制限があります。
    • データ・ページのバージョンが、DB2 が最後にディスク上の表スペース・コンテナー・ファイルに書き込んだものを反映しているかどうか (つまり、書き込み I/O の欠落) が識別されない。
    • ページ上のデータとデータに関連付けられたオブジェクトとの間の論理的な不連続性は識別されません。 これらの相関オブジェクトには、索引、制約、および MQT が含まれます。
    • 同じオブジェクト ID を持つページが予期されている表スペースに配置されている場合、配置が誤っているデータ・ページのバージョンは検出されません。
    • LOB または長フィールド・データ・ページの保全性は検証されません。
    • ページにデータが含まれていることが予期されている場合でも、空の (ゼロにリセットされた) ページの保全性は検査されず、エラーとして報告されません。
    • SMS 表スペースの場合、保全性の検証は、オブジェクトごとにページ・カウントが正しいことを保証することに限定されます。 これ以上の検証は実行されません。
  • DB2_BCKP_INCLUDE_LOGS_WARNING レジストリー変数を使用すると、一部のオンライン・バックアップに必要なログがすべて含まれていない場合でも、それらのオンライン・バックアップを正常に実行できるように指定できます。
  • ONLINE オプションと INCLUDE LOGS オプションを指定して BACKUP DATABASE コマンドを発行すると、バックアップの終わりまでのロールフォワードに必要なすべてのログ・ファイルが、結果のバックアップ・データベース・イメージに含まれるようになります。