ファイルシステムの構造

ファイルシステムとディレクトリーの違いを理解しておくことは重要です。 ファイルシステムはファイルを収容するように割り振られた、ハード・ディスクのセクションです。 ハード・ディスクのこのセクションには、ディレクトリーの上にファイルシステムをマウントしてアクセスします。 ファイルシステムがマウントされると、これはエンド・ユーザーからは他のディレクトリーと同じように見えます。

しかし、ファイルシステムとディレクトリーには構造上の違いがあるため、これらのエンティティー内のデータは別々に管理することができます。

オペレーティング・システムが初めてインストールされるときは、これは、以下の図に示されているように、ディレクトリー構造内にロードされます。

図 1./ (root) ファイル・システム・ツリー。 このツリー・グラフは、最上部に / (ルート) ファイル・システムがあり、ディレクトリーおよびファイル・システムに下方に分岐しているディレクトリー構造を示しています。 ディレクトリーは /bin/dev/etc、および /lib に分岐しています。 ファイル・システムは、 /usr/tmp/var、および /homeに分岐します。

右側のディレクトリー (/usr/tmp/var、および /home) はいずれもファイルシステムなので、ハード・ディスクの別々のセクションがそれぞれで使用するように割り振られています。 これらのファイルシステムはシステムの始動時に自動的にマウントされるので、これらのファイルシステムと左側にリストされているディレクトリー (/bin/dev/etc、および /lib) との違いはエンド・ユーザーにはわかりません。

スタンドアロン・マシンでは、デフォルトでは、次の各ファイルシステムが関連するデバイスに入っています。

/デバイス /file システム
/dev/hd1 /home
/dev/hd2 /usr
/dev/hd3 /tmp
/dev/hd4 /(root)
/dev/hd9var /var
/proc /proc
/dev/hd10opt /opt

ファイル・ツリーには、次のような特性があります。

  • 同じハードウェア・アーキテクチャーのマシンが共用できるファイルは、/usr ファイルシステム内にあります。
  • 可変クライアント別ファイル (例えば、スプール・ファイルやメール・ファイル) は、/var ファイルシステムにあります。
  • /(root) ファイル・システムには、システム操作に重要なファイルとディレクトリーが含まれています。 例えば、以下に示すものが入っています。
    • デバイス・ディレクトリー (/dev)
    • ファイルシステムを root ファイルシステムにマウントする場合のマウント・ポイント (例: /mnt)
  • /home ファイル・システムは、ユーザーのホーム・ディレクトリーのマウント・ポイントです。
  • サーバーの場合、/export ディレクトリーには、ページング・スペース・ファイル、クライアントごとの (共有されない) root ファイルシステム、ダンプ・ディレクトリー、ホーム・ディレクトリー、およびディスクレス・クライアント用の /usr/share ディレクトリーに加えて、エクスポートされた /usr ディレクトリーが入っています。
  • /proc ファイルシステムには、システムの中のプロセスとスレッドの状態に関する情報が含まれています。
  • /opt ファイルシステムには、アプリケーションなどのオプショナル・ソフトウェアが含まれています。

以下のリストは、 /(root) ファイル・システムの一部のサブディレクトリーの内容に関する情報を示しています。


項目 説明
/bin /usr/bin ディレクトリーへの シンボリック・リンク
/dev ローカル・デバイス用のスペシャル・ファイルの、デバイス・ノードが入っています。 /dev ディレクトリーには、テープ・ドライブ、プリンター、ディスク区画、および端末装置用のスペシャル・ファイルが収められます。
/etc マシンごとに異なる構成ファイルが入っています。 例えば、以下のものがあります。
  • /etc/hosts
  • /etc/passwd
/export リモート・クライアント用のサーバー上のディレクトリーおよびファイルが入っています。
/home ユーザーのホーム・ディレクトリーが入っているファイルシステムの、マウント・ポイントとして使用されます。 /home ファイルシステムには、ユーザーごとのファイルおよびディレクトリーが入っています。

スタンドアロン・マシンでは、個別のローカル・ファイルシステムが、/home ディレクトリーの上にマウントされています。 ネットワークでは、複数のマシンからアクセスできるユーザー・ファイルが、サーバーに入っていることがあります。 この場合には、サーバーの /home ディレクトリーのコピーが、ローカルの /home ファイルシステムにリモートでマウントされます。

/lib /usr/lib ディレクトリーに対するシンボリック・リンクです。これには lib*.a のフォーマットの名前の付いた、アーキテクチャーに依存しないライブラリーが入っています。
/sbin マシンのブートおよび /usr ファイルシステムのマウントに必要なファイルが入っています。 ブート時に使用されるコマンドの大部分は、ブート・イメージの RAM ディスク・ファイルシステムに収められているため、ほとんどのコマンドは /sbin ディレクトリー内に常駐していません。
/tmp システム生成の一時ファイルが入れられるファイルシステムのマウント・ポイントとしての役割を果たします。
/u /home ディレクトリーへのシンボリック・リンクです。
/usr 変更されずに複数のマシンによって共用されるファイル (実行可能プログラムや ASCII 文書など) が入っているファイルシステムのマウント・ポイントとして機能します。

スタンドアロン・マシンでは、/usr ディレクトリーの上に、個別のローカル・ファイルシステムをマウントします。 ディスクレスのマシンとディスク容量の少ないマシンでは、/usr ファイルシステムの上に、リモート・サーバーからディレクトリーをマウントします。

/var マシンによって異なるファイルの、マウント・ポイントとして使用されます。 /var ファイルシステムは、入っているファイルが増大する傾向にあるので、ファイルシステムとして構成されます。 例えば、それは /usr/tmp ディレクトリーに対するシンボリック・リンクで、そこには一時的な作業ファイルが含まれています。