mkvg コマンド

目的

ボリューム・グループを作成します。

構文

mkvg [ -a ] [ -B ] [ -t factor ] [ -S [ -v logicalvolumes ] [ -P partitions ]] [ -C ] [ -G ] [ -f ] [ -i ] [ -I ] [ -c ] [ -X none|SSD ] [ -L ltgsize ] [ -n ] [ -s size ] [ -V majornumber ] [ -y volumegroup ] [ -M y|s ] [ -p mirrorpool ] [ -O y|n ] [ -N o|n ] [ -r y|n ] [ -e y|n ] [ -k y|n ] physicalvolume ...

説明

mkvg コマンドは、physicalvolume パラメーターで表される物理ボリュームを使用して、新規のボリューム・グループを作成します。 ボリューム・グループが作成されると、 mkvg コマンドは varyonvg コマンドを使用して新規ボリューム・グループを自動的にオンに変更します。 この例外として、ボリューム・グループが -C フラグで作成される場合があります。 ボリューム・グループが正常に作成される場合、そのボリューム・グループは自動的にオンに変更されることはありません。 その代わりとして、 ユーザーはそのボリューム・グループを手動で varyon する必要があります。

mkvg コマンドは、デフォルトで、最大 1024 個の物理ボリューム、256 個の論理ボリューム、および 32768 個の物理区画を収容できる scalable タイプのボリューム・グループを作成します。 デフォルトでは、mkvg コマンドによりボリューム・グループにおいてデータを暗号化できます。

mkvg コマンドは、コマンド行に何も指定されていない場合、適切な区画サイズ (-s) および係数 (-t) を判別しようとします。

注:
  1. 物理ボリュームが別のボリューム・グループにはもう存在していないことが確認されます。 mkvg コマンドが、その物理ボリュームが、オンに変更されているボリューム・グループに属していると判断した場合、ボリューム・グループを作成せずに終了します。 mkvg コマンドが、オンに変更されていないボリューム・グループに物理ボリュームが属していると判別した場合は、強制オプション (-f) を使用してボリューム・グループを作成する必要があります。 強制オプションを使用すると、物理ボリュームの前の内容が失われるため、強制オプションは注意して使用してください。
  2. このコマンドを使用するには、root ユーザー権限を持っているか、あるいは system グループのメンバーでなければなりません。
  3. small ボリューム・グループ・タイプ (最大 32 個の PV) または big ボリューム・グループ・タイプ (最大 128 個の PV) を作成する場合は、1 つの PV 当たり物理区画は 1016 個に制限されます。 物理区画サイズ (-s) を指定するときは、値を十分に大きく設定して、PV につき 1016 物理区画という制限を超えないようにしてください。 例えば、10 GB のディスクを含むボリューム・グループを作成するには、少なくとも 16 MB の区画サイズが必要になります。 2 のファクター・サイズ (-t) を使用すると、8 MB の小さい区画サイズを使用できます。 ファクター値が指定されている場合、ボリューム・グループに含めることができる PV の最大数は MaxPVs またはファクター値です。
  4. ボリューム・グループを作成すると、オペレーティング・システムは そのボリューム・グループを自動的に varyon します。 しかし、ボリューム・グループを -C フラグを使用して作成すると、システムはコンカレント機能付きボリューム・グループの作成終了時にそのボリューム・グループを自動的にオンに変更しなくなります。 代わりに、 mkvg コマンドは、非コンカレント・モードまたはコンカレント・モードのいずれかでボリューム・グループを手動で varyonvg するように通知します。
  5. ディスクがサード・パーティーのボリューム・マネージャーによって管理されていることを示している場合、 mkvg コマンドはディスクをボリューム・グループに追加できません。 サード・パーティーのボリューム・マネージャーのディスクをオーバーライドしてクリアするには、 chpv -C HDiskNameを使用します。
  6. -c または -C フラグが指定される場合、拡張コンカレント機能付きボリューム・グループのみが作成されます。
  7. 4 KB ブロック物理ボリューム (PV) と他のサイズの PV ブロックを混用しないでください。 ボリューム・グループ内のすべての PV のブロック・サイズは同じである必要があります。 4 KB ブロック PV を使用して作成されたボリューム・グループを、4 KB ブロック PV をサポートしないバージョンの AIX® にインポートすることはできません。
  8. ボリューム・グループの不良ブロック再配置ポリシーは、4 KB ブロックの PV で作成されたボリューム・グループをサポートしていません。

VGDA スペースが大幅に増加するため、すべての VGDA 更新操作 (論理ボリュームの作成、論理ボリュームの変更、物理ボリュームの追加など) の実行にかなり長い時間がかかる可能性があります。

このコマンドは、System Management Interface Tool (SMIT) smit mkvg 高速パスを使用して実行することができます。

フラグ

項目 説明
-a これは、small タイプのボリューム・グループを作成します。 このタイプには最大 32 個の物理ボリュームと最大 255 個の論理ボリュームを収容できます。
-B big タイプのボリューム・グループを作成します。 このタイプには 128 までの物理ボリュームと 512 までの論理ボリュームを入れることができます。
注: VGDA スペースは大幅に増加するため、各 VGDA 更新操作 (論理ボリュームの作成、論理ボリュームの変更、物理ボリュームの追加など) の実行には、かなり時間がかかる可能性があります。
-c -C フラグと同じです。 拡張コンカレント機能付きボリューム・グループのみが作成されます。
-C 拡張コンカレント対応ボリューム・グループを作成します。 -C フラグは、 PowerHA® SystemMirror® 拡張スケーラビリティー (ES) と共に使用します。 PowerHA SystemMirror ES 製品を使用しないボリューム・グループおよびシステムでは使用できません。

このフラグは、拡張コンカレント対応ボリューム・グループを作成するのに使用します。

注:
  1. 拡張並行のボリューム・グループは、グループ・サービスを使用します。 グループ・サービスは、 PowerHA SystemMirror ES と一緒に出荷され、このモードでボリューム・グループを活動化する前に構成する必要があります。
  2. 64 ビット・カーネルで実行するとき、拡張コンカレント対応ボリューム・グループのみがサポートされます。 64 ビット・カーネルで実行するとき、コンカレント対応ボリューム・グループはサポートされません。
  3. 拡張コンカレント機能付きボリューム・グループでは、マルチノード varyon 保護が有効になっています。 マルチノード varyon 保護について詳しくは、 -N フラグを参照してください。
-e y|n ボリューム・グループの Critical PVs オプションを使用可能にします。 このフラグは、 IBM® AIX 7.2 テクノロジー・レベル 1 以降で使用できます。
y
ボリューム・グループの Critical PVs オプションを使用可能にします。 ミラーリングされた論理ボリュームで write 要求の失敗が発生した場合、PV には欠落のマークが付けられ、障害が発生したミラーリングされた論理ボリュームへの入出力要求の送信を停止します。 ボリューム・グループで Critical PVs オプションが有効になっている場合は、そのボリューム・グループのみを IBM AIX 7.2 (テクノロジー・レベル 1)以降にインポートできます。
n
Critical PVs オプションは使用されません。 このオプションがデフォルト値です。
-f 指定された物理ボリュームが、デバイス構成データベースまたはアクティブなボリューム・グループ内の別のボリューム・グループの一部でない限り、その物理ボリューム上にボリューム・グループを強制的に作成します。
-G -B フラグと同じです。
-i 標準入力から PhysicalVolume パラメーターを読み取ります。
-I AIX バージョン 6.1にインポートできるボリューム・グループを作成します。 LTGSize は、ボリューム・グループが AIX バージョン 6.1より前に作成されたかのように動作します。 論理ボリュームが後で、 AIX バージョン 6.1 または AIX バージョン 6.1 でサポートされるストリップ・サイズより大きいストリップ・サイズで作成された場合 (ストリップ・サイズにアレイ内のディスク数を乗算したものがストライプ・サイズになります)、 そのボリューム・グループを AIX バージョン 6.1 または AIX バージョン 6.1 にインポートして戻そうとすることはサポートされていません。
-k y|n ボリューム・グループのデータ暗号化オプションを有効にします。 -k フラグは、 IBM AIX 7.2 (テクノロジー・レベル 5)以降で使用できます。 このフラグに指定できる値は以下のとおりです。
y
ボリューム・グループのデータ暗号化オプションを有効にします。 ボリューム・グループでデータ暗号化オプションが有効になっている場合、 AIX 7 (7200-05 適用)以降を実行している AIX LPAR にボリューム・グループをインポートできます。 このオプションがデフォルト値です。
n
ボリューム・グループのデータ暗号化オプションを有効にしません。
-L ltgsize -I フラグを指定せずに AIX バージョン 6.1 で作成されたボリューム・グループの場合、 -L フラグは無視されます。 ボリューム・グループがオンに変更されると、論理トラック・グループ・サイズは、ディスクの共通最大転送サイズに設定されます。

AIX バージョン 6.1-I フラグを指定して作成されたボリューム・グループの場合、または AIX バージョン 6.1より前に作成されたボリューム・グループの場合、論理トラック・グループ・サイズは ltgsizeに設定されます。 ltgsize の有効な値は、 128256512、または 1024です。 さらに、その値はボリューム・グループ内のすべてのディスクの最大転送サイズ以下でなければなりません。 デフォルトの ltgsize は 128 KB です。

-M y|s ボリューム・グループに対するミラー・プールの厳密性を使用可能にします。
y
ミラー・プールはボリューム・グループ内の論理ボリュームごとに使用する必要があります。
s
このボリューム・グループには超厳密なミラー・プールが強制されます。
-N o|n
o
同時に複数のノードで非コンカレント・モードで varyon できるボリューム・グループを作成します。 このオプションがデフォルト値です。
n
同時に複数のノードで非コンカレント・モードで varyon することができないボリューム・グループを作成します。 このボリューム・グループは、 -N フラグをサポートしないバージョンの AIX オペレーティング・システムにはインポートできなくなります。
-n システムを再始動する間に、ボリューム・グループが自動的に使用可能とならないように指定します。 デフォルト値を使用すると、ボリューム・グループは自動的に活動化されます。
-O y/n 論理ボリュームの無限再試行オプションを使用可能にします。
n
論理ボリュームの無限再試行オプションは使用可能ではありません。 失敗した論理ボリュームの入出力は再試行されません。 このオプションがデフォルト値です。
y
論理ボリュームの無限再試行オプションは使用可能です。 失敗した入出力要求は、成功するまで再試行されます。
注: Geographic Logical Volume Manager (GLVM) 環境では、無限再試行オプションはサポートされていません。
-pmirrorpool 指定されたミラー・プールに、追加されるそれぞれの物理ボリュームを割り当てます。 ミラー・プールがボリューム・グループで使用可能になると、そのボリューム・グループは、ミラー・プールをサポートしないバージョンの AIX にインポートできなくなります。
-P partitions ボリューム・グループ内の区画の総数で、 Partitions 変数は、1024 区画単位で表されます。 有効な値は、32、64、128、256、512、768、1024、および 2048 です。 デフォルトは 32 k (32768 区画) です。 chvg コマンドを使用して、 区画の数を最大 2048 k (2097152 区画) に増やすことができます。 このオプションは、 -S オプションと一緒の場合にのみ有効です。
-r y|n ボリューム・グループの Critical VG オプションを使用可能にします。 -r フラグには、以下の値を指定できます。
y
ボリューム・グループの Critical VG オプションが使用可能になります。 Critical VG オプションをオンにしてボリューム・グループが作成された場合、入出力要求が失敗すると、入出力失敗を返す前にディスクの状態を確認するために、論理ボリューム・マネージャー (LVM) のメタデータの書き込みが開始されます。 rootvg ボリューム・グループが Critical VG オプションに設定されていて、ボリューム・グループがディスクのクォーラム・セット (またはクォーラムが使用不可の場合はすべてのディスク) へのアクセスを失う場合、ボリューム・グループを強制的にオフライン状態にする代わりに、ノードが異常終了し、コンソールにメッセージが表示されます。
n
ボリューム・グループの Critical VG オプションは使用可能になりません。 これがデフォルト値です。
-S scalable タイプのボリューム・グループを作成します。 デフォルトでは、このボリューム・グループは、最大 1024 物理ボリューム、256 論理ボリューム、および 32768 物理区画を収容できます。 論理ボリュームの数を増やすには、-v オプションを使用します。 物理区画の数を増やすには、-P オプションを使用します。
注: スケーラブル・ボリューム・グループのデフォルト値を超えて maxlvs および maxpps を増やすと、それに応じて VGDA のサイズが大幅に増加する可能性があります。 maxlvs 値および maxpps 値は減らすことができないため、必要な場合のみ増やす必要があります。 一方、VGDA スペースの増加につれて、すべての VGDA 更新操作 (論理ボリュームの作成、 論理ボリュームの変更、物理ボリュームの追加など) は、実行に長い時間がかかるようになります。
-sSize 各物理区画の MB (メガバイト) 数を設定します。Size 変数は、 1 (1 MB) から 131072 (128 GB) までの MB 単位で表されます。 Size 変数は、 2 の累乗 (例えば 1、2、4、8) でなければなりません。 32 および 128 PV ボリューム・グループのデフォルト値は、1 PV につき 1016 物理区画の制限内に収めるために、最小の値になります。 スケーラブル・ボリューム・グループのデフォルト値は、1 PV につき 2040 物理区画を収めるために、最小の値になります。
-t 係数 factor 変数で指定された、物理ボリュームごとの物理区画数の制限を変更します。 factor は、32 PV のボリューム・グループの場合は 1 から 16 で、128 PV のボリューム・グループの場合は 1 から 64 でなければなりません。 このボリューム・グループの物理ボリューム当たりの物理区画の最大数は factor x 1016 に変更されます。 デフォルトは、factor x 1016 の物理区画の制限内に収まる最小の値です。 ボリューム・グループに含めることができる PV の最大数は、 MaxPVs またはファクター値です。 -S オプションを指定した場合、 -t オプションは無視されます。
-V majornumber 作成するボリューム・グループのメジャー番号を指定します。
-v 作成できる論理ボリュームの数。 有効な値は 256、512、1024、2048、および 4096 です。 デフォルトは 256 です。 chvg コマンドを使用して、 論理ボリュームの数を最大 4096 に増やすことができます。 このオプションは、 -S オプションと一緒の場合にのみ有効です。 最後の論理ボリュームは、メタデータ用に予約済みです。
-X none|SSD ボリューム・グループの PV タイプ制限を使用可能にします。 このオプションでは、PV タイプに基づく特定の制限を使用してボリューム・グループを作成することができます。 「none」がデフォルト値です。 「SSD」では、ボリューム・グループ内のすべての PV が SSD メディア・タイプの PV でなければなりません。 PV の制限がオンになっている場合、mkvg コマンドは、すべての PV がこの条件を満たすかどうかを確認します。 PV 制限がオンになると、PV タイプ制限をサポートしないバージョンの AIX にボリューム・グループをインポートできなくなります。
none
オプションとして、PV 制限はありません。 ボリューム・グループは、任意のディスク・タイプで形成できます。 このオプションがデフォルト値です。
SSD
オプションとして、ボリューム・グループは SSD の PV タイプに制限されます。 物理ボリューム引数でリストされているディスクのタイプは、SSD でなければなりません。
-y volumegroup 自動的に生成される名前ではなく、ボリューム・グループ名を指定します。 ボリューム・グループ名はシステム内で固有でなければなりません。 ボリューム・グループ名は 1 から 15 文字の範囲にすることができます。 この名前は、他のデバイスのデバイス構成データベースの PdDv クラスで既に定義されている接頭部で始めることはできません。 作成されたボリューム・グループ名は、標準出力に送信されます。

ボリューム・グループ名に使用できる文字は、A から Z、a から z、0 から 9、_ (下線)、-(負符号)、または. です。 (ピリオド) です。 このほかの文字はすべて無効と見なされます。

セキュリティー

RBAC ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権について詳しくは、「 セキュリティー」の「特権コマンド・データベース」を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. 区画サイズが 1 MB に設定されている 3 つの物理ボリュームを含むボリューム・グループを作成するには、次のように入力します。
    mkvg  -s 1 hdisk3 hdisk5 hdisk6
    ボリューム・グループが作成される際に自動的に名前が生成され、システムの再始動時に表示され、使用可能となります。
    mkvg -s 2 -t 2 -y newvg hdisk1

    ボリューム・グループ newvg は、物理区画サイズ 2 MB、物理ボリューム当たりの物理区画の最大数 2032 で作成されます。 この例に示されている構成は、 hdisk1 のサイズが 4064 MB (2032 * 2) を超えてはならないことを意味します。

  2. 最大 1024 物理ボリュームおよび 2048 論理ボリュームを収容できるボリューム・グループを作成するには、 次のように入力します。
    mkvg -S -v 2048 hdisk6

ファイル

項目 説明
/usr/sbin mkvg コマンドが保管されるディレクトリー。
/tmp コマンドの実行中に一時ファイルが格納されるディレクトリー。
/dev ボリューム・グループ用のキャラクター型デバイス・エントリーが作成されるディレクトリー。