ディスク・ミラーリングのパフォーマンスへの影響

パフォーマンスの観点からは、ミラーリングにはコストがかかり、書き込み検査 (Write Verify) を指定したミラーリングではさらにコストがかかるので (書き込み当たりのディスク・ローテーションが余分)、書き込み検査およびミラー書き込み整合性の両方を指定したミラーリングは、あらゆるミラーリングの中で最も高くつきます (ディスク・ローテーションに加えてシリンダー 0 へシークのため)。

ミラーリングが使用され、ミラー書き込み整合性 (Mirror Write Consistency) がオンになっている (デフォルトにより) 場合は、 ディスクの外部領域にそのコピーを配置することを考慮してください。これは、ミラー書き込み整合性情報が常にシリンダー 0 に書き込まれ、 財務の観点からは、書き込みのミラーリングのみ高価になるからです。 lslv コマンドは通常、 ミラーリングされていない論理ボリュームについてはミラー書き込み整合性がオンになることを表示しますが、COPIES 値が 1 より大きくない限り、実際の処理が発生することはありません。 書き込み検査はデフォルトではオフです。これは、ミラーリングされていない論理ボリュームに対しては書き込み検査が意味を持つ (かつコストがかる) からです。

受動ミラー書き込み整合性 (MWC) と呼ばれる、ミラー書き込み整合性オプションが使用可能です。 ミラー書き込み整合性を確実にする デフォルトのメカニズムが、アクティブ MWC です。 アクティブ MWC により、クラッシュが 発生した後のリブート時のリカバリーが速くなります。 ただし、このメリットは書き込みのパフォーマンスを 犠牲にして得られるものであり、特に、ランダム書き込みのパフォーマンスが低下します。 アクティブ MWC を使用不可にすれば、この書き込みパフォーマンスの低下はなくなりますが、 クラッシュ後のリブートで syncvg -f コマンドを使用して ボリューム・グループ全体を手作業で同期させてからでないと、ユーザーがそのボリューム・グループに アクセスすることができません。 これを行うには、ボリューム・グループの automatic vary-on を使用不可にする必要があります。

受動 MWC を使用可能にした場合は、アクティブ MWC にからむ書き込みパフォーマンスの低下が なくなるだけでなく、区画がアクセスされているときに自動的に論理ボリュームの再同期が とられます。 これは、管理者が論理ボリュームを手動で同期したり、 automatic vary-onを無効にしたりする必要がないことを意味します。 受動 MWC の欠点としては、すべての区画の同期が取り直されるまでは、読み取り操作が遅くなるということがあります。

論理ボリュームの作成時、または変更時に、SMIT 内でミラー書き込み整合性オプションを 選択するかしないかの選択ができます。 この選択オプションが有効になるのは、 論理ボリュームのミラーリング (コピー部数 > 1) が行われた場合だけです。