sar コマンド

目的

システム・アクティビティー情報の収集、報告、保管を行います。

構文

/usr/sbin/sar [ { -A [ -M ] | [ -a ] [ -b ] [ -c ] [ -d ][ -k ] [ -m ] [ -q ] [ -r ] [ -u ] [ -v ] [ -w ] [ -y ] [ -M ] } ] [ -P processoridentifier, ... | ALL | RST [-O {sortcolumn=col_name[,sortorder={asc|desc}][,topcount=n]}]]] [ [ -@ wparname ] [ -e[YYYYYMMDD]hh [ :mm [ :ss ] ] ] [ -ffile ] [ -iseconds ] [ -ofile ] [ -s[YYYYYMMDD]hh [ :mm [:ss ] ] ][-x] [ Interval [ Number ] ]

sar [-X [-o filename]] [interval[count]]

説明

sar コマンドは、 オペレーティング・システム内の選択された累積アクティビティー状況カウンターの内容を標準出力に書き出します。 アカウンティング・システムは、number パラメーターと interval パラメーターの値に基づいて、 秒単位で指定された間隔で、指定された回数だけ情報を書き込みます。 number パラメーターのデフォルト・サンプリング間隔は 1 秒です。収集されたデータは、-o file フラグによって指定されたファイルに保管することもできます。

–-X オプションが指定されると、sar コマンドは XML ファイルを生成します。

sar コマンドは、以前にファイルに保管されていたレコードを抽出して標準出力に書き出します。 このファイルは、-f フラグで指定したファイルか、 またはデフォルトの標準システム・アクティビティー・データ・ファイル (/var/adm/sa/sadd ファイル) です。 この場合の dd パラメーターは現在日を表します。

-P フラグが指定されなければ、 sar コマンドはシステム全体の (すべてのプロセッサー間でグローバルな) 統計情報を報告します。 統計情報はパーセントまたは合計として表される値の平均値です。 -P フラグが指定されると、 sar コマンドは指定されたプロセッサーに関連するアクティビティーを報告します。 -P ALL フラグが指定されると、sar コマンドは個々のプロセッサーに関する統計情報を報告し、 続いてシステム全体の統計情報を報告します。 -P ALLワークロード・パーティション環境で使用され、WPARrset レジストリーと 関連付けられている場合は、 リソース・セット統計情報とシステム全体の統計情報が表示されます。 リソース・セットに属するプロセッサーには、 アスタリスク記号 (*) の接頭部が付きます。

フラグを使用して、特定のシステム・アクティビティーに関する情報を選択できます。 フラグをまったく指定しない場合は、システムおよび WPAR ユニット・アクティビティーのみを選択します。また -A フラグを指定すると、すべてのアクティビティーが選択されます。 sar コマンドは、統計情報の出力を開始する前に、現在アクティブなプロセッサーの数とディスクの数を出力します。

デフォルト・バージョンの sar コマンド (プロセッサー使用状況報告) は、 システム・アクティビティーを調査するときに最初に実行する機能の 1 つになることがあります。 その理由は、デフォルト・バージョンの sar コマンドは主なシステム・リソースをモニターするからです。 プロセッサー使用率が 100% に近い (ユーザー + システム) 場合、 サンプルされたワークロードはプロセッサーの制約であることを示しています。 これは、かなりの時間が入出力待ちに費やされている場合に、 ディスク入出力の待機のためにプロセッサー実行がブロックされていることを示しています。 この入出力は、ファイル・アクセスを要求されたか、 十分なメモリーがないために発生したページングに関連している可能性があります。

注: システムが リモート ・ファイル・アクセスに費やした時間は、入出力待ち時間には計算されません。 あるタスクの CPU 使用状況と入出力待ち時間が比較的低いにもかかわらず応答時間が妥当でない場合は、 リモート入出力に費やされた時間を調査してください。 リモート入出力待機に関する統計情報を提供するハイレベル・コマンドはないので、 トレース・データを使って調査すると便利です。 sar コマンドの出力に影響するシステム構成の変更があると、sar は、現在の反復までの平均値を出力してから、構成変更に関する警告メッセージを出します。 次に、更新されたシステム構成情報を出力した後、出力を継続します。

CPU ディスク入出力待ち時間の算出に使用するメソッド

AIX® オペレーティング・システムでは、ディスク入出力を待つために費やされるプロセッサー時間 (wio 時間) のパーセンテージを算出するメソッドが強化されました。wio 時間は、コマンド sar (%wio)、 vmstat (wa)、 および iostat (% iowait) によって報告されます。

各プロセッサーでクロック割り込みが発生する (各プロセッサーで 1 秒間に 100 回) たびに、 その最後の 10 ミリ秒を 4 つのカテゴリー (usr/sys/wio/idle) のうちのどれに入れるかが決定されます。クロック割り込みが発生したときにプロセッサーが usr モードでビジー状態になっていた場合は、 そのクロック・ティックは usr のカテゴリーに追加されます。 クロック割り込みが発生したときにプロセッサーが kernel モードでビジー状態になっていた場合は、 そのクロック・ティックは sys のカテゴリーに追加されます。 プロセッサーがビジー状態になっていなかった場合は、 ディスクに対して何らかの入出力が進行中であったかどうかを確認するために、調査が行われます。 ディスク入出力が進行中の場合、wio カテゴリーに 1 加算されます。 進行中のディスク入出力がなく、プロセッサーもビジー状態でなかった場合には、idle のカテゴリーにティックが追加されます。 さきに述べた、実際よりも高い値が表示されるという状態は、入出力を扱うスレッドの数に関係なく、 アイドル状態のプロセッサーがすべて wio のカテゴリーに分類されることによって生じます。 例えば、入出力を扱っているスレッドがたった 1 つしかないシステムでは、 プロセッサーの数に関係なく、90% を超える wio 時間が報告されることがあります。

AIX オペレーティング・システムでは、アイドル状態のプロセッサーで未解決の入出力が開始された場合、そのプロセッサーに wio としてマークを付けます。このメソッドでは、入出力を扱うスレッドがごくわずかしかなく、 システムの他の部分がアイドル状態になっている場合に、もっと低い wio 時間を報告できるようになりました。 例えば、プロセッサーが 4 つあり、入出力を扱うスレッドが 1 つあるシステムでは、 最大でも 25% の wio 時間しか報告されません。 また、プロセッサーが 12 あり、入出力を扱うスレッドが 1 つあるシステムであれば、 報告される wio 時間は最大で 8% になります。 NFS クライアントの読み取りや書き込みは VMM を通り、 biod が VMM 内で入出力の完了を待つ時間が入出力の待ち時間として報告されるようになりました。

複数のサンプルと複数の報告が必要な場合は、sar コマンドに出力ファイルを指定した方が便利です。 sar コマンドからの標準出力データを /dev/null に送信し、 sar コマンドをバックグラウンド・プロセスとして実行します。 以下のような構文になります。


sar -A -o data.file interval count > /dev/null &

データはすべてバイナリー・フォーマットで集められ、 ファイル (data.file) に保管されます。 このデータは、sar コマンドに -f オプションを使用すると、選択しながら表示できます。

sar コマンドは、 sadc という名前のプロセスを呼び出し、 システムのデータにアクセスします。 2 つの シェル・スクリプト(/usr/lib/sa/sa1/usr/lib/sa/sa2 ) が、 cron コマンドによって実行されるよう 構成されています。その結果、日次統計情報と報告が生成されます。 サンプル・スタンザは、 /var/spool/cron/crontabs/adm crontab ファイルに含まれています (ただしコメント化されています)。これには、cron デーモンがいつシェル・スクリプトを実行すべきかが指定されています。このようにしてデータを収集すると、長期間にわたるシステムの使用方法を特性化し、ピーク使用時刻を判別するのに役立ちます。

/etc/rc スクリプトの対応する行のコメントを外すことによって、システム開始時に、標準システム・アクティビティー日次データ・ファイルにダミー・レコードを挿入できます。 sar コマンドは、プロセッサー時間が前のレコードより短くなっているレコードがあると、time change not positive と報告します。 これは、/etc/rc のダミー・レコード挿入行がコメントにされた状態でシステムをリブートする場合に発生します。

AIX 5.3 以降、sar コマンドは、Micro-Partitioning®環境および同時マルチスレッド化環境に関連した使用状況メトリック physc および %entc を報告します。これらのメトリックは、Micro-Partitioning環境および同時マルチスレッド化環境でのみ表示されます。 physc は、パーティション (システム全体の使用状況の場合) または論理プロセッサー (-P フラグが指定されている場合) が消費する物理プロセッサーの数を示します。%entc は、割り当てられたライセンス容量 (システム全体の使用状況の場合) または認可されたライセンス容量 (-P フラグが指定されている場合) の百分率を示します。パーティションがキャップ付きモードで稼働している場合は、パーティションは割り振られた容量を超える容量を獲得できません。 キャップなしモードの場合は、パーティションは実際に割り振られた容量を超える容量を獲得できます。 これを認可されたライセンス容量と呼びます。 -P フラグが指定されている場合に未使用の容量があると、sar は、cpu id U の別個のプロセッサーとして未使用の容量を出力します。

AIX 6.1 以降、sar コマンドは使用状況のメトリック %resc を報告します。これは、ワークロード・パーティション (WPAR) 環境に関連します。%resc メトリックは、WPAR が消費するプロセッサー・リソースのパーセンテージを示します。このフィールドは、プロセッサー・リソース制限が WPAR で実施されている場合にのみ表示されます。sar -P コマンドは、WPAR のリソース・セット (RSET) 使用状況メトリック R を報告します。

制限: sar コマンドはローカル・アクティビティーのみに関して報告します。

System Management Interface Tool (SMIT) smit sar 高速パスを使用しても sar コマンドを実行できます。

フラグ

項目 説明
-@ wparname -@ フラグは、このコマンドがグローバル環境から WPAR でのプロセッサー使用を報告することを指定します。 wparname パラメーターは、どの WPAR プロセッサー統計が 報告されるかを指定します。
注: -@ フラグは、 ワークロード・パーティション内で実行された場合にはサポートされません。
注: -@ フラグを -d-r-y-f、または -X フラグと同時に使用しないでください。
-A -P フラグを指定せずに -A フラグを使用することは、-abcdkmqruvwy を指定するのと同じです。 -P フラグを指定すると、 -A-acmuw を指定するのと同じです。 -M フラグを指定しないと、ヘッダーは最初の間隔のデータの前に 1 つのまとまりとなっている複数の行の中で 1 回だけ印刷されます。 このフラグを -M フラグと一緒に使用すると、各反復データの各行の前に該当するヘッダーが付けられます。
-a システム・ファイル・アクセス・ルーチンのいずれかが 1 秒間に呼び出された回数を指定するファイル・アクセス・システム・ルーチンの使用状況を報告します。 -P フラグとともに使用すると、指定した各プロセッサーに関する情報が表示されます。 以下の値が表示されます。
dirblk/s
特定のファイルのディレクトリー・エントリーを見付けるためにディレクトリー検索ルーチンによって読み取った 512 バイトのブロックの数。
iget/s
複数のファイルシステム・タイプをサポートするいくつかの i ノード検索ルーチンに対する呼び出し。 iget ルーチンは、ファイルまたはデバイスの i ノード構造へのポインターを戻します。
lookuppn/s
パス名を与えられた v ノードのアドレスを探すディレクトリー検索ルーチンに対する呼び出し。
-b 1 秒あたりの転送、アクセス、およびキャッシュ (カーネル・ブロック・バッファー・キャッシュ) の各ヒット率に関して、バッファー・アクティビティーを報告します。 バージョン 3 のほとんどのファイルへのアクセスは、 カーネル・ブロック・バッファーをバイパスするので、これらの統計情報は生成されません。 ただし、プログラムがブロック・デバイスまたは入出力用ロー・キャラクター型デバイスを開く場合は、 従来のアクセス機構が使用されて、生成された統計情報が意味を持ちます。 以下の値が表示されます。
bread/s、bwrit/s
ブロック入出力の数を報告します。 これらの入出力は通常カーネルによって、ブロック・バッファー・キャッシュ領域を管理するために実行されます。 詳細は lread/s 値の説明を参照してください。
lread/s、lwrit/s
論理入出力要求の数を報告します。 ブロック・デバイスに対して論理読み取りや書き込みが行われる場合、 完全なブロック・サイズより小さい論理転送サイズが要求されることがあります。 システムは、物理デバイス装置の完全なブロックにアクセスし、 これらのブロックをこの目的のために設定されたカーネル・バッファー (ブロック入出力キャッシュ領域) に入れます。 このキャッシュ領域はカーネルによって管理され、 そのブロック・デバイスに対する複数の論理読み取りおよび書き込みが以前キャッシュからバッファーに入れられたデータにアクセスできるようになっています。したがって、そのデバイスへの実際の入出力を要求することはありません。 アプリケーションのブロック・デバイスに対する読み取りおよび書き込み要求は、統計情報上では論理読み取りおよび書き込みとして報告されます。 カーネルがキャッシュ領域の管理の中でブロック・デバイスに対して行ったブロック入出力は、ブロック読み取りおよびブロック書き込みとして報告されます。
pread/s、pwrit/s
ロー・デバイスに対する入出力操作の数を報告します。 ブロック・デバイスの場合、ロー・キャラクター型デバイスへの要求された入出力はバッファーに入れられません。 この入出力は直接そのデバイスに対して実行されます。
%rcache、%wcache
キャッシュ有効度 (キャッシュ・ヒット・パーセント) を報告します。 このパーセントは、[(100)x(lreads - breads)/(lreads)] として計算されます。
-c システム・コールを報告します。 -P フラグとともに使用すると、指定した各プロセッサーに関する情報が表示されます。 以下の値が表示されます。
exec/s、fork/s
fork システム・コールと exec システム・コールの総数を報告します。
sread/s、swrit/s
read/write システム・コールの総数を報告します。
rchar/s、wchar/s
read/write システム・コールによって転送された文字の総数を報告します。
scall/s
システム・コールの総数を報告します。
ヒント: sar コマンド自体は、実行間隔によっては、かなりの数の読み取りおよび書き込みを生成できます。 sar コマンドがユーザーの統計情報全体のどのくらいを占めているかを知るには、ワークロードなしの sar 統計情報を実行してください。
-d 各ブロック・デバイスのアクティビティーを報告します。 ただし、XDC テープ・ドライブは例外で、この報告には含まれません。 次のデータが報告されます。
%busy
転送要求のサービスのためにデバイスがビジー状態になっていた時間の比率を報告します。
avque
ディスクへの送信待ちの要求の平均数を報告します。
read/s、write/s、blk/s
デバイスとの間の読み取り/書き込み転送数 (K バイト/秒) を報告します。
avwait、avserv
要求当たりの平均待ち時間およびサービス時間 (ミリ秒)。
制限: -d フラグは、workload partitions内で制限されています。
-e[YYYYMMDD] hh[:mm[:ss]] レポートの終了時刻を設定します。 デフォルトの終了時間は 18:00 です。
  • 年、月、および日を YYYYMMDD 形式で 指定すると、-x フラグが暗黙的にオンになります。
  • 年、月、および日を YYYYMMDD 形式で指定しないと、 この年、月、および日は、指定された時刻と一致するアクティビティー・データ・ファイル内の 最初のレコードのものであると見なされます。
-f file file (-o file フラグによって作成される) からレコードを抽出します。file パラメーターのデフォルト値は、現在の日次データ・ファイル (/var/adm/sa/sadd ファイル) です。
制限: [ interval [ number ] ] パラメーターを指定すると、-f フラグは無視されます。-f フラグは、workload partitions 内では制限されます。
-i seconds Seconds パラメーターで指定した数にできる限り近い秒数でデータ・レコードを選択します。 このフラグを指定しないと、 sar コマンドはデータ・ファイル内のすべての秒に関して報告します。
-k カーネル・プロセス活動を報告します。 以下の値が表示されます。
kexit/s
カーネル・プロセスの 1 秒あたりの終了回数を報告します。
kproc-ov/s
プロセスのしきい値制限の強制によりカーネル・プロセスを作成できなかった回数を報告します。
ksched/s
タスクに割り当てられたカーネル・プロセスの 1 秒あたりの回数を報告します。
-M 少なくとも 2 つの [abckmqruvwy] の組み合わせと一緒に使用するか、-A フラグと一緒に使用すると、出力内で複数のヘッダーを指定することができます。このモードでは、各反復のデータの各行の前に対応するヘッダーが付けられます。
制限: このフラグは、[interval [number]] なしで使用された場合、無視されます。
-m 1 秒あたりのメッセージ (送受信) アクティビティーおよびセマフォー (作成、使用、および破棄) アクティビティーを報告します。 -P フラグとともに使用すると、指定した各プロセッサーに関する情報が表示されます。 以下の値が表示されます。
msg/s
IPC メッセージ・プリミティブの数を報告します。
sema/s
IPC セマフォー・プリミティブの数を報告します。
-o file 読み取りをバイナリー・フォーマットでファイルに保管します。 各読み取りは個別のレコード内に保管され、各レコードには読み取りの時間を識別するタグが付けられます。
-P processoridentifier , ... | ALL |RST 指定したプロセッサー (複数の場合もある) のプロセッサーごとの統計情報を報告します。 ALL キーワードを指定すると、 個々のプロセッサーの統計情報とすべてのプロセッサーに関するグローバルな統計情報が報告されます。 RST オプションを指定すると、WPAR と関連付けられている rset レジストリーにあるプロセッサーの統計情報が報告されます。 報告される統計を指定するフラグのうち、-a-c-m-u、および -w フラグのみが、-P フラグと同時にグローバル環境で使用した場合に意味があります。WPAR 環境では、どのフラグも -P フラグと同時に使用しないでください
注: sar コマンドが WPAR について報告する各プロセッサーの統計は、常にシステム全体です。
-q キューの統計情報を報告します。 以下の値が表示されます。
runq-sz
実行キューに入っているカーネル・スレッドの平均個数を報告します。
%runocc
実行キューが占有されている時間の割合を報告します。
swpq-sz
リソース、入力、または出力用の仮想メモリー・マネージャー・キューで待機中のカーネル・スレッドの平均数を報告します。
%swpocc
スワップ・キューが占有されている時間の割合を報告します。
ヒント: 上記の欄がブランクの場合は、対応するキューが空であることを示します。
-r ページング統計情報を報告します。 以下の値が表示されます。
cycle/s
1 秒あたりのページ置き換えサイクルの数を報告します。
fault/s
1 秒あたりのページ不在の数を報告します。 これは、入出力を生成するページ不在の数ではありません。 入出力なしで解決できるページ不在もあるからです。
slots
ページング・スペース上のフリー・ページの数を報告します。
odio/s
1 秒あたりの非ページング・ディスク入出力の数を報告します。
制限: -r フラグは、workload partitions内で制限されています。
-s[YYYYMMDD] hh[:mm[:ss]] データの開始時刻を設定します。 これにより、sar コマンドは指定した時刻またはそれ以降の時刻でタイム・タグされたレコードを抽出します。 デフォルトの開始時刻は、08:00 です。
  • 年、月、および日を YYYYMMDD 形式で 指定すると、-x フラグが暗黙的にオンになります。
  • 年、月、および日を YYYYMMDD 形式で指定しなかった場合、 この年、月、および日は、指定された時刻と一致するアクティビティー・データ・ファイル内の 最初のレコードのものであると見なされます。
-u 個々のプロセッサーの統計情報またはシステム全体の統計情報です。 -P フラグとともに使用すると、指定した各プロセッサーに関する情報が表示されます。 そうでない場合は、システム全体に関する情報のみが表示されます。 -u フラグの情報はパーセントで表されるので、 システム全体の情報は各プロセッサーの統計情報の単なる平均値です。 また、入出力待ち状態はプロセッサーごとに定義されるのではなく、システム単位で定義されます。 以下の値が表示されます。
%idle
プロセッサー (複数の場合もある) が、 未解決のディスク入出力要求がなくアイドル状態になっていた時間の割合を報告します。
%sys
プロセッサー (複数の場合もある) が、 システム (またはカーネル) レベルの実行に使用されていた時間の割合を報告します。
%usr
プロセッサー (複数の場合もある) が、 ユーザー (またはアプリケーション) レベルの実行に使用されていた時間の割合を報告します。
%wio
システム上に未解決のディスク/NFS 入出力要求が存在していた期間のうち、 プロセッサーがアイドル状態であった時間が占める割合 (%) を報告します。 前述の詳しい説明を参照してください。
physc
消費される物理プロセッサーの数を報告します。 このデータは、 パーティションが贈与に専用化され、かつ使用可能な場合、あるいはパーティションがプロセッサー共用で稼働しているか同時マルチスレッド化が使用可能で稼働している場合に報告されます。
%entc
消費されるライセンス容量の百分率を報告します。 これは、パーティションがプロセッサー共用で稼働している場合にのみ報告されます。 このデータを計算する際の時間基準は異なる可能性があるため、ライセンス済みキャパシティーのパーセンテージは 100% を超えることがあります。 この超過が認められるのは、わずかなサンプリング・インターバルの場合のみです。
%resc
消費されるプロセッサー・リソースのパーセンテージを報告します。このメトリックは、WPAR 環境でのみ適用可能です。これは、WPAR でプロセッサー・リソース制限が実施されている場合にのみ報告されます。
ヒント:
  • sar コマンドは、他に特定のコンテンツ・オプションが要求されていない場合は、システム装置アクティビティーを報告します。 -P フラグが使用され、パーティションがプロセッサー共用で稼働し、かつパーティションが割り振られた容量を使用している場合は、cpuid U のあるプロセッサー行が報告されて、システム全体の未使用容量が示されます。 パーティションがプロセッサーを共用してキャップなしモードで稼働している場合は、%entc は、認可されたライセンス容量の百分率を各プロセッサー行に報告し、割り振られたライセンス容量の百分率をシステム全体のプロセッサー行に報告します。個別のプロセッサー使用状況統計情報は、実際の物理的使用量 (physc) に照らして計算されます。 システム全体の統計情報は、物理的消費量ではなく、ライセンスに対して計算されます。 しかし、上限なしパーティションの場合、システム全体の統計情報は、依然として実際の物理的使用量に対して計算されます。
  • データを計算する際の時間基準は変わるため、 %utilization フィールド (%user%sys%idle、および %wait) の総和は、100 パーセントを超える可能性があります。
-v プロセス・テーブル、カーネル・スレッド、i ノード、およびファイル・テーブルの状況を報告します。 以下の値が表示されます。
file-sz、inod-sz proc-szthrd-sz
各テーブルに使用されているエントリーの数を報告します。
-w システム切り替えアクティビティーを報告します。 -P フラグとともに使用すると、指定した各プロセッサーに関する情報が表示されます。 以下の値が表示されます。
pswch/s
1 秒あたりのコンテキストの切り替え数を報告します。
-y 1 秒あたりの tty デバイス・アクティビティーを報告します。
canch/s
tty 正規入力キュー文字を報告します。 このフィールドは常に 0 (ゼロ) です。
mdmin/s
tty モデム割り込みを報告します。
outch/s
tty 出力キュー文字を報告します。
rawch/s
tty 入力キュー文字を報告します。
revin/s
tty 受信割り込みを報告します。
xmtin/s
tty 送信割り込みを報告します。
制限: -y フラグは、workload partitions 内で制限されています。
-x 各エントリーの日時を表示します。ユーザーが YYYYMMDD 形式で -s フラグまたは -e フラグに データを指定すると、必ず暗黙的に -x フラグがオンになります。
-OOptions ユーザーがコマンド・オプションを指定できるようにします。

-O options=value...

以下はサポートされるオプションです。

  • sortcolumn = sar コマンド出力でのメトリックの名前
  • sortorder = [asc|desc]
  • topcount = sar コマンドのソート済み出力で表示される CPU の数
-X XML 出力を生成します。ユーザーが –o オプションを使用して別のファイル名を指定しなければ、デフォルトのファイル名は sar_DDMMYYHHMM.xml です。
-o XML 出力のファイル名を指定します。

セキュリティー

アクセス制御: これらのコマンドは adm グループのメンバーにのみ実行 (x) アクセスを認可します。

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー 」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. システム装置アクティビティーを報告するには、次のコマンドを入力します。
    sar
  2. 次の 40 秒間、2 秒ごとに現行の TTY アクティビティーを報告するには、次のコマンドを入力します。
    sar  -y  -r 2 20
  3. 10 分間システム装置を監視してデータをソートするには、次のコマンドを入力してください。
    sar  -o temp 60 10
  4. 最初の 2 台のプロセッサーのプロセッサー・アクティビティーを報告するには、次のコマンドを入力します。
    sar  -u  -P 0,1
    この出力は、以下のようになります。
    
    cpu  %usr  %sys  %wio  %idle
    0      45    45     5      5
    1      27    65     3      5
  5. すべてのプロセッサーおよびシステム全体について、メッセージ、セマフォー、およびプロセッサー・アクティビティーを報告するには、次のコマンドを入力します。
    sar  -mu  -P ALL
    プロセッサーが 4 つあるシステムでは、 次のような出力が生成されます (最後の行は、すべてのプロセッサーを合わせたシステム全体の統計情報を示しています)。
    
    cpu  msgs/s  sema/s  %usr  %sys  %wio  %idle
    0      7       2       45    45     5     5
    1      5       0       27    65     3     5
    2      3       0       55    40     1     4
    3      4       1       48    41     4     7
    -     19       3       44    48     3     5
  6. システム全体のすべてのプロセッサーについて、物理プロセッサーの消費量とライセンスの消費量を表示するには、次のように、sar コマンドを共用プロセッサー LPAR マシンで実行します。
    sar –P ALL
    論理プロセッサーが 2 つあるシステムでは、次のものに似た出力が生成されます。(最後の 2 行は、すべてのプロセッサーに関するシステム全体の統計情報を示し、cpuid U の行は、システム全体の未使用容量を示します。)
    cpu    %usr    %sys    %wio   %idle   physc   %entc
     0        0       0       0     100    0.02     3.1
     1        0       0       0     100    0.00     1.0
     U        -       -       0      96    0.48    96.0
     -        0       0       0     100    0.02     4.0
  7. 次の 40 秒間、2 秒ごとに、システム呼び出し、カーネル・プロセス、およびページング・アクティビティーを、反復のたびに、3 行のデータごとの別々のヘッダーを付けて報告するには、次のコマンドを入力します。
    sar -Mckr 2 20
  8. 次の 40 秒間、2 秒ごとに、複数のヘッダーのセットを付けて、すべてのアクティビティーを報告するには、次のコマンドを入力します。
    sar -MA 2 20
  9. グローバル環境から WPAR でのプロセッサーの使用状況の統計を報告するには、次のコマンドを入力します。
    sar -@ wparname
  10. WPAR 内から WPAR と関連付けられた rset レジストリーにあるすべてのプロセッサーのプロセッサー・アクティビティーを報告するには、次のコマンドを入力します。
    sar -P RST 1 1
    2 台の論理プロセッサーの RSET と関連付けられた WPAR では、前のコマンドにより以下のレポートに似たレポートが生成されます。
    19:34:39 cpu    %usr    %sys    %wio   %idle   physc
    19:34:40  0        0       2       0      98    0.54
              1        0       0       0     100    0.46
              R        0       1       0      99    1.00
  11. WPAR 内からすべてのプロセッサー・アクティビティーを報告するには、次のコマンドを入力します。
    sar -P ALL 1 1
    2 台の論理プロセッサーの RSET と関連付けられた WPAR では、前のコマンドにより以下のレポートに似たレポートが生成されます。
    19:34:39 cpu    %usr    %sys    %wio   %idle   physc
    19:34:40 *0        0       2       0      98    0.54
             *1        0       0       0     100    0.46
              R        0       1       0      99    1.00
              -        0       1       0      99    1.00
  12. –w フラグを指定して列 cswch/s のソート済み出力を表示するには、次のコマンドを入力します。
    sar -w -P ALL  -O sortcolumn=cswch/s 1 1 
  13. scall/s 列でソートされた上位 10 位以内の CPU をリストするには、次のコマンドを入力します。
    sar -c -O sortcolumn=scall/s,sortorder=desc,topcount=10 -P ALL 1

ファイル

項目 説明
/usr/sbin/sar sar コマンドが入っています。
/bin/sar sar コマンドに対するシンボリック・リンクを示します。
/var/adm/sa/sadd 日次データ・ファイルを示します。 ここでの dd パラメーターは、(月のうちの) 日を表す数字です。