より良い洞察への架け橋を築く

Sund & Bælt社はインテリジェントなインフラストラクチャーに価値を見いだしています。
Ryan Bertrand
読了時間:6分
グレートベルト・リンク (デンマーク)の画像

米国では、3本に1本以上の橋が崩壊しつつあり、補修を必要としています。

2020年に発行された米国道路交通建設者協会(ARTBA)の報告書外部リンクによると、米国の4万6000を超える橋梁に「構造的な欠陥」があり、それらの橋は1日当たり1億7,800万回利用されています。

インフラストラクチャーの崩壊は、世界中で懸念されています。 G20の関連調査機関、Global Infrastructure Hubによる「The Global Infrastructure Outlook外部リンク」は、2040年までに完了しなければならない工事とインフラストラクチャーの資金との間に15兆米ドルの乖離が生じると予測しています。

Sund & Bælt社は、デンマーク史上最大の建設プロジェクトである11マイルの橋とトンネルを組み合わせたグレートベルト・リンクを含む、世界最大規模のインフラストラクチャーを所有し、運営しています。 同社は、保守点検の定期的な実施が時間のかかる手作業のプロセスであることが最大の課題であると認識していました。 橋の点検のために、Sund & Bælt社はしばしば登山家を雇って側面に登り、写真を撮って調査を行いました。 海の近くや腐食しやすい環境にある橋梁では、点検に1カ月を要することもあり、そのプロセスを何度も繰り返す必要がありました。 また、トンネルやその他のインフラストラクチャーもすべて点検する必要がありました。

グレートベルト・リンクの耐用年数の予想延長

100

橋の耐用年数の延長により削減されるCO2排出量

750,000

トン

当社は、デジタル化というグリーン・フィールドに進出し、修理とメンテナンスから資産管理への移行を考えました。
Bjarne Jørgensen氏
Sund & Bælt社 資産管理・運用担当執行役員

Sund & Bælt社の資産管理・運用担当執行役員、Bjarne Jørgensen氏は次のように述べます。「当社の業務の大部分は、コンクリート構造物とその他の資産の点検です。 30万平方メートル以上のコンクリートに、6年ごとに外観検査を実施する必要があります。 これは手作業で行うには重労働で、非常にコストがかかります」

Sund & Bælt社は、検査業務の自動化を進めれば、品質の向上と同時に、時間とコストを削減できることを認識しました。 「3年前、当社はメンテナンスを次のレベルに踏み出すことにしました。 デジタル化というグリーン・フィールドに進出し、修理とメンテナンスから資産管理に移行したいと考えたのです」とJørgensen氏は述べます。

日没時のグレートベルト・リンク(デンマーク)の画像
グレードベルト・リンク(デンマーク)の支線の近接撮影画像
当社は3Dモデルを使って、メンテナンス業務の最適化を図っています。 全長5マイルのトンネル内に50~100人を実際に送り出す前に、作業の準備ができるのです。
Bjarne Jørgensen氏
Sund & Bælt社 資産管理・運用担当執行役員
精密なデータ
当社は3Dモデルを使って、メンテナンス業務の最適化を図っています。 全長5マイルのトンネル内に50~100人を実際に送り出す前に、作業の準備ができるのです。
Bjarne Jørgensen氏
Sund & Bælt社 資産管理・運用担当執行役員

公共インフラストラクチャーの設備保全を技術的により高度な方法で行うために、Sund & Bælt社はグローバルな専門知識と総合力を持つ技術パートナーを探しました。 同社はIBMを選択し、共同でIBM® Maximo® for Civil Infrastructureソリューションを作り上げました。 現在、Sund & Bælt社はIBM Maximoソフトウェアを使用して、重要なインフラストラクチャーの監視と管理を行っています。

新たなソリューションに含まれるIBM Maximo Application Suiteには、Sund & Bælt社がインフラストラクチャーを検査し、その場でモバイル・デバイスを使って洞察にアクセスし、AI技術を使用して橋やトンネルなどのインフラストラクチャー要素の状態に関するデータを慎重かつ効率的に分析する技術が搭載されています。

この新しいソリューションを活用して、Sund & Bælt社はドローンで撮影した写真からデータを収集し、危険で時間のかかる手作業の検査を行わずに状態を監視しています。 このソリューションでは、こうしたデータを保守記録、設計文書、3Dモデルと統合して、亀裂、錆、腐食、変位、応力の特定に役立てています。

Jørgensen氏は述べます。「今では、交通量と頻度による負荷や実際の揺れの状態などを把握し、それを基に耐用年数を計算して、最も重要な個所を調べることができます。 私たちは現在、デジタルツインを開発しており、『交通量が変化すると橋にどのような影響が及ぶか』という質問に、より精密なデータを元にした計算で答えることができます」

強化された作業指示管理および契約管理の機能が、最新データの活用をさらに促進しています。 障害管理、資産管理、意思決定能力が向上することで、緊急事態が発生した場合にも迅速かつ適切な判断ができ、さらに計画的な運用が可能になります。

Jørgensen氏は次のように述べます。「当社は3Dモデルを使って、メンテナンス作業の最適化を図っています。 全長5マイルのトンネルに50〜100人を実際に送り出す前に、作業の準備ができるのです。 作業時間は非常に限られており、その中で効率よく作業を進めなければなりません」

プロアクティブなビジョンの価値

IBM Maximo for Civil Infrastructureソリューションを通して、Sund & Bælt社は点検の効率を高め、予知保全戦略を明確化しています。 同社は、今後10年間で大きな価値とメリットをもたらすと考えています。

「今後の5年から10年の間に、15%~25%の生産性の向上を期待できます」とJørgensen氏は述べています。 効率化された検査と実物資産管理により、同社は対応力を改善できます。 「私たちは、いかにリスクを減らし、事故が起こってから修理するまでの時間を短縮できるかを検討しています。 そこでは、30%以上の時間短縮を期待しています」

資産の健全性をより良く理解し、積極的な資産管理で対処すべきリスクを把握することで、橋やトンネルなどの資産の耐用年数を延ばすことができる、とJørgensen氏は考えています。 「この見積もりには本当に興奮しています。 当社のグレートベルト・リンクは、100年の耐用年数を想定して建設されましたが、データとデジタル・ソリューションを適切に活用することで、橋の耐用年数をさらに100年延ばすことができると期待しています。 耐用年数を延ばすことで、二酸化炭素の排出量も減らすことができます」

将来的には、Sund & Bælt社は外観検査をさらに増やす予定です。 このように広い範囲を検査することで、同社は問題を常により早く、より効率的に発見できるようになります。

「ロボットやドローンなどの新しい技術を使って検査を行うほど、検査による安全性と品質が向上します」とJørgensen氏は述べています。

Sund & Bælt社のロゴ
Sund & Bælt社について

Sund&Bælt社外部リンクは、全長11マイルの橋梁とトンネルを組み合わせた、デンマーク史上最大の建設プロジェクトであるグレートベルト・リンクを実現するために、1991年に公開有限会社として設立されました。 デンマークのコペンハーゲンに本社を置き、現在はさまざまな橋梁、トンネル、道路の開発および運営を行っています。 Sund & Bælt Holding社は、子会社のStorebælt社、Øresund社、Sund & Bælt Partner社、BroBizz社、Femern Landanlæg社、Femern社の経営全般も担当しています。

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Sund&Bælt社外部リンクは、全長11マイルの橋梁とトンネルを組み合わせた、デンマーク史上最大の建設プロジェクトであるグレートベルト・リンクを実現するために、1991年に公開有限会社として設立されました。 デンマークのコペンハーゲンに本社を置き、現在はさまざまな橋梁、トンネル、道路の開発および運営を行っています。 Sund & Bælt Holding社は、子会社のStorebælt社、Øresund社、Sund & Bælt Partner社、BroBizz社、Femern Landanlæg社、Femern社の経営全般も担当しています。

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