ダイバーシティー&インクルージョン

働く場所にとらわれないキャリア形成を目指して

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日本IBMでは、女性がキャリアを継続していく上で直面する、さまざまな課題を社員自らが確認し、目標を掲げ、結果に結びつく施策を提言していくため、1998年に諮問委員会として「Japan Women’s Council(※JWCと記す)」を発足。「意識改革、スキル改革、働き方改革」を3本柱として、2019年からは男性メンバーも参画し、新しい視点を取り入れた女性活躍の推進について継続的に情報を発信しています。今回のブログでは、支社視点から、プライベート事情とキャリア構築に不安を抱える方にパーソナルライフとキャリアのインテグレーションをご紹介します。


全 美香

筆者:全 美香
エンタープライズ事業本部 西日本事業部 関西支社 第二営業部

アカウント担当営業として入社以来、金融業・流通業・製造業のお客様を担当。関西在住パートナーとの結婚を機に、2014年に本社から関西支社へ異動。その後、1年半の産休・育休を取得し2019年より復職。

 
IBMに入社した当時、現在の自分の姿は全く想像していませんでした。自分に結婚と転勤がセットで訪れ、出産後の今もキャリアを継続しているとは。パーソナル・ライフとキャリア形成をどう捉えるか、自身の経験とJWCの活動も通じて感じた等身大の思いをお伝えしたいと思います。

キャリア形成における地域差はあるのか

JWCで私が所属するチームは、Be Equal(*1)を推進するにあたっての社内課題を洗い出し、マネジメント層への提起や施策の実施を行うことを目的としています。私は2014年に本社から関西支社に異動した経験から、働く場所や女性リーダーが少ない組織が与える女性のキャリアへの影響を「支社タスク」として考えてみることにしました。

(*1) Be Equal : 全ての社員にとってより平等な職場環境をつくる機会をもたらすためのスローガン

まず、男女参画共同局の資料(平成29年版 男女共同参画白書)では、女性の就業率の状況は地域差があり特に子育て期に大きくなると出ており、地域間の違いを認識し、地域の実情に応じた的確な対策を講じる必要があると明示されています。また、平成30年度の関西女性活躍推進フォーラム資料には、関西地域は女性管理職比率も全国平均よりも低いという記述があります。これらは地域特性もありますが、首都圏本社へのパートナー転勤に伴って女性側も共に首都圏へ流出する背景もあると想像できます。

日本IBMにおいても、私が所属する西日本事業部(関西・中部)の営業組織では、日本IBM全体の女性社員比率24%(2019年)に対し16%という状況です。私が支社へ異動した当時と比較すると、格段に若手女性が増え雰囲気も様変わりし子育て期の女性が増えています。また同様にここ数年増加している子育て期の男性のキャリア形成をどうするのかも、新たな課題と捉えています。

「在宅勤務」があたりまえになることで、キャリアのための転勤という概念が急速になくなり、働く場所でキャリアが左右する時代ではなくなります。そして、この社会変化をどう活かして新たなキャリアモデルを築いていくのか、今後の私たちのチャレンジだと思います。

リモート時代、支社のキャリア形成の取り組み

では次に、支社の女性社員がキャリア形成を考えるきっかけづくりとして、支社タスクで実施した2つの施策をご紹介いたします。

女性エグゼクティブを囲む会

2月上旬に女性執行役員(対面ランチ形式・職種不問)、5月中旬に女性理事(オンライン形式・営業職主体)を囲む会を実施しました。参加者からは下記のような感想があがりました。

  • IBMで活躍されている女性役員の方とお話し、今後のロールモデルとしてのイメージがクリアになった(2年目・関西)
  • 周りの先輩女性社員の方の質問内容が勉強になり、将来の自分を想像する機会になった
    (2、3年目・関西)
  • リモート勤務が前提になったことで、ローカルか本社の垣根がなくなると前向きに捉えられた(4年目・中部)
  • いき当たりばったりという率直な話に、遠い存在ではないのだととても親近感が湧いた(6年目・関西)

現在、西日本事業部には女性エグゼクティブが不在です。2013年に発表されたIBM30カ国639人の女性エグゼクティブへのインタビュー結果で、彼女達のキャリア形成における「キャリアアドバイザリーチーム」の重要性が挙げられていますが、自分のスキル・特性・キャリア願望を理解し、示唆をくださる方々とのネットワーク構築の大切さ、特にロールモデルとなる女性エグゼクティブとの出会いは大きかったと記述されています。そこで、囲む会によって支社女性社員が女性エグゼクティブとのコミュニケーション機会を持つことから始めようと考えました。

今後の施策として、管理職になった女性を中心としたエグゼクティブを囲む会を企画する案も面白いのではと思っています。

他社との交流企画をオンラインで実施

JWC初の試みとして、9月2日にSAP社と合同の関西発ダイバーシティー企画をオンラインで実施しました。当日は全国から約80名が参加、「他社との交流で自分や自社を見つめ直すきっかけになった」「みんな頑張っていると勇気付けられた」との感想をいただき、成果を感じられました。加えて、当企画のポイントは、女性に偏りがちなダイバーシティーイベントの企画から当日のファシリテートまでを、SAP社の男性営業部長が自ら全てリードされた点です。アンケート結果に「男性マネージャー視点の悩みや課題」を今後取り扱って欲しいという声もあり、男性マネージャーが推進したことが男性管理職の意識改革へも影響があったと感じています。

女性のキャリア形成において、女性自身のマインド変化と併せてマネージャー側の意識改革は重要なテーマであり、JWCでも「所属長セッション」と称してマネージャーの意識改革プログラムを継続実施しています。オンライン化によって会社や地域の枠を超えた企画が以前より容易に実施できることを実感できたので、今後も他社様との交流機会を継続して実現し、多様な価値観を知ることで、よりBe Equalの世界に近づいていきたいと思っています。

自分らしいキャリアの実現へ

COVID-19を機会に、営業職でもリモート勤務がしやすくなり、より結果が重視される環境になり身が引き締まる思いもある一方で、ワーキングマザーである私は働きやすくなりました。勤務地が支社であるがゆえに出張が伴っていた研修やイベントへも、全国どこからでもオンラインで参加できるようになり、居住地にとらわれず自分のスキルや経験の向上機会を得やすくなったように思います。

人生の優先順位 - 4つの枠組みモデル

「人生の優先順位 – 4つの枠組みモデル」 (*2) W50:管理職候補である女性社員50名を対象に、スポンサー役員のもとでリーダーシップを育成する1年間のプログラム

プライベートイベントを優先する時期が訪れることで、それまで積み重ねてきたキャリアが急になくなるわけではありません。女性管理職育成の年間プログラム「W50」(*2)でも、自分の特性や様々なリーダーシップの形があることを学び、また、数年前に参加したグローバルの女性リーダーシップ研修でも、「人生の優先順位 – 4つの枠組みモデル」で仕事とプライベートはどっちをとるかのバランスではなく、全て合わせた「自分の人生」をその時々の優先順位に合わせて考え、実現を目指すことの大切さを学びました。

これからは、より個の価値が重視され、自分次第で活動の可能性が広がっていくと信じています。これからもJWCの活動を通じ、個々が胸を張って「自分の人生」を描き実現できる環境づくりに貢献していけたらと願っています。

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