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IBM z16がiF DESIGN AWARD 2023を受賞

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「デザイン界におけるオスカー賞」とも称されている国際的なデザイン賞「iF DESIGN AWARD」。

このたび、進化を続けるメインフレームであるIBM zSystemsの最新製品「IBM z16」が、プロダクト部門で「iF DESIGN AWARD 2023」を受賞しました。

日本IBM本社事業所で静態展示中のIBM z16の写真

日本IBM本社事業所で静態展示中のIBM z16(筆者撮影)

iF Design Award 2023 におけるIBM z16の紹介に書かれている内容から抜粋し、以下に簡潔に整理します。

  • IBM z16は、ミッション・クリティカルなワークロードのための最高水準のプラットフォームで、新たなAI技術と不正防止機能を搭載
  • 1日あたり250億件のセキュアなトランザクションを処理して、グローバルなビジネスの継続を実現
  • パフォーマンス、効率性、サービス性、持続可能性に対する需要の高まりに応えるために最適化されたデザイン
  • IBM zSystemsの製品デザインの伝統を継承しつつ作り出した、現在のIBMの製品ポートフォリオに沿った大胆で新たなブランドの存在感

本記事は、デザイン賞受賞を紹介するものですので、まず、デザインに関する内容を確認しましょう。

なお、筆者はデザイナーではなく、デザイン部門に取材をしたわけではありません。以降の記述は、あくまでも筆者なりの解釈であり、IBMの公式な見解ではないことを明言させていただきます。

パフォーマンス、効率性、サービス性、持続可能性に対する需要の高まりに応えるために最適化されたデザイン

IBM z13sとIBM z14 model ZR1の寸法比較図

IBM z14 model ZR1から業界標準の19インチ・ラック・サイズに。

3世代前のモデルであるIBM z13sまでは、IBM zSystemsは幅、奥行きとも大きな筐体でした。

そして、2世代前のモデルであるIBM z14 model ZR1以降は、業界標準の19インチ・ラック・サイズの筐体となりました。

その結果、IBM zSystems専用の設置スペースをデータセンターやサーバー・ルームに確保する必要がなくなりました。

つまり、施設運用の効率性やサービス性の観点で最適化されたデザインを、IBM z16は継続していることになります。

また、上述したIBM z13sとIBM z14 model ZR1はミッドレンジ・モデルでしたが、1世代前のモデルであるIBM z15と、本記事で紹介しているIBM z16はフラグシップ・モデルです。

4フレームまで拡張可能なIBM z16

4フレームまで拡張可能

そして、IBM z15とIBM z16は、どちらもマルチ・フレーム対応の製品であり、最大4フレームにまで拡張できます。

つまり、IBM z16は、ワークロードの増加に伴い、パフォーマンスの向上が必要な局面では、必要に応じてフレームを追加して拡張できます。

まさに、需要の高まりに応えられる、最適化された製品なのです。

IBM zSystemsの製品デザインの伝統を継承しつつ作り出した、現在のIBMの製品ポートフォリオに沿った大胆で新たなブランドの存在感

IBM zSystemsには一貫したデザイン言語があります。このIBM zSystemsのデザイン言語は、ビジネス・コンピューティングの進歩に対するIBMの献身的な意思表明を表しており、ビジネス・コンピューティングの進化とともに、デザイン言語も進化を続けています。(2013年にiF DESIGN AWARDを受賞したIBM Enterpriseを参照)

「製品デザインの伝統を継承」は、歴代のIBM zSystemsのフロント・パネルで察していただけるかと思います。3世代前のモデルであるIBM z13sからIBM z16までのフロント・パネルを、以下の画像で御覧ください。

IBM z13sからIBM z16までのフロント・パネルの変化

IBM z13sからIBM z16までのフロント・パネルの変化

変化しつつも、折り目を配したフロント・パネルが継承されていることをご確認いただけるかと思います。この折り目は、「Origami Design(折り紙デザイン)」と称されています。

「大胆で新たなブランドの存在感」は、筆者は以下の変化について言及したものであろうと推察しています。

IBM z15とIBM z16のフロント・パネル

IBM z15(左)とIBM z16(右)のフロント・パネル(筆者による撮影および編集)

ご覧いただければ分かる通り、IBM z15およびそれ以前のIBM zSystemsの製品群のフロント・パネルは、折り目が外側に出る形状です。一方、IBM z16のフロント・パネルは、折り目が内側に入る形状です。

言うなれば大胆な変化であり、製品の外観が社内的に解禁された時、筆者を含む多くの社員が驚いたものでした。

IBM z16は、ミッション・クリティカルなワークロードのための最高水準のプラットフォームで、新たなAI技術と不正防止機能を搭載

歴代のIBM zSystemsは、ミッション・クリティカルなワークロードのための最高水準のプラットフォームです。では、IBM z16に搭載された新たなAI技術と不正防止機能とは、どのようなものなのでしょうか。

IBM Telum プロセッサー

IBM Telum プロセッサー

IBM z16の心臓部であるIBM Telum プロセッサーこそが、新たなAI技術そのものです。

Telum プロセッサーの最大の特長は、AI推論を実行する専用ハードウエアであるオンチップAIアクセラレーターを、CPUコアと同じチップ上に搭載していることです。

AIをAIたらしめるためには学習が不可欠であり、AIに学習能力を与えるための機械学習を中心とするワークロード向けのコンピューティング環境では、GPUの活用が広がっています。

一般的に、AIワークロードでGPUを活用する際にはCPUも必要であり、結果としてヘトロジニアスなコンピューティング環境となります。しかし、CPUがAIのための機能を提供できれば、GPUとCPUとの間のデータのやりとりが不要になります。レイテンシーの観点でも、GPUにおけるデータの処理をCPUが待つ必要がなくなります。

CPUがAI推論アクセラレーターを搭載する結果、トランザクション処理のスピードで、AIによる推論処理を加えられるようになります。つまり、レスポンス・タイムを犠牲にすることなく、大量のトランザクションやワークロードのデータからAI推論の結果が獲得できますし、トランザクションが完了する前に、AI推論の結果を活用して適切に結果を制御できるようになります。

そして、例えば取引における不正検知で活用する場合、「トランザクション処理のスピードで、AIによる推論処理を加えられるようになる」結果、不正検知ではなく不正防止が可能になるのです。

1日あたり250億件のセキュアなトランザクションを処理して、グローバルなビジネスの継続を実現

250億件ものトランザクション処理を1日で遂行することは、社会基盤が果たすべき役割であり、大規模な量のトランザクションを処理する以上、ITサービスの継続性が不可欠となります。

そして、「ゼロ・ダウンタイム」を意味する「z」を製品およびブランド名称に用いているIBM z16と歴代のIBM zSystemsは、社会基盤を支えるサーバーとしての役割を果たしているのです。


ちなみに、「メインフレーム」と呼称されることが多いIBM zSystemsは、時に、様々な誤解(「古い」「高い」「最新のアプリケーションが動かない」など)とともに語られます。

そのような「神話」めいた評価と「真実」が異なることは、米国IBMのCIOが「今日のハイブリッドクラウド世界における神話と真実」と題した記事で紹介しています。

IBMのコンピューター史を紐解くと、最初のメインフレームと定義されているのは、1952年に発表された IBM 701です。ただし、今回、iF DESIGN AWARDを受賞したIBM z16の原点となるメインフレームは、1964年に発表された IBM System/360 です。来年(2024年)、IBM zSystemsが、IBM System/360の発表から60周年を迎えられるのは、IBM zSystemsは最先端の技術を投入し、常に進化を続けてきたコンピューターだからです。

IBM zSystemsがiF DESIGN AWARDを受賞するのは、今回で5回目です。初回は、2001年のIBM eServer zSeries。2回目は、2013年のIBM zEnterprise System。3回目は、2019年のIBM z14。4回目が、2021年のIBM z15でした。

テクノロジーの進化だけでなく、デザイン言語の進化によって、権威あるデザイン賞を何度も受賞しているIBM zSystemsを、工業デザインの観点でも多くの皆様に注目いただければと思います。


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