IBM Power

IBM Powerでデジタル・トランスフォーメーションを促進

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IBM Powerの最新ニュースおよび今後の方向性について

IBM Powerを利用している企業・組織のCIO、CTO、ITディレクター、IT管理者、開発者を対象に実施した最近の社内調査によると、ビジネス・プロセスのリアルタイムでの改善、つまり、競争優位を獲得し情報の安全性向上を図るためにテクノロジーを革新的に活用することが最も重視されていることが分かりました[1]。その他には、優れた総所有コストの確保、システムの性能向上、生産性向上に向けた自動化、データセンターのエネルギー効率向上といった点が重視されていました。

IBM Powerが、優れた可用性、信頼性、セキュリティー、性能を必要とするミッション・クリティカルなワークロード向けに設計されていることは、よく知られています。言い換えれば、IBM Powerはお客様のビジネスを活性化するエンジンなのです。

IBM Power10 のイノベーションに支えられた好調な 1 年を経て、2023 年は、この強力なエンジンで企業のモダナイゼーションを支援するというコミットメントをさらに強化します。新しく、かつ強化された柔軟な従量課金制で提供される摩擦レスなハイブリッドクラウド体験によってスピードとイノベーションを解き放ち、最も規制の厳しい業界向けに最適化されたクラウド・コントロールとデータ保護によってビジネスの回復力を高めることでリスクを軽減し、さらにエネルギー効率の高いシステムによってコスト削減を支援するなど、コミットメントの達成に向け、年間を通じてアジャイルに実行していきます。

さらに、お客様やパートナーの皆様が最も支援を必要とし、最もイノベーションを望んでいるのはどこなのかということに耳を傾けていることを示すことも、IBMの責務だと考えています。そこで、お客様のデジタル変革を加速させるために、2023年は、4つの重要な領域に対して重点的な投資を行います。お客様やパートナーの皆様に価値を享受いただけるよう、その4つの重要領域について、今期に予定されている複数の重要な機能や革新的な技術を交えてご紹介します。

コアなビジネス・ワークロードのための主要機能を革新

2023年は、IBM Power上で稼働するAIX、IBM i、Linux の3つオペレーティング・システムに対して、戦略的な投資を継続することをお約束します。

例えば、直近では、IBM Power Virtual Server上のAIXおよびLinux向けのHyper Protect Crypto Servicesの提供を開始しました。IBM Cloud Hyper Protect Crypto Servicesは、企業に以下を提供する3-in-1ソリューションです。

  • シングルテナント型ハイブリッドクラウド鍵管理サービス
  • クラウド上のHardware Security Module(HSM)
  • Unified Key Orchestratorによるマルチクラウド鍵オーケストレーション(Hyper Protect Crypto Servicesの一部)

IBM Cloud Hyper Protect Crypto Servicesは、クラウドのデータ暗号鍵(DEK)とクラウド・ハードウェア・セキュリティー・モジュール(HSM)を制御できるように設計されています。このサービスは、IBM LinuxONEテクノロジーを基に設計されており、クラウド管理者を含め、誰も他のユーザーの鍵にアクセスできないように、安全なエンクレーブ上で実行されます。

これとは別に、Oracle Database Standard Edition 2(SE2)でコア・ワークロードを実行している中小規模のお客様が投資を最大限に活用できるように、IBM Power S1014では24コア・デュアルチップ・モジュールを提供しています。S1014でOracle Database SE2を稼働させることで、お客様は最高クラスの信頼性とセキュリティー機能[2]を活用できるほか、Intelの第4世代Xeon スケーラブル・プロセッサーと比較して、データベース・インスタンスあたりの総アプリケーション・コストを最大33%削減できると同時に、サステナビリティーの改善に向け、サーバーの総台数削減につなげることができます[3]

SAP HANA on Powerで成長

エンドツーエンドのセキュリティー、99.999%以上の可用性を含む最大限の稼働率と信頼性、一般に流通している2666-3200MHz DIMM [4] より2倍優れたメモリーRAS、比較対象のx86サーバー [5] より最大2.5倍優れたコアあたりの性能などにより、IBM Powerはお客様のインフラ要件に応じて、6TB以上のSAP HANAワークロードの実行において引き続き優れた性能を発揮しています。Bosch社 が自社の SAP ソリューションを IBM Power9 から IBM Power10 に移行したところ、エネルギー使用量が 20%削減され、性能は最大 75% 向上しました。

特に中小規模の企業を支援するため、IBMはPower10でのSAP HANA on Power10の提供を拡大し、高性能で拡張性の高い2~6TBのバンドルと、お客様のワークロード要件に対応する付加価値サービスを提供開始しました。

2ソケットおよびミッドレンジ・サーバーを含むIBM Power10の全製品がSAP HANAに対応するとともに、仮想不揮発性メモリーを用いたLive Partition Mobility (LPM)を搭載しました。この機能は、システム間でSAPワークロードを動的に移動させることでダウンタイムを削減すると同時に、SAP HANAの高速な再起動を可能にするように設計されています。

40TB の SAP HANA OLAP スケーラブル・インスタンスで市場をリード[6]する IBM Power は、企業成長のジャーニー全体を通してワークロードをサポートするように設計されています。さらに、IBM Technology Lifecycle Services は、ソリューションのライフサイクルに渡るサポートとサービスを提供しています。これには、ビジネス要件とSAP KPIをサポートするための柔軟な仮想化とキャパシティー管理の導入を支援する設計・導入サービス、問題の解決と予防のためのプロアクティブ・サポート、性能の最適化に向けてお客様がSAP HANA on Powerやストレージ、ソフトウェアの解析およびチューニングを可能にする最適化サービスなどが含まれます。

銀行や金融業界のモダナイゼーション

現在、金融機関は、オープンなハイブリッドクラウドをベースとしたアーキテクチャーにより、ビジネス革新や顧客体験の向上に必要な柔軟性を獲得するとともに、セキュリティーやコストに関する懸念にも対処しています。

銀行や金融機関のデジタル変革の加速を支援するためにIBMが行っている方法の1つが、大手金融ソフトウェア・プロバイダーであるTemenos Group AGとの20年以上にわたるパートナーシップを拡大することです[7]。間もなく、お客様は、IBM Power10上のRed Hat OpenShiftを利用して、Temenos Transactコア・バンキング・ワークロードのモダナイゼーションを実現できるようになります。Red Hat OpenShift を組み合わせたIBM Power10上で動作するTemenos Transactは、金融機関がより速いスピードと俊敏性で革新を図り、破壊的な競争という課題に素早く対応し、サイバーセキュリティーの脅威を先取りし、エネルギー使用にも対応するための基盤を構築します。

また、ハイブリッドクラウドによるお客様のモダナイゼーションのジャーニーをさらに支援し、生産性と俊敏性の向上を推進するため、IBMコンサルティングとの協業のもと、Red Hat OpenShiftを組み合わせたIBM Power上のTemenos Transactコア・バンキングの更新、移行、運用を、SaaS的OPEXソリューションとしてお客様に提供するサービスを開始しました。

サブスクリプション・サービスとPower as a Serviceによる柔軟性の向上

スキル・ギャップにより IT部門の人手不足が続く中、IBMでは、IBM Powerアプリケーションのライフサイクル全体に、最新の開発プラクティスとツールを導入しています。

企業により柔軟性を提供できるよう、IBMのアプリケーション開発およびモダナイゼーション・ツールである IBM i Modernization Engine for Lifecycle Integration (Merlin) を、ERP の合理化を支援するサブスクリプションとして提供します。Merlinを使用してIBM i上でアプリケーションを構築する際、開発者は、固定フォーマットRPGからフリーフォーマットRPGへの自動変換、組み込み型セキュリティー・プロトコル、最新の開発プロセス、GitやJenkinsといった広く利用されている業界ツールを利用することが可能です。Merlinは、プロビジョニングの高速化、アプリケーションのモダナイズ、市場投入時間の短縮、単一のDevOpsパイプラインのための基盤を構築します。これは、新たな柔軟性の高い従量課金、サブスクリプション、As a Serviceといった形態でIBMが今年提供する予定の新機能の、最初の機能となります。

IBM Power がお客様のビジネス・ゴールの達成を支援する能力に、これまで以上に自信を持っています。今回ご紹介した2023年のストーリーには、お客様のモダナイゼーションに対する努力を加速させるために必要な要素が含まれています。これらは、IBMが今年提供する機能の中で、2023年初頭に提供するものの一部に過ぎません。2023年を通じて、さらに多くのエキサイティングなアップデートを共有できることを楽しみにしています。


[1] 出典: IBM Brand Strategy & Market Insights, October 2022 Infrastructure Buyer Behavior Study
[2] ITIC 2022 Global Server Hardware, Server OS Reliability Report
[3] IBM Power S1014 24コアサーバー(デュアルチップ・モジュール Power10プロセッサー搭載、192スレッド)とIntel 第4世代 Xeon Scalable Processor(64コア、2スレッド/コア、合計128スレッド)を比較した場合。XCCを4つ搭載したインテル・プロセッサーは、Oracle Database SE2の対象ではなく、MCCのみなので、Intelが提供できる最大コア数は、2ソケット・システムで1ソケットあたり32コア、合計64コアOracle Database SE2プロセッサー1基あたり17,500ドルに基づく。Oracle Database SE2は、最大キャパシティー 2ソケットのサーバー上でのみライセンスを受けることが可能。また、お客様のオラクル・ライセンス契約のいかなる規定にもかかわらず、各 Oracle Database SE2 は常時最大 16CPU スレッドを使用可能。
[4] DDIMMSと一般に入手可能な2666-3200MHz DIMMのIBM製品故障率に関するIBM分析に基づく
[5] SPEC CPU®2017 Integer Rate Result
[6] Scale Up Capacity: SAP Note: 2188482 (OLAPワークロードの最大40TBを越えてはならない)
[7] 出典: Gartner, Inc., “Magic Quadrant for Global Retail Core Banking,” Vittorio D’Orazio and Don Free, February 09 2022


*本記事は、「Fueling Digital Transformation with IBM Power(著者: Ken King, General Manager, IBM Power)」を抄訳したものです。
IBM の将来の方向性と意図に関する記述は、予告なしに変更または撤回されることがあり、目標や目的を表すものにすぎません。


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