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Power Systems Virtual Serverの始め方

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IBM AIXやIBM iのワークロードをクラウド環境で実行する方法を調べようとして、どこから始めればよいかとお悩みではありませんか?

パブリッククラウド環境でIBM Power Systemsを利用することは、オンプレミスでご利用中のPower Systems環境に大きな付加価値を提供します。AIXやIBM iのワークロードをクラウドで実行できれば、従量制課金モデルを簡単に実現できます。予めハードウェアを購入しなくても、周期的に発生する処理要求の急増に対処できたり、開発やテスト用の一時的なニーズに対処できたり、高額の保守契約が必要な古いハードウェアから移行することができます。

当ブログでは、IBM CloudのIBM Power Systems Virtual Serverに興味をお持ちで、実際にどのように準備すればよいのかを方法を知りたいお客様向けに、この新しいクラウド・サービスIBM Power Systems Virtual Serverをスムーズに利用開始するための4つのポイントをお伝えします。

 

1. ソリューションを知る

お客様からは、次に挙げる質問をよくお問い合わせいただきます。

  • AIXまたはIBM iは、クラウドではどのように稼働するのですか?
  • 何が含まれていますか、どのようなアクセスができますか?

 

AIXまたはIBM iはクラウドではどのように稼働するのですか?

Power Systems Virtual ServerのAIXおよびIBM iのワークロードは、IBM CloudのPOWER9搭載サーバー上のVM (LPAR)で実行されます(一部のロケーションにある既存のPOWER8搭載サーバーは、POWER9搭載サーバーにアップグレードされます)。これらのPOWER9搭載サーバーは、PowerVMハイパーバイザーによって管理されており、二重化されたVirtual I/O Serverで仮想化されたファイバー・チャネル接続を経由してストレージにNPIV接続されています。つまり、オンプレミスのPower Systemsと同じベスト・プラクティスを使用しますが、最新のテクノロジーが採用されます(執筆時点)。

 

何が含まれていますか、どのようなアクセスができますか?

Power Systems Virtual Serverは、Infrastructure-as-a-Service (IaaS)オファリングです。特定のライセンス・プログラム製品を使用する各VM/LPARでの、基盤となるインフラストラクチャーおよびオペレーティング・システム(IBM iまたはAIX)の実行可能時間が含まれます。お客様がアクセスできるのは、VMおよびストレージを管理するためのIBM Cloud UIとAPIです。各VM内のオペレーティング・システムへの全アクセス権限も含まれています。ハードウェア管理コンソール(HMC)、Virtual I/O Server、またはストレージ・アレイに直接アクセスすることはできません。

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2. ワークロードを検討する

まずは、ワークロードのビジネス上の重要性、法的要件、および目標復旧時点と目標復旧時間(RPOおよびRTO)を十分に検討します。これらのカテゴリー内でスコアが低いアプリケーションから始めるというのも一案ですが、環境の変化や移行時の影響を詳細に見る必要があります。

Power Systems Virtual Serverは最小限必要なオペレーティング・システム(OS)レベルが決まっており、AIX 7.1以降およびIBM i 7.2以降のみをサポートしています。ビジネス上の観点から、クラウド環境への移行に適した候補の一覧を作成し、それらをOS要件と比較します。要件を満たさないVM/LPARについては、OSのアップグレードによってそれらのVMで実行しているアプリケーションが受ける影響を調べる必要があります。

Power Systems Virtual Server上ではOracle DatabaseやSAPアプリケーションも稼働できますので、数多くのミッション・クリティカルなワークロードをクラウド環境に移行することが可能です。

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また、各VMの移行に使用できるダウン時間も忘れずに検討してください。VMをオンプレミスで保存し、クラウドに転送して復元するには、ある程度のダウン時間が必要になるためです。

 

3. バックアップやHA/DRの予定は?

AIXおよびIBM iで稼働するほとんどのワークロードは、適切なバックアップおよび高可用性/災害復旧(HA/DR)オプションが必須です。バックアップは通常OS内から実行されるため、オンプレミスに存在するオプションの大半はPower Systems Virtual Serverにも存在します。ただし、全体的な保存と復元のプロセスにはいくつかの違いがあり、追加の構成とちょっとした学習曲線が含まれます。留意点として、物理的なテープ・ドライブやライブラリーはクラウドでは利用できません。HA/DRの観点から見た主な違いは、多くのPower Systemsクライアントの標準であるストレージ・ベースの複製はPower Systems Virtual Serverでは使用できない点です。AIXおよびIBM iのHA/DRオプションには、論理(つまりOSベースの)複製が含まれます。

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4. ネットワークの検討も忘れずに

Power Systems Virtual Serverにはさまざまな接続オプションがあり、Power Systems Virtual Serverソリューションの利用方法・目的によって、ネットワーク設計とコストに影響を与えます。例えば、次のような質問に対して、利用方針を決めていく必要があります。

  • パブリッククラウド環境のAIXやIBM iのアプリケーションには、どのようにしてアクセスしますか?
  • オンプレミス環境とPower Systems Virtual Server環境との間に、コンソール・レベル、対話式ユーザー・レベル、またはアプリケーション・レベルの通信が必要ですか?
  • データセンターとパブリッククラウドとで複製を行い、DRに使用する予定ですか?

そして、IBM Cloudで使用または実行する、Power Systems Virtual Server以外のサービスまたはワークロードについて検討します。クラウドに完全なマルチプラットフォーム・ビジネス・ソリューションを組み込めることは、Power Systems Virtual Serverの大きなメリットの1つですが、ネットワーク計画の要因として考慮に入れるべきことでもあります。

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最後に

IBM CloudでAIXやIBM iを実行することは、重要なビジネス機会が生まれ、俊敏性と成長力がさらに高まることでもあります。同時にこれは学習曲線を伸ばす新たな環境であり、最適な使用には慎重な計画が必要です。当ブログでご紹介した、Power Systems Virtual Serverを最大限活用するためのポイントを参考に、ぜひIBM Power Systems Virtual Serverのご利用をご検討ください。IBMでは、お客様のハイブリッドクラウド戦略の実現に向けて、一緒に取り組んでまいります。


*本記事は、 Four ways to get ready for Power Systems Virtual Servers in IBM Cloudを抄訳し、一部編集したものです。

 

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