IBM Z
2024年に60周年を迎えるもの
2024-03-19
カテゴリー IBM Z
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毎年、様々な周年が話題になります。調べてみると、2024年に周年を迎えるものは、列挙はしませんが多種多様です。その中で、日本にとって象徴的と言えるのは、たぶん、開業60周年を迎える東海道新幹線ではないかと思います。
東名阪間の高速移動手段である東海道新幹線は、日本の大動脈輸送を担うために、運行する車両が進化を続けています。
1964年の開業時に導入された車両は0系。1985年には100系が導入され、1990年に300系、1997年に500系、1999年に700系、2007年にN700系、2020年にN700S系…と、現在に至っています。そして、きっと、これからも、新たな車両が投入されて、日本の大動脈輸送を担い続けるでしょう。
ちなみに、某スナック菓子、某テレビ局、某遊園地も、2024年が60周年です。もちろん、他にもあるかもしれません。そして、実は、IBMにも、2024年に60周年を迎える製品があります。
2024年に60周年を迎えるIBMのコンピューター
「歴史的な」という言葉を冠しても、きっと異論を呈されることはないと思うコンピューターである「IBM System/360」。このIBM System/360が発表されたのが、今から60年前の1964年なのです。
21世紀である現在では容易に想像しえないことではありますが、IBM System/360登場以前のコンピューターは、事務処理用、科学技術計算用といった用途ごとの専用機でした。そして、それぞれの用途のコンピューターの間では、互換性がなかったのです。(プログラミング言語でさえも)
実は、IBM System/360は「単一のコンピューターが、事務処理、科学技術計算、リアルタイム処理などの多くの用途での利用に対応する」を実現したコンピューターだったのです。つまり、専用ではなく汎用のコンピューターということです。
「汎用機」という言葉を見聞きしたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、この言葉は、IBM System/360の登場によって生まれた言葉といっても過言ではないでしょう。
IBM System/360の後継にあたる現在の製品とは
本記事の冒頭で触れた東海道新幹線の車両の進化と同じく、IBM System/360も製品ブランドの名称を変えながら進化を続けています。
後継製品の現在の製品ブランド名称は「IBM Z」であり、最新機種は「IBM z16」です。そして、現在は「コンピューター」ではなく、「サーバー」に分類される製品となっています。
「サーバー」と言っても、いわゆるx86サーバーと「IBM Z」は異なります。IBMの研究開発機関が生み出す最先端のテクノロジーが真っ先に投入されるのがIBM Zです。
直近では、AI推論アクセラレーターを搭載する「IBM Telumプロセッサー(関連記事)」が、最先端のテクノロジーの一例となります。
2021年8月にHot Chips 2021で発表されたIBM Telumプロセッサーは、2022年4月発表のIBM z16に初めて搭載されました。
IBM Telumプロセッサーによって、IBM z16は1ミリ秒でAI推論処理を実行し、1日に3,000億回のAI推論を処理できる性能を持っています。
そして、その後もAI推論アクセラレーターの研究は続き、x86サーバーのボードとして搭載が可能なIBM AIUこと「IBM Artificial Intelligence Unit(関連記事)」が2022年10月に発表されています。
また、RSA暗号や楕円曲線暗号などが、量子コンピューターの性能向上によって解読される可能性があると言われている状況下、IBM z16が耐量子暗号技術(関連ニュースリリース)をいち早く搭載している点も、最先端のテクノロジーが投入されている一例と言えるでしょう。
「メインフレームは古い、という考え方が古い」
かつて、「メインフレームは古い。という考え方を古くしたのは、IBMのSystem zです。」という広告コピーを同僚が考案しました。(IBM System zは、2005年から2015年まで用いられたIBM メインフレームのブランド名称)
ともすると、日本ではメインフレームがDXの足枷のごとく語られる場合すらありますが、少なくともIBMのメインフレームは異なります。
IBM System/360の後継であるIBM Zは、サーバーであるとともに、メインフレームにも分類されます。ただ、上述したように、IBMの研究開発機関が生み出す最先端のテクノロジーを投入し続けているのがIBM Zです。
60年という時間の中で、新たな車両を開発し、運行している東海道新幹線を、皆さんは「古い」とは評価していないと思います。IBM Zもブランド名称を変えながら進化を続けているサーバーであり、メインフレームです。そのようなIBMのメインフレームが、ある種の先入観から「古い」と評価されることに疑問を禁じえません。
今でこそ当たり前のようにインフラエンジニアの皆様が利用している仮想マシンの原点は、現在はIBM zVMとして提供されているCP-67/CMS(IBM System/360向けに1967年にリリース)です。そして、IBM ZはKVMもサポートしています。
また、一世代前のIBM z15の発表時には、コンテナについてIBM z15単一システムで240万個まで対応と述べられていました(関連ニュースリリース)。そして、もちろん、Red Hat OpenShiftをIBM Zはサポートしています。つまり、IBM Zは単一システムでクラウド基盤としての役割を果たせるのです。
当記事を読んでくださった皆様に、IBM Zは「常に新しい」とご認識いただければ幸いです。
日本には「還暦」という言葉が存在する結果、60年という時間の流れを、ともすると否定的に捉えてしまう傾向があるのかもしれません。
しかし、IBM Zは異なります。性能面の継続的な進化は上述してきた通りですが、同時に、産業デザインの観点でも評価されているサーバーでありメインフレームなのです。
IBM Zは、「デザイン界におけるオスカー賞」とも称されている国際的なデザイン賞「iF DESIGN AWARD」を、2001年(IBM eServer zSeries)、2013年(IBM zEnterprise System)、2019年(IBM z14)、2021年(IBM z15)、2023年(IBM z16)に受賞しています(関連記事)。また、国際的なプロダクトデザイン賞である「Red Dot Design Award」を、IBM z16が2023年に受賞しています。
日本IBM本社に開設されているIBM Innovation Studioには、IBM z16の展示機があります。現地にご来場いただく機会がありましたら、ぜひ、その外観をご自身の目でご覧ください。
関連情報
- 1964年に日本経済新聞に掲載したIBM System/360の広告を紹介する記事
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