IBM Data and AI

Women in Data Science Tokyo @ IBM 2024 開催レポート

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こんにちは。IBM西戸です。

今年で5回目のWomen in Data Science (WiDS) Tokyo @ IBM が2024年6月14日に初の会場とオンラインのハイブリッド開催されました。会場は2024年2月に虎ノ門に移転した日本アイ・ビー・エムの新しい本社です。

WiDS Tokyo @ IBMは、日本IBM WiDSアンバサダー・チームが、データサイエンス分野への女性の参画を促進するミッションの一環として、また、優れた活躍をする女性をフィーチャーするために、WiDS regional conferencesとして独自に企画しているものです。

“WiDS “として知られるWomen in Data Science Worldwideは、2015年にスタンフォード大学で、この分野で卓越した仕事をしている優れた女性たちを集めた1日の技術会議で発足しました。その後すぐに、ボランティアのアンバサダーたちが、WiDSの傘下のコミュニティで同様のカンファレンスを開催し、WiDSを世界中に広めました。WiDSのコミュニティが成長するにつれ、WiDSは教育、革新、リーダーシップの通年プログラムを追加し、コミュニティのつながりを強化し、あらゆる場所で女性を支援、教育、インスパイアしています。

今年も昨年に引き続き日本IBMテクノロジー事業本部の西戸、戸倉、加藤、宮崎の女性4人がWiDSアンバサダーとなってこのWiDS Tokyo @ IBMを企画し開催しました。また今年は初の会場開催ということで社内から募った有志の社員が当日の会場オペレーションをサポートしました。
今回もWiDSアンバサダーである西戸がこのイベントをレポートいたします。

今年で5回目となるWiDS Tokyo @ IBMは初の会場での開催となりましたが、実は第一回の2020年は、3月に当時の日本IBM本社であるIBM箱崎事業所で開催を計画していました。しかし皆様も記憶に新しいと思われるCOVID-19の影響で、会場開催は中止となりました。その後計画を改めて練り直し2020年6月にオンライン開催となりました。今回5回目にして初の会場開催ができることとなり、個人的に大変感慨深い回でした。

OPENING TALK

オープニングでは恒例のGlobal WiDSチームが作成したオープニングビデオで世界各国のWiDSアンバサダーからのメッセージが届けられました。そして西戸からWomen in Data Scienceの概要、今年の参加者の状況等を説明しました。その後WiDSアンバサダーからオープニングの挨拶がありました。

OPENING TALKの動画
OPENING TALKの資料

OPENING KEYNOTE
データと創造性のはざまで:新たな価値づくりを目指して

misako_morioka

森岡 美沙子 様

花王株式会社
DX戦略部門
データドリブンマーケティング推進室 室長

OPENING KEYNOTEは花王株式会社でデータドリブンマーケティング推進室 室長として活躍さてれている森岡様が、データが様々な分野でどのように活用され、新しい価値を生み出せるか、具体的な事例を交えて説明されました。特に、化粧品開発におけるデータ活用や、体験型コンテンツの評価など、データがどのように製品開発やマーケティングに貢献できるかが詳しく説明しました。
また、データ分析のスキルが今後ますます重要になると述べつつも、単なるデータ分析だけでなく、そのデータから得られた知見をビジネスに繋げ、新たな価値を生み出すための「データ活用人材」の育成の重要性を強調しました。内容が化粧品ということで特に女性の参加者の皆様の興味をひいたようで、活発なQ&Aがありました。

OPENING KEYNOTEの動画
OPENING KEYNOTEの資料

GENERATIVE AI TALK
生成AIのパワーを金融に! 金融×生成AIのユースケース発掘

misa murakami

村上 未紗

日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
クライアント・エンジニアリング
AIエンジニア

学生時代からフィンテックベンチャーで活躍し、現在はIBMでAIエンジニアとして活躍する村上さんが、生成AIの基礎から具体的なユースケース、そして導入時のIT開発のポイントまで、幅広い知見を披露しました。セッションではリスク管理、顧客エンゲージメント、IT開発など、金融業界の様々な領域で生成AIが活用される事例を紹介し、その可能性の高さを示しました。また生成AI導入の際に考慮すべき点や、成功させるためのIT開発のポイントなども詳しく解説しました。

GENERATIVE AI TALKの動画
GENERATIVE AI TALKの資料

NETWORKING LUNCH

今年も登壇者の皆様をパネリストとしてお招きし、WiDSアンバサダー加藤典子がゆるーくQ&Aなどを交えながら進行する通称「のりこの部屋」! こちらも初の対面での開催となりました。毎年恒例の今日のランチの話に始まって家庭菜園の経験談を語り合ったりと、和やかな雰囲気の中、様々な話題で盛り上がりました。生成AIに関する話題では、参加者から「ChatGPTを使って旅行計画を立てている」や「業務効率化のために生成AIを活用している」といった声が聞かれました。ゆるーく楽しいランチタイムを過ごせました。

NETWORKING LUNCHの動画

DATA SCIENTIST TALK
データサイエンティストが最初の5年間で学ぶこと

山佳 眞子

日本アイ・ビー・エム株式会社
IBM コンサルティング事業本部
ビジネス・トランスフォーメーション・サービス
データサイエンティスト

午後一番のセッションはIBMがデータサイエンティスト職種を新卒で初採用の年にデータサイエンティストとして採用され入社した山佳さんが、5年間の経験を振り返りながら、自身の成長過程を丁寧に解説しました。とても明るく軽快な語り口で、データサイエンティストが避けて通れない「現場と理論のギャップ」や、お客様とのコミュニケーションの重要性などを、自身の体験を交えて語った点が印象的でした。

DATA SCIENTIST TALKの動画
DATA SCIENTIST TALKの資料

MEDICAL x DATA SCIENCE TALK
医療 x データサイエンスで目指すQOL向上

田口 美紗 様

MathWorks Japan
アプリケーションエンジニアリング部
アプリケーションエンジニア

Mathworksのアプリケーションエンジニアであり、医学系研究科博士課程に在籍し研究もしている田口様が、医療分野におけるAIやデータサイエンス活用について話しました。事例としてご自身が現在研究している閉じ込め症候群の患者向けに、脳波から意図を解読し、文字入力や感情表現を可能にするシステムの研究を進めていること等を紹介しました。また医学、AI、プログラミングの3つの分野を軸にキャリアを築いていた話もあり、大変興味深いお話でした。

MEDICAL x DATA SCIENCE TALKの動画
MEDICAL x DATA SCIENCE TALKの資料

FUTURE TECHNOLOGY TALK
医療 x データサイエンスで目指すQOL向上

伊藤 愛

日本アイ・ビー・エム株式会社
東京基礎研究所 セミコンダクター
スタッフ・リサーチ・サイエンティスト

IBM Researchの研究者である伊藤さんは、AIモデルの訓練と推論を高速に実行するAIチップについて、IBM NorthPoleを例に紹介しました。AIチップの重要性が高まる背景として、AIモデルの複雑化に伴う電力消費量の増加があり、この問題を解決するためIBM NorthPoleではAIモデルの情報を全てチップ内に直接組み込むという革新的なアプローチを採用しているとのこと。これにより、データの移動が大幅に削減され、電力効率が大幅に向上したそうです。Q&Aでは、IBM NorthPoleの特徴や他のAIチップとの違い、今後の展望などについて活発な議論が交わされました。

FUTURE TECHNOLOGY TALKの動画
FUTURE TECHNOLOGY TALKの資料

CLOSING KEYNOTE
AI技術で業務の高度化・効率化~実は身近なAIの世界~

江澤 美保 様

株式会社クレスコ
デジタルモダナイゼーション本部 先端技術事業部
AI&Dataテクノロジー第一部 部長

IBM Championとしても活躍する株式会社クレスコの江澤様は、AIが身近でどのように活用され業務を効率化しているかについて、使用している手法の基礎的な説明とともにわかりやすく解説しました。一つは、鉄道会社の安全報告書をAIで自動分類し、担当者の業務負担を軽減させた事例でした。もう一つは、ホテルの部屋割りを数理最適化という手法で最適化し、稼働率向上に貢献した事例でした。AIが単に作業を自動化するだけでなく、複雑な判断を伴う業務においても、人間と協働することで高いパフォーマンスを発揮できることがよくわかりました。

(CLOSING KEYNOTEの動画は非公開です)
CLOSING KEYNOTEの資料

CLOSING

当日の感想をその場でオンラインのサーベイツールで集めその場で見せ、CLOSINGに集まった登壇者およびWiDSアンバサダーから一言ずつコメントをいただきました。約7時間半に及ぶ初の会場開催の2024年のカンファレンスは無事終了しました。

以下はCLOSINGにて皆様にいただいたコメントです:

  • リアルイベントは良いですね。
  • データサイエンスを色んな側面から知ることができたと思います。
  • 自分がデータサイエンティストを目指してく上でどのようにアプローチをするのがいいのかとても参考になりました。ありがとうございました。
  • 半導体を実際に開発してる方の話が聞けてよかったです。
  • 現地参加です。いろいろ興味深い話しを聞けて大変勉強になりました。また、皆さんが活躍しているキャリアにもとても参考になりました
  • コンテンツが充実していて学びが多かったです。皆さん、とても勉強熱心で素晴らしいと思いました。
  • 色々な分野のお話が聞けて勉強になりました。
  • 現地は女性の参加者が多く、実際のDS業界での男女比と比べても全然違うので、驚きました
  • 丸一日で大変な中、トラブルなく運営していただきありがとうございます。
  • 全てのセッションが素晴らしいものでした!有料級です!また出てくる質問が良い質問ばかりで、さらにイベントが良いものになった気がします。
  • 幅広く、実体験に基づいたお話がとてもよかったです。
  • 興味深い話題が多かったです!4月からITに携わって知識もないのでわかるか不安だったのですが、かなり分かりやすく解説頂いて助かりました。
  • みなさんのセッション、すべてとても面白かったです!
  • ひとくくりにデータサイエンスといっても、様々なバックグラウンドの方がご活躍されているのだなと勉強になりました。

CLOSINGの動画

最後に

男女を問わずたくさんの皆様にご参加して頂きありがとうございました。WiDS Tokyo @ IBMスタッフを代表してお礼を申し上げます。今年は初の会場開催となり、準備が例年と違い不慣れな点もあり大変でしたが、直接参加者の皆様にお会いできる機会ができ、講師同士の交流も自然と生まれ、会場開催をして本当によかったと思いました。またオンラインの参加者の方も多く、どこからでも参加できるオンラインの良さも改めて気付けました。
今年もデータサイエンスにおける女性の割合がWiDSの目標の30%に近づく一歩になるイベントであれば幸いです。

参考リンク

kyoko nishito

西戸 京子
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 watsonx事業部
Data & AI 第三テクニカルセールス

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