IBM Sustainability Software

一番大変な漕ぎ出しのときに、背中をスーッと押してあげたい(Watson IoT 藤 泉也)

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Watson IoTチームメンバー・インタビュー #2

藤 泉也 データ戦略活用アドバイザー

 

IoTの持つ可能性や未来への影響について、個人的な展望や見解を交えてWatson IoTチームのメンバーにインタビューするシリーズの第二弾をお届けします。今回はデータ戦略活用アドバイザーの藤さんに登場いただきました。

(インタビュアー 八木橋パチ)

 

     — はじめまして。いきなりですが、藤さんがWatson IoTチームに加わるまでを簡単に教えていただいていいですか。

もともと他社ソフトウェアをIBMとしてサポートしていくようなそんな仕事をしていたんですが、あるときCognosという会社がIBMに買収され、そこでそのチームに志願して異動しました。

その後、社内でコンサルティング部門に移動したりしつつも、基本的にはデータ分析に関わる仕事を続けています。分かりやすく言えば、データサイエンティストですね。

 

     — 数年前から「最もセクシーな職業」と言われているデータサイエンティストですね!

そうですね。ただ、データサイエンティストと言ってもいろいろなタイプや定義があります。

私はビジネスとデータの橋渡しができるデータサイエンティストで、データエンジニアリング力をベースにビジネス課題を解いていく力が強いタイプだと思います。

 

     — データエンジニアリング力ですか。初めて耳にした言葉です。

今は違うのですが、実は私、一般社団法人データサイエンティスト協会がスタートしたときには理事もやっていたんです。今は個人的な理由などもあって退任しているのですが。

また、時間としてはその少し前になりますが、ある放送メディアさんと一緒にソーシャルメディア分析などもやっていました。震災ビッグデータの解析だったり、減災防災へ向けたソーシャルリスニングだったり、そんな取り組みをしていたチームの一員でした。

 

 

     — Watson IoTチームにジョインされたのはどういう経緯だったんですか?

その前身となるチームから参加してはいたんですが、そのときどきで、自分の力が発揮できそうで、興味深いビジネス分野を追っていて、気がついたらこのチームのメンバーになっていたってところがありますね。

IBMっておもしろい会社で、一つの会社の中にたくさんの違う会社があるようなところがあるんですよね。

で、それぞれの部署やチームで培ってきた人のつながりが、新たな場所に導いてくれたり、そこでの仕事に繋がったりする。Watson IoT部門でも、これまでのそうしたつながりが確実に私の力になっています。

 

     — なるほど。Watson IoTの醍醐味ってどんなことでしょう?

「そもそも何のためにテクノロジーを使うんだっけ?」っていう本質的な話を、お客さまの経営陣と丁々発止できる。これが一番の醍醐味だと思います。

業界や業種に関する知識の深さや経験の豊富さがIBMの強みですよね。それを本当に活かせるのはITありきじゃないアプローチだと思うんです。そしてそこにこそWatson IoTの持つ高いポテンシャルが光るんじゃないかなと。

 

     — なんだか、藤さんの経験がそのままWatson IoTの強みに直結している感じですね。最近、そんな醍醐味を感じたケースがあれば教えてください。

まだ発表になっていないので細かくはお伝えできないところがあるんですが、あるエネルギー関連のプロジェクトがあります。

サービス開発で悩まれていたとあるお客さまがいらっしゃったのですが、お話を聞いた際にあるアイデアを思いついたので、お客さまの実データを基にデータモデリングをして、あるデモンストレーション(デモ)をしました。

 

     — 実データでですか。そんなに簡単にさせていただけなさそうですが。

そうですね。それまでの関係性や信頼というのがあったからこそでした。

そしてデモをした際なんですが、お客さまの重要な顧客企業の社長さんが同席されていたんです。その社長さんが、私のデモを見て膝を叩いて「これだよ!」って。これで話はどんどんと進んで行きました。

 

     — なんだかすごい話ですね。同席してみたかった…。

結局、これが私の喜びなんですよね。例えて言えば、自転車で走り出す際、一番大変な最初の漕ぎ出しのときに、漕ぐ人の背中をスーッと押してあげる。そんな仕事がしたいんです。

そのときに自転車の上で感じる温度感や手触り感、嬉しさ。テクノロジー版のそういった感覚を、伝えたいんです。

 

     — 背中を押してあげる仕事。たしかにそこには信頼が必要だと思うし、きちんと意図を伝え、理解してもらうことが重要ですね。

そうなんです。ちゃんと伝えることが本当に大切だと思っています。

それに関係するんですが、私の名刺、ちょっと変わっているんです。

「データ戦略活用アドバイザー」っていうこの肩書き、私が自分で考えて付けているんです。社内のプロセス通りに普通に名刺を作ると、「テクニカル・セールス」って肩書きになるんです。「Watson IoT事業部のテクニカル・セールス」って、初めてお会いした方にはどんな仕事か想像がつかないんじゃないかなぁと思って。もっと伝わるものにしようと。

 

 

     — すごく共感します。それ、本当に重要ですよね。最後の質問です。2040年、どんな世界になっていて欲しいですか。

治らなかった病気を治療できるようにするとか、解明されていなかった人体メカニズムが分かるようになるとか、AIにはそういう大きなことを成し得る力を持っていますよね。

そして何か大きな問題が起きたとき、離れたところからでも安全に導く。例えば、車を運転しているときに何かの発作を起こし、運転ができなくなってしまっても、交通事故につながらず安全に避難地帯に誘導するとか、自動運転だけではなく、IoTテクノロジーやリモート技術にも大きな可能性があると思っていて、それが社会をより安全な場にしていて欲しいですね。

きっと、できると思うんですよ。

 

     — それを、藤さんが伝えて支えるんですね。

流石にそれを「私が」とは言えませんが、でも何か一部分でも貢献したいですよね。

それから、最近の日本社会を見て思うのは、社会を支えるテクノロジーがお金を生み出す仕組みにもっと上手につながり、そこで生まれたお金が若い世代にどんどん提供されるような、そんな循環が必要だと思います。今の若い世代って、経済的には私たち世代よりも可哀想じゃないですか。

 

     — はい。学費の返済とか、非正規雇用とか、大変そうな若い世代が多い気がしています。

だから、そういう世代がもっと活躍できるように、そのための新しい良い流れが生まれて欲しいなと思っています。

そんな流れが生まれたときに、そこにシナジーをもたらしたり、それをスピードアップさせてボリュームを大きくしていく。そんな役割をWatson IoTが担えたら幸せですよね。

 

インタビュアーから一言

藤さんは自己免疫疾患系の難病をお持ちで、今も治療を続けながらお仕事をされているそうです。それも関係しているのだろうと思うのですが、「幸せを感じるのはどんなときですか?」という質問に、「それはもうなんと言っても健康です。健康を実感できること、これに勝る喜びはありませんよ、パチさん」と即答されていたのがとても印象的でした。

そしてもう一つ、インタビューの途中で分かったことがあるのですが、藤さんと私はなんと、生年月日がわずか10日違い!
記事の中でも触れている名刺の肩書きを自分で考えて決めたこととか、伝えて背中を教えてあげることに力を注いでいることとか、自分と似ている点に嬉しくなって「私たち、いろんな点でかなり近いですよ!」と熱く「似た者宣言」をさせてもらいました。

でもなんだか、今思い出すと、ちょっと困ったような顔をされていたような気も…。
んー、気のせい気のせい。

 


(取材日 2018年12月17日)

 

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