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リソース配分とリソース活用。その違いとは?

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先進企業は、効果的かつ戦術的なリソース・プランニングを利用することで、意思決定の迅速化や問題へのリアルタイムの対応を実現しています。

このような戦略的プランニングには、「リソース配分」と「リソース活用」という2つの重要な側面があります。リソース配分とリソース活用の違いを理解することは、的確なプランニング、リソースの問題の解決、競争優位性の獲得のために不可欠です。

リソース配分とリソース活用の違いとは?

配分がタスクのスケジューリング、編成、割り当てなどを指しているのに対して、活用はリソースの全体的なパフォーマンスの戦略的な測定を意味しています。

リソース配分とは、企業が所期の目標に対して効果的なリソースを配分することをいいます。そのためには通常、プロジェクト管理者が、特定のタスクをチーム・メンバーまたはプロジェクト・リソースに割り当て、プロジェクト編成やプロジェクト計画に必要な作業負荷を割り振る必要があります。プロジェクトのスケジュールや内部・外部の依存関係を効果的に管理できれば、スコープ・クリープを防ぎ、生産性を高めることができます。

多くの企業は、依然として従来型のリソース配分ツール(Excelスプレッドシートなど)を予測に使用しています。しかし、意思決定の迅速化、タスクの最適な順序付け方法に関するインサイトの獲得、そしてプロジェクトのスコープ全体にわたる効果的なリソース配分を実現するためには、先進的なリソース管理ツールやプロジェクト管理ソフトウェア(PMS)が必要になります。

リソース活用は、利用可能なリソースの使い方に関するチームの効率性を測定するKPIであるという点で、リソース配分とは異なります。つまり、リソース活用は、利用可能な時間またはキャパシティーに対するパフォーマンスや成果を測定するためのKPIを提供します。

プロジェクト管理者は、最適なリソース活用とスマートなリソース配分を実施することで、複数のカテゴリーにわたってリソースのアベイラビリティーを予測できます。チームは、その予測に基づいて要員スケジュールを戦略的に策定し、リアルタイムに修正を加えつつ新規プロジェクトを最適な状態に保つことが可能になります。

リソース配分とリソース活用は共に、リソース管理ソフトウェアによる強化を通じて持続的な成長、増益、生産性向上、企業の収支向上を実現することができるプロジェクト管理の分野です。

リソース活用を測定するには?

リソース配分は新規プロジェクトに必要ですが、それだけではプロジェクト管理者がプロアクティブかつ戦略的な意思決定に必要な全体像を得ることはできません。これがリソース活用とは異なる点であり、リソース活用がプロジェクトの成功に不可欠である理由です。

リソース活用ソリューションは、チームのリソース活用に対する取り組みを様々なレベルで追跡し、統一された総合的な視点をリアルタイムで提供します。これにより、リソースの効果的な活用を戦略的に測定することが可能になります。

全体的なリソース活用では、総利用可能時間に対して実際に配分された時間を追跡します。そのほか、請求可能時間、請求不能時間、戦略的リソース活用時間といった活用カテゴリーを計算することもできます。総リソース・キャパシティーは、これらの時間追跡カテゴリーのいずれかに分類されます。

リソース活用を通じて、プロジェクト全体および運用カテゴリー間の計画時間数に対する実働時間数を明確に把握できるようになります。これにより、戦略的なキャパシティー・プランニングを実施し、人材の最大活用、請求可能なリソースの増加、そしてチームのリソース活用の最適化による高品質かつ、オンタイムなデリバリーを実現できます。

リソース活用率の計算

プロジェクト管理者は、チームのリソース活用状況をモニタリングし、個々のパフォーマンス生産性を追跡すれば、効果的なリソース管理に不可欠なKPIの1つを得ることができます。この計算は、リソースの過剰配分を防ぐために役立ちます。

リソース・スケジューリングの過剰配分は、作業時間数が増えすぎて従業員の燃え尽き症候群が発生する原因にもなり得ます。また、適切なリソース配分によってプロジェクトの時間を有効活用しなければ、計画外の遅延を引き起こす可能性もあります。だからこそ、活用状況を正確に測定し、必要に応じてプロビジョニングできることが重要なのです。

一般的なリソース活用率は、実働時間または配分時間をリソース・キャパシティーで割ることで計算されます。活用率により、プロジェクト管理者は、リソースのパフォーマンスを追跡し、リソース活用レポートを作成、リソース管理者は、それを受けて新規プロジェクト全体の請求可能な作業を計算し、戦略的なキャパシティー・プランニングを行います。

よりスマートなリソース管理

アプリケーション・パフォーマンスの最適化、ボトルネックの解消、将来起こり得る問題の防止のためには、必要とされるリソースを正確に推定する必要があります。しかし、アプリケーションの抽象化が複雑で多層的であるため、どのネットワーク・リソースがどのアプリケーションをサポートし、あるいはパフォーマンスの低下の原因とな程いるのかを理解することが難しくなっています。

動的な環境で従来の方法による予測を行うと、過剰配分につながることがよくあります。また、従来の運用ツールは非効率的なリソーシングを招き、デジタル・トランスフォーメーションの推進を妨げる可能性があります。

アジャイルなデジタル環境の複雑さが増し、インフラストラクチャーが膨大な量の新しいデータを生み出し続ける中、よりスマートなリソース管理が求められています。

AIOpsに基づくアプローチは、システム全体を可視化しながらリソースをインテリジェントに配分することで、企業が時代の先端を走れるようにサポートします。システム全体にわたって機能するソリューションを導入すれば、問題が発生する前に対処することでコスト削減を実現できます。また、パターンの解釈、インシデントの切り離し、アプリケーション・パフォーマンスの変更までをより少ない労力で行えるようにすることで、将来のアプリケーション・リソースの問題を解消することも可能になります。

リソースに関する意思決定の自動化

Turbonomicアプリケーション・リソース管理は、AIを活用したソフトウェア・ソリューションです。フルスタックのハイブリッドクラウド環境でアプリケーション・データを利用したり、インテリジェントな自動リソース・アクションを作成したりすることができるため、時間の節約と生産性の向上につながります。

インテリジェントなアプリケーション・リソース管理ソリューションを使用すれば、プロジェクト・チームは、実際の実行時およびマイクロサービス測定基準に基づく推奨アクションの提示を常に受け、それらの信頼できるアクションを検証、意思決定の自動化をすることが可能になります。これは、アプリケーション・データに基づくリソースの有効活用を実現するための継続的な取り組みの1つです。

アプリケーション・リソース管理 (ARM) とIBM

IBM Cloud Paks向けTurbonomicアプリケーション・リソース管理によるアプリケーションのモニタリングと最適化、複雑なインフラストラクチャーの管理、リアルタイム分析の生成、そしてインテリジェントな自動化アクションに必要な信頼できるアプリケーション洞察の提供についての詳細は、こちらをご覧ください。


可能な限り低コストでのアプリケーション・パフォーマンスの確保に向けて、一歩を踏み出しましょう。

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リソース管理のスマート化、意思決定の迅速化、予測AIOpsなどについてご紹介します。


この投稿は2021年10月18日に米国Cloud Blogに掲載された記事 (英語) の抄訳です。

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