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僕たちは腕の立つ「目利き」じゃなきゃダメだと思うんです(Watson IoT綿谷 暁文)

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Watson IoTチームメンバー・インタビュー #24

綿谷 暁文 Data Scientist: IBM System Engineering

 

Watson IoTチームのメンバーが、IoTやAIに代表されるテクノロジーを踏まえ、過去・今・未来と自らの考えを語るインタビューシリーズ。第24弾はISE の「目利き人」綿谷さんにお話を伺いました。

(インタビュアー 八木橋パチ)

 

     — 先日のサマーキャンプはお疲れさまでした! 今日はまず、綿谷さんとIoTとの関わりからお聞きしたいと思っていますのでよろしくお願いします。

参考: Watson IoT サマーキャンプ – 灼熱の伊東から

こちらこそよろしくお願いします。そうですね、最初にIoTと関わったのは2015年で、IBMがIoTの部門を立ち上げるという話に対し、私が所属しているIBM System Engineering社(ISE)でも「一緒にIoTビジネスを盛り上げていこう!」とIoTへの取り組みがスタートしたんです。

私はそのタスクチームのメンバーで、IoT関連で現在協業させていただいている皆さんと一緒にいろいろなプロジェクトに参加していました。

 

     — その頃、ISEの中ではIoTという部門はなかったんですね。

そうなんです。その後「IoTソリューション」という部門が2017年にでき、その際に私が部門のマネージャーとなりました。

その後、私は今年の春に「アナリティクスソリューション」部門に異動になり、先日、インタビューにも登場していた林さんが後任のマネージャーとなりました。

参考: IoTで地方を元気にできるなら、私も貢献できるかも(Watson IoT 林 久美子) 

 

     — 現在は肩書き的には「IoTの人」ではないんですね。それでも毎週「IGNITE IoT!!」というWatson IoTチームの情報共有セッションや、先日のIoTサマーキャンプなどには参加されていますよね。

はい、自主的に参加してます。IoTはこれから大きなインパクトを社会に起こす分野として興味があるし、今マネージャーをやっている「アナリティクス」部門とビジネス的にも兄弟のようなものだと思っています。

 

 

     — 「アナリティクスとIoTは兄弟のようなもの」ですか。

IoTはデータの「収集」「蓄積」「加工」「利活用」の4つの流れでできていますよね。その中の蓄積、加工、利活用の価値を高めるのがアナリティクスというテクノロジーなので、とても近い関係ですよね。

IBMは蓄積、加工、利活用に関しては莫大な知見とテクノジーを持っているので、そこをもっとどんどん活かしていきたいですよね。そのためには、「収集」が得意なパートナーさんや、利活用により生み出した価値を社会に届けることが得意なお客さまとのコラボレーションが、鍵なんだろうなと思っています。

 

     — IBMはデータを収集するツールだとかセンサーは持っていないですしね。

そうですそうです。だからこそ、ミツフジさんとのコラボレーションは重要だと思っています。

そして、そういう取り組み自体をもっと広い範囲にもっと印象に残る形で露出させていくことが必要なんだろうなとも感じています。デバイスやセンサーをお持ちの会社に「一緒にやりたい」って言ってもらえるように。

 

     — たしかにもっとたくさんの仲間を作って、社会課題の解決に取り組みたいですよね。もし、仮に綿谷さんがIoTを使ってなんでも好きな課題に取り組めるとしたら、何をしますか?

うーん、ありきたりかもしれませんが、高齢化や地方の過疎化、それから自然災害とかですね。

…少し変わったところで言えば、僕は釣りが大好きなんで、IoTでもっと釣りや漁業を盛り上げたいですね。「バンバン釣れる! でも環境に優しい」みたいな釣りができるようにならないかなぁ(笑)。

 

     — 釣り、いいですね! どちらまで行かれるんですか?

よく行くのは三浦半島、特に金沢八景が多いですね。ISEには釣遊会という釣り部があって、毎年秋に一泊で釣り合宿するんです。

去年は総勢30人くらいで船を2台チャーターして、釣りと料理で盛り上がりましたよ!

 

     — IoTチームのサマーキャンプも料理で盛り上がりましたよね。綿谷さんはどのチームに参加してたんでしたっけ?

MaaS(Mobility as a Service – サービスとしての移動)チームです。IoTテクノロジーとシェアリング・エコノミーとをうまく組み合わせて、在宅高齢者の方の通院や日常生活の中でのいわゆる「ラストワンマイルの移動」とか、支援できるんじゃないかと思うんですよね。

例えば釣りに行く際やその帰りに、「ライドシェア」でちょこっと地元の方の通院をお手伝いできたりとか、そんな風に気軽に使える仕組みがあったらいいのになぁって思います。

 

 

     — いいですね、そういう「テクノロジーとヒューマンタッチの融合」みたいなの。ご自身でもそういう点を意識されていたりする部分はありますか?

そうですね、マネージャーとなり「顔を合わせてのコミュニケーション」を特に意識しています。

ちょっと「時代に逆行している」と思われる方もいるかもしれないですけど、便利なツールやテクノロジーが揃っているからこそ、顔を合わせて会話することの大切さがより明確になってきている気もするんです。なので状況やタイミングを見つつ、実際に集まれる時には集まろう、って言ってます。

 

     — 最後の質問です。先ほど気になる課題として「自然災害」という言葉が出ました。私は個人的に、自然災害の頻度は増え規模も大きくなっている気がしていて、「テクノロジーは本当にそこで役立っているのだろうか?」と疑問に感じることもあります。綿谷さんはどう思われますか?

たしかに、自然災害の原因となるような気候変動のスピードに、テクノロジーの進化スピードが間に合っていないのかもしれません。でもそれより、対応するテクノロジーはあるのに、それを適応させる制度準備のスピードが間に合っていないことの方が大きな原因かもしれないですね。

規制が多すぎたり、法整備が整っていなかったり…。

 

     — そんな現状を打破するためには、何が必要でしょうか?

「実験」という扱いでも構わないので、どんどん実際にやってみて、そこから学んでいくことが大事なんじゃないですかね。規制の問題に対しては、特区を活用していくのがいいかもしれません。

自治体の長にはチャレンジする人が増えて欲しいし、IBMももっと自治体と、あるいは自治体に近いパートナーやお客さまとのパイプと一緒に、課題解決に向けてアプローチしていく必要があると思います。

 

     — 自治体にチャレンジしてもらうのに十分なソリューションやアイデアを、そしてパッションを私たちIBMは持っていますか?

間違いなくそうだと思いますよ。個人にも、公共にも、そして私たちIBMにもまだまだできること、やらなきゃいけないことがたくさんありますね。パチさんも、こないだIDEAS FOR GOODさんのインタビューで答えていましたよね。

特にそれを強く感じたのが先日のキャンプで、ザ・ウェザーカンパニーの武田さんと話していたときでした。気象データという巨大な可能性をもっと深掘りして、社会にもビジネスにももっと役立てる必要があると思います。

参考: 顧客は地球。IBMに学ぶ社会課題とテクノロジーの幸せな関係

 

     — 武田さんは「接着剤」と表現していました。

じゃあ僕は「目利き」って表現しようかな。

僕たちは腕の立つ「目利き」じゃなきゃダメだと思うんです。データが海に泳ぐ魚だとしたら、僕らは釣り人に「どこでどんな風に釣り上げると旬な魚が釣れますよ」ってうまくアドバイスできないと。

例えば気象データという「魚」をすでに釣り上げているのなら、それに合わせて付加価値を提供するのは何がいいかを伝える。あるいは料理人やレストランオーナーと一緒になって、どんな調理方法や盛り付け方法がいいかを考える、というように。

価値を見出し未来に向けて伝えていく。それを一緒に実行するパートナーになりたいですよね。

 

インタビュアーから一言

実は私もこの夏、生まれて初めての船釣りデビューをして、大量のタコとシロギスを釣りました。楽しかった〜。でも、超初心者の私でも楽しみながらバンバン釣れたのは、うまいこと獲物や場所を決めてくれた友人のベテラン釣り師と船長の2人の「目利き」のおかげだったんですよね。ありがとうございました!
また釣り行きたいな。綿谷さん、今度誘ってください!

(取材日 2019年8月19日)

 

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