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サステナビリティー経営の鍵を握るサプライチェーン

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サステナビリティーは、日々のサプライチェーンの混乱や、進化するテクノロジーの活用と並び、サプライチェーン最高責任者(CSCO)がその取り組みに頭を悩ます課題の一つです。

一方で、サプライチェーンと調達プロセスの両面から持続可能性に取り組むことは、企業にイノベーションをもたらし、ビジネスの成長とコスト削減を実現させます。

IBM Institute for Business Valueの調査によると、サステナビリティーの先駆者である企業の62%は、収益性において競合他社を上回っています。

参考: 『サステナビリティーは変革を引き起こす「カタリスト」である: 先駆者は志を行動に変える』

 

サプライチェーンは、社会を持続可能でサーキュラーなものへと変革する大きな可能性を持っています。

CSCOは要職であり、ネット・ゼロ、グリーン・オペレーション、アセット・マネジメント最適化の実現など、ビジネスモデルや調達ネットワークを見直し新たな取り組みを導入することで、企業と社会の持続可能性を高める機会と責任を有しています。また、上流と下流のバリューチェーンが人権に与える影響をしっかり考慮するのもCSCOの大切な役割です。

これらを実現するのに最も重要なのは、CSCOが責任ある公正な結果を導き出せるよう、持続可能性を運用可能な形で企業戦略に組み込み、ビジネスとテクノロジーの目標に統合することです。

 

サステナビリティーの取り組みにまつわる誤解と現実

企業のサステナビリティーへの取り組みは大きく、米国だけを見ても、フォーチュン500社は年間220億ドルをサステナビリティーの取り組みに投資する意向を示しています。しかしその一方で、多くの企業が企業のサステナビリティーの目標を達成できずにいます。果たして、その原因は何なのでしょうか。

多くの場合において、持続可能性の取り組みに対して一部の意思決定者が抱いている、下記のような誤解が原因となっているようです。

  • 持続可能性の取り組みは費用がかかる、そしてROIを定量化するのが難しい
  • サステナビリティーには技術やビジネスプロセスの転換が必要だ
  • 持続可能性と既存のビジネスは相反する
  • サステナビリティーの取り組みは、経済的・地政学的な要因により簡単に変化してしまうので、優位性が保てない

 

これらの認識や印象は、そのほとんどが誤解や、あるいは過大な恐れから生まれていると言えるでしょう。以下の観点を正しく理解した上で検討すべきです。

  • ステークホルダー、顧客、従業員、株主など、ビジネス上のあらゆるレベルの意思決定において、サステナビリティーへの注目は高まる一方であり、重要要素としてますます考慮されるようになっていること。
  • 持続可能な投資についてのビジネスケースはすでに構築されており、実際に証明もされていること。
  • サステナビリティーの取り組みは、既存のあらゆるものを変えるものではなく、むしろ現在あるものを活用し、最適化し、アップサイクルすることこそがデザインの重要原則であること。これはあらゆる企業の活動に、とりわけサプライチェーンに当てはまります。

 

多くの業界において、ネット・ゼロのロードマップと企業の社会的責任(CSR)目標の実現に、サプライチェーンは非常に高い効果をもたらします。

従来のサプライチェーンは、低コストの配送に焦点を当て、環境や社会への影響にはあまり注意を払ってきませんでした。しかしテクノロジーの発展は、私たちがより良い結果を出すことを可能にしました。現在では、あらゆる業界において、持続可能なサプライチェーンに投資するための定量化可能なビジネスケースと明確なROIが存在しています。

 

持続可能なオペレーションをサポートする次世代サプライチェーン

よりスマートなサプライチェーンは、可視性を向上させ、廃棄物を削減し、新しい働き方を可能にします。環境、社会、ガバナンス(ESG)の影響を強め、持続可能性の取り組みを革新的なものへと成長させていくのが、サステナブルなサプライチェーンの取り組みなのです。

そしてより良いサプライチェーンは、消費者の要求に応え、従業員のエンゲージメントを高め、規制やコンプライアンス要件と業務上の優先事項への対応のすべてに同時に対応します。

 

それでは、どのように持続可能なオペレーションをサポートする次世代サプライチェーンを実現していけばよいのでしょうか。

まずはしっかりとしたデータ基盤を確立することが重要な第一歩となりますが、他にも正しく理解する必要があることがいくつかあります。

それでは3つの重要なポイントを順に見ていきましょう。

参考: 『強靭なデジタル・サプライチェーン | 効率性とサステナビリティーの両立におけるインテリジェント・ワークフローの有効性』

 

1. データ、レポート、テクノロジーを活用し、透明性と信頼を構築する

サプライチェーンの可視化は劇的に変化しています。統合されたデータとスマートなテクノロジーの組み合わせにより、サプライチェーンが環境に与える影響がリアルタイムで分かるようになったのです。そして同様に、人権や土地の権利に関するリスクも、リアルタイムで特定することができるようになっています。

サプライチェーンの専門家は、データとAIから導き出された最適な意思決定を行えるようになりました。さらに今では、そこにESG影響度を重要要素として組み込むことができるのです。これは組織の透明性を増し、サプライチェーン全体の信頼を構築するための重要な基盤となります。

 

2. 4つのPからなるクアッドボトムラインに関する取り組み優先順位と、企業文化と組織とを一致させる

CSCOの53%は、今後3年間で競争優位性を築く上で最も重要なのが、デジタル・サプライチェーン変革の取り組みであろうと答えています。しかしこの取り組みが効果を発揮するのは、企業文化や組織プロセスがハイレベルな戦略と整合している場合のみです。

「変革の先駆者」として認識されている13%の企業は、人(People)、利益(Profits)、地球(Planet)、パーパス(Purpose)という4つのPからなる「クアッドボトムライン」と、企業文化と組織プロセスの整合性を正しく取っており、同業他社よりも20%高い収益成長率を達成しています。

 

3. 徐々に成果を上げていくことも重要です

サステナビリティーの取り組みも、現存している人材、プロセス、テクノロジーなどを活用しながら進める持続可能な設計が必要です。

変革とは、すべてを取り壊して置き換えることを意味しません。長期的かつ抜本的なインパクトに向けて構築を進めつつ、漸進的かつ即時的な改善をも手に入れる同時進行の取り組みも変革なのです。

 


当記事は、事例『Supply chains can make sustainability an operational strength』を日本のお客様向けにリライトしたものです。

 

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