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労働人口動態の大変化を、エネルギーや公益、運送や製造産業の追い風に

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全労働人口の1/2から1/3を占める団塊世代とそれに続く初期ジェネレーションXの労働人口が、2015年から2022年の間に仕事から引退することが見込まれています。

この労働人口の大変化が、さまざまな点で社会に大きな影響を与えています。中でももっとも大きな影響を受けているのが、資産集約型の石油やガスといったエネルギー産業や公益事業、そして労働集約型の運送や製造分野です。

 

この大変化の最中、多くの組織が技術的そして経済的な進化を遂げようと奮闘しています。従来の人的資本や設備機器に依存した運用モデルでは、必要な生産性と総資産収益率(ROA: Return On Assets)を実現するのが困難だからです。

この奮闘は、産業界のリーダーたちにとって大きなチャレンジであると同時に、大きなチャンスをも意味しています。なぜなら、ビッグデータ、分析、モビリティ、自動化などの技術的進歩の中に次世代の競争優位性があるから。そしてそれを手にするには、旧来の常識を捨てIoT、AI、拡張現実などの分野における新たなテクノロジーや特性を試し、自社の運用モデルに組み入れていくことが不可欠です。

 

それでは、リーダーたちはどのように既存のビジネスモデルや組織戦略、生産戦略を見直し、新しい運用モデルを組み上げていけば良いのでしょうか。

ここで重要なのは、この変化がそもそも労働人口動態の大変化からスタートしているという点を改めて見つめ直すことです。

 

■ 引退する労働者は、自身の知識や技能を次世代に伝えたがっている

物理的な作業環境から生じる身体的・精神的負担が、人的資本への投資を無駄にさせてしまうことは珍しくありません。

作業や労働の負担が健康に及ぼす作用を、現在の経済状況と合わせて検討すると、引退が妥当だと判断する人が多いのです。アメリカ全土ではリタイア人口の15〜25%が、こうした判断から引退するものだと推定されています。

 

しかし引退を決心した労働者も、職場とのつながりをすぐに手放すことを望んでいる訳ではありません。その多くが、長年の経験を通じて手にした知識や技能を、次世代に伝承することを望んでいます。

価値を生み出し、ビジネスを前進させ、組織に貢献するための技術や方法を求めているのです。

 

視野を広げ中長期的に捉えれば、厳しく激しい突風のように見える大変化も、実際は組織を前に進める好ましい追い風だったということも産業界では頻繁に起きます。

技術的進歩をビジネスモデル変革に同期させることで、従業員との関係性を強め将来への競争力を高め、未来への強い推進力とすることができます。

 

■ 組織内の集合知と個人の知識を、AIとARで共有拡大する

資産集約型産業には組織内の集合知と個々人の知識を捉え、共有し拡大する方法が必要ですが、多くの組織ではそれが存在していないか、あるいは活用できていないのが実情です。

この問題の解決にうってつけなのが、高い専門知識を持つベテラン従業員です。

 

AIと拡張現実技術を活用すれば、理論的には1人の高度専門技術者が、毎日10人の技術者を育成することができます。引退間近のベテラン技術者に、デジタルツールを用いて新人技術者を育成してもらいましょう。

複雑な修理や構造的な知識を必要とする課題に対し、適切な手法や道具を用いた予防保全や点検の方法を伝授してもらうのです。

AI駆動型アシスタントを擁しているIBM Maximo Equipment Maintenance Assistantを用いれば、従来の想定レベルよりもはるかに高次元の結果を手にすることができるでしょう。

 

■ 設備機器の声を聞き、デジタルツインへと反映させる

またテクノロジーが進歩する一方で、従業員もよりスマートに、設備もよりインテリジェントに進化しています。

ハードウェアはデジタル要素を強めつつハイブリッド化に向かっていて、IoTにより一層のリアルタイムにケタ違いの価値を生み出すようになっています。そして分断化されたまま孤立していた過去のデータや出来事は、統合的な分析に用いられるようになっています。

 

IoTとAI、そして高度な分析は、現実的な意味や価値へとつながるシグナルと単なるノイズを見分けられるようになりました。次は、個々の技術者がその適応方法を身に付ける番です。

これからの技術者には、新しいテクノロジーを使いこなすための再訓練が必要となるでしょう。

詳細な科学的知識を理解し身につける必要はありませんが、問題解決に必要なシステム思考アプローチと分析機能を使いこなすための、信頼性エンジニアの基礎や基本的なデータサイエンス知識が必要となったのです。

 

こうした背景から、高等学校からIT人材に必要とされる技術をしっかりと身につける「P-TECH」や、科学・技術・工学・数学分野に力を入れた「STEM教育」など、教育界でもデータサイエンスの未来に向けた取り組みはスタートしています。

しかし産業界には、彼らの登場を待っている余裕はありません。技術者が増え続ける莫大な量のデータをすぐに適切に取り扱えるよう、彼らを支援する使い勝手の良いデジタルツールが今必要なのです。

 

こうしたツールを用いることができれば、技術者は設備機器の現状を把握し、資産と在庫を適切に管理することができ、現地から離れていても、いつ何を行うべきかを正しく判断することができます。

そしてこれらが可能になれば、本来は不要な訪問修理を減らすことができ、人件費の削減にも大きな効果をもたらします。

さらに、IoTデータを生かしたデジタルツインを作り上げ、新旧の技術を組み合わせて予知保全モデルを作れば、データを正しく解釈してリスクを管理する新たな運用モデルを生み出すことができます。

 

■ データ、AI、IoTを人事戦略と資産管理戦略に組み込む

ここまで書いてきた労働力の変化とそれに対応する方法は、組織にとって従来のやり方を見直し、力強い新戦略を策定するための大きなきっかけとなるでしょう。状況を的確に踏まえた人事戦略と資産管理戦略に、データ、AI、IoTを適切かつ大胆に組み込めるリーダーこそが、未来を担っていくのです。

さまざまな産業を代表するグローバルトップ企業が、IBM Maximoソリューションが提供する洞察を、インテリジェントな資産の保全・運用に不可欠なものとして利用しています。

 

それらのトップ企業は、MaximoとIoTを連携させることで、労働力に新しいスキルとテクノロジーを組みいれ強みとしています。

収集データが増えれば増えるほどMaximoはより詳細な分析から高精度の洞察を引き出し、運用リスクを特定します。そして運用モデルは成熟を進め、ビジネス開発チームは一層お客さまの成果に集中することができるようになるのです。

 

■ 今がチャンスのとき。よりスマートにより素晴らしく

技術者と設備管理をよりスマートにするテクノロジーと、よりスマートにテクノロジーを使いこなしていく技術者がチームを作れば、この大きな変革をより素早くより素晴らしいものにすることもさほど難しくはないでしょう。

AIとIoTにより、未来の技術者たちは先人の高度な知識を受け継ぎます。

新たな戦略をスタートするのに、知識伝承と技術刷新を組み合わせて進めるための新テクノロジーとソリューションが揃っている今ほどふさわしいタイミングはないでしょう。

 

設備機器の運用や現場作業を進化させる新テクノロジーと、その適用方法についてより詳しく知りたい方は、下記の紹介ページもぜひご確認ください(英語)。

Learn how emerging technologies like IoT, AI and blockchain are changing the landscape of asset maintenance.

 

なお、顧客からの声に応え、各産業の知見と最新テクノロジーを取り入れながら進化を続けているIBM Maximoソリューションは、ガートナー社の2019年版マジック・クアドラントでもEAMソフトウェアのリーダーとして最高の評価を得ています。

ガートナー、2019年版のマジック・クアドラントでもIBM MaximoをEAMソフトウェアのリーダーと評価

 

ぜひ、IBMと一緒に、労働人口動態の大変化を自組織の追い風として大きなチャンスを掴みましょう。

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 

関連製品: IBM Maximo Asset Performance Management

 

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当記事は、The great shift change will bring great advancements to the future technicianを抄訳し、日本向けにリライトしたものです。

 

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