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ミュンヘンのWatson IoTエクスペリエンス・センターに行ってきました(Watson IoT 田中郁美)

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2019年7月からWatson IoT事業部にジョインしたエコシステム・セールスマネージャーの田中郁美です。

7月17日から20日まで、ドイツのミュンヘンにある「Watson IoT Client エクスペリエンス・センター」を訪問してきました。お客様との打ち合わせのなかった18日は半日、現地スタッフにIoTエクスペリエンス・センターを案内してもらいました。

今回は、私が見て感心した点や、日本のお客さまにお知らせしたいと思ったポイントをお伝えさせていただきます。

 

■ ミュンヘン基礎情報

ドイツ南部に位置するミュンヘンはバイエルン州最大の都市で、人口は140万人とベルリン、ハンブルクに次ぐドイツで3番目に大きい都市です。

ミュンヘンの標語は「ミュンヘンはあなたを愛している(München mag Dich)」。この言葉に現されているように、ミュンヘンはいろいろな場所でホスピタリティーが感じられる観光都市なのですが、一方で製造業が盛んで、ドイツから世界へと広がった「インダストリー4.0」の中心地でもあります。

そんな背景から、「Watson IoT Clientエクスペリエンス・センター」もミュンヘンに設立されたようです(とはいえ、街の中心地というよりはビジネス地区にあり、ミュンヘン空港からは車で40分ほどかかります)。

 

またミュンヘンは札幌の姉妹都市なのですが、緯度的には札幌よりさらに北となり、「夏も最高気温は20℃くらい」とガイドブックには書かれています。

…が! 今回、私が訪れたタイミングでは日中は26℃を超え、日差しも超強力でかなりの暑さを感じました(ただ最近の東京の暑さを考えればそれでもまだ随分とマシですね…)。

 

それではそろそろ、IoTエクスペリエンス・センターの見どころやポイントをお伝えします。

 

■ IoTエクスペリエンス・センターの見どころその1 – エレベーター

上の動画は2年ほど前のものなので、多少今とは違うところもありますが、大体の建物などの雰囲気はつかんでいただけるのではないでしょうか。

 

まず、最初に強く印象付けられたのは、センターのエレベーターとエレベーターホールでした。

よくあるエレベーターのように中に入って行き先階ボタンを押すのではなく、エレベーターホールで行き先階を登録します。すると、その階に直通するエレベーターが指定され、そこに誘導される仕組みとなっていました。

これまであまり考えたことがなかったのですが、行き先階別に人を集めて直通で向かった方が効率的で、使用する電力も少なくて済みそうです。また、これは混み具合や時間帯にもよるかもしれませんが、乗っている時間や待ち時間も少なそうな気がしました。

 

なお、「ひょっとしてドイツではこういうスタイルのエレベーターが一般的なのかも?」とも思ったのですが、他では一切見かけることはありませんでした。ですからきっと、IoTエクスペリエンス・センターならではの実験的な機能なんだろうと思います。

これ、私が普段働いているIBMの箱崎本社ビルのエレベーターにも、ぜひ導入して欲しいです!

 

■ IoTエクスペリエンス・センターの見どころその2 – 専用アプリ

このセンターにはスマホやタブレットで使用できる専用のアプリがあり、アプリストアからダウンロードすることができます。

このアプリが優れもので、かつ使っていて楽しい! 自分がいる場所を自動判別して、周囲のさまざまなもののコントローラーとして使えるんです。

例えば、自分がいる部屋の照明や温度、ブラインドの開け閉めなど。部屋を移動しても、居場所に合わせて自動的に対象とする部屋をアプリが変更してくれます。

 

 

また、カフェテリアの混み具合も9段階で表示してくれるのですが、その混み具合の検知には、カフェを上から撮った映像に映る「頭頂部の数」で人数を把握し、混み具合を判断しているそうです。

「なぜ頭頂部?」と思ったのですが、どうやらプライバシー保護に対して厳しいドイツでは、顔の画像認証は法的にNGなため、頭頂部の数でカウントする方法をとっているそうです。

 

そして日本では、おそらく椅子の埋まり具合(使われている椅子の数)をセンサーで認識して混み具合の指標とすることが多いだろうと思います。

これは私の想像ですが、おそらくヨーロッパやアメリカでは、職場でもスタンディングデスクが多いように、カフェやバーでも「立ち飲み」がポピュラーです。そうなると、椅子の埋まり具合ではあまり正確な混み具合の計測にはつながらないのかもしれませんね。

 

ここで一つ。カフェでのとある出来事を。

私のドリンク・オーダーを取ってくれた方はドイツ語メインで英語が苦手な方だったようで、アイス・チャイラテを注文したのですが、出てきたのはホットドリンク…。

身振り手振りでどうにか伝えたところ、氷をたっぷり入れて冷たくはしてくれたのですが、どうやらアイスの発音に近いドイツ語の形容詞があるらしく、その意味だと思ったとのこと…。結局その形容詞が何を指すのかはドイツ語と身振り手振りでの説明だったのでわからなかったのですが、旅先でのこういった小さなアクシデントは、「海外に来たな」感があって、意外と好きです(笑)。

このカフェの店員さんもそうですが、基本的にミュンヘンの方々は言葉が通じなくても一生懸命対応しようとしてくれる、真面目で優しい方が多く、旅人としてはとても気持ちの良い都市でした。

 

■ IoTエクスペリエンス・センターの見どころその3 – フェーズ1、2、3

インタラクティブな展示エリアは大きく3つに分かれていたのですが、それぞれ見せ方に一ひねりあり、エンターテイメント性と近未来性を感じるものでした。

また、フェーズ1から3へと進むにつれて、訪れている人のIoT知識レベルが上がっていくような、あるいは使用されているテクノロジーも少しずつ複雑になっていくような、そんな造りになっていた気がします。

以下、それぞれのフェーズで特に印象に残ったものです。

 

 

・ フェーズ1 – 建物内のCo2濃度を元に、ビル内の人がどの位置にどれくらいの人がいるかを視覚で提示(なお、現在の精度はおよそ70%ということでした)したり、建物内の様々なセンサーから取得した情報をIoTセンター型のオブジェに可視化しています。

ここでは、IoTが実際にどう使われるのかを、目で見て学ぶことができます。

 

・ フェーズ2 – 展示スペースに置かれたさまざまなオブジェを手で動かすと、そのオブジェに対応したお客様のストーリーを読むことができるようになっています。また、スペース脇のQRコードを読み込んで、専用ブラウザを立ち上げてスマホカメラでオブジェを撮影すると、詳しい説明をスマホ上で読むこともできます。

ここでは、実際に手を動かしてテクノロジーに触れながら、IoTで変革を起こしているお客様のストーリーを知ることができるようになっています。

 

・ フェーズ3 – いろいろなタイプのIoT事例をビジュアルに表示し、活用方法をイメージしながらディスカッションができる場。大きな平面モニターに次々と映し出される映像はとてもキャッチーで、ツアーの終着点を飾るにふさわしい華やかさがありました。

いつか私もお客様をここにお連れして、これからの変革についてディスカッションできるくらいな営業になりたい…!と思いました。

 

■ 最後に

IBM再入社早々、こうして海外に出張し、最先端の「インテリジェント・ビルディング」や「コグニティブ・スペース」を言葉として理解するのではなく体感できたのは、本当に良い機会でした。

また、自分が触れることができるものや、スマホを使って見聞きするものが多いので、IoTをより一層身近に感じることができたし、自分が「建物とつながっている」という感覚を得ることもできました。

 

 

IoTエクスペリエンス・センターは、その名の通り、「体験する(エクスペリエンス)」ことにあふれたセンターでした。

「IoTで何か新しいこと、何かエキサイティングなことをしたい」というお客さまにピッタリの、たくさんのアイデアや刺激を得られる場所だと思いますので、訪問をご希望の方は、ぜひ私たちWatson IoT事業部までご連絡ください。

 

おまけ: 飛行機までの自由時間には旧市街の街を見下ろせる展望台がある、聖ピーター教会へ行ってきました。294段もの狭い階段を上ると赤い屋根が象徴的なミュンヘンの美しい街並みを一望することができ、筋肉疲労も忘れそうなくらい清々しい気持ちになりました。

ちなみにこの景色はミュンヘンで2番目に高いと言われているIoTセンターからも遠くに見ることができるので、そのために訪れるのもアリかも…?(笑)

 

 

関連記事: ドイツ「ハノーバーメッセ」レポート (Watson IoT 橋本茉奈実)

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問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 


田中 郁美 | Watson IoT, エコシステム・セールスマネージャー

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