IBM Sustainability Software

AIとIoTで現場を変革する施設・設備点検管理ソリューションセミナー・レポート

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11月21日、「AIとIoTで現場を変革する施設・設備点検管理ソリューションセミナー」が日本IBMにて開催されました。

設備の老朽化によるコスト増、熟練者減少による作業品質の低下といった課題を抱える製造業、物流、流通、不動産業などから多くのお客さまにご参加いただいたこのセミナーから、株式会社エクサ 山口氏による「施設・設備点検基盤“IBM Maximo”」と題したセッションを、ダイジェスト版でご紹介します。

 

■ 施設・設備点検基盤“IBM Maximo”

株式会社エクサ Smartファクトリー営業部  山口 裕也 氏

 

私たち株式会社エクサは、鉄鋼大手のJFEスチールと日本IBMの合弁会社です。

製造の現場で培ってきた保全・点検業務およびシステム化の知見があるエンジニアが揃っており、お客さまの業務上の課題や悩みをふまえてIBM Maximoの価値を最大に活かせる業務全体設計をご提案し実装して、業務の最適化に貢献できることが私たちの強みです。

 

■ Maximoの成り立ちと主要機能

Maximoという製品は、米国の原子力発電所の設備管理ツールとしてその歴史を1968年にスタートしています。

その成り立ちから、昔も今も「絶対に事故を起こしてはならない場所」の管理に用いられており、日本においても、工場、プラントやテーマパークの施設管理にも用いられています。

2007年の買収によりIBM製品となりましたが、エクサではそれ以前の2006年から取り扱いをスタートしており、現在までにプラントや物流施設をはじめとした30社以上のMaximo導入・実装をお手伝いしてきました。

工場や発電所、ビルなど、「モノ」があるところには非常に幅広く「設備資産のマスターデータ管理ツール」が利用されていますが、世界中で数多くの採用実績と保全業務に於ける信頼を重ねてきているのがMaximoの特長と言えるでしょう。

 

Maximoは、大きく分類すると6つの「管理」機能、モジュールから構成されています。

どういった修理をどのタイミングで実施しているか、どの機器がどのラインで使用されているかなど、設備・施設・ITの資産のライフサイクル全体を管理する「資産管理」モジュール。

作業がいつどこで誰によってどのように行われたか、作業計画や履歴、作業標準や安全管理などさまざまなアクティビティーを管理する「作業管理」モジュール。

どのような在庫がどれくらいの量あり、どこの倉庫でどのように保管・使用されているかの追跡と管理をする「資材管理」モジュール。

その他「調達管理」「契約管理」「サービスレベル管理」など、保全管理に必要な重要な機能すべてをMaximoだけで揃えることができます。

 

管理業務すべてを包括的に捉えること、別の言い方をすると業務すべての局面における「モノ、作業、コスト」の管理をしっかりと行うことで、複合的な視点からなる正しい予実管理を支援しています。

そして正しい予実管理を行うことで自分たちの過去の実績を未来の計画に活かすことができ、プラントなどにおいて非常に重要なPDCAのサイクルを正確に回していくことができるわけです。

 

■ Maximoのお客さま事例

ここからは、弊社が導入・運用を支援させていただいたお客さまの事例を3つお伝えします。

 

・ 事例1 –  お客さま設備のアフターフォロー基盤

最初にお話しするのは、エクサのお客さまが顧客に納入したリゾート設備・機器のメンテナンスサービスを提供するためのビジネス基盤としてMaximoを利用されている事例です。

リゾート施設の大型化・淘汰が進む中で、設備の新規購入などの投資が難しく、既存機器のメンテナンス効率化によりコスト優位性を出していくことが「勝ち組」となる上で非常に重要です。

 

資産・設備管理ソリューションの導入にあたり、コンペが行われたのですが、私たちそしてMaximoの導入決定となった一番の理由は、どのように実際の業務にMaximoを適応させていくかという検討をお客さまと共に念入りに行ったことにありました。

「プリエンジニアリング・フェーズ」でしっかりとディスカッションを重ね、その上でプロトタイプを作り、そこから「システム開発フェーズ」「運用保守フェーズ」「他システム連携・機器拡張フェーズ」と進めていくことで、報告作業の効率化やタイムリーな進捗把握、外出先での迅速な対応や営業活動の効率化といった、お客さまの重要課題に着実に対応していくことができました。

 

・ 事例2 – 自社プラントの設備保全システム構築

次にお話しするのは素材産業大手のお客さま事例です。

グローバルな競争が一層の激しさを増す中で、お客さまは生産設備の継続的な安定稼働、長寿命化、保全コスト削減、働き方改革のためのシステム化が重要課題となっており、中でも「継続的な安定稼働」が最大のポイントとなっていました。

というのも、お客さまは、製品の生産設備の安定稼働を実現する上で重要な機器メンテナンスやその計画にまつわる業務が、いまだに紙を中心に行われていることに大きな危惧を感じられていたからです。

 

また、お客さまは、システムに関しては「ノン・カスタマイズでパッケージをそのまま利用」という明確な基本方針を持っておられました。

そのため、新しい画面定義を作ったり、既存アプリケーションのレイアウトを容易に変更できるMaximoの標準機能(「アプリケーション・デザイナー」)に注目され、その操作性の良さや利便性の高さ、改善の実現性がお客さまに高く評価されました。実際にサービスイン後から、お客さまご自身によりさらなる改善や機能追加を進めていらっしゃり、エクサはそのサポートを行っています。

そして、業種に特化したテンプレートが多数用意されているのもMaximoの特長の一つです。こちらのお客さまの場合はその業務特性が製造業向けの安全管理(HSE、安全対策)の特性とマッチしていたため、Maximo for Oil and Gasという「保全と生産の紐付け」「安全管理」「故障時シミュレーション」などのベスト・プラクティスを提供するテンプレートをお選びいただき、ご採用いただきました。

 

・ 事例3 – 予備品管理におけるRFID活用(物流系企業)

こちらのお客さまの事例で特長的なのは、設備保全の一環として予備品管理にRFIDを活用し、Maximoと連携されている点です。入庫時には購買、入荷登録情報を基にRFIDタグを自動発行し、大量の出庫時にはテーブル式のRFIDスキャナを用いて一気に出庫処理をされています。

また棚卸時には、近年性能が相当上がり、遠く離れたところにあるものでも読み取れるようになったガンタイプ(ハンディ型)のRFIDリーダで、一括読み取りを行なっています。

 

物流施設におけるRFIDの活用方法にもいろいろなケースがありますが、お客さまの現場業務の実態を正しく把握して、それに相応しいものをきちんと選択していくことが何よりも重要です。

そして業務全体や設備ライフサイクル管理の中でそれがどのように位置付けられ、今後どのようなステップで進め拡張していくのかを、深い知識と経験を基にした「伴走と提案と支援」をしてくれるパートナーとしてお客さまに価値を提供していくことがエクサの価値だと考えています。

 


山口氏の講演に続いては、寿命20年のポンプと5年のモーターのライフサイクル管理や、ガスケットのスペック情報や在庫状況、過去の使用履歴や作業内容、そして今後のメンテナンス計画の確認方法など、工場における保全担当者の実際の作業に基づいたMaximoのデモを同社の高橋氏に実施いただきました。

今回のセミナー内容のより詳しい資料や、デモ実施をご希望される方は、ぜひ下記よりお問い合わせください。

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 

IBM Maximoで資産集約型産業の運用リスクとコストを削減

 

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