IBM Sustainability Software

[事例] キング・ハーリド国際空港を次世代スマート空港に変革するIBM Maximo

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サウジアラビアの首都リヤドにあるキング・ハーリド国際空港(KKIA)は、国内外45社以上の旅客・貨物サービスを提供する航空会社と、2,600万人以上の乗客に利用されている大空港です。

50,000を超える設備や機器、サイロ化した複数の保守・在庫システム、40年以上使い続けられてきたワークフロー、10数社にものぼる請負業者など、KKIAの航空・陸上業務には、混乱へとつながりかねない要素が多数あります。

つまりそこでは、「通常通り」が意味するのは「とても複雑」ということ。日々の複雑なプロセスとコミュニケーションは、しばしば「現状の問題の先送り」を招いていました。

 

そんな中、KKIAの運営・管理を行うリヤド空港会社は、KKIAをサウジアラビアを代表する次世代スマート空港とするために、デジタル変革計画を進めようとしていました。

IoTを活用した高度ネットワーク化を進め、資産メンテナンスをコストから投資へと転換させるためには、効率性や即時性を実現できるKKIAのデジタル基盤の確立が必要であると考えていたのです。

しかし、機器・資産管理の将来計画の立案は、簡単なものではありませんでした。

 

土木インフラの維持管理を高度化する新しいアプローチ

空港においては機器・資産は常時使用されており、変化する状況下で常に移動を続けています。そして極端な状況下での使用は、機器の経年変化の振れ幅を大きくします。

保守作業全体の45%は効果のない不要なものとなってしまっていましたが、KKIAのスタッフはその理由をよく理解していました。現在の機器・資産の状態から1カ月後、1年後、10年後を予測することは、現在の時間基準の保守保全では非常に困難なのです。

 

次世代スマート空港への変革計画を進める中で、リヤド空港会社は、IBM Maximo Application Suite(MASが、空調システムからエスカレーターに至るまで、空港のあらゆる資産の全システムデータを分析する機能を備えていることを知りました。

つまり、MASを導入することにより、リヤド空港会社は現在のリスク管理だけではなく、未来のリスクまで見通した管理を実現できるようになるということです。

 

「Maximo は単なるツールを超えた存在でした。」リヤド空港会社の決断に応え、MAS導入のトレーニング支援を担当したIBMビジネスパートナーeSolutions社のRami Karaki 氏は、こう語っています。

「Maximo は『データ主導のスマートな空港』というリヤド空港会社のビジョンを理解し、彼らと共に明確なロードマップを作り上げるのに大きな役割を果たしてくれました。メンテナンス戦略と方針の再構築にも役立ちました」。

 

検査官生産性40%向上、メンテナンス事務処理80%削減

既存のレガシーシステムをIBM MaximoとIBM Cognos Analyticsソリューションへと置き換える新システム導入チームは、計画より2カ月も早くその作業を完了させました。

従来のメンテナンス関連の電子メールからモバイルアプリケーションへの変更や、すべての請負業者とのサービス・レベル合意(SLA)なども含んでいたにもかかわらずです。

チームはその勢いを落とさず、その後わずか3週間で、400人以上のユーザーにトレーニングを提供しました。

 

しかし、本当にびっくりさせられるのはこの後です。新システム導入後の詳細評価により、以下が明らかになったのです。

・ 検査官の生産性40%向上

・ メンテナンス事務処理の80%以上の削減

・ すべての請負業者が使用する MaximoとCognos Analyticsのリアルタイムダッシュボードを通じた洞察力50%向上

 

次世代スマート空港を実現する予知保全

現在、KKIAは設備や機器の健全性を最適化し予期せぬダウンタイムを防ぐのと同時に、設備の状態に応じてあらかじめ定義された基準に基づいて修理や交換を行うリスク基準保全戦略を実施することで、機器や設備の耐用年数を延長できるようになりました。

 

リヤド空港会社のメンテナンス・オペレーション・センター・マネージャー兼システム・プロダクト・マネージャーのMuhammed Al-Qurashi氏はこう言っています。

「私たちのような設備集約型の組織にとって、設備の履歴を追跡し状態分析をするEAMシステムを用いて健全かつ堅実な予防保全計画を作成できることは、経営陣がデータドリブンの正しい意思決定を行う上で非常に重要です。

私たちの現在の目標は、エコシステム全体での、より包括的な予知保全プログラムの確立です」。

 

予知保全を導入することで、KIAAは「時間基準保全」から「状態基準保全」への全面進化を実現するでしょう。そして機械学習とデータ分析を適用した将来の故障予測は、設備の故障減とそれによるコスト削減をもたらします。

複数の調査会社によると、予知保全は以下の数値的メリットをもたらすと言われています。

・ 予防保全にかかる費用の最大50%削減

・ 予防メンテナンスの総時間の50%~70%削減

・ 修理効率最大50%改善

 

リヤド空港会社は、IBM Maximoでハーリド国際空港のオペレーション効率を急上昇させ、次世代スマート空港へと変貌させています。Muhammed Al-Qurashi氏はこう言っています。

「常にビジョンを念頭に置きつつ、幅広く考えるのがポイントです。ビジョンに対しMaximoのテクノロジーが何をもたらすことができるのか、それを知ることが大切なのです」。

 


当記事は『The sky’s the limit for airport maintenance』を日本のお客様向けにリライトしたものです。

 

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