IBM Sustainability Software

生成AIを自社のESGアドバイザーに(ISEコンファレンス2024「Envizi × watsonx」より)

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営業やマーケティング部員を置かず、全員が技術エキスパート集団である日本IBMグループの技術者集団「ISE(日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング)」が毎年開催している技術コンファレンスが、「ISE Technical Conference」です。2024年は6月6日・7日の2日間、港区虎ノ門の日本IBM新本社31階「IBM Innovation Studio 東京」を会場に開催されました。

今年、ISEがメインテーマとして設定したのが、2022年末以来、途切れることなく社会実装が続いている「AI活用」です。

当記事では、2日間にわたり展示された約50のソリューション・デモの中から、とりわけ反響が大きく、社会的にもAIの活躍が強く望まれている「サステナビリティー」分野の3つのソリューションをご紹介いたします。

ISEコンファレンス初日のデモブースの様子。今回の記事でお話しいただいた田中純氏(左)、本田華歩氏(右)と、2人の先輩社員であり昨年のISEコンファレンス実行委員長の中条真璃子氏(中央)

 

ESG管理ソフト「Envizi(エンビジ)」とAIプラットフォーム「watsonx」

最初にお話しいただいたのは、先ごろIBMの営業マンからISEの技術担当へと転身したばかりという田中 純氏です。

「今日ご紹介するソリューションはすべて、『IBM Envizi(エンビジ)』というESG管理ソフトウェアをベースとしたものです。

全世界のIBM全体のエネルギーデータ管理システムの基盤となっていて、そのハイレベルなデータ管理機能とレポーティング機能で、世界的に高い評価*を受けています。

今回紹介するのは、そのEnviziに高付加価値をもたらすAIプラットフォーム『watsonx』などを組み合わせたもので、サステナブル企業としての市場評価を高めるためのサプライヤー選定や、競争力の高いESGレポートの作成を支援するものとなります。」

* Enviziの世界的高評価

独立系調査会社Verdantix社によるGreen Quadrant for Enterprise Carbon Management software 2023でリーダーにランク付けされました。

IBM Envizi 企業向け炭素管理ソフトウェアのリーダーに格付けされる

 

サステナ担当も調達担当も、CFPをもっと簡単便利に

「それではまず、3つのうちでも最もベーシックな『データを貯める』機能をより効果的なものにする『Envizi-SCI データ連携ツール』をご紹介します。

シンプルにお伝えすると、カーボンフットプリント(CFP)の計算・表示の仕組みの大幅な効率化と精度向上をシステム的に行うことで、社内のサステナビリティー担当と調達担当者、そしてサプライヤー各社のすべての作業負荷を低減することができるものです。

一般的に、サプライヤーおよび個別の製品やパーツのCFP数値を精緻にすればするほど、市場における信頼性や価値も高まります。しかし一方で、データ取得難度も高くなってしまいます。

『Envizi-SCI データ連携ツール』は、こうしたジレンマを解消するものです。なお、こちらのソリューションはwatsonxではなく、サプライチェーンインテリジェンス(SCI)と呼ばれるツールを用いたものとなります。」

ポイント | 今後より厳密性が求められるCFPを、サステナ担当も調達担当ももっと簡単便利に。

 

自社が重視する軸に合わせたサプライヤー選定をより円滑に

続いて、入社2年目という本田 華歩氏が「Envizi × watsonx サプライヤー選定アドバイザー」について解説してくれました。

 

「『Envizi × watsonx サプライヤー選定アドバイザー』は、Enviziに貯めたESGデータを、さらに有益に活用するためのソリューションです。

サステナビリティーの取り組みに対する市場評価を大きく左右するサプライヤーの選定を、より的確に戦略的に支援します。

たとえばこちらの図では『生物多様性』を設定していますが、自社が重視する『サステナビリティー評価軸』を入力すると、その軸を中心とした複数評価軸を用いて、生成Aiが複数サプライヤーをスコアリング、コメントとともに表示します。

この選定アドバイザーにより、現在、多くの企業が苦慮しているサステナビリティーとコストのバランス調整をより適切に、そして下請法やコンプライアンスの抵触の心配を低減しつつ、自社ニーズに合わせたサプライヤー選定を行うことができるようになります。」

ポイント | 選定基準と評価の透明性を高めて、サプライヤー選定とコミュニケーションをより円滑に。

 

サステナ担当も調達担当も、CFPをもっと簡単便利に

「続いて「『Envizi × watsonx ESG情報開示アドバイザー』ですが、こちらは生成AIの最高得意領域である文章分析〜作成能力を用いたものです。

最近何度か、お客様からのESG管理ツールへのRFP(提案依頼書)を目にする機会があったのですが、多くのサステナビリティー担当者の皆さまが生成AIに期待されているのは、『作業効率化』と同じくらいやはり『ESGレポートの品質向上』なのだなと実感しました。

Enviziは多数の開示フレームワークに対応したレポート自動作成機能をデフォルト機能として有していますが、そこに他社の同フレームワーク対応レポートとの比較、スコア化機能を加えてステークホルダーに対してより魅力的なものに仕上げられるようにしたこの生成AIとの組み合わせは、サステナビリティー担当者にとってかなり魅力的なのではないでしょうか。」

ポイント | ESGレポートの「出来栄え」がそのまま株価や企業価値に直結する現在、生成AIの能力を活用しない手はありません。

 


最後に、今後ESG管理ツールがどのように進化・発展していくと考えているかを、2人に尋ねてみました。

「直近のニーズにフォーカスし過ぎず、1年ではなく、もう少し先を見据えた開発を行うところにIBMの製品開発の特徴があると僕は思っています。

以前検討して、『自社にはフィットしない。機能過多ではないか?』という印象を持たれたお客様にこそ、今、改めてEnviziを検討いただきたいですね。かなり時代との調和が進んだのではないかと僕は思っています。

実際、最近多くの日本のお客様が最終検討に入られていますし、導入を決定された製薬会社さまもいらっしゃいます。

ご興味をお持ちの方には、そちらのお客様の導入決定までの経緯などもご紹介させていただきたいですね。」

 

田中氏に続いて、本田氏はこう語っています。

「私はISE入社時にCO2排出量削減に関係する業務や部門への配属を希望していたので、今、こうしてEnviziに関わる仕事ができていて幸せです。ただ一方で、日本全体のサステナビリティーの進展度合いを考えると、このままEnviziだけにこだわっていいのだろうか…という考えも頭をよぎります。

今回紹介したwatsonxの生成AI機能を用いた『ESG情報開示アドバイザー』は、ご要望があればEnvizi以外のESG管理ツールにも取り付け可能ではないかと思います。もし、『ひとまず現行のシステムで試してみたい』といった要望などあれば、一緒にご検討させていただきたいですね。」

 

ISEへのご相談があればぜひご連絡ください。

ソリューション説明をしてくれた、ISE サステナビリティー・ソリューション部所属の田中 純氏(左)と本田 華歩氏(右)

 

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 TEXT  八木橋パチ

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