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IDCアナリストが答える、製品開発のデジタル変革 | Vol.4 エンジニアリング最適化

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連載シリーズ: IDCアナリストが答える、製品開発のデジタル変革

 

ITおよび通信分野に関する調査・分析・アドバイザリーサービスを行う世界的企業「IDC」のアプリケーション・ライフサイクル管理(ALM)プログラムの専門家、メリンダ−キャロル・バルー氏が、最新動向調査を踏まえてIBMからの質問に答えます。

 

第4回: エンジニアリング最適化

 

IBMによる質問

デジタルエンジニアリングは新しいものではありませんが、エンジニアリングのデジタル・トランスフォーメーション(DX)への関心は一般的に高まっているようです。何が本物で、何が重要か。そしてどの分野での活動が最も有望でしょうか?

 

IDC メリンダ−キャロル・バルー氏による回答

多くの企業が、ビジネスプロセスのデジタル・トランスフォーメーション(DX)に多くの利点を見出しています。IDCのお客さまにとってもDXはとても重要な焦点であり、私たちも継続的にデジタル・イノベーションに関する調査を行なっています。

ビジネスプロセスに対するROIの利点や組織の競争優位性などDXがもたらす利点は多数あり、IDCをはじめとした調査会社が報告書などさまざまなフォーマットでその恩恵を紹介しています。利点の1つに反復作業や手動タスクを自動化することでミス発生を低減させられることがありますが、これはエンジニアチームを、より付加価値の高い創造的な業務に割り振れることも意味しています。

 

この恩恵をもっとも謳歌できるのがエンジニアリング企業です。

エンジニアリング企業こそ、競争力を高めるために、エンジニアリングプロセスのDXを進めるべきでしょう。設計のデジタル化が進めば、エンジニアリング最適化はより速くより安価となります。そして流動性と適応性が高まることで、組織は成功への道を見つけ出し注力する学習サイクルを速めることができます。

 

ビジネス全体や開発運用全体に分野横断で取り組んでいるチームは、開発プロセスに役立つ多くの経験と知見を持っています。それらを活かすには、コミュニケーションとコラボレーション、そして効果的な変更管理と継続的で適応性の高い品質プロセス管理が重要な役割を果たします。

 

トレーサビリティを容易にするデジタルスレッドと、早期検証を可能とするデジタルツインの利点を活かせるエンジニアリング・ソリューションを用いることです。それがエンジニアリングDX成功の鍵をも握っています。

 

ますます複雑化する製品開発においてDXの恩恵なしに成功を収めることは不可能と言ってよいでしょう。DXは、ハードウェアおよびソフトウェアのシステム開発合理化と統合だけではなく、エンジニアリング・ライフサイクル全体における選択的タスクの自動化基盤も提供します。

エンドツーエンドの統合ライフサイクルモデルを採用することにより、エンジニアの貴重な時間とワークロードを内部ツールの構築や保守に割り振らずに済むようになります。自社エンジニアには、利益をもたらす製品の開発に集中してもらいましょう。

 


自動化でエンジニアリングチームをデータ管理作業から解放せよ


エンジニアリング・ライフサイクル管理ソリューションは、シームレスにプロセス同士をつないで製品のコア機能を支援する、エンドツーエンドの開発モデルを提供するものでなければなりません。

 

こうした機能やソリューションの不備がどれだけの不利益をもたらすか、企業は十分に理解できていないようです。IDCは、組織的に統合されたエンドツーエンドのエンジニアリング管理を採用し、カスタムコードのメンテナンスや橋渡し機能の構築、データの受け渡しなどの、製品の価値を高めないにも関わらずエンジニアの時間と労力を奪う作業を排除することを強く推奨しています。

特に、適切な管理を怠れば、古くなりサイロ化し品質が低下するという傾向を持つデータはの取り扱いには十分な注意が必要です。

エンジニアチームがそうしたデータを元に作業をしてしまえば、結果は悲惨なものとなってしまいます。要するに、エンジニアリングチームをデータ管理作業から解放し、それらを自動化すべきだということです。

 

私たちは調査を通じ、エンジニアリングチームが製品化までの時間を短くし、製品の性能、品質、コンプライアンスを向上させる必要があるにも関わらず、未だ多くの組織でエンジニアリングプロセスの動的追跡、情報共有、更新報告、レポートへのアクセスができないツールを用いていることを発見しました。

要件管理やプロジェクト管理のために、エンジニアリングチームにWordやExcelなどの非エンジニアリングツールを使わせるのはすぐに止めましょう。

効果的なライフサイクル管理を実施するためには、エンジニアリングチームには自動化、透明性、コンプライアンス、監査性を必要なレベルへとアップデートするためのソリューションが必要なのですから。

 

こうした自動化ツールを選ぶ際には、どのような企業や組織がこれまでに使用しているか、そしてどのような製品を生みだされてきたか、あるいはどのような効果をもたらしてきたかを調べるのがよいでしょう。

また、利用方法や対処しようとしている課題が明確な場合はそれに見合うかを、そして自分たちのデジタル環境や作業ニーズに適応できる柔軟性を持っているかを確認しましょう。

 

ソリューションを導入して開発プロセスに統合した後に、そのソリューションを使い続けるのは自分たちです。製品寿命が長く拡張性の高いソリューションを選ぶことが重要です。

それにより製品は機能に一貫性を持つことができ、組織を前進させ続けられるのですから。

 

問い合わせ情報

 

IBMのエンジニアリング・ライフサイクル管理(ELM)主要機能

 

 

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